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「命の重み」国は考えて―県内C型肝炎患者・韮沢さん 

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「今のままでは、私は救われない。患者の線引きは許せない」。輸血の記録が残る母子手帳を手に話す韮沢イセ子さん=長岡市大沼新田の自宅

 「私たち患者には時間がない。国は命の重みを真剣に考えているのか」-。衆院解散前日の20日、新潟市で開かれた「カルテのない薬害C型肝炎の全員救済を求める新潟の会」総会。慢性C型肝炎に苦しむ韮沢イセ子さん(59)=長岡市=のマイクを握る手が小刻みに震えた。肝炎対策の法案が衆院解散で廃案に追い込まれるなど、支援を求める患者たちの思いは、政局に翻弄(ほんろう)されている。

 廃案となったのは、予防や治療など総合的な肝炎対策を実施する与党提出の「肝炎対策基本法案」と、医療費助成の拡充を盛り込んだ野党4党の「特定肝炎対策緊急措置法案」。韮沢さんは「歴史上最大の薬害。大勢の人が苦しんでいる。一刻も早く法案制定を」と祈っていた。
 同会ではことし5月、法案の早期成立を求める約13万人の署名簿を厚生労働省に提出。政党の枠を超え、全国350万人とされるウイルス性肝炎患者の治療促進や生活保障などを求めてきた。解散後、韮沢さんは「悔しい」と漏らした。
 昨年4月から国はウイルスを除去するインターフェロン治療の補助を始めたものの、いつ打ち切られるか分からない。昨年1月に成立した「薬害肝炎救済法」も「救済される人はほんの一握り」(韮沢さん)という。同法で給付金が支給される人は原則、カルテにより血液製剤フィブリノゲン投与が証明できる患者だけ。全国C型肝炎患者200万~240万人のうち、これまで約千人しか救済されていない。
 韮沢さんもカルテのない患者の一人。35年前、出産直後に胎盤癒着症で手術を受けた際、フィブリノゲンを使用した可能性は高いが、手元に残るのは「輸血1000ミリリットル」と記された母子手帳だけだ。「救済のレールができても、カルテのない私は列車の連結を切り離されてしまった。取り残されたんですよ」。やり場のない思いが募る。
 3年前には病状が悪化。深夜のトイレで激痛に倒れた。その後、主治医の勧めでインターフェロン治療を始めたが、副作用で髪は抜け落ち、体重は激減。「このまま死んでいくのか」と不安にさいなまれた。当時は補助もなく、自己負担は月7万円。治療を1年半続けたが、ウイルスは完全には消えなかった。肝硬変や肝がんに進行する恐れがつきまとう。
 同会では今後も被害者全員救済へ向け、新法制定や制度の拡充を国に強く働き掛ける方針だ。「ここであきらめるわけにはいかない」と韮沢さん。同会発足から1年半で30人もの仲間が亡くなった。「私たちが闘う相手は病院でも医者でもない。国なんです」

2009年07月25日

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