



衆院が21日解散され、8月30日の総選挙に向けた戦いが始まった。昨秋から吹いたりやんだりの解散風に翻弄(ほんろう)されてきた各陣営とも、組織を引き締め直して臨む長期戦。市町村合併による地域コミュニティーの変容や、無党派層の拡大にどう対応するのか、立候補予定者は知恵を絞る。県内6小選挙区と比例代表北陸信越ブロックの情勢をまとめた。(文・写真敬称略)
<1区> 無党派層の取り込み鍵
党県連代表としても負けられない民主前職・西村は、3期連続当選を目指す。18日に選挙事務所を開設。「何としても政権交代を果たし、新潟から日本の政治を変える」と意気込む。従来通り連合新潟の全面支援を受けるほか、ボランティアによる後援会組織も運動の柱。無党派層や女性票の取り込みを図る。
前回は比例復活の自民前職・吉田は、自民支持層に加え、保守層の固め直しに懸命だ。吉田は「後がない」と強調。14日の選挙事務所開きでは「保守の精神を訴える」と決意表明し、民主との違いを鮮明にした。実動部隊は自民県議・市議や後援会のほか、建設などの各種業界団体が中心。公明とも連携する。
共産新人・武田は、党が重視する比例北陸信越ブロックの議席獲得に向けた戦いを展開する。県内全域で街宣やミニ集会を繰り返し、「ルールある経済社会づくりと自主自立の平和外交」を掲げ支持を訴える。26日には志位和夫委員長が応援演説のため来県する予定。
諸派新人・松本は小まめな街宣で支持拡大を目指す。
<2区> 自民は組織、民主ドブ板
自民前職・近藤は後援会と自民支部を運動の主体とする。自民への逆風の中、県議や市町村長、市町村議らを中心に旧市町村単位で選対を組織し、引き締めを図る。党の政策や3期の実績を訴えるためのミニ集会を重ねる。30日には佐渡市で1000人規模の総決起集会を計画する。
民主前職・鷲尾は「ドブ板」の地域回りを徹底し、政権交代の必要性を訴えてきた。前回の初当選を支えた社民が敵に回る中、各地域に築いた後援会を足掛かりに、支持拡大に必死。連合新潟の支援を受けるほか、「アンチ近藤」の自民支持層や自民離反層にアプローチする。
社民新人・米山は県議時代を通じた支援者とともに街宣を繰り返す。政権交代が必要としながらも「社民が連立政権でチェック機能を果たす」と存在感を強調。2大政党に埋没しないよう独自性をアピールする。連合新潟の一部加盟労組も運動を担う。
諸派新人・菅原は消費税廃止などを訴える。
ほかにも立候補を模索する動きがある。
<3区> 自民、民主参戦に危機感
自民前職・稲葉は選挙区内に張り巡らせた約50の後援会と、党支部の組織を軸に運動を展開する。これまでは小まめなあいさつ回りやミニ集会が主体だったが、26日には自身と同じ派閥の石原伸晃党幹事長代理を招き、新発田市や村上市など4カ所で大規模な街頭演説会を行う予定。
民主との初対決に危機感が漂うが、高速道路の延伸など5期16年の実績を強調。「この地域のことを一番よく知っている」と訴え、支持の継続、拡大を呼び掛ける。
民主新人・黒岩は連合新潟や野党系の地方議員に加え、郵便局長らでつくる郵政政策研究会や立正佼成会からも支援を受ける。さらに、自民を離党した無所属の田中直紀参院議員が正式に支持を表明。3区内に一定の勢力があるとされる田中氏の後援会組織が既に動きだしており、保守層取り込みにも力を注ぐ。
あいさつ回りやミニ集会のほか、後援会主導で大規模な集会も開催。若さをアピールし、「3区に政治の光を当てていく」と訴える。
諸派新人・富川は街宣などで浸透を図る。
<4区> 菊田・栗原両氏再び対決
民主前職・菊田は、国会会期中から週末は地元に入り、国政報告会や街宣を小まめに展開。旧来の自民支持層の取り込みも狙い、企業回りも精力的に続けてきた。
4区内に張り巡らせた後援会組織と連合新潟の支援を軸に「とにかく一度、民主にやらせてほしい」と政権交代を強く訴える。過去の選挙で全面支援を受けてきた渡辺秀央参院議員が民主を離党。菊田不支持を表明したが、陣営は「影響は限定的」と、支持者固めに努める。
2度目の挑戦となる自民新人・栗原は、党支部と父博久の後援会を足掛かりに、ミニ集会や街頭演説を続けている。県議らの手引きで、イベントなど地元の小規模な集会にも参加し、知名度アップを図る。
前回選挙では自民支持層の3割が菊田に流れたと見る陣営は「保守結集運動」と題し、一定期間一地域に集中して集会、ローラーを行う作戦を展開。栗原は「新人の自分が古い自民党を変える」と強調し、自民への逆風の中で支持を訴える。
諸派新人・関谷はつじ立ちや街宣を重ねる。
<5区> 民主支持層の動向焦点
高い知名度で6期目の当選を目指す無所属前職・田中に、前回2万2千票差で敗れ、保守勢力の結集を訴える自民新人・米山が再び挑む。社民は新人・伊部を擁立。田中は国会内では民主会派だったが、県内選挙区で唯一、民主が公認候補を立てないため、民主支持層の動向も焦点だ。
田中は「これまで一貫して政権交代を訴えてきた」と民主との近さを強調。ファミリー企業と後援会を軸に選挙戦に挑む。各地でミニ集会を開き、国会議員の定数削減の必要性などを指摘する。選挙事務所は8月上旬に長岡市に設置する予定。
米山は「自民に大逆風が吹いているが、進むしかない」と決意を固める。旧13市町村単位で後援会を組織。若さを前面に「自民を変える」として、社会保障や医療制度改革を訴える。来週から党幹部らを招いた決起大会を各地で開く。
伊部は自治労などの支援を軸に、自主投票とした連合新潟などにも支持を広げたい考え。「唯一の野党候補として政策で国民の気持ちをとらえたい」とする。諸派新人の笠巻は独自の戦い。
<6区> 2前職に2新人が絡む
民主前職・筒井と自民前職・高鳥が3たび対決。共産・橋本、諸派・国領の両新人が割って入る。
筒井陣営は来週中に合同選対会議を開き、活動を本格化させる。「民主への期待を感じる」。幹部は手応えを語る。
解散後もミニ集会を積み重ねて浸透を図る手法は変えない方針。「次の内閣」農相として公約の大きな柱に据える農業政策の必要性を訴える。
高鳥は「極めて厳しい戦い」と強調。一連の経済対策の成果をアピールしている。先月下旬には派閥トップの町村信孝前官房長官らが6区入りしててこ入れを図った。
細い道に入れる軽ワンボックスの街宣車を導入。中山間地を意識した対応も整えた。
昨年9月に立候補表明した橋本は既に6区の全市町を回り終え、これから票の掘り起こしを本格化させる。自民、民主の対決ムードが高まる中での「埋没」を警戒。「格差拡大是正」などの訴えに力を入れる。
国領は6月中旬、上越市内に事務所を設置。街宣やつじ立ちを行っている。
<比例> 長島氏名簿上位なるか
定数11のうち前回は自民5、民主4、公明と国民新がそれぞれ1議席獲得した。
自民は前回比例単独1位で当選した長島が比例名簿で上位登載されるかどうかが焦点。党本部は比例単独を抑制する方針で、名簿順位は公示直前に決める予定。
公明は漆原が比例単独1位登載が確実で、5選を目指す。
民主はブロック内の小選挙区候補が重複立候補し、名簿1位で並ぶ予定。党本部は小選挙区で多くが当選した場合に備え、下位名簿の準備も検討している。
社民は比例単独候補を置かず、米山、伊部ら小選挙区候補者5人が名簿1位で重複立候補する見込み。
共産は比例単独で1人を擁立、武田ら小選挙区候補が重複立候補する予定。
国民新の比例単独候補者は1人で、本県関係はいない。幸福実現は比例単独候補4人を立て、三上を2位登載する方針。
2009年07月22日