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■7月22日以降の記事と写真■ <7月18日-7月21日の記事と写真へ> <17日以前の記事と写真へ> ●8月26日朝刊● ◎県が三条・五十嵐川拡幅へ ・民家約200戸が転居、来年1月にも住民説明会 県は二十五日までに、「7・13水害」で破堤した三条市五十嵐川の改修計画について、現在の河川を拡幅する方針を決めた。同日開かれた県議会生活安全対策特別委員会で明らかにした。計画を実施するには、河川区域内に建っている約二百戸の転居が不可欠で、県は年末までに計画を策定、来年一月にも住民を対象にした説明会を開く。 移転対象は信濃川の合流点から同市本町一の昭栄大橋にかけての地域。県は年末までに、総事業費約四百億円超とする五カ年計画を策定。改修区間は、信濃川との合流点から同市西大崎一の渡瀬橋までの四・四キロ。現状の七十―百メートルの川幅を、百―百十メートルまで広げる。「7・13水害の水量でも、水が堤防からあふれない設計」(県河川整備課)とする。 事業費の内訳は、河川の現状回復を目的とした災害復旧費に百数十億円、移転費や土地買収費を含めた改修費に三百億円。災害復旧費は国が三分の二、県が三分の一を負担、改修費は国、県が折半する。 住民が移転するための代替地の選定や住宅団地の整備は、三条市が主体となり実施する。 特別委員会で、阿部良満河川整備課長は「住民の説得には三条市の協力が不可欠。連携を取りながら進めていきたい」と話した。 ●8月13日朝刊● ◎7・13水害から1カ月 ・五十嵐川の抜本改修、拡幅なら立ち退き必至 ・代替地確保など課題山積 中、下越を襲った「7・13水害」から十三日で一カ月。三条市の五十嵐川決壊は、七千棟以上の床上床下浸水を出し、死者九人の悲劇を生んだ。災害を繰り返さないため川を管理する県は河川改修に取り組む意向だが、川幅を広げるような本格的な改修となれば、住民の立ち退きは避けられない。「抜本改修なら三条市始まって以来の大事業」(同市幹部)には、課題も山積している。 決壊現場に近い同市曲渕二の無職柿崎嘉雄さん(62)は自宅一階が胸の高さまで浸水した。「今のままでは雨のたびに夜も眠れない。これまで何もしなかったから水害になったわけで、改修してもらわないと困る」と不安げに川を見つめた。決壊現場は仮堤防で、抜本改修を求める声は多い。 三条市の市街地を横断する五十嵐川は、両岸にびっしりと民家が立ち並び、信濃川との合流点に向かって川幅が狭まるのが特徴だ。河川区域内に私有地も多く、二百戸以上の民家が区域内に建つ。こうした私有地の存在が改修を遅らせた一因とも考えられる。 同市は前市長時代の一九九六年、県と共同で市内全戸にパンフレットを配布、川幅が狭くて危険なことを訴えたが、市民の反応は鈍かった。 同市土木課の土田壮一課長は「上流のダム完成や四十年ほど水害がなかったことが市民に安心感を生んでしまった。災害がなければ関心は薄く、仮に改修目的で用地買収を申し込んでも門前払いされるはず」と話す。 改修は加茂川(加茂市、南蒲田上町)のように堤防を移動して川幅を広げる「引き提」や、放水路、ダム建設などの手法が上げられるが、引き提が一般的。加茂川改修は住宅千二百戸が移転し完成までに十五年かかった。五十嵐川も引き提改修となれば、住宅の立ち退きだけでなく橋の架け替えや取り付け道路整備など、市全体の都市計画を見直す必要が出てくる。 同市の高橋一夫市長は「現在は復旧作業に全力を挙げている」として改修についてのコメントを避けているが、二〇〇二年十二月の市議会では、改修の必要性を認識しながらも「本市のまちづくりそのものにかかわる非常に難しい大事業。市民の意見を聞きながら長期的視野で取り組んでいきたい」と答弁、困難さを指摘していた。 三条市の幹部は「住宅移転を求めた場合、交渉や代替地確保など難問は多い。まずは改修に向けた市全体の合意形成が急務だ」と語る。 県河川管理課は「災害を起こした以上、五十嵐川が現状のままというわけにはいかない。周辺住民は将来の見通しに不安を抱えており、なるべく早い段階で改修の方針を出したい」としている。 ●8月12日朝刊● ◎中之島、三条も仮設住宅入居スタート 7・13水害で被害を受けた南蒲中之島町、三条市で十一日、仮設住宅の引き渡しが始まった。鍵を受け取った被災者は家財道具を運び入れ、新生活のスタートを切った。 同町中之島のみずほ団地隣接の公園用地に建設された仮設住宅は計六十五戸で、五十七世帯二百八人が入る。1DK、2DK、3Kの三タイプあり、いずれもエアコンを完備している。 同日午後一時半から鍵が引き渡され、被災者は順次、仮設住宅に移動し引っ越し作業に着手。同町中之島の主婦稲庭晴美さん(39)は「家を新築することになったし、家電製品も買いそろえなくてはならない。今後の生活を考えると喜んでばかりもいられない」と話していた。 三条市では建設が進められている六カ所のうち二カ所で引き渡しが始まった。同市南四日町四の市民プール駐車場には、1DK十二戸、2DK九戸が建設され、二十一世帯三十三人が入居する。午前十時ごろから訪れた被災者たちは、市職員から鍵を手渡され、早速洗濯機や家具などを運び込んで入居準備を進めていた。 このほかの四カ所では十六日までに鍵の引き渡しを行い、順次入居が始まる。計六カ所、三百三十二戸に八百十九人が入居する。 ●8月11日朝刊● ◎長岡−被災者に仮設住宅引き渡し 7・13水害発生から一カ月を前にした十日、長岡市浦瀬町の浦瀬小グラウンドに仮設住宅が完成し、被災家族に引き渡された。長期間の避難所生活を強いられていた被災者は「エアコンも付いていて快適そう」と、安どの表情で引っ越し作業に汗を流した。 同市の仮設住宅は七月二十六日から建設が始まり、2DK一戸と3K二戸に三世帯十一人が入居する。被災者は同日、森民夫市長からカギを渡され、早速部屋の間取りなどをチェックしていた。 浦瀬町の土田研司さん(52)は「早く仮設住宅から出たいが、今後のことはゆっくり考える」と話していた。避難先や自宅からの引っ越しを手伝っていた高校二年の甑沢佑香さん(16)は「やっと家族だけの生活ができる。コンビニの弁当が多かったので、お母さんの手料理が楽しみ」とうれしそうだった。 三条市では三百三十二世帯八百十九人、南蒲中之島町は五十七世帯二百八人が、十一日から順次入居する。仮設住宅の設置は最長二年間、家賃は無料だが光熱費は入居者負担となる。 ◎中之島に緑復活を−ボランティアが花届ける 「7・13水害」で被災した南蒲中之島町の町民を元気づけようと、ボランティアグループが十日、被災家庭にベゴニアや日日草など、色とりどりの花を届けた。 同町で復旧作業を行ったボランティアが中心となって企画。趣旨に賛同した長岡市公園緑地協会が、花や土、プランターの提供を申し出た。 中之島体育館に集合したボランティア約三十人は、花を鉢からプランターに植え替え、早速被災地を回った。町民は思わぬ贈り物に笑顔を見せながら、久しぶりの再会を楽しんでいた。同町中之島の浅野謙蔵さん(78)は「災害の時もお世話になったけど、こういった思いやりがうれしい」と話し、軒先に飾っていた。 企画した一人の寺島義雄さんは「ボランティアは中之島のことを忘れていない、というメッセージが届けばうれしい」と話していた。 ●8月10日朝刊● ◎ごみ処理費用は33億円 中、下越を襲った「7・13水害」で三条市、見附市、南蒲中之島町で発生した災害廃棄物の推定量は六万一千トンとなり、処理費用は約三十三億円に上ることが九日、県のまとめで分かった。農地や農業施設の被害額は百四十億円を超える見通し。同日、県庁で開かれた災害対策本部会議で報告された。 発生した災害廃棄物の市町村別の内訳は三条市が四万七千八百トン、見附市が八千トン、中之島町が五千二百トン。 廃棄物は、三市町だけでなく周辺市町村や民間の施設で焼却などの処理が行われる。県は処分が終わるまでに三条市で四カ月、見附市と中之島町で二―三カ月かかるとみている。 農地や農業施設の被害額の内訳は農地が四十一億六千八百万円、道路や水路などの施設が九十七億六千百万円、集落排水処理などの生活関連施設が四億八百万円となっている。 また、県は同日、現地の市町村がボランティアセンターの閉鎖を進めているとして、県社会福祉協議会に設置していた県災害救援ボランティア本部を解散した。 ●8月7日朝刊● ◎企業向け融資、農業復旧など県が独自支援制度 中、下越を襲った「7・13水害」で平山征夫知事は六日、県庁で会見し、被災地に対する県独自の支援策を発表した。柱の生活再建補助制度は予算総額が三十億円を超える見通し。このほか住宅を建て替える被災者や中小企業を対象とした融資制度を創設、農業に関する復旧事業を実施する。 全壊や半壊、床上浸水の世帯について、家財道具などの購入費用を補助する生活再建補助制度を創設することを正式に発表した。 住宅再建の融資制度は、金融機関から一定額を借りた世帯に、さらに上乗せして貸し付ける。金融機関より1%低い金利を適用、新築・購入の場合は最高八百万円まで借りることができる。 中小企業への支援策も実施。新たな制度融資では、運転資金や機械設備買い換えの資金が必要な業者に七千万円を限度に貸し付ける。 農業分野では、水害による追加の防除やコンバインなどの機械更新を行う生産組織に費用の一部を助成。資金を借りる農家に利子の補助を行う。 県独自の支援策について平山知事は「必死に立ち上がろうとする被災者の不安を払しょくしたかった」と説明。県は来週、予算の専決処分を行い、早急に事業を実施する方針だ。 ●8月6日朝刊● ◎浸水住宅の再建補助へ県が独自支援 中、下越を襲った「7・13水害」で県は五日までに、被災者生活再建支援法の適用を受けた三条市などの市町村で、同法による支援のほか、県が独自に補助を上乗せする制度を作る方針を決めた。全壊や大規模半壊した世帯に最高で百万円を補助し、同法による支援が受けられない半壊や床上浸水も対象とする。 被害規模の大きさから県独自の支援策も必要と判断した。対象は三条、見附、長岡、栃尾、三島三島、同和島、南蒲中之島の七市町村。 同法は最高で全壊世帯に三百万円、本格的な補修が必要な大規模半壊には百万円が支給される。これに県の独自制度が加わると、支給額は最高で全壊世帯が四百万円、大規模半壊世帯が二百万円となる。 さらに、同法の適用範囲でない通常の半壊、床上浸水についても支援対象とし、半壊は五十万円、床上浸水は三十万円を支給する。 県の制度は家財道具や電化製品などの購入費用を補助する形で、支給額は世帯の年収などによって異なる。事業費は県が三分の二、市町村が三分の一を負担する。 県災害対策本部によると五日現在、七市町村の被害状況は全壊が二十四棟、半壊が五十六棟、一部損壊が四十九棟、床上浸水が七千百四十八棟となっている。 ●8月5日朝刊● ◎国会議員が水害被災地を視察 「7・13水害」で被災した三条市や南蒲中之島町に四日、衆参両議院の災害対策特別委所属の国会議員十二人が訪れ、刈谷田川の決壊現場やごみ集積所などを視察した。 一行は三条市で平山征夫知事から水害の被害状況説明を受けた。平山知事は被災者支援について「県単独でも検討しているが、被災者生活再建支援法の適応範囲を、全半壊した住宅だけでなく浸水被害にも広げてもらうなど、厚い支援をお願いしたい」と要望した。 同市のごみ集積場となっている三条競馬場跡地では、家庭から出た家財道具などの水害ごみが積み上げられた様子を視察。ごみ搬出に携わったボランティアの様子を担当者に質問していた。 衆院災害対策特別委の堀込征雄委員長は「被災者生活支援法の弾力的運用に向けて国会で議論し要望に応えたい」と述べた。 長岡市では、田畑が冠水した同市富島町周辺の通称「八丁沖(八町潟)」地域を視察。森民夫市長が「水に長時間つかったので米は商品にならないし、大豆は全滅した」と被害状況を説明し、堤防が決壊した猿橋川を指さして、早期改修を訴えた。議員は被害に遭った稲について、県の担当者に「稲の穂は出るのか」「風評被害は出ているのか」と質問していた。 長岡市では、田畑が冠水した同市富島町周辺の通称「八丁沖(八町潟)」地域を視察。森民夫市長が「水に長時間つかったので米は商品にならないし、大豆は全滅した」と被害状況を説明し、堤防が決壊した猿橋川を指さして、早期改修を訴えた。議員は被害に遭った稲について、県の担当者に「稲の穂は出るのか」「風評被害は出ているのか」と質問していた。 ◎三条市が水害死者遺族に弔慰金 三条市は四日までに、「7・13水害」で亡くなった市民七人の遺族に、亡くなった人が主な生計維持者の場合には一人五百万円、それ以外の場合には一人二百五十万円の災害弔慰金を贈ることを決めた。災害弔慰金は災害救助法が適用された地域に、法律に基づいて市町村が支給する。 ◎県まとめ−中小企業被害 総額333億円 ・34市町村で2188事業所 中、下越地方を襲った「7・13水害」による中小企業の市町村別被害額は三十四市町村の二千百八十八事業所に及び、被害総額は三百三十三億二千万円に上ることが四日、県のまとめで分かった。五十嵐川の堤防が決壊した三条市など災害救助法の適用を受けた七市町村の被害が全体の約98%を占める。 県は被害が大きい三条市、見附市、南蒲中之島町、三島和島村を国が定める局地激甚災害地に申請、被災企業を制度面から支援する。 七月下旬から八月二日まで、各市町村の調査結果を集計した県産業政策課によると、被害総額のうち、災害救助法の指定を受けた七市町村(長岡市、三条市、見附市、栃尾市、中之島町、三島三島町、同和島村)の合計被害額は、三百二十八億円。東蒲三川村など同法の適用対象外の二十七市町村は五億二千万円。 市町村別では、三条市の被害が突出。千四百十五事業所二百二十二億五千万円と、被害総額全体の三分の二を占めた。 中之島町は百三十二事業所四十二億一千万円。見附市は二百五十九事業所三十九億七千万円。 県は「局地的な被害は深刻」(同課)として六日に国が行う局地激甚災害指定に向け被災地調査を実施。今月中旬にも、経産省に指定を求める。 被災地調査は三条、見附、中之島、和島の四市町村の被災事業所の約四割に当たる計六百七十五事業所が対象。 局地激甚災害指定を受けると、国の法律に基づいて(1)県の制度融資などを受ける際に必要な県信用保証協会の保証料の引き下げ(2)県の設備投資貸付金の返済期間延長―などのメリットがある。 ●8月4日朝刊● ◎土木学会が五十嵐川決壊場所を視察 「7・13水害」で大きな被害を出した三条市、南蒲中之島町に三日、土木学会の緊急調査団が入り、五十嵐川や刈谷田川の堤防の決壊現場などを視察した。 調査団は金沢大大学院の玉井信行教授を団長とする学者ら十九人で、このうち水利や地盤などを専門とする九人が参加。 三条市の五十嵐川決壊現場では県の担当者から、決壊時の様子や水防団の活動状況、その後築堤された仮堤防の工法などについて説明を受けた。調査団が仮堤防の強度をただしたのに対し、担当者は「仮堤防でもこれまでの堤防と同等の強度を持っている」などと答えた。 また、刈谷田川では破堤した場所や対岸に立ち、地図や写真を見ながら被害状況について説明を受けた。堤防を越えた水の流れや堤防の構造、過去の水害の実態などを盛んに質問、災害当時の状態や現状を議論していた。 玉井教授は「現段階で決壊原因の特定はできないが、大雨で想定以上の水量があったとみられる。川の水位と堤防の耐久力を合わせて原因を考えたい」と述べた。 ●8月2日朝刊● ◎三条市の事業所被害総額150億円 三条市は一日までに、「7・13水害」で被災した事業所の被害状況をまとめた。回答があった千六百八十六事業所のうち被災した事業所数は千二百二事業所だった。そのうち被害額が判明しているのは九百五十三事業所で、総額百四十九億九千二百四万円に上る。 調査は七月二十―二十八日に行われ、対象事業所千九百八十五社の約八割から回答を得た。同市によると、規模の大きい事業所などを含めて二百四十九社の被害額が不明のため、今後被害額は増える見込み。 九百五十三事業所の被害総額の内訳は、設備などの被害が七十三億七千五百九十三万円、車両被害が三十億七千二百八十八万円(二千三台)、製品、商品被害が四十五億四千三百二十三万円となった。業種別では製造業(二百九十九社)が最も多く六十億四千百九十四万円、卸売業(百十八社)二十七億三千七百七十七万円と続いた。 同市は「総被害額は少なく見積もった額。機械の稼働休止期間の損失額や機械のメンテナンス費用など不明な部分もあるため、今後被害額は増える」と話している。 ●8月1日朝刊● ◎鎮魂と復興へ中之島で大凧揚げ 「7・13水害」で大きな被害を受けた南蒲中之島町で地元の凧グループが三十一日、決壊した刈谷田川左岸堤防近くで伝統の大凧を揚げた。災害のつめ跡が残る同町で、鎮魂と復興への祈りを乗せた大凧が真夏の大空に舞った。 凧揚げに挑戦したのは同町にある凧組の一つ「五郎組」。被災者に元気を出してもらおうと、辛うじて水害を免れた大凧を揚げた。 この日は微風で、凧を揚げるにはコンディションはいまひとつ。しかし、ギラギラと照りつける太陽の下、汗だくになりながら掛け声とともに堤防上で駆け綱を引くと「がんばろう!中之島」と書かれた垂れ幕とともに大凧がふわりと青空に浮かんだ。 十人が参加した五郎組の山崎祐一代表は「五郎組も半分以上は被災者です。なくしたものがあまりに多く落ち込んでいた。なんとか勢いをつけたかった」と凧揚げに託した思いを説明。「綱一本でみんなにつながりができて元気が出せました」と笑顔を見せていた。 ●7月31日朝刊● ◎7・13水害で、海水の腸炎ビブリオが繁殖 ・柏崎の旅館で食中毒、県が食中毒警報を発令 県福祉保健部に三十日までに入った連絡によると、柏崎市の旅館「岬館」の宿泊客二十六人が腸炎ビブリオによる食中毒症状を訴えた。県は「7・13水害」の洪水により、海水で腸炎ビブリオが大量発生していると分析。全県で食中毒が起きる恐れがあるとして、二〇〇〇年七月以来の食中毒警報を発令した。 県生活衛生課によると、二十八日の宿泊客のうち、二十六人が、腹痛や発熱を訴えた。十五人が病院で治療を受け、うち三人が入院。患者は全員快方に向かっている。 県は患者の便から腸炎ビブリオを検出したため、食中毒と断定。二十八日の夕食に出された刺し身や、カニ、もずくの酢の物が原因とみて調べている。岬館を三十一日から三日間の営業停止処分とした。 腸炎ビブリオは海水と淡水の境界である汽水域の泥の中で増殖する。県は7・13水害の洪水で、大量の泥が海に流れ込み、(1)沿岸部の海水の塩分濃度が低下(2)海水温の急激な上昇―などが原因で急増したとみている。 村上市周辺の浜茶屋などで生ガキを食べた客らが食中毒になった事例も集中豪雨の影響とみられる。県生活衛生課は、安全が確認されるまで貝を生で食べないよう指示。「魚介類は冷蔵保温を徹底し、十分な水洗いを心がけてほしい」と呼びかけている。 ◎見附の避難所1日で閉鎖 見附市は、市中央公民館に設けていた「7・13水害」の避難所を八月一日で閉鎖する。最高で二十二カ所三千八百人を超える人が避難生活を送ってきた同市の避難所は、役割を終える。 同公民館で避難生活を送っているのは、三十日現在で、同市月見台二の市営住宅に住んでいた四世帯五人。建物自体老朽化していた上、十三日の水害で大半が床上浸水する大被害を受けた。五人は整備が終わった市営住宅や他の市営住宅に移る。 同市で避難しているのは、土砂崩れで避難勧告が継続され、近くの民家に身を寄せている明晶町の二世帯八人だけとなった。市は物資配給を八月二日以降、市総合体育館に集約し、同体育館で行われている炊き出しは様子を見て継続するかどうかを決める。 ●7月30日朝刊● ◎五十嵐川決壊部分で仮堤防の締め切り完了 「7・13水害」で決壊し、復旧工事が進められてきた三条市の五十嵐川左岸堤防(同市諏訪新田)で、二十九日までに、盛り土が終わり仮堤防の締め切りが完了した。これにより同水害で破堤した刈谷田川など計六河川、十一カ所がすべて元の堤防とつながった。 五十嵐川では決壊翌日の十四日午前六時から、ほぼ二十四時間体制で復旧を進めてきた。川の水圧を弱めるブロックや土のうを積むなどして、高さ三―三・六メートルの仮堤防を設置。今後は土の部分に植物の種子を吹き付けるなどして、さらに補強していく。 抜本的対策について、県河川管理課では「川の拡幅や放水路建設などさまざまな手法を国と協議中」と話している。 ◎中之島町の避難所が移転 「7・13水害」で被害を受けた南蒲中之島町の避難所が二十九日、町民文化センターから役場近くの農村環境改善センターに移った。避難生活を送っている二十一世帯約四十人はこの日、町が用意したマイクロバスで移動した。 被害の大きかった町役場周辺の住民から出ていた「避難所を改善センターに移してほしい」との要望に応えた。 午後一時から始まった移転は混乱もなく、赤十字病院による救護室もすぐに再開、町職員らは夕食の配給の準備を進めていた。新しい避難所に移った同町中之島、梅沢ミスさん(79)は「部屋が仕切られているし、畳も敷かれて前より環境はいいが、できることなら早く自分の家に戻りたい」と話していた。 「老人憩いの家 刈谷田荘」に避難している五世帯九人はそのまま同所に残る。 ◎農業被害額277億円に 県は二十九日、「7・13水害」による農林水産関係被害状況の二十八日現在の調査結果を公表した。二十一日現在で百三十四億円余だった被害額は、二百七十七億三千二百万円にまで増額。被害市町村も八十三市町村に達した。 二十一日現在は未定だった林業関連の被害額は九十六億一千百万円で、規模は五十九市町村千三百八十六カ所に及んでいる。畜産業は被害額一千百万円で、規模は十二市町村二十五カ所。水産業は二億円で九市町村五百三十五カ所。漁港は四百万円で、六市町村十一港にゴミ流入など被害が広がった。 農作物被害は二十一日現在とほぼ変わらず、被害額四十八億円、六十七市町村一万三千六百六十二ヘクタール。一方、農業施設は三億六千八百万円で九市町村七百六十二棟に、農業用機械は二十五億八千百万円で八市町村千七百五十三台に、それぞれ被害が拡大した。 県は「被害規模、額ともに今後の調査でさらに拡大する見込み」としている。 ●7月29日朝刊● ◎「避難勧告遅れてよかった」中之島町長が迷答弁 「7・13水害」で被災した南蒲中之島町議会の臨時会が二十八日開かれ、避難勧告の遅れをただされた樋山粂男町長が「結果論だが、あと十分早く避難勧告を出していたら、多くの方が(決壊現場近くで全壊した)妙栄寺に集まっていたと思う」と答弁。勧告の遅れが被害の拡大を防いだかのような苦しい言い訳を繰り返した。 町長は議会終了後、記者団に避難勧告の遅れは認めながらも、「変な言い方だが、結果として遅れたことがよかったと思う」と弁明。「もし妙栄寺に避難させていたら百人以上が流されただろうし、(孤立した)小、中学校の子どもにも家に帰るように指示したら流されたかもしれない。ただ避難させればいいものではない」と重ねて釈明した。 同町は十三日午後零時四十分に避難勧告を出したが、十二分後に刈谷田川が決壊。逃げ遅れた三人が死亡するなど、避難勧告発令の遅れが指摘されていた。 町長発言に、自宅二階に取り残された主婦(66)は「避難勧告が遅れてよかったなんて言われたら腹が立つ。もっと早く知っていれば逃げられたのに…」と憤る。 一方、「妙栄寺が避難場所なんて知らなかった」という町民も多い。自営業の大矢富士男さん(56)は「堤防の真下にある妙栄寺が水害の避難場所というのはおかしい」と首をひねり、「防災のシステムがなっていなかった。朝一番に避難勧告を出してもよかった」と指摘していた。 ◎風評被害、県内の観光宿泊地で相次ぎ宿泊キャンセル 中、下越を襲った「7・13水害」で、海水浴場など県内観光地で宿泊キャンセルが相次いでいる。県観光協会では「観光地に集中豪雨の影響はほとんどない」と話し、PR作戦を県内外で展開していくことにしている。 予約客のキャンセルが出ているのは、西蒲弥彦村や岩室村など、被災した県央地域に近い海岸沿いの観光地。同協会では、7・13水害の報道によって「本県全域で壊滅的な被害を受けたかのような誤ったイメージが伝わり、風評被害を招いた」とみている。 岩室村産業観光課によると、十三日の水害発生以来、「災害状況が分からない」などの理由で、二十―三十人規模の県外客が宿泊を取りやめたケースがあった。また県旅館組合によると、花火大会や夏祭りなど地元イベントが延期、中止され、団体客のキャンセルが相次いだほか、「被災地周辺では自粛ムードもあって、地元住民のキャンセルも出ている」という。 このため同協会では「観光地に水害被害はほとんどなく、海水浴場も水が澄んだ状態ということを知ってもらい、新潟に来てほしい」として、関東圏の報道機関や東京・表参道の「新潟館ネスパス」を通じ、PRする。 ●7月28日朝刊● ◎7・13水害半月 避難所50人に聞く ・生活再建へ募る不安 ・「勧告届かず」怒りも 中、下越を襲い、死者十五人を出した「7・13水害」から半月。被害が甚大だった三条市、南蒲中之島町などでは、依然多くの住民が、厳しい避難所生活を送っている。新潟日報社は二十七日までに、避難所で生活する五十人に避難所生活での不安などについて聞き取り調査を実施した。それによると、多くのお年寄りが住まいの復旧、仮設住宅への入居や生活再建資金について大きな不安を抱いていた=別表参照=。自治体の避難勧告については「全然聞こえなかった」など不十分とする声が目立った。 やはり仮設住宅への入居や住まいに関する心配を抱える人が多かった。三条市四日町の無職金子二三夫さん(57)は「将来どこに住むことになるか。今は仕事もないし、先行きが不透明なことが不安」と表情を曇らせる。 同市月岡の無職女性(61)は「仮設住宅を申し込んだが、どうなるか」と入居できるか不安な様子。中之島町中之島の派遣社員本間ミヨさん(60)は「早く家に帰りたい」と漏らした。 家財道具や車などを購入する資金についての不安の声も相次いだ。同所の無職中島二郎さん(76)は「年金暮らしで、家の修理もどれだけできるか」とため息をつく。同市島田二の塗装業大沼良一さん(69)は「七十歳になろうかという高齢者に資金を貸してくれるだろうか」とお年寄り特有の不安を隠せない。 自治体の避難勧告については、多くが不満を抱いていた。隣接する自治体間で見方が分かれた地域もあった。 決壊した五十嵐川南部(左岸)で死者九人が集中した三条市でも、行政の対応を疑問視する声が多く聞かれた。同市月岡二、会社員皆川敏猛さん(61)と夫婦で避難所暮らしを送る妻の雅子さん(61)は「避難勧告は全然聞こえませんでした。突然玄関から泥水があふれてきて怖かった」と語る。 同市条南町の無職吉田ヒロさん(65)は「通院記録など、大事なものを何一つ持ち出せなかった。ちゃんと分かるように勧告できなかったのか」と首をひねった。会社が休みで家にいた同市曲渕三の会社員山下和久さん(41)は、「避難勧告なんて知らなかった。車で逃げたが、水が入ってきて、車の窓から逃げたが流された。一歩間違えば自分も危なかった」と恐怖体験を話す。 見附市の被災者は大半が適正だったとしているのに、中之島町では多くが「分からなかった」などと不満を持っていた。同町中之島の無職酒井道子さん(67)は「全然聞こえなかった。泥水が来て三分もしないうちに畳が浮いた。死ぬかもしれないと覚悟した」と憤る。 ◎県が対策本部開催−避難なお555人 SSSS 「7・13水害」で県は二十七日、県庁で第四回災害対策本部を開催した。平山征夫知事は、決壊した堤防や学校など各施設の被害額算定を急ぐよう指示。「この水害を教訓とするために県の対応が十分だったか検証もしていきたい」と述べた。なお避難者は五百五十五人に上っている。 会議では、仮設住宅建設や破堤した河川の仮堤防工事など、被災地の復旧に向けて各部が連携して取り組んでいくことを確認した。 同本部のまとめによると、二十七日午前八時現在の避難者数計五百五十五人の内訳は、三条市四百七十一人、南蒲中之島町五十九人、長岡市十二人、栃尾市七人、見附市六人となっている。 ●7月27日夕刊● ◎まだ残るごみの山 中、下越を襲った「7・13水害」から二週間の二十七日、三条市では小路などに、水に漬かった家財道具の山がまだ残っている。暑さでにおいもきつくなってきたことから、同市では撤去作業を急ぐとともに、消臭剤や殺菌剤の散布も始めている。 同市ではこれまでに約五万四千トンのごみを回収、三条競馬場跡地に仮置きしている。佐藤和夫助役は二十六日の会見で、「撤去の進ちょくはまだ半分ぐらい。小路では重機が使えないのでまだ時間がかかる」との認識を示した。 このため同市では、地区を指定して住民に呼びかけ、一斉に積み込み作業を行う取り組みもスタートさせた。 ごみ回収の遅れは、被災地の復旧作業にも影響を与える。同市北新保の主婦(62)は「道路のごみが片づかないと、家を修理する大工さんのトラックも止められず作業ができない。早く何とかしてもらいたい」と話していた。 ●7月27日朝刊● ◎仮設住宅の建設スタート ・避難者1000人割る 中、下越を襲った「7・13水害」から二週間目となった二十六日、被災地の三条市や長岡市、南蒲中之島町で計四百二十七戸に上る仮設住宅の建設が始まった。八月十日以降に完成し、順次入居してもらう。また避難者数は災害発生以来、初めて千人を割り、三条市など五市町で八百四十七人となった。 仮設住宅の建設は、災害救助法の適用を受け、国、県が建設費を負担。三条市の六地区で三百五十三戸、中之島町で七十一戸、長岡市で三戸を建設する。二十七日には区画配置を決め、杭(くい)工事などを行う。 入居者が孤独に陥らないようにするため、被災した自宅からの距離や地域とのつながりに配慮する。入居期間は二年間。 住宅はプレハブ方式で単身用(約二十平方メートル、1DK)、二、三人用(約三十平方メートル、2DK)、四、五人用(約四十平方メートル、3K)の三タイプ。浴室、水洗トイレ、台所が備わり、積雪一・五メートルに耐える構造となる。県建築住宅課によると、全戸にクーラーの設置を検討している。 三条市月岡の総合運動公園では、サッカーコート約二万平方メートルを整地し約百八十戸を建設する予定。建設業者の南蒲下田村新屋、坂井定一さん(62)は「被災者が一日でも早く入居できるよう協力したい」と話していた。 ◎仮設住宅建設開始−「とにかく眠りたい」 ・「全員は入れるの」不安も 中、下越を襲った「7・13水害」の発生から二週間。三条、長岡、南蒲中之島の被災三市町ではようやく仮設住宅の建設がスタートした。避難生活を続ける住民からは、ようやく一息つける喜びと同時に、「元の生活にいつ戻れるのか」という不安の声が聞かれた。また、三条市では同日、クーラーのある避難所への引っ越し≠燻nまった。 【三条市】五十嵐川左岸の嵐南地区を中心に六カ所で建設する。独り暮らしの西四日町三、中村友三郎さん(73)は「この状況でこれ以上は望めない」と、仮設住宅の建設を喜ぶ。ただ、通院が必要な人からは「病院に最寄り地区の住宅に入れるだろうか」と心配する声も。 同市では「お年寄りを中心に、できるだけ希望に添えるようにしたい」と話す。仮設住宅の住民が孤立しないよう、市が周辺自治会に交流を頼んだ所もある。 建設予定地の前に住む北新保二の大滝一敏さん(64)は「お互い大変なとき。地域ぐるみで助けてあげたい」と避難者を温かく迎えるつもりだ。 また、蒸し暑い学校の体育館などで避難生活を送ってきた住民のうち約二百五十人が同日夜、冷房を備えた計七カ所の避難所に移動した。引っ越しを終えた住民は「これでぐっすり眠れる」と喜んでいた。 同市内では同日現在、十六カ所の避難所に約七百三十人が暮らす。避難者が多い第三中学校や厚生福祉会館にはクーラーがなく、同市の調査で「移動したい」との要望が続出していた。 【中之島町】避難所のある町民文化センターに近い中之島地区のみずほ団地と流通団地の一角に建設する。二十六日は草取りやごみの撤去、整地などに取りかかった。 同センターで、同町中之島の無職男性(72)は「早く完成して、とにかくゆっくりしたい」と寝不足気味の目を真っ赤にして語った。「自宅がだめになったので新築する予定だが、それまでは仮設住宅に入ることにした」と同所の浅野義一さん(55)。 同所の公務員男性(50)は「希望者全員が入れるかどうか不安だ。二、三カ月の短期の入居はだめといううわさもある」と具体的な情報が伝わってこないことにいらだっていた。 ●7月26日夕刊● ◎中之島町役場が業務再開 「7・13水害」で浸水し、大半の通常業務を停止していた南蒲中之島町が二十六日、十二日ぶりに役場庁舎での業務を再開した。 決壊した刈谷田川堤防近くに位置する同町役場は、被災直後の十四日未明から、役場機能を避難所を設けた町民文化センターに移し、災害対策本部を設置。住民票交付などの一部業務を除いては復旧作業を優先させ、役場機能の大半を停止していた。 二十六日は対策本部も町役場内に戻し、町民課など窓口でのサービスを中心に朝から業務を再開した。 しかし、避難所対応や被害の実態調査に人員を割かれ、職員は通常の半分程度。庁舎内の大部分は雑然としており、書類整理にも数日かかるという。町では書類やコンピューターのデータが失われていないかなど、一週間ほどかけて最終チェックを行う。 町民課の窓口を訪れた男性は「水害で車四台がだめになり、印鑑証明を取りに来た。一日も早く完全復旧してほしい」と話していた。樋山粂男町長は「ようやく本丸へ帰れた。職員も元気で頑張ってくれている。完全に元に戻るにはあと一カ月くらいはかかるが、力を振り絞りたい」と話していた。 なお、同町は同日から県、長岡市職員、保健師の四人一組で、被害の大きかった中之島地区を中心に各戸を回り、実態調査に入った。 ●7月26日朝刊● ◎県内各地で突風豪雨−落雷で1万三千世帯停電 ・浸水被害相次ぐ 中、下越を襲った「7・13水害」から十三日目の二十五日、県内は猛暑の夏日和から一転、激しい雷雨、突風の荒れ模様となった。県内各地で大雨洪水警報が発令され、浸水被害や停電が相次いだ。停電は東北電力三条営業所管内の六千三百世帯をはじめ、新潟など分かっているだけで一時約一万三千世帯以上に上った。水害被害地の三条市では、がけ崩れの恐れが出た一世帯三人に避難勧告が出され、南蒲中之島町では落雷による停電で避難所の住民が一時不安な夜を過ごした。 新潟地方気象台によると同日午後、県内は雷を伴う記録的な短時間集中豪雨に見舞われ、豊栄、阿賀野、白根市などで一時間で約八〇ミリを記録。新潟市で五七ミリ、三条市は一六ミリだった。また新潟市で瞬間最大風速一七・八メートルを記録。北陸地方上空に寒気が入って大気の状態が不安定となり雷雨となった。 同気象台では大気の不安定な状態は二十六日も続くが、降水量は二十五日より少ないとみている。また激しい雨で地盤が弱くなっているため、引き続き土砂崩れの発生に警戒を呼び掛けている。 県災害対策本部や県警などによると、同日の雷雨による被害は午後十時現在、床上浸水が新潟市で二棟、床下浸水が同市で十二棟、西蒲吉田町で一棟。新潟市鳥屋野で道路陥没、長岡市川崎で倉庫の屋根の一部が強風で飛ばされる被害が出た。白根市の中心部で床下浸水が十四棟あった。 東北電力新潟支店によると午後十時現在で三条で六千三百世帯が停電している。新潟、新発田ででは一時、それぞれ約三千二百世帯が停電したが復旧した。長岡、巻、新津の各営業所管内で停電が相次ぎ、復旧を急いでいる。 午後六時前、南蒲栄町の上越新幹線の高架線路内に、風で飛ばされたステンレス製屋根(横五メートル、縦三メートル)が引っ掛かり、長岡―燕三条間が一時不通となった。上、下三本が運休するなど六千三百人に影響が出た。在来線でも大雨のため、越後線や信越本線、大糸線などで運休が相次いだ。 県災害対策本部が二十五日現在でまとめた被害状況によると、三条市など計五市町で千二十六人の避難者がいる。 ◎雷雨に「悪夢」よぎる−避難所で2時間停電 ・「もういい加減にして」 「7・13水害」で被災した三条市や南蒲中之島町の避難所は二十五日夕方、激しい雷雨に襲われ、一時停電した。幸い大事に至らなかったが、長引く避難暮らしと、ハードな復旧作業を強いられている被災者にとって、「悪夢」を連想させるような雷雨と停電騒ぎが、疲労を倍増させた。 【中之島町】約八十人が避難生活を送る町民文化センターでは、午後五時すぎに停電し、二時間後の同七時十九分に復旧した。この間、非常用電源が作動し一時間ほど照明がついていたが、燃料が切れた後は投光器を使ってしのいだ。また一部のトイレなどで水が出にくい状態となったが、飲み水は別の貯蓄用タンクなどがあり、大問題とはならなかった。 しかし、激しい雨と停電は、避難所生活が長くなっている住民にとっては水害に続くダブルパンチ。中之島町中之島本間ミヨさん(60)は「すごい雨が降って、また水害が起きるかもしれないという心配と電気がつかない状態で気が滅入った。冷房は止まるし、もういい加減にしてほしいというのが正直な気持ち」と疲れをにじませた。 被災者の心のケアを行う水戸赤十字病院の守屋博子看護師長は「ようやく雨の心配がなくなってきたときの豪雨で余計なな雨だった。これからはとくに被災者の心のケアを徹底したい」と話していた。 【三条市】日中は晴天に恵まれた五十嵐川南部の被災地域も激しい雷雨に襲われ、午後五時すぎから避難所三カ所で一時停電した。 東鱈田の西鱈田小では、午後五時すぎから同七時ごろまで停電。ちょうど復旧作業を終えて戻った被災者とボランティアは、外の光を頼りに夕食をとった。突然の停電にも被災者たちは騒ぐ力もなく、冷静に対応したという。横浜市から来たボランティアの大学生今村頌平さん(21)は「強い雨が気になったが、みんな疲れて静かに寝ていた」と疲れた様子で語った。 ◎指定文化財にも被害 ・与板城址など8件 「7・13水害」による土砂崩れで、与板城趾(三島与板町)など中越地方や三条市で県や国指定文化財の被害が八件出ていることが二十五日、県のまとめで分かった。復旧のめどが立たず、観光面への影響も懸念され、水害は、地域の宝≠ノも大きなつめ跡を残した。 上杉家家老・直江兼続が築いた与板城趾では十二カ所、与板城が築かれる前の本与板城趾では八カ所で、遺構の斜面や登山道の崩壊がそれぞれ確認されている。 与板城趾は、本丸東側斜面が長さ七、八メートルほど崩れ痛々しい状態。「イ千p人p溜(せんpにんpだまり)」と呼ばれる平地へ通じる道も崩れ、通行止めになった。 町教委は登山道の復旧は急ぐが、本丸などの復旧は予算の関係でめどが立たないという。与板城趾は地元では「城山」として親しまれており、貴重な遺産でハイキングコースにもなっている。 小林繁雄・町文化財審議委員会長は、「町民の大事な宝であり、これ以上被害が広がらなければいいが」と話している。 被害が甚大だった三条市では、本成寺三門が七〇センチほど冠水。また木が流されたが、門の中にある二体の仁王像は無事だった。本成寺関係者は「大きな被害はなかった」と話している。 北魚堀之内町の下倉山城趾は、登り口右側付近の斜面が高さ約三十メートルにわたって崩壊。土砂が登り口の一部を覆った。城址本体に被害はなさそうだが、町は県などと復旧工事の内容について協議を進める方針。 柏崎市西長鳥の白山神社境内にそびえる県天然記念物「中村の大スギ」は長さ約二メートル、直径約五十センチの枯れ枝が落下。他にも落ちる危険があるため、周囲を立ち入り禁止にした。大スギは樹齢約千年を誇る。昨年から土壌改良の治療にかかっており、落下した枝は九月に取り除く予定だった。 ◎高齢被災者収容の福祉施設、過密続き対応苦慮 ・従来利用者にしわ寄せ 「7・13水害」の被害を受けた三条市や燕市などで、被災したお年寄りを緊急避難的にショートステイ扱いで収容している福祉施設では、定員オーバーの「過密状態」が続いている。施設側は、従来からの利用者へのしわ寄せも出始めている。だが、行政からは今後の具体的対応策は示されておらず、利用者、施設側双方から悲鳴が上がっている。 施設同士の連携で、同市外でも被災直後から受け入れを始めた。最大で定員を六人超えた燕市大曲の特別養護老人ホーム「白ふじの里」では、部屋が満杯で、食堂に間仕切りをしてベッドを並べた。高橋是司園長は「このままでは良好な生活空間を提供できない」と悩む。 三条市内には要介護度1以上の高齢者が約二千六百人おり、市の調べでは、うち二十人が避難所に暮らす。災害時の特例で緊急に高齢者を受け入れた施設では、九カ所、計百五人の定員超過となっている。 同市塚野目の「つかのめの里」では、ショートステイ利用者が連日、定員の二十人を十人ほど超えている。一人部屋に二人入ってもらったり、都合のつく家庭に利用のキャンセルや短縮をお願いしたりしている。 田巻隆施設長は「キャンセルしてもらった通常利用者にも、ずっと無理は頼めない」と語る。 避難所の市職員などが直接受け入れを依頼してきたケースはあったが、「三条市や県から公式な要請や助言はなかった」とある施設職員。ショートステイ扱いの避難者を県が「長期入所」と認めて施設側に伝えたのも二十三日になってから。関係者からは「行政の対応が遅すぎる」と批判の声が上がる。 帰る家がなくケアの必要な高齢者の今後について、関係者は「これだけの規模になると介護事業者だけで決められない。行政が方針を示してくれないと困る」と焦る。市は「今後については検討中」と話すが、具体策は見えてこない。 各施設では利用希望者はさらに増えると予測。「お年寄りは家から離れるのを嫌がるが、三条から遠い施設に移ってもらうことも考えなければならない」と懸念している。 ●7月25日朝刊● ◎県が訪問健康調査開始 ・三条市に保健師200人派遣 中、下越を襲った「7・13水害」で被災、犠牲者九人を出した三条市の五十嵐川南部地域(約一万七千五百世帯)では二十四日、県が派遣した保健師計二百人が各戸を訪問し、住民の健康状態や要望の有無などについて調査を始めた。また、同日、被害の大きかった三条市、南蒲中之島町など五市町村には被災後、最多の約五千百人のボランティアが駆け付け、復旧作業に汗を流した。 三条市では、保健師が、マーキングした住宅地図を片手に土ぼこりが舞う被災地を練り歩き、家の掃除に追われる住民に話しかけた。現場を歩いた保健師の一人は、「悪臭や持病についての悩みが目立つ。復旧まで時間がかかるので、健康には十分気を付けてほしい」と話していた。調査は、三十日まで続けられる。 一方、県災害対策本部が二十四日現在でまとめた避難状況によると、避難者は三条市の九百八十二人、中之島町の七十九人、長岡市の三十一人、栃尾市七人、見附市二人の計五市町で千百一人になった。長岡市浦瀬町の一部に出ていた避難勧告は同日、解除となり、同市の避難勧告は全面解除となった。 ◎ボランティア復旧追い込み ・猛暑の中、最多5千人が汗 「7・13水害」で甚大な被害を受けた三条市や南蒲中之島町、長岡市では二十四日、夏休みの大学生や中高生らを中心に過去最多の約五千人のボランティアが県内外から集まった。水害発生から十日をすぎ、「泥の排除は今週末が勝負」と三〇度を超す猛暑の中、復旧作業に汗を流した。 【三条市】東本成寺の総合福祉センターに設けられた市災害ボランティアセンターの受付会場には、午前九時前から長靴や軍手をした高校生や会社員らで長蛇の列ができた。この日は二千七百四十人が参加、同センターが用意した約二千個のスコップが足りなくなる一幕もあった。 長岡市に実家のある公務員中沢真吾さん(26)=東京都在住=は「においもきついし、被害は想像以上だった」と泥だらけの姿で話した。ボランティアの中には、被災者と一緒に避難所で一泊し、二十五日も引き続き作業に当たる人もいる。 センターのスタッフとして応援に来た神奈川県社会福祉協議会の矢野三四郎さん(32)は「用具を発注しているが追い付かない状態。被災した家にたまった泥も予想以上に多く、泥を詰める土のう袋も不足している。ぜひ持参してきてほしい」と呼びかけている。 三条市諏訪新田の決壊現場一帯での復旧作業が遅れているため同センターは、現場近くの月岡小に二十四日分室を開設。二十五日までボランティア要請を受け付ける。 同市を訪れた平山征夫知事は、住宅地で水害で水に漬かった家財道具などの撤去作業を視察した。家の後片付けに追われる住民に「体に気を付けてください」と声をかけて回った知事は、「生活を立て直すためにも、市と打ち合わせて早く撤去できるよう努めたい」と語った。 【中之島町】この日は午後五時現在で約二千二百人のボランティアが参加した。国際ボランティア学生協会のメンバー約百人は、東京都内から大型バス二台で来町。「声が出てないぞ」「元気出して」などと威勢のいい声を出し、砂ぼこりの舞い上がる中、土のう袋を被災住宅から運び出していた。 法政大二年の橋本矩さん(20)は「今自分にできることをやろうと思って参加した。大きな声を出して被災地を活気づけたい」と額に汗を浮かべていた。 道路上で固まった泥やU字溝に詰まった土砂をシャベルでかき出すなど、降雨を見越した作業も急ピッチで進められた。長岡高女子バレー部も午前中から同作業に参加。二年生の平沢佑加子さん(16)は「たった一日だけど、少しでも力になりたかった」と、十六人の部員と協力して一生懸命シャベルを握った。同地区の自営業男性(33)は「頭数が足りないので、元気のいい学生は本当に助かる」と話していた。 同町水害救援ボランティアセンターでは今後も継続してボランティアを募集していく方針。「まだまだ人手が足りないので、ご協力をお願いします」と呼びかけている。 【長岡市】被害の大きかった浦瀬町では、ボランティア約四十人が活動。市は同地区の復旧にめどがついたため二十六日から、市役所から中之島町へボランティアの送迎バス(午前九時出発)を運行する。同地区の一部に出ていた避難勧告は同日午前十時、解除となり市が出していた避難勧告はすべて解除となった。 ●7月24日朝刊● ◎土木復旧費1600億円・陸自が撤収完了 中、下越を襲った「7・13水害」で、破堤した河川堤防など県の土木復旧費が、現段階で約千六百億円に上る見通しであることが二十三日、県議会総務文教委員会で明らかになった。今後、激甚災害の指定に向け、詳細に調査し、国の査定を受ける。 県によると、土木復旧費約千六百億円の内訳は、河川復旧が約千百億円、砂防、地滑り、道路などが計約五百億円。農林農地関係や応急住宅関係の計約百億円を含めると復旧費は約千七百億円に膨らむ。ただ、復旧額がいまだに算定できない被災市町村もあり、「現段階で把握した数字で、今後、増減する可能性がある」(県財政課)としている。 また、県から災害派遣要請を受け、救助、復旧作業を展開していた陸上自衛隊は同日、任務をほぼ完了。県庁で平山征夫知事から撤収要請の伝達を受けた。陸上自衛隊は、災害発生から十一日間で延べ五千四百人が出動した。 県は二十四日から三十日まで、三条市の要請で同市の被災世帯(約一万七千五百世帯)に保健師を全戸訪問させ、健康状態の確認やボランティア要請の有無などを調べる。 県危機管理防災課が二十三日現在でまとめた被害状況によると、避難者数は三条市の九百九十五人をはじめ長岡、見附、栃尾市、南蒲中之島町の五市町で計千百五十三人がいる。 ◎福祉施設の職員も被災・周辺各地から応援続々 「7・13水害」で三条市の特別養護老人ホームなどの福祉施設で、一部の職員が自分や家族の被災で勤務できなくなり、人手不足に陥っている。県老人福祉施設協会(事務局・新潟市)は、周辺市町村から応援の施設職員を回しているが、各施設は水害で被災したお年寄りも預かっており、応援をもらっても仕事は連日フル回転で、先行きを案ずる声が上がっている。 三条市東裏館三の特養ホーム「うらだての里」では、全職員九十七人のうち二十二人が被災。新潟市や西蒲吉田町などの施設から連日、五人ほどが訪れ、利用者の入浴介助などに当たっている。 中村隆園長は「勤務シフトがきつくなったばかりか、被災職員宅の復旧の手伝いにも行っているので、皆疲れている。応援がなくてはやっていけない」と語る。 同協会が応援職員派遣の窓口として、動き出したのは十六日からだ。三条市などの六施設から、介護・看護職員延べ約百人の派遣要請があり、隣接自治体にある施設などから延べ三百四十人の職員を回してもらう算段を付けた。 応援は皆、経験を積んだスタッフ。同ホームの小柳聖子・看護師主任は「仕事を理解してくれているので、信用して任せられる」と喜ぶ。 手伝った吉田町のヘルパー加藤貞子さんは「別の施設を経験するのも大事。利用者に笑顔で接するようにしている」と話す。 ただ、各施設では災害時の特例で、定員をオーバーすることになっても被災したお年寄りを受け入れている。「うらだての里」は、ショートステイの定員枠が二十人だが、三十三人預かっている。住居を含め被災地復旧のめどが立たない中、職員の忙しさは当分解消されそうもない。 中村園長は「お盆ごろには落ち着くかと思っていたが、避難している職員を含め全員が通常勤務に戻るのはまだ時間がかかりそうで、まったく先が見えなくなってきた」とため息をついた。 ◎産業復旧へ工作機械など融通を要請 中、下越を襲った「7・13水害」を受け、経済産業省は二十三日までに、本県など被災地の産業面での復旧を支援するため、産業機械や部品を扱う各業界団体に対し、メンテナンスや代替機械のリースで、被災業者のニーズを優先させるなどの協力を要請した。 要請先は日本繊維機械工業会や日本ねじ工業協会、プレハブ建築協会など三十五団体。 同省製造産業局によると、既に繊維機械メーカーが独自の対策チームを設け、被災地に出向いて機械点検を行うなど、自主的に支援に乗り出す動きも出始めているという。 ◎佐和田中生徒 被災の見附南中へ物資 「7・13水害の復旧に少しでも役に立とう」と佐渡市の佐和田中では二十三日、全校生徒が持ち寄ったぞうきんやタオル約千三百枚、鉛筆二千本、募金などを見附市の見附南中に送る作業を行った。 運動は佐和田中のJRC(青年赤十字)委員会が主体となった。見附南中は約四十センチの浸水と被害が大きかったこと、二年前まで佐和田中に勤務していた山田典子教諭(29)の転勤先だったことが、生徒たちのやる気を強くした。 見附南中ではボランティアらが泥をかき出す作業をしたが、依然として汚れが校内に残っている状態。生徒たちは「何百枚ぞうきんがあっても足りないくらいだそうです」と全校に呼び掛けた。夏休み直前で三日間しか運動できなかったが、目標数を上回る物資が集まった。 山田教諭は「気持ちがありがたく、うれしいと思いました」と海を越えた生徒たちの心に声を弾ませた。佐和田中の仲川進校長は「困ったとき、気持ちを寄せ合うことを大事にしたい。災害への意識も高まったと思う」と話していた。 ◎山の下小児童が義援金と手紙を送る 新潟市の山の下小学校(金谷一郎校長)の児童が二十三日までに、中、下越を襲った「7・13水害」の被災地に義援金と励ましの寄せ書きを送った。寄せ書きは、三条、見附の両市と中蒲中之島町で特に被害が大きかった九小学校にあて、早期の復興に願いを込めた。 同校は青少年赤十字(JRC)の加盟校。募金活動と寄せ書き作りは五、六年生でつくるJRC委員会が中心となって二十一、二十二の両日に行った。義援金は五万七千七百八十二円集まり、委員会の代表が二十三日に同市の日本赤十字社県支部を訪れ、米田恒男事務局長に手渡した。 寄せ書きは学期末に間に合うことを優先させたため、全校児童で書くことはできなかったが、委員会メンバーが「一日でも早く元通りになることを祈っています」などと書き込んだ。JRC委員会の石原真名委員長(11)は「被災した人たちの励みになってほしい」と話していた。 ●7月23日夕刊● ◎三条・加茂・白根−果樹産地にも被害広がる ・濁流で変色、出荷量減 「7・13水害」の農産物被害が広がる中、県内有数の果樹産地の三条、加茂、白根地区でも、果樹園の多くが信濃川などの河川敷にあり大きな被害を受けている。被害に伴って、最盛期を迎えている地元農産物の市場出荷にも影響が出始めている。 加茂市加茂新田の信濃川右岸に広がるモモ畑には歩けないほどの分厚い泥の層がたい積、濁流に漬かり変色した実があちこちに落ちていた。かんじきを履き実の手入れなどをしていた同所、石黒久保さん(66)は「害虫防除の機械も入れられない。収量は二、三割は落ちるだろう」と苦笑いを浮かべた。 白根地区では、河川敷での栽培が多いブドウやナシへの被害が大きかった。JA白根市(白根市)の三富保営農部長は「水に漬かってしまった実の出荷は無理。早く地面の泥が乾かないと土壌の酸素が不足して、出荷可能な実の品質低下にもつながる」と気にかける。 JAの推計によると、主な被災地での果樹被害は、JAにいがた南蒲(三条市)管内でモモが三条、加茂市合わせて面積十五ヘクタール、金額で約二億円、JA白根市管内でモモ一ヘクタール、約四百万円、ブドウ二十ヘクタール、約一億二千万円、ナシ十六ヘクタール、約六千四百万円に上っている。 三条中央青果卸売市場(三条市)では、例年九割を占めていた三地区のモモの取引シェアが半減。枝豆は水害以降入荷量が激減し前年比三割以下、スイートコーンも二割にとどまっている。青柳茂常務は「初めての経験で出荷状況や売れ行きを読みきれず、小売業者も頭を悩ませている」と表情を曇らせる。 ◎水害で浸水した長岡市の新組小でも終業式 県内のほとんどの小中学校で二十三日、一学期の終業式が行われた。中・下越地方を襲った「7・13水害」で校舎が浸水する被害を受けた長岡市の新組小でも、終業式には百八十三人の児童全員が元気に登校した。 終業式では浸水した学校や避難していた児童や住民が救助される様子を撮影したスライドを映して被害の大きさを説明した。児童は水没したグラウンドや教室の写真に驚いた様子で熱心に説明を聞いていた。 避難生活を送った六年の清水翔馬君が全校生徒の前に出て「避難などでとても大変だったけど、たくさんの人に助けてもらえてよかったです」と振り返った。 本間シヅ校長は「本当にひどい水害でしたが、あと少しで元の新組小に戻ります。みなさんも元気を出して生活をしっかりと送ってください」と呼びかけた。 その後、各学級で通知票や夏休みの宿題が配られた。まだ自宅の復旧作業が続く児童もいるが、待ちに待った夏休みに心を躍らせ、笑顔で通知票を受け取っていた。 ◎三条の水害避難所、被災男がボランティアから財布盗む 「7・13水害」の復旧支援ボランティアから財布を盗んだとして、三条署は二十三日午前一時半すぎ、現行犯で三条市内の無職男(69)を逮捕した。 調べでは、男は、同市内の水害の避難所で、被災者支援をしていた福島県の無職男性(40)のボストンバッグから、現金約一万千円入りの財布を盗んだ。男は自宅が床上浸水の被害を受け、避難していた。 ●7月23日朝刊● ◎平山知事、激甚災害法の早期適用求める 中、下越地区を襲った「7・13水害」での深刻な被害を受けて、平山征夫知事と災害救助法の適用を受けた長岡、三条、見附市など七市町村の首長らは二十二日、内閣府や財務省など関係省庁を訪れ、激甚災害法の適用や復旧対策への積極的な支援を要請した。 平山知事らは「農林水産関連だけでも百五十億円規模の被害が出ている。雨がやんで気温が上がり始め、衛生面での対策も必要だ」と被災地の窮状を報告。災害復旧事業の補助率がかさ上げされる激甚災害法の早期適用や、不自由な生活を強いられている住民への生活支援を求めた。 政府も被害を深刻に受け止めており、石原伸晃国土交通相は「応急措置から本格復旧の段階に入らなくてはいけない。従来は時間がかかる激甚災害法上の査定も、できる限り前倒しできるよう指示している」と応じた。 全半壊した住宅のほか、浸水被害者への支援策について、平山知事は「将来的に、仮設住宅から公営住宅に移ってもらうなどを含め、どういう対応ができるのか、市町村長と一緒に検討したい」と話した。 一方、県の災害派遣要請を受け、三条市、南蒲中之島町などで救助活動や復旧作業を展開していた陸上自衛隊は二十三日、任務を完了。平山知事が撤収要請の伝達を行う。 県危機管理防災課が二十二日現在でまとめた被害状況によると、床上、床下浸水は柏崎市での判明分を含め計二万六千五百四十五棟に増えた。このうち三条市は計一万四千七百六十三棟を占める。避難者は三条市の千十八人をはじめ、長岡、見附、栃尾市、北魚小出町、中之島町の計六市町で千百八十六人に上る。 ◎田畑冠水、農家は悲鳴 中・下越地方を襲った「7・13水害」では田畑が長期間冠水し、流されてきた土砂やがれきで大きな打撃を受けた。「コメができるか不安で仕方ない」。自宅の復旧作業が一段落し、ようやく田んぼに戻った農家からは、うめきにも似た声が漏れた。 決壊した猿橋川沿いの長岡市富島町。梅雨晴れの二十二日になっても水の引いていない水田が残る。この日も水をポンプでくみ上げる作業が続いたが、土手やあぜ道の復旧に追われ、自分の田んぼにまで手が回らないという人も多い。 農家からは「また借金をしなくては」「コメがとれても品質が落ちて値がつかないのでは」と不安が口をつく。 二十一日に田んぼの水が引いた同所の農業鳥羽洋子さん(62)は「難儀して育ててこれからって時だったのに…。畑も駄目になったし、稲が実るかどうか不安で不安で仕方がない」と、深いため息。同市加津保町の男性(68)も穂の出方を確かめながら、「もう少し早く水が引いてくれれば稲は助かったのに。補償もどれだけ出るのか分からない」と不安そうだった。 三十世帯約百人が暮らす栃尾市土ケ谷地区。集落を流れる稚児清水川が氾らん、水田が流される大きな被害を受けた。残った稲も泥をかぶっているほか、土砂崩れで農道が通れなくなり、出穂期を前に管理ができなくなった水田もある。「収穫は見込めないかもしれない」と悲痛な声が出る。 棚田は上の田んぼが雪崩のように下に落ち、稲をなぎ倒し、あぜ道を破壊した。「稲の八割は駄目になった」。一ヘクタールの水田を持つ島孝栄さん(60)は、つぶやいた。 三月に定年を迎え、農業に本腰を入れたばかりだった。「今年は納得のいく管理ができて、後は収穫を待つばかりだったのにね。流された田んぼは、金もかかるし、もう元に直しようがないよ」と寂しそうに遠くを見つめた。 ◎壊滅的被害の中之島商店街 「7・13水害」で刈谷田川堤防が決壊した南蒲中之島町でも最も被害が大きかった中之島地区商店街(約四十店舗)。一メートルを超える床上浸水で大量の泥に襲われ、どの商店主も生活する場の確保に精いっぱいで、商売再開のめどは立たない。高齢の商店主の中には既に廃業を決意した人もいるが、「被災者のためにも頑張りたい」と歯を食いしばり、後片付けに励む商店主もいる。 「商品はほとんど流された。融資を受け商売を続けてもどうなるか。返せない金を借りてもなあ」。何代も続く酒屋を経営する大竹一雄さん(77)は、今後の対応を決めかねている。 雑貨や食料品を売る店では、商品や冷蔵庫などの備品一切を廃棄した。商店主の女性は「立ち直る見込みはない。もうよっぱらになった。話しもしたくない」と言ったきり。機屋三代目の男性(57)は「年も年だし借金はできない。廃業だ」と途方にくれる。 町商工会は二十二日から融資特別相談窓口を設置したが、問い合わせはわずか一件だけ。担当者は「皆さん後片づけで精いっぱいなんでしょう」と話す。 一方で、絶望的な被害に立ち向かい、前向きに将来を見据える商店もある。酒店の山崎祐一さん(37)は「若手商店主で集まり、おれたちの手で町を元気にしようと話し合った」と明かす。美容院の浅野光子さん(64)もへこたれない。「いろんな人に助けられてパワーをもらった。頼りにしてくれるお得意さんもいるので店は続ける」。修理代五百万円は借金でまかなう予定だ。 「アフタケアできる店がこの町には必要。被災者のためにも店はたためない」という電気店女性(64))や「この町が好きなんだ。泣きながらでも復興させていきたい」と語る寿司屋の男性(53))も。泥とごみで埋まった町で、商売再開の決意を胸に、黙々と作業を続けていた。 ◎中之島助役と収入役を殴る 二十二日午後二時ごろ、南蒲中之島町の「7・13水害」災害対策本部の町民文化センターで、同町の佐々木保男助役(53)と大竹弘司収入役(72)が、突然入ってきた男に殴られ、佐々木助役は前歯一本を折るなど全治二週間、大竹収入役が顔面打撲で一週間のけがを負った。見附署は同日夜、傷害の疑いで同町の男性容疑者(51)を逮捕した。 同容疑者は逮捕前、「サイレンが鳴らなかったし避難勧告が遅い」などと話していたという。 調べでは、同容疑者は災害対策本部に乗り込んで大竹収入役に、「トップを出せ」と言いながら素手で顔面を殴った。止めようとして入室した佐々木助役には、「車を出せ」と怒鳴りながら殴り、前歯を折った。 佐々木助役は「対策本部に入ってきて、『軽トラックと人を出せ』とか一方的に言うので、外に出てほしいと通路に出たところいきなり殴られた」と話している。 同容疑者は犯行後、自転車で帰宅する際、「見附市に比べ災害対応が悪い」と話していたという。 ◎仮設住宅入居希望が殺到 「7・13水害」による被災者の仮設住宅への入居希望が三百戸を超えそうだ。県は、仮設住宅建設のための特別チームを組み、住宅のタイプや建設場所について、二十二日から入居希望者の調査を始めた。 県によると、申し込みは、三条市が約二百六十戸、南蒲中之島町で約七十戸、見附市約十戸、長岡市が十戸未満。建設場所は「従前のコミュニティーに近いところに確保したい」(県建築住宅課)としており、今月下旬に着工し、八月中旬までに第一期工事を完了。第二期分も八月下旬には完成させる。 中之島町の被災者からは「申し込んだが必ず仮設住宅に住むことができるのか」と心配する声もあるが、同課は「可能な限り受け入れたい」と説明、二十五日にも最終確定する方針だ。 ただ、家財道具や家電製品は自己負担。夏場の引っ越しになるが、エアコンも被災者が用意しなければならない。生活に必要な品物の購入費などは被災者生活再建支援法の支給対象になり、最高で三百万円まで支給されるが、支給額は世帯の人数や総収入によって異なる。 また仮設住宅に住めるのは入居日から二年。被災者はいずれ住宅を再建するか、公営住宅や賃貸住宅に移らなければならず、経済的負担がのしかかりそうだ。 ◎「助けたい」学生ら続々現地入り 「7・13水害」の被災地で平日のボランティア不足が叫ばれる中、三条市に二十二日、大学生や高校生ら約千七百人のボランティアが訪れた。夏休みに入ったこともあって、同市災害ボランティアセンターの受付には長蛇の列ができた。 同市東本成寺の総合福祉センターに設けられた同センター前には、新潟市などからバスが次々と到着。受付会場は長靴や軍手をした大学生や専門学校生の一団であふれた。 受け付けした後、要請のあった被災現場の割り当てまでに約一時間かかるケースも。参加者からは「団体の被災現場への振り分け方をもう一度考えてほしい。受付で待つ時間を被災現場の清掃などに充てたいのに…」と不満を漏らした。 避難所になっている同市厚生福祉会館前で救援物資や仕分けをしていた新潟経営大二年の松本恵一さん(19)は「友人の家が被災したが、連絡は取れていない。身近な人がこんな被害に遭ったのは初めてで、何かしなければと思った」と話した。 加茂暁星高三年の栗原悟君(18)は「テレビなどで水害の大変な様子を見て、夏休みを利用して参加した。被害が思ったよりひどいので頑張って片付けたい」と意欲を見せた。 同センターによると、三連休だった17―19日には、多いときには千二百人を超えたボランティアも平日には約五百人に落ち込んだこともあり、同センターで参加を呼びかけていた。 ◎高校生2000人以上がボランティア意欲 「7・13水害」の復旧作業を手伝うボランティアに、県内高校生二千人以上が参加意欲を持っていることが二十二日、県教委のまとめで分かった。大半が夏休みに入る二十三日以降、大きな力になると期待されている。 二十二日夕現在のまとめでは、既に参加した生徒も含め、栃尾高の二百八十人や三条東高の二百人、見附高の百八十人など被災地を中心にボランティアへの意欲が高い。新潟市や南魚沼から被災地入りする生徒も数十人規模に上る見込み。 県災害救援ボランティア本部によると、二十三日も四千人以上の人手が必要になっている。問い合わせは同本部025(281)5527。 ●7月22日夕刊● ◎復旧急げ 新潟大一丸 ・学生ボランティア派遣スタート 「7・13」水害被災地で、平日のボランティア不足が問題となる中、新潟大(新潟市)は二十二日午前、学生ボランティアの派遣をスタートさせた。これまでも研究室やサークルでのボランティア参加はあったが、大学全体での取り組みは初めて。 同大では二十一日、学生らに呼びかけたところ、工学部や教育人間科学部、大学院自然科学研究科の学生、教職員約七十人が参加を希望した。 二十二日は朝からTシャツや長靴姿で五十嵐キャンパスに集合。大学が準備したゴム手袋やマスクを受け取り、午前十時前、バスで三条市に到着した。同市災害ボランティアセンターで受け付けをした一行は、早速、同市条南町の条南小へ。強い日差しを浴びながら水害ごみをトラックに積み込む作業などを行った。 自然科学研究科二年の馬場真宏さん(23)は「人の役に立てればと思って参加した」といい、同、池田堅一さん(23)は「同じ新潟で、たまたま自分が住んでいた所が被災しなかっただけ。少しでも手伝いたい」と話していた。 同大では今後、学生の参加状況や現地の要望を考慮しながら、当面土日を除いて、バスでの派遣を続ける予定。 ◎大道芸熱演 カンパ募る ・県マジック愛好会、25日から新潟市で 中、下越を襲った「7・13水害」の被災者を支援するため、県内のマジック愛好家が二十五日から来月上旬にかけて、新潟市内で大道芸を披露し、街頭で百円カンパに協力を呼び掛ける。 主催は、県内全域に約六十人の会員がいる県マジック愛好会。九年前の阪神大震災時には、大道芸で寄付を募り、被災地に送った。今回も「県内で大きな被害が出ている。何かできることで支援したい」と企画した。 新潟、新発田、村上など主に下越地区の会員延べ三十人弱が出演。紙をお札に変えたり、破ったはずの新聞紙を元通りにしたりと、鮮やかなパフォーマンスを繰り広げる。 「すべて会員のボランティア。その好意を被災地の皆さんに届けたい」と同会事務局長の風間信雄さん(72)。集まったカンパは、各支部に集まった募金とともに新潟日報社を通じて被災地に送る。 日程は、二十五日午前十一時から万代シテイバスセンター二階で、八月一、八日午後二時からは古町モール内の三カ所で。八日は万代シテイでも予定している(時間未定)。 問い合わせは事務局の風間さん、025(269)4954。 ●7月22日朝刊● ◎農林水産被害134億円超す ・来月末にも「激甚」指定 中、下越を襲った「7・13水害」における県内での農林水産業の被害額が二十一日、百三十四億円を超える見込みであることが県の調査で分かり、一九九八年に新潟市など下越地方を襲った「8・4水害」の被害額百三億円を上回ることが確実となった。一方、平山征夫知事と長岡、三条、見附市など七首長は二十二日、内閣府や国土交通省など八省庁に激甚災害法の早期適用を働きかける。小泉首相は同法の適用を内閣に指示しており、内閣府によると早ければ八月末にも激甚災害の指定が閣議決定される見通し。 県がまとめた農林水産業の被害額約百三十四億円のうち、農業関係は七十三億四千九百万円。林業、水産業は調査中だが、林業は山腹崩壊や林道被害など確認されただけでも六十億円、水産業も養殖場への土砂流入などで約一億円の被害が確認され、全体の被害額はさらに増える見込み。 農業関係の被害内訳は、農作物が計四十七億三千八百万円(一万三千六百六十二ヘクタール)。中でも水稲は三十億七千三百万円に上る。冠水によって「軟弱、徒長気味」(県経営普及課)となり、病害虫の発生、倒伏が懸念されるという。 農作物以外の被害ではトラクターなど農業用機械が二十二億円(千四百五十二台)、農業倉庫などの施設関連は二億九千六百万円(二百十四棟)。米穀、農薬、肥料など倉庫保管中の在庫品が一億千五百万円。 一方、知事らは各省庁に対し、激甚災害の早期指定を要請するほか、復旧事業の早期実施、特例措置の柔軟運用も要請する。具体的な被害状況がまとまった段階で調査報告を各省庁に提出する。 関係省庁は、市町村や都道府県から被害調査報告を受け、復旧事業費の見込額を査定。激甚災害に指定された場合、公共施設や農地復旧事業で国庫補助率が引き上げられ、中小企業への災害復旧支援措置も貸付限度額が増額されるなど特例措置が講じられる。 県危機管理防災課が二十一日現在でまとめた被害状況は、床上、床下浸水が二万六千四百十五棟。避難勧告は長岡、見附、栃尾、北魚小出の四市町、百三十九世帯に発令中で、六市町で計千二百三十五人がなお避難所生活を強いられている。 ◎「眠れぬ」訴え深刻、避難生活疲れ限界 ・医師ら相談業務 心のケア本格化 「7・13水害」による恐怖や長い避難所暮らしの疲れから、被災者の間で「不安で夜も眠れない」などの深刻な訴えが増えている。こうした被災者を支援しようと、カウンセラーや医師らによる心のケアに向けた取り組みが二十一日までに、三条市、南蒲中之島町など被災地で本格化している。 〈三条市〉同日現在、まだ千人を超す人たちが避難所で暮らす。同市曲渕の女性(60)は「家のことを考えると心配で朝は三、四時に目が覚めてしまう。周りの人が気になって眠れないこともある」とため息をつく。 同市災害ボランティアセンターでは二十日、カウンセラーらで構成するハートケアチームを作り避難所巡回を始めた。同市に実家がある、チームリーダーの専門学校生、鈴木小百合さん(30)=東京都在住=は、「お年寄りは精神的にショックが大きい。私たちと話すことで、心にたまった物を全部はき出してほしい」と呼び掛ける。 同市の小児科医、桑原春樹氏は、熱が出たり、不眠になったり子供たちにも心身の不調が現れていると指摘、「被災の緊張が解け、命からがら逃げた経験がトラウマ(心的外傷)になっていないか心配だ」と話した。同市では二十日夜から被災者のための夜間診療も始まった。 〈中之島町〉長岡赤十字病院の医師や看護師が、町民文化センターで健康相談や心のケアを行っている。二十一日には同病院の内藤万砂文・救命救急センター長らが巡回。日本赤十字社の看護師が被災者の自宅を訪問したり、六日町病院など県立病院の看護師十二人もボランティアとして駆けつけている。 自宅が浸水した同町中之島の主婦(40)は「今後が心配で一日三時間しか眠れない」と睡眠剤を受け取っていた。内藤センター長は「心のケアは被災者とのコミュニケーションを深めていくしかない」と話している。 〈長岡市など〉同市浦瀬町の山本コミュニティーセンターでは、同市医師会が毎日交代で健康相談を実施。二十四時間態勢で看護師らが常駐し、今後は、心のケアに対応するため臨床心理士派遣も検討している。 見附市は、県に精神科医や臨床心理士らの専門チームの派遣を要請。被害の大きい刈谷田川左岸地域を中心に個別相談にあたってもらう。 一方、被災者の悩みを聞く電話相談窓口「こころのケアホットライン」もスタート。「行く先が見つからず不安」など切実な訴えが寄せられ、臨床心理士らが相談役となった。相談受け付けは午前八時半から午後十時まで。フリーダイヤル0120(913)600、または025(281)5773。 ◎避難勧告問題「検証より復旧が第一」三条市長 三条市の高橋一夫市長は二十一日開いた会見で、7・13水害の発生時に同市の避難勧告が十分浸透していなかったという声が住民から上がっていることに対して、「今回の経験を水害対策にどう取り入れていくかは大きな課題で、一段落した時点でしっかり検証し結果を公表しなければならないが、現段階では復旧が第一で検証の余裕はない」と述べた。 ◎見附・中之島 街中ごみの山 ・処理パンク状態、近接自治体に協力要請も 「7・13水害」で被災した見附市、三条市、南蒲中之島町では、水につかった家財道具などの大型ごみが連日、トラックで運び出されている。だが、見附ではあまりの量の多さに処理能力を超え、隣接自治体に「SOS」を出さざるを得ない状態。便乗でごみを持ち込むケースもみられ、関係者は頭を抱えている。 床上床下合わせて六千六百世帯が浸水した見附市では、ごみは市内を巡回するトラックで県営中部産業団地に運び込まれている。同団地には泥にまみれた畳やタイヤ、家財道具がパワーショベルで積み上げられ、異臭とともに「ごみの山」を造っている。 市の推計では、ごみは最大一万七千トンに上るとみられる。同市清掃センターにある、処分場の処理能力は一日六十トン。一般ごみを処理せず、水害関係のごみだけを処理し続けても二百八十三日かかる計算。このため、市では他の自治体や県、民間処理場に協力を求める方針だが、まだめどは立っていない。 市は「今週中に収集を終わらせたい」としているが、「被災地以外から便乗でごみを持ち込むケースも見られる」と困惑顔。業者が持ち込んでくる例もあるようで、被災地の心情を逆なでするような行為に市職員は「こんな時なのに」と憤りを隠さない。 中之島町のごみは、町流通団地の空き区画に運ばれ、委託した民間業者が分別、処分している。町内では自衛隊や業者のトラックがピストン輸送、「一日二十往復ほどしているが、まだ終了のめどは立たない」と自衛隊員。団地の区画は約一万平方メートルあり収容能力には余裕あるが、「足りなくなれば周辺自治体への要請も検討する」としている。 一方、三条市では十六日から重機を投入し、道路に出された大型ごみを集中的に回収している。同市や近隣市町村の建設業者や自衛隊が二十四時間態勢でフル回転。二十一日朝までに約一万五千トンを回収した。集めたごみはとりあえず三条競馬場跡地に仮置きしている。 ◎義援金が1億円突破 県は二十一日、「7・13水害」で県と日本赤十字社県支部が募集している義援金が、合わせて一億円を超えたと発表した。 県によると十四日からの八日間で、県災害対策本部に九千八百八十八万七千九百八十七円、日赤支部に八百四十三万三千七百二十五円の、計一億七百三十二万千七百十二円(二千百六十八件)が寄せられた。 |
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【図】五十嵐側拡幅による三条市の移転対象区域
【写真】変わり果てたお墓を前にお参りする人々=13日、中之島町の妙栄寺
【写真】市街地の中を流れる五十嵐川。民家が川に張り付くように建っている=11日、三条市
【写真】仮設住宅へ家財道具を運び入れる被災者たち=11日、中之島町中之島
【写真】中之島の被災地区の町民に花を届けるボランティア=10日、同町中之島
【写真】被災家族に引き渡された「7・13水害」の仮設住宅=10日、長岡市浦瀬町の浦瀬小グラウンド
【写真】水害で出たごみの集積地で国会議員に状況を説明する高橋一夫三条市長(左)=4日、三条市の三条競馬場跡地
【写真】「がんばろう!中之島」と、復興への願いを込めて揚げられた大凧=31日、中之島町
【写真】元の堤防とつながった仮堤防では、仕上げの補強工事が進められている=29日、三条市諏訪新田
【写真】農村環境改善センターに移った住民は、新しい避難所での生活をスタートさせた=29日、中之島町中之島
【写真】三条市内では水害で出たごみの山がまだ残っている=27日午前11時ごろ、三条市北四日町
【写真】「7・13水害」で被災した住民のため、仮設住宅の建設がスタートした=26日、三条市月岡
【写真】冷房の効く避難所に移動し、休む準備をする住民=26日午後7時30分ごろ、三条市西大崎1の「農業体験交流センター」
【写真】12日ぶりに役場庁舎での業務を再開させた中之島町役場=26日午前9時ごろ
【写真】新潟市では、強風で倒れた木が道路をふさぎ、通行不能になった=25日午後7時ごろ、新潟市西大畑の市道
【写真】落雷で約2時間停電したが、午後7時すぎに復旧した中之島町民文化センター=25日午後8時ごろ、中之島町中之島
【写真】緊急でお年寄りを受け入れたため、食堂にベッドを置いて対応している特養ホーム「白ふじの里」=24日、燕市大曲
【写真】大勢のボランティアが県内外から訪れ、受付会場は長蛇の列ができた=24日午前9時30分ごろ、三条市東本成寺の総合福祉センター
【写真】強い日差しの中、スコップなどを持ち、泥の片付けなど復旧作業に汗を流す長岡高校・女子バレー部=24日午後1時30分ごろ、中之島町中之島
【写真】水害の濁流に襲われたモモ畑。分厚い泥の層が作業を妨げている=22日、加茂市加茂新田
【写真】水没した校舎の写真がスクリーンに映ると、児童は真剣な表情で、水害の深刻さを再確認していた=23日午前9時40分ごろ、長岡市の新組小
【写真】濁流に押し流された寺の墓地。照りつける太陽の下、自衛隊員らが懸命に復旧作業を続けている=22日、南蒲中之島町の刈谷田川付近(本社チャーターヘリ)
【写真】水没したままの水田の排水溝に詰まった土砂やごみを取り、少しでも水を出そうとする農家の男性。収入源を失った声は悲痛だ=22日午後3時すぎ、長岡市福島町
【写真】「商売を続けてもたいしたことないしな」とつぶやく酒屋の大竹一雄さん。泥をかき出す作業は一段落したが、先は見えない=22日午後3時ごろ、中之島町中之島
【写真】金属化工などの各事業所では今も、泥のかき出しや汚れた製品を手洗いする姿が見られる=三条市曲渕2
【写真】三条市内で水害復旧のボランティア作業に向かう新潟大の学生ら=22日正午すぎ、同市西本成寺1
【写真】昼食に戻り、つかの間の休息をとる被災者。日増しに疲れの色を濃くしている=21日、三条市旭町2の厚生福祉会館 |