




作業後の商品をチェックする星さん。障害者福祉が目立った争点にならず不安を抱える=新潟市秋葉区の地域活動支援センター「いしずえ」
関係者から見直しの必要性を指摘される障害者自立支援法。施行後初の衆院選を迎えたが、街宣活動で取り上げる候補者は少ない。野党は国会で同法の廃止などを主張し、政府は改正案を提出したが衆院解散で廃案となった。「障害者1人でも安心して暮らせる制度」を求める家族はもどかしい思いを募らせている。
新潟市秋葉区の地域活動支援センター「いしずえ」。ラジオ放送が流れる作業室では、若者から高齢者まで障害者4、5人の利用者が折り詰めの箱を作っている。
同センターを運営するNPO法人「あきはあすなろ会」会長の星真人さん(65)の顔が曇る。「ハンディを負っている障害者が基本的な生活を送ろうとするのは、マイナスからゼロに近づけようとすること。それは本来福祉なのに、自立支援法施行後はサービスとなった」。同法では、作業所などでの利用料の原則1割を利用者の負担とし、それを障害者施策の原資とする。
同センターは精神障害者ら約20人が利用する通所作業施設。出店販売や受託清掃作業などが主な収入で、1人当たりの1カ月の工賃は約6000円。不景気で2000円ほど減った。
星さんは「症状が重い障害者ほど、いろんなサービスが必要で費用もかさむ」と指摘。同法で、障害者の利用料が、家族も含めた世帯収入で算出されていることに「おかしい」と首をかしげる。
新潟医療福祉大学の丸田秋男教授は「法が制定される際、障害者が最低限の生活を送るため、そのギャップを埋めるのは自助なのか、公的な支援なのか合意が得られていなかった」とみる。
同法の見直しをはじめ、障害者福祉の在り方が衆院選の争点となることを望む家族は少なくないが、「この選挙では候補から目立った声を聞かない。重要性の認識が薄いのではないか」(丸田教授)と危ぐする。
「家にじっとしているよりはいい」「生活のリズムができます」。利用者が帰り際、笑顔で言った。見送った星さんの表情は晴れない。「施設を利用できる人は良い方なんです」
長女(34)も10年ほど前に統合失調症になり、家に引きこもったまま。「表に現れない障害者はまだまだ多い。親が生きている間はいいが、その後どうなるのか。障害の程度に合わせた制度が必要」。そう訴える星さんは、作業室でぽつりと言った。「障害者福祉の問題は多少の手直しでは解決しない。各党の考え方を聞きたい」
2009年08月28日