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●7月17日夕刊●


◎三条で2遺体 死者14人  各地豪雨続く

・関川の147世帯が避難

 中、下越を襲った「7・13水害」で十六日夜から十七日午前にかけて、県内各地で激しい雨による河川の増水、土砂崩れが相次ぎ、栃尾市や岩船関川村で新たに避難勧告が発令された。避難者数も一時、三千百六十四人まで減ったが、中蒲中之島町での避難者増加や各地での避難勧告の発令で四千百人に増えた。
 関川村の田麦、千刈地区では同日午前六時五十分、荒川支流の藤沢川が増水したため避難勧告を発令、十三世帯五十七人が女川小学校に避難。同村は災害対策本部を設置した。同村は午前十一時半ごろ、女川流域の住民に自主避難を促し、桂地区の三十一世帯八十八人が同小学校に避難した。また村上市下山田の民家裏手で土砂崩れが発生し、一世帯が自主避難した。
 佐渡市願でも民宿の裏山が崩れ、土砂が建物内に入り込んだ。県道佐渡一周線も大雨のため通行止めになった。
 県から災害派遣要請を受けている自衛隊は十八日から、被害が甚大な三条市、南蒲中之島町に再度、部隊を投入するため十七日午前、現地で事前調査を実施した。流木や泥などでふさがれ、使用が困難な小学校や保育所、避難所など公共施設への進入路を確保する作業を行う予定。
 三条市の災害対策本部は十七日午前、記者会見で水害によるごみの回収を最優先で取り組むと説明。佐藤和夫助役は「連休中に主な幹線道路のごみを撤去したい。すべて撤去するには一週間ほどかかる」との見通しを示した。
 同市によると、大型重機と回収用のダンプカー計六十台が七地域で活動。家電を含めた粗大ごみを一括して回収し、三条競馬場跡地に一時的に保管する。リサイクルされる家電などは、その後分別する。

◎柏崎−国道8号20メートル四方陥没

 十六日の強い雨で土砂崩れや道路冠水が相次いだ柏崎市内は、十七日午前までに水は引いたものの、国道8号が陥没したのをはじめ、土砂流出によって、通行止めが続く区間もある。また自主非難していた住民約百六十人は、午前中に全員が帰宅した。
 十六日午後五時すぎ、同市寿町付近の国道8号が、最大縦二十メートル、横二十メートル、深さ五メートルにわたって陥没。道路中央が大きくえぐられるような形をさらけ出していた。けが人はなかった。
 原因は調査中だが、国土交通省では夜通し復旧作業に取りかかり、陥没した穴の脇に、片側交互通行のう回路を完成させる工事を急いでいる。それまでは海岸沿いの県道がう回路となる。雨の影響で、そのほか市内数カ所が通行止めになっている。
 一方、集落への道路が土砂などで遮断され、十六日夜から孤立状態だった同市谷根、上輪、大平の三集落は、復旧作業が進み、ほぼ孤立は解消した。
 十七、十八両日に予定していた、よさこい踊りは中止された。

◎前線活発化、警戒が必要

 梅雨前線の活動が活発化している県内は十七日、佐渡や下越地方で一時間に四〇―六〇_の激しい雨が降った。新潟地方気象台は、梅雨前線は十七日午後から十八日朝にかけてゆっくり南下、短時間に非常に激しい雨の降る恐れがあるとして厳重な警戒を呼び掛けている。
 アメダスの観測データによると、十七日午前零時から同十一時半までの雨量は佐渡市弾崎で九三_、村上市で七二_、朝日村三面で六二_などとなっている。
 弾崎では午前十時までの一時間に六二_の記録的雨量を観測。岩船神林村、関川村、朝日村、村上市では、過去数年間で最も土砂災害の危険性が高まっているとしている。

◎●ルポ 避難者密着取材●−生活再建 住民必死に
・気力振り絞り片付け

 中下越を襲った「7・13水害」から五日目を迎えた十七日朝。心配した雨も収まり、三条市の五十嵐川左岸嵐南地区の住民が疲れた体を奮い起こして避難所から家の後片付けに出掛けた。避難所で出会った家族に昼夜密着、復旧に取り組む人たちの息づかいを聞き歩いた。(報道部・荒木崇)
 「何から手を付けていいのか。もう、どうにもなりませんわ」。大崎中学校に家族で避難した諏訪新田の男性(77)。家族と後片付けに戻った自宅でこうつぶやいた。水を吸った畳、午後一時五十分という濁流の「つめ跡」を残し壊れた時計。家全体が泥水の洗濯機でかき回されたようになった。
 家の中の泥は異様な臭気を放ち始めた。「行政なんて待ってられない。みんな病気になっちまう」。二男は声を荒らげたが、「当分このにおいと付き合っていくしかないのか」と黙々と作業を続けた。
 幸い、濁流が迫る前に逃げ出し、全員が無事だった。川向かいで避難所生活を開始。毎晩、毛布にくるまり、ゴザを敷いた堅い体育館の床に横になる。「何度も寝返りするが全然寝れない。体力も気力も使い果たした」
 同市月岡の無職男性(63)の家族も家に戻り、泥のかき出しに追われている。妻(58)は水に漬かった壁を見て頭を抱えた。
 「これからどうなるんでしょう。この家に住めるんでしょうか」。増築部分が一週間後に完成という段階での浸水。数カ月後には息子の結婚式も控えていた。しかし、準備していた招待状なども泥に漬かってしまった。
 避難の長期化で被災者には疲労がにじむ。何日も風呂に入っていない人ばかり。おにぎり、パン。配られる食事に野菜が少なく体調がすぐれない高齢者もいる。体育館に仕切りはなく、落ち着ける場所はない。健康診断に回る保健師は「血圧が上がる人や、心が不安定な高齢者もいる」と話す。
 被災地では家々に明かりがともり始め、復旧作業が本格化した。避難所に暮らす人も減り、落ち着いてきたように見える。しかし、被災者はみな口をそろえた。「大変なのは、これからなんです」

◎大雨でJR運休相次ぐ

 梅雨前線による大雨の影響で県内は十七日午前、列車の運転見合わせが相次いだ。
 JR東日本新潟支社によると同日午前十一時半現在、信越本線で二十九本、上越線で二十三本、只見線で二本、羽越本線で八本、越後線で八本、米坂線で八本の普通列車がそれぞれ運休した。


●7月17日朝刊●


◎7・13水害−各地で増水再び 厳重警戒続く

 中、下越を襲った「7・13水害」で十六日、県内に再び大雨・洪水警報が出され、県内各地で土砂崩れや河川の増水、溢水が相次いだ。避難勧告は小千谷市と見附市、三島出雲崎町、北魚小出町で新たに発令され、厳重な警戒を呼びかけている。災害救助法の適用は三条など四市町に加え、栃尾市、三島三島町、同和島村を新たに追加、計七市町村になった。
 同日、災害対策基本法に基づき発足した県の災害対策本部(本部長・平山征夫知事)は十七日から三条、見附、南蒲中之島の三市町に職員を派遣し、災害支援に乗り出すなど活動を本格化。また被災地復旧を支援する国の激甚災害法適用に向け、県で要望項目をまとめ、知事が各省庁に週明けにも要請する。
 災害救助法の適用を受けた栃尾、三島、和島の三市町村は、床上、床下浸水の被害が大きく、避難所の設置や救援物資の調達などにかかった費用を十三日までさかのぼって、国、県が全額補助する。
 県警などによると、小千谷市で十六日午後五時半すぎ、茶郷川など四河川がはんらんしたため、付近の百五十五世帯に避難勧告。住民は市健康センターなど四カ所に避難した。市内で土砂崩れが発生するなどしたが、同九時半に解除された。出雲崎町では同一時半すぎ、裏山が崩壊する恐れが出た二十一世帯などに避難勧告。北魚小出町では、旭町地内の民家の裏山が崩れ始めたため、午後八時二十分、避難勧告が出され、住民は二カ所に避難した。
 一方、十三日から自宅を出たまま行方が分からない三条市曲渕二、無職江川貴子さん(42)ら集中豪雨による行方不明者の安否は十六日午後十時現在、分かっていない。
 県危機管理防災課が同日午後十時現在でまとめた被害状況によると、床上、床下浸水は三島町などでさらに増え、二万四千八百四十四棟。避難勧告は九市町の一万二千二百八十世帯に引き続き出されており、避難者数も三条市などで、なお三千百六十四人いる。

◎17日も大雨の恐れ

 梅雨前線に覆われた県内は十六日、所によって一時間雨量が四〇ミリを超える強い雨となった。新潟地方気象台は、十七日日中も新たな雲の接近に伴い、県内全域で激しい雨が降る恐れがあるとして、河川の増水や土砂災害への警戒を呼び掛けている。
 アメダスの観測データによると、大きな被害をもたらした雨が降り始めた十二日午後八時から十六日午後八時までの総雨量は、栃尾市守門岳で四九六ミリ、同大町で四八三ミリ、東蒲上川村室谷四四二ミリ、加茂市宮寄上で三九六ミリを観測した。
 十七日午後六時までの二十四時間雨量は、多い所で二〇〇ミリに及ぶ見込み。一時間の雨量は三〇ミリに達し、激しい降り方が予想される。
 同気象台によると、中越全域と五泉、上越東頚地域では土砂災害の危険性が高くなっている。十七日の雨は同日中に一時小康状態となるが、十八日以降も大気の不安定な状況が続くとして、気象情報への注意を求めている。

◎両陛下から金一封

 「7・13水害」で、天皇皇后両陛下は十六日、本県に対してお見舞いの金一封を贈られた。
 宮内庁の高橋美佐男・長官官房総務課長から南英雄・県東京事務所長に伝達された。

◎死者6人の三条・嵐南−避難勧告 浸透せず
 広報車の声、雨が遮断か

 中、下越を襲った「7・13水害」で、逃げ遅れたお年寄り六人の死亡が確認されるなど、犠牲者が集中した三条市の五十嵐川左岸の嵐南地区。同市は五十嵐川の堤防が決壊する約三時間前の十三日午前十時すぎから流域に対し次々と避難勧告を出し「できうる限りの対応をした」と説明しているが、「分からなかった」と証言する住民も多く、周知徹底の方法を問題視する声が上がっている。高橋一夫市長は十六日の会見で「結果として犠牲者を出す形になったのは反省し検証しなければならない」と述べ、不十分さを認めた。
 死者が集中した地域に近い同市西四日町四の後藤由恵さん(65)は、「自宅でテレビを見ていたら突然水が来た。市の避難勧告はまったく知らなかった」と当時を振り返る。五十嵐川の決壊は午後一時すぎ。付近住民によると、浸水は堤防が切れた約二時間後で、後藤さんは「分かっていたら逃げられた。市の対応に腹が立つ」と憤る。
 避難所で過ごす同市北新保の男性(60)も「ダム放水のサイレンは聞こえたが、避難の指示はなかった」と語る。
 同市によると、同日午前十時十分に曲渕、諏訪など五十嵐川に近い左岸地区にまず避難勧告を出し、その後より下流地域へ順次広げた。同市の北神均総務部長は「午前十一時四十分までに嵐南全域に行き渡った」と説明する。
 同市の周知方法は広報車三台の巡回や自治会長からの連絡、地域FM放送が中心。市職員や消防が直接訪問した所もある。
 しかし同市は防災行政無線などの施設は持っておらず、雨音で広報車のスピーカーは聞こえにくい状況だった。また同市からの連絡が取れない自治会長もいた。
 高橋一夫市長は同日の会見で、避難勧告などの発令など「厳しい状況で市としてやるべきことはやった」と説明。「全市民に行き渡らなかったことは仕方ないかもしれないが、残念だ」と語った。

◎中之島町、仮設住宅建設へ住民に聞き取り

 南蒲中之島町は十六日から、被災約千九百戸を対象とした仮設住宅建設に向けた実態調査を始めた。戸数は未定だが、設置場所は中之島地区の町民文化センター近くを予定している。
 最も被害の大きい同地区では、道路上に置かれた家財の回収が進まないなど、全体の正確な実態把握は困難な状況だ。このため、同町では同日から町民文化センターに避難している住民に聞き取りを実施。取りあえず十五世帯から仮設住宅の要望があった。
 同町では今後も順次調査を行うが、避難生活の長期化を避けるため、早ければ十七日にも着手時期を決める意向。
 長岡市も同日、浦瀬地区の八戸に対し、仮設住宅の建設を含めて対応することを決め、具体的検討を始めた。十七日にも個別に意向を聞く。同地区では道路が決壊したほか、集落に向かう橋が流されて近づくことができず、復旧作業に時間がかかっている。

◎瀬波温泉でも土砂崩れ

 十六日午前十一時半ごろ、村上市瀬波温泉二、「吉田屋旅館」(吉田正七さん経営)の裏手の山で土砂が崩れ、旅館敷地内の露天風呂の一部を埋めた。当時、客はいなかった。村上署の調べでは、同日午前までの大雨で地盤が緩んだらしい。
 村上市などは現地対策本部を設置。同旅館は同夜から三日間の宿泊客約百八十人に周辺旅館に移ってもらう措置やキャンセル対応を取った。

◎ガス・電気料金支払い期限延長

 「7・13水害」に関連し、経済産業省・資源エネルギー庁は十六日、災害救助法が適用となった三条、見附、長岡の三市と南蒲中之島町を対象に電気・ガス料金の支払期限を一カ月間延長するなどの特別措置を認可した。
 特別措置は、電気・ガスの両事業法に基づいて東北電力や地元ガス会社などが申請していた。  同日、災害救助法の追加適用が決まった栃尾市、三島三島町、同和島村についても手続き中で、週明けにも認可する。いずれも、災害が発生した十三日にさかのぼり、適用される。
 対象地域ではこのほか、復旧工事費について電気は六カ月間、ガスは二カ月間、免除される。

◎柏崎で160人自主避難

 柏崎市は十六日午後六時前、市役所に災害対策本部を設置した。市内十四カ所の学校、コミュニティセンターなどに避難所を設け、同午後九時半現在、約百六十人が自主避難している。
 同市では川や用水路があふれて床上浸水が十二戸、床下浸水が二十五戸。山沿い地区を中心に土砂崩れなどが三十八カ所発生。道路をふさがれた谷根、上輪、大平の三地区百二十七世帯が孤立状態となった。ただ電話で連絡は取れている。

◎列車運休相次ぐ

 大雨の影響で県内のJR各線では十六日、運休が相次いだ。午後八時半時点で、信越本線は犀潟―長岡駅間で運転を見合わせ、上下線の特急列車二本が区間運休、普通列車二十三本が運休。磐越西、上越、只見の各線で合わせて十六本が運休した。夜行列車は上下線で九本が運休した。

◎無情な雨、住民悲痛

 「7・13水害」から四日目となった十六日、三条市や南蒲中之島町では、被災住民が「悪夢」を連想させるような激しい雨と泥と格闘しながら復旧作業を本格化させた。大雨洪水警報が続く中、新たな避難勧告が出たとのイ噂(うわさ)が流れ、多くの人が高台や避難所に逃げる騒ぎもあった。不安そうに雨空を見上げながら、泥まみれになった家具の撤去や清掃に終日、追われていた。

・中之島−「もう降らないで」道路再び茶色い川に

 【中之島町】十六日午後、再び激しい雨に見舞われながらも、住民やボランティアは作業の手を止めようとしなかった。  水が引いたはずの道路は、豪雨であっという間に茶色い川となった。力を合わせて集めた泥もまた流れ出し、住民らは「これ以上降らないで」と悲痛な声を上げた。
 排水溝からあふれた雨水をバケツやスコップで懸命にかき出す人、泥が再び家に流れ込まないよう、周囲に土のうを積み上げる人…。ずぶぬれになりながら、排水溝につまったごみを必死に取り除く男性もいた。
 同町中之島地区の男性(50)は「道路の泥がまだ片づいていない。せっかく出したのにまた家に入ってくる」と不安そうにな表情だった。  午後三時ごろ、新たな避難勧告が出たとの噂が流れ、高台や避難所に逃げる一幕も。三十分後に町が広報車を出して打ち消したが、ピリピリした雰囲気に。
 作業の手を休めて避難した住民たちは「何を信じていいのか分からない」「嘘では困る。正確な情報がほしい」と町側に怒りをぶつけていた。
 ある女性は「避難勧告が出た、と聞いてボランティアの人には危ないからと帰ってもらった。人手がなくなり今日はもう作業が進まない」と困り切っていた。
 夜に入っても、雨が時折強くたたきつける。同町は刈谷田川の水位が上がってきたため、避難勧告が出ている住民に、避難所に戻るよう呼び掛けていた。

・三条−泥との闘いにため息

 【三条市】五十嵐川の決壊で浸水被災した曲渕、月岡、諏訪新田などでは十六日、住宅に入り込んだ泥をかき出す作業が本格化した。
 復旧に取り組む住民の顔には疲労の色が見えた。決壊場所近くの曲渕地区の道路には泥が三十センチ以上たい積、水没した車が道をふさぎ、復旧作業は難航した。バケツリレーで住宅内の泥を外に出していた三十代の会社員男性は「泥との戦いはいつになったら終わるのか」とため息を漏らした。
 月岡地区では、多くの自家用車が水没で故障、泥をかぶった家具やゴミをゴミ捨て場まで運べず、家の前に積み重なったままになっている。市は「随時搬出する」としているが、気温の上昇で泥は異様な臭気を出し始めた。住民らは「このままでは不衛生で暮らせない。早く運び出してほしい」と怒りの声を上げた。
 片付けの最中に大雨洪水警報を知り、大急ぎで避難準備に切り替える場面も。会社員男性(55)は「浸水はこりごり。避難するにしても、気力体力ともに限界です」と疲れ切った表情で語った。

◎避難所生活、疲労ピーク

 「7・13水害」の発生から四日目の十六日夜、三条市、見附市、南蒲中之島町では、まだ多くの住民が避難所生活を強いられた。  三条市では、二十七カ所に約二千百人余りが避難。同市元町の三条小体育館では、窓に手洗いのタオルやシャツなどがかけられ、住民の顔は疲労が色濃い。
 同市北新保、パート職員高橋弘子さん(52)は「床上浸水した家はもうあきらめて壊そうと思っている。アパートも探さなくてはならないが、今は仕事も休んでいる状態。今後が心配」と顔をくもらせた。
 見附市では約百八人が避難所で夜を過ごした。同市では午後二時ごろ強い雨が降り出し、土砂崩れの恐れがあるとして同二時十三分、椿沢町の百三十五戸に初めて避難勧告が出された。同地域を流れる椿田川の上流付近に住む奥村嘉章さん(59)は「道と川が分からない状態で、山も一部崩れ土砂が流れ出している」と不安そうに話した。
 南蒲中之島町の避難所の一つ、町民文化センターでは同日夜、復旧作業から戻り、泥が付いた服のままぐったり横になったり、辛そうにこめかみを押さえたりする住民が目立った。

◎6市町村で断水5200戸

 水害の影響による上水道の断水は十六日夜現在、三条市で三千五百戸、南蒲田上町で千三十三戸など計六市町五千二百十二戸で続いている。
 一般加入電話は、栃尾市軽井沢、一之貝の約二百回線が不通。同日発生した土砂崩れのため、復旧作業を中断した。

◎石原国交相視察が破堤現場視察

 石原伸晃・国土交通相は十六日、刈谷田川(南蒲中之島町中之島)と五十嵐川(三条市諏訪新田)堤防のそれぞれ破堤現場を視察した。
 刈谷田川の現場で国交相は、平山征夫知事から決壊状況の説明を受けた後、避難所の一つ町文化センターを訪問。「ご苦労さまです」と住民の労をねぎらった。三条市の現場では、高橋一夫市長から説明を受けると「なぜ左岸の堤防が決壊したのか。できるだけ早く復旧できるよう協力したい」と述べた。


●7月16日夕刊●


◎7・13水害本記 避難者なお3700人 激甚災害申請へ

 中、下越を襲った「7・13水害」で、県は十六日午前、破堤した三条市の五十嵐川に建設した仮堤防のかさ上げ工事などに着手。同市で給水活動も始まった。県警によると、集中豪雨による行方不明者が新たに一人いることが分かり、不明者は計三人となった。県は同日、これまでの被害対策本部から格上げした災害対策本部(本部長・平山征夫知事)を設置。長岡、三条の両市にも同本部地方本部を発足させ、被災地域、住民の救済に向け、総力を挙げることを確認した。また平山知事は週明けにも国に対し、被災地の復旧を支援する「激甚災害法」の適用を申請する方針を明らかにした。
 三条市の五十嵐川では同日朝から、大型土のうを積み上げ、高さ二メートルの仮堤防をさらに約一メートルかさ上げする作業を開始。午後からは破堤した堤防の復旧に向け、矢板を打ち込み、補強した。
 同市では水道が出にくい所が多く、市民の生活に支障が出ていることから、近隣自治体が給水車を派遣している。
 県警によると、行方不明となっているのは三条市曲渕二、無職江川貴子さん(42)。十三日午前十一時ごろ、自宅を出たまま行方が分からなくなった。
 県教委によると、長岡、三条、見附市など十三市町村の小中学校で十六日までに計五十七校が授業を再開したが、二十校で休校となっている。
 県危機管理防災課が十六日正午現在でまとめた被害状況によると、床上、床下浸水は南蒲栄町などさらに増え、二万四千六十棟。避難勧告は七市町の一万二千百十六世帯に引き続き出されており、避難者数も三条市などで、なお三千七百七十二人いる。

◎17日も一時激しい雨予想

 梅雨前線が停滞を続けている県内は十六日、新たな雨雲の接近に伴い、午前中から昼ごろにかけて下越を中心に強い雨となった。十七日正午までの二十四時間雨量は一五〇ミリに達する地域もあると予想され、新潟地方気象台は河川のはんらんへの注意を求めている。
 アメダスの観測データによると、十六日午前零時から正午までの雨量は阿賀野市の宝珠山で八一ミリ、新津市で五九ミリ、新潟市で五〇ミリ、東蒲津川町で四二ミリ。同日中は雨は小康状態となるが、大気が不安定で降りやすい状況が続く。
 同気象台は、十七日も午前九時ごろから正午にかけ、県内全域で一時間雨量が三〇―五〇ミリに及ぶ激しい雨が降る恐れがあるとして、警戒を呼びかけている。

◎避難所早く出たい−いら立つ子供たち

◎中之島などで休校続く

 中、下越を襲った「7・13水害」から四日目の十六日、被災した南蒲中之島町、長岡市、見附市では、依然として七つの小中学校で休校が続いている。避難所暮らしを強いられているた子供たちは、避難所の体育館を走り回るなど元気だが、徐々に疲れがたまり「早く家に帰りたい」とこぼしている。
 休校しているのは、中之島中央小、中之島中(中之島町)、浦瀬小、新組小(長岡市)、名木野小、南中、見附養護(見附市)で、約七十人の児童・生徒が今も避難所で暮らしている。
 避難所で子供たちは携帯型ゲーム機やトランプで遊んだり、本を読んだりしながら時間をつぶしている。
 中之島町の避難所では小学校四年生の高槻美里さん(10)が「学校に泊まった最初の日は修学旅行みたいだったけど、避難所は大人もいっぱいいて落ち着かない」と疲れた様子。
 三年生の林ゆうかさん(9才)は「明日はお父さんの誕生日だけどお祝いはできないかな」とがっかり。六年生の高橋詩織さん(12)は「避難所には子供の着替えがない。家に取りに帰れないし、何日も着替えられない」と困り顔で話した。
 長岡市では避難所と学校が離れている堤岡中の生徒が十六日から、市が用意したタクシーで通学を再開。生徒たちは午前七時半すぎ、「行ってきます」と避難所から学校に向かった。
 同市の避難所では四年生の諸橋亮太さん(9才)が「漫画を読んでいるけれど、やることがない。早く友達に会いたい。家に帰ったらハンバーグが食べたい」と退屈そうにしていた。

◎三条市−給水車37台が奔走

 三条市では、洪水の影響で浄水場の処理能力が低下し、十五日朝から市内約五千世帯で断水。同市では、十六日朝から県内自治体や水道工事業者らの応援を含め、給水車三十七台体制に強化して給水を行っている。
 三条市役所によると、十六日は午前五時半から病院などを優先に順次、巡回。同市山沿いの如法寺地区では、給水車が訪れるとポリタンクやペットボトルを手にした主婦らが訪れた。近くの主婦(59)は「飲み水はジュースでどうにかなるが、お風呂やトイレはどうにもならない」と話し、同所の大桃キヨさん(76)は「いつ水が出るようになるのか」と心配そうな表情を見せていた。水圧が低下しているため、同市の山沿いを中心に影響を受けている。
 洪水で水道水を取る大谷ダムの水が濁ったため、浄化に時間がかかり供給が落ちている一方で、市内各地で水害の後始末で水道水を使用したため、需給バランスが崩れたのが原因。
 復旧には、ダムの水の濁りが取れるの待つしかなく、「復旧のめどが立たない。それまでは給水車を出す」(同市水道局)と、節水を呼び掛けている。

◎新潟市でも床下浸水や道路冠水
 十六日午前、新潟市で強い雨が降り、床下浸水や道路冠水の被害が出た。アメダスの観測によると、同十時から十一時の一時間に同市で二六・五ミリの強い雨が降った。
 新潟市の正午現在のまとめによると、同市牡丹山三で住宅数棟が床下浸水。牡丹山一、二、水島町、春日町、沼垂東四、すみれ野、大形本町三、中野山六、山木戸八、竹尾二、小針一、四で道路が冠水した。多くはごく短時間で水が引いた。


●7月16日朝刊●


◎7・13水害 6遺体発見、死者12人 新たに不明2人

◎災害復旧が本格化

 中、下越を襲った「7・13水害」で十五日、三条市、南蒲中之島町などで六人が遺体で見つかった。警察の調べでは、いずれも水死とみられる。集中豪雨による死者は十二人に達した。また水没した住宅地で自衛隊などが、十五日までの三日間で計六千八百六十五人を救出、完了した。県は三条市で堤防復旧など作業を本格化させた。
 県は同日、同市の破堤した五十嵐川の堤防復旧のため応急処置的な仮堤防(高さ二メートル、長さ百二十メートル)を建設した。三条、見附、長岡、中之島の四市町を対象に災害救助法の適用を決めた県は今後、対象市町が負担した救助費用を国とともに全額補助する。
 三条、見附市、中之島町など水没地での住民救出活動は、自衛隊や緊急消防援助隊、県内各広域消防本部、県警などがヘリコプターやボートなどを使って十三日から十五日まで実施。救出した六千八百六十五人のうち五百四十七人はヘリコプターで救助した。
 一方、十五日午前、東蒲津川町と三条市で二人が遺体で見つかったほか、同日午後零時半すぎには、三条市南四日町一、無職古川ミヨさん(87)がアパート一階の居間でうつぶせで亡くなっているのを訪問したホームヘルパー男性が発見。
 同日午後一時半すぎ、中之島町中之島、無職本間一栄さん(78)が、全壊した自宅二階から遺体で発見された。本間さんは十三日から行方不明だった。また、同日午後五時半すぎ、同所、無職村越藤松さん(76)が隣家との境のがれきの下から遺体で見つかった。
 さらに同六時前、三条市南新保、無職伊藤静江さん(84)が自宅居間で水死しているのを訪ねた息子(49)が発見した。
 県警によると、亀田町中島三、会社員辻浦和夫さん(37)と、長岡市今朝白二、会社員飯田貞雄さん(63)の二人が、いずれも十三日に三条市に仕事に出掛けたまま行方が分からず捜索している。
 県危機管理防災課が十五日現在でまとめた被災状況によると床上、床下浸水は栃尾市の判明分を含め、二万三千八百八十六棟。避難勧告は三条市、中之島町など七市町で一万二千二百五十世帯、避難者数は三条市などで四千八百四人となった。

◎16日昼すぎから雨に警戒必要

 県内は十五日の日中、一時雨となった所があったが、おおむね小康状態が続いた。新潟地方気象台によると、県北部にかかっていた活発な雨雲は同日県外へ出たが、梅雨前線は停滞を続けており、十六日は下越で昼すぎから夜にかけて、再び強い雨が降る恐れがある。
 十六日午後六時までの二十四時間雨量は、下越の多い所で七〇ミリ、中越で三〇ミリ、上越・佐渡で二〇ミリの予想。新しい雨雲の接近に伴い、同日昼すぎから一時間に二五ミリの強い雨が降る地域がある。
 同気象台は、十七日も天気が崩れる可能性があるとして、破堤や浸水した地域に対し新たな雨への注意を呼び掛けている。

◎両陛下が犠牲者に哀悼の意

 「7・13水害」で、天皇皇后両陛下は十五日、「死亡者に対するお悼みと床上・床下浸水などの被害を被った人々に対するお見舞いのお気持ち、また災害救助や復旧のため努力している関係者に対するおねぎらい」のおぼしめしを、宮内庁の渡辺允侍従長を通じて平山征夫知事に伝えられた。

◎三条・五十嵐川−カーブ内側で破堤 「予想外の場所」住民驚き

 五十嵐川の堤防決壊で嵐南地区が濁流に飲まれた三条市。同川左岸の破堤地点は従来、比較的決壊の可能性が低いとみられた場所だった。この地点の破堤は多くの市民にとって予期せぬ事態といえ、被害拡大の一因になった可能性もある。上流にあるダムの放水の影響を取りざたする声もあるが、真相究明はこれからだ。
 同市諏訪新田の破堤地点は、川が下流に向かい左へカーブする場所。通常、カーブ外側にあたる右岸側は、水流の圧力を受けやすく、破堤しやすいとされる。しかし、実際に破堤したのは内側にあたる左岸側だった。
 左岸側の被災者の一人は「破堤するなら対岸だと思っていた」と首をひねる。右岸側のある住民は「てっきりこっちが壊れると思っていたから驚いた」と振り返る。
 県によると、破堤地点の護岸は堤防の土盛りにコンクリートブロックを張ったもので、堤防の高さは両岸同じ。築堤時期ははっきりしないが、かなり古いものだという。
 現地を視察した県の担当者は「珍しいケース」とした上で、可能性として(1)右岸にぶつかった水流がはね返り、左岸を直撃した(2)旧河道上に堤防が築かれたため、堤防下の地盤がもろかった―などと指摘した。
 この場所や南蒲中之島町中之島の刈谷田川の破堤は、少しずつ崩れるような壊れ方ではなく、一気に崩壊が進んだとの目撃証言がある。周辺住民からは「上流にあるダムの放水が影響したのではないか」という声も上がった。
 これに対し、ダムを管理する県は「この地域のダムは基本的に、貯水量が一定量を超えると上流から流れ込んだ分だけを放出する。ダムの放水は適正に実施している」と説明した。

◎三条市民「身を守るのやっと」 急激な増水で混乱

 中・下越を襲った「7・13水害」で、水に漬かった五十嵐川南部地域の三条市民のうち三千五百人以上は十五日、被災から三日目の夜も避難所で迎えることになった。疲労や生活上の不安などから、いらだちを募らせる被災者。一方で、落ち着きを徐々に取り戻しながら、水没した住宅で助けを求めた恐怖の時間を振り返る人もいた。
 「避難所でおにぎりをもらって食べたら、初めて涙があふれ出た」。同市西四日町二のアパート一階に閉じこめられた皆川悦子さん(55)は、感激の瞬間を振り返る。
 せり上がる水に畳や鏡台が浮いて、行く手をさえぎった。かろうじてはい上がった押し入れで一夜を過ごし、窓から赤いザルを振って、ヘリコプターの救助を呼んだ。十三日午後からほぼ二十四時間、水に漬かった皆川さん。「見つけてもらえなければ死ぬところだった」  避難所では、見知らぬ同士が「大事なものを持って逃げようと動き回ったけど、いざとなると混乱して駄目だった」などと話し合う場面が見られた。
 「子供の位はいと、ペットの犬を連れていくのが精いっぱいだった」と西本成寺の日下部玲子さん(60)。一方で「外の様子がおかしかったので、ごはんと水、携帯トイレを持って二階で過ごした」という女性(78)もいた。
 急激に水位を上げた濁流に、多くの住民が自分や家族の身を守るのがやっとだった。避難所では「普段からの備えがあれば安心感が違ったかも」と反省する声も上がっていた。
 「今後の片付けや生活再建を考えると、ぞっとするほど」。災害現場の後始末が始まった今、人々の不安は今後の生活へ移り始めている。佐藤和夫助役は「被災者支援について、具体的プランづくりを進めている」と話している。

◎中之島−健康面の不安訴える

◎見 附−情報入らずいらだち

 南蒲中之島町では、四つある避難所のうち、町民文化センターと三沼公民分館に合わせて約四百人が、不自由な避難生活を送っている。  文化センターでは、顔や服を泥だらけにした人たちが、復旧作業にあたる自宅と急がしそうに行き来していた。だが避難三日目を迎え、疲労の色が濃い。パート土佐孝子さん(61)は「炊き出しや飲食物の配給をいつまで続けてくれるのか」と不安を募らせる。
 避難所からは「作業を手伝う人が欲しい。水を吸った家財道具の搬出と奥まで厚く積もった泥のかきだしは小人数ではできない」との要望、汚れた上着、靴下の着替えや作業用具の支給を求める声も。
 健康面の不安を訴える人も増えてきた。心臓に持病があり、定期的に服薬している農業男性(80)は「飲まないと命にかかわる薬が流された。病院に行こうにも車も使えない。同じ悩みを抱えている年配者は多い」と語っていた。
 見附市では、自宅が浸水のため、まだ約四十人が避難所生活を送っている。避難所の一つ、市総合体育館では、同市月見台二の藤崎源一さん(58)が「やはり自分の家が一番」と実感。しかし、自宅が住めるような状態ではなく、「これからどうしたらいいのか情報が入ってこない」と不満を漏らした。
 今後の雨で土砂崩れの恐れもある椿沢町では地区公民館に五人が避難している。佐藤キヨ子さん(52)は日中、自宅に戻ったが、「家の中は何がどこにあるのか分からない状態。さらに雨が降ったらどうなるのか、家のことが心配」と疲れ果てた表情で語った。

◎中之島町が仮設住宅建設へ

 南蒲中之島町は十五日、被災者を対象とした仮設住宅を町内に建設する方針を明らかにした。十六日から被災した約千九百世帯を対象に実態調査をする。また、同日から高齢者福祉施設二カ所の風呂を被災者用に開放。農村環境改善センターに仮設風呂を設置したほか、簡易トイレ二万五千個の配布も始めた。

◎農作物被害1万2千平方メートル−県が集計

 県は十五日時点での県内の水害による農産物被害状況(速報値)を発表した。復旧作業中のため被害額は確定していないが、被害面積は一九九八年の8・4水害の約1・6倍に当たる約一万二千ヘクタールに達する見通しだ。
 県農林水産部によると、水稲や大豆、野菜などの農作物で浸水や土砂流入の被害が確認されたのは四十二市町村。見附市で二千二百七十ヘクタール、南蒲中之島町では二千百五十ヘクタールと、刈谷田川流域の二市町で突出している。
 現時点で被害額が算出されているのは阿賀野市や燕市など七市町で約七千百万円。8・4水害での被害額は約二十六億四千万円だったが、「被害面積は今回のほうが大きいが、当時に比べ水稲が冠水に強い時期なので、早く水が引けば壊滅的な被害は避けられる可能性もある」(県農業総務課)という。

◎被災各地−土砂、ごみ撤去作業本格化 ボランティアも始動

 豪雨から三日目を迎え、被災者の救出が終わった十五日、南蒲中之島町や見附市では復旧作業が本格化。道路に散乱した木々や土砂、泥をかぶった家具などの撤去が行われ、住民が服を泥まみれにして片づけに追われていた。
 一階が浸水した同町役場では、職員が泥水を外に出す作業に追われた。掃除をしていた女性職員(28)は「書類を机にあげるだけで精いっぱい。あっという間にひざまで水につかった」と話す。同町は午前八時から粗大ごみの撤収作業を開始。しかし、役場の指示が徹底せず、住民が抗議する場面もあり、無職男性(73)は「町は住民に情報を全く伝えていない」と怒りをあらわにしていた。
 同町の刈谷田川決壊個所では、土のうやブロックを積み上げる前の土台づくり作業を本格化。現場責任者は「雨が降ると作業に時間がかかる。降らないでほしい」と祈るように語った。
 避難生活の長期化で体調不良を訴える人が増えてきた。避難所の町民文化センターには医師が一人派遣され、早速、自宅の復旧作業中に屋根から落ちた男性が治療を受けていた。
 各地で災害ボランティアも動き始めた。教員試験のため同町の実家に戻っていた大学生(21)は「被害を受けた人が早く元気になってほしい」と、独り暮らしのお年寄り宅で掃除を手伝っていた。
 見附市では約六十人のボランティアが活躍。ボランティアリーダーは「いつ終わるか分からないが、住民が良かったと思えるよう頑張るだけ」。
 長岡市も災害ボランティアセンターを設置。早ければ十六日にも被災家屋の清掃などに取りかかる。市外にも派遣する方針で、参加者を募集している。問い合わせは、同市福祉総務課、0258(39)2271。

◎ボランティア志願申し出、県内外から続々

 県災害救援ボランティア本部には十五日までに、県内外から約二百人のボランティア志願の申し出が寄せられた。
 また、静岡や福井など全国各地から、災害ボランティアの活動を調整する特定非営利活動法人(NPO法人)の代表らが来県している。

◎7断水7000戸以上 栃尾などで電話回線不通

 水害の影響で十五日夜現在、上水道も同市や南蒲田上町などでは七千戸以上が断水しているとみられ、長岡、栃尾市などでも約三百六十戸が断水した。一般加入電話は栃尾市などで約二百六十回線が不通。いずれも早期の復旧に向け作業を行った。
 NTT東日本新潟支店によると、不通となっている回線は十六日午後には復旧する予定。三条、長岡、栃尾、見附市方面への電話は通常の状態に戻った。

◎JR信越線約60時間ぶり全線運転再開

 大雨の影響で列車の運転を見合わせていたJR信越線は十五日午後七時半前、東三条―長岡間の復旧作業が終了し、約六十時間ぶりに全線で運転を再開した。

◎平山知事「復旧に全力尽くす」

 中、下越の集中豪雨被害で十五日、平山征夫知事は南蒲中之島町などの被災地を視察し、「お年寄りが亡くなったり、家が壊れたりして本当に痛ましい。県として復旧に全力を尽くしたい」と語った。
 この日は、三島出雲崎町、同与板町、南蒲中之島町、長岡市、栃尾市を訪問。与板町では増水した千体川沿いを視察、山崎忠弥町長が「水をかぶった大豆は全滅。ぜひ激甚災害の指定を」と要望した。中之島町で避難所となっている町民文化センターでは、町民が「救援お願いします」と切望していた。


●7月15日夕刊●


◎三条の孤立400人救出、災害救助法を適用
◎津川、三条で2遺体発見、死者8に

 中、下越を襲った「7・13集中豪雨」で、東蒲津川町で行方不明だった女性の遺体が十五日発見され、三条市でも同日、男性が遺体で見つかり、集中豪雨による死者は八人となった。行方不明者は南蒲中之島町の七十八歳と七十一歳の男性二人。三条市などの水没した孤立住宅地で取り残されていた住民の救出活動は同日午前六時半、すべて完了した。県は同日、被災地の三条、見附、長岡、中之島の四市町を対象に災害救助法の適用を決めた。厚生労働省も同日、同法適用を発表した。県内での同法適用は一九九八年に新潟、下越地方などで起きた「8・4水害」以来、六年ぶり。
 災害救助法は知事が対象地域を認定し、決定する。適用されると避難所の設置や炊き出し、食料品の供給など救援物資などにかかる費用がすべて国費となり、市町村の負担が軽減される。
 四市町での適用は十三日にさかのぼって実施される。三条、見附の二市は床上、床下浸水の被害が甚大だったことから適用。三条市ではこれまでに床上浸水が五千棟、床下浸水が九千七百六十七棟、見附市では床上浸水が二千五百棟、床下浸水が四千六十七棟が確認されている。長岡市と中之島町はヘリコプターなどによる救出で特殊技術が必要だったため適用された。
 一方、十三日から畑に行ったまま行方不明だった東蒲津川町栄山甲、農業清川キクノさん(72)は十五日午前九時半すぎ、同町三郷の音無川の河原で、津川署、地元消防団などの捜索隊によって遺体で発見された。
 同日午前九時ごろ、三条市南新保の木工業経営佐藤清さん(72)が、作業所入り口付近で死亡しているのが発見された。三条署の調べでは、死因は水死。
 三条市などの水没地区の住民救出活動は、自衛隊や緊急消防援助隊、県内各広域消防本部、県警などがヘリコプターやボートなどを使って十三日から実施。十五日朝までに約四千五百人を救出し、完了した。

◎前線再び活発化、土砂災害、浸水の恐れ

 十三日の豪雨後、一時雨が小康状態となっていた県内は十五日、停滞した梅雨前線が再度活発化し、佐渡と中、下越で昼前から雨が降り始めた。新潟地方気象台は、十三日に被害を受けた五泉、三条、長岡などの地域でも、雨による土砂災害や浸水の恐れがあるとして警戒を求めている。
 十五日昼すぎからの二十四時間雨量で一五〇ミリを超える大雨が予想されているのは、新潟、新発田、五泉、長岡、三条、小出の各地域。一時間の雨量が三五ミリに及ぶ激しい降りは、夜には小康状態となる見込み。
 同気象台では十七日まで断続的に雨となり、強く降る可能性もあるとして引き続き注意を呼びかけている。

◎闇の中、必死の捜索 ライト頼り、声掛け 一軒一軒回り所在確認

 水害から二日たっても水没した住宅地に住民四百人が孤立していた三条市五十嵐川南部地区では十五日朝まで徹夜で、消防、自衛隊、警察などが救出活動を展開、完了した。二日間、自宅で水に漬かりながら同日朝にヘリで助け出された住民は心底、安心した表情を見せていた。
 同市消防本部は、十四日夜から十五日朝にかけて三件の緊急救助要請に応えた。同日午前二時、同市北新保の同川にかかる新大橋たもとでは、新潟、新発田など県内九つの消防本部からなる混成救出隊が一班四人態勢でボートを引き、一軒ずつライトで照らしながら声をかけて回った。ひざ下まで水に漬かった街を隊員は必死に歩き回った。
 残っている住民はお年寄りが中心。「深夜なので、夜明けまでは動きたくない」という要望も多く、隊員は場所を確認し、警戒を呼びかけた。
 「寝ている人が多く、さし当たった危険もないので無理に救助はしないことにしている。雨が降らず助かっている」と隊員の一人は話していた。
 自衛隊や県警などのヘリによる救出も十三日から続けられ、十五日も日の出とともに出動。避難所にもなっている同市西裏館の第三中学グラウンドには、衣服に泥がつき、疲れ切った様子の住民たちが機から降り立った。
 自力で家から脱出、ヘリに手を振って救出された同市南四日町の無職新保博さん(67)は「水で冷蔵庫などが玄関をふさぎ、外に出られなかった。一人暮らしで二晩とも水に漬かって眠った。寒いし、暗いしで、やっと助け出されて楽々した気持ちになれましたて」とほっとした表情で話した。

◎避難所3日目 「子ども入浴させたい」 ・中之島町が医師派遣要請

 「いつになったら家に帰れるのか」。「7・13水害」から三日目の朝を避難所で迎えた十五日、三条市、見附市、南蒲中之島町の被災住民は、どの顔も疲労困ぱいの表情。先の見えない不安を訴える声が多く聞かれた。

 【中之島町】四カ所ある避難所のうち、町民文化センターには約三百人が避難。二泊目という人も多く、床に毛布を引いて横になるものの眠れず、具合の悪くなる人も出始めた。町は県に対し、医師の派遣を要請した。
 避難所では支援物資が午前六時すぎに到着、子供たちがおにぎりをほおばっていた。家族と避難している同町猫興野の中村ひろみさん(32)は「いつまで避難生活が続くのか分からないので、『いつお家に帰れるの』と子供に聞かれるのが一番つらい。子供たちを早くお風呂に入れてあげたい」と疲れ切った表情。
 町内では、ごみの収集など復旧作業も徐々に始まっている。午前八時すぎには、道路沿いにある泥や畳などの粗大ごみの撤去作業を開始。一階が浸水した役場の復旧作業も行った。同センターでは、独居老人の家の復旧作業を手伝うため、社会福祉協議会を中心にボランティア募集も始めた。

 【三条市】興野一の一ノ木戸小学校では疲れ切った表情の住民約九十人が朝を迎えた。同日午前中には、いったん自宅に引き上げる人の姿も目立った。
 同市東新保の会社員女性(57)は「自宅の様子を見に帰ったら、家具がひっくり返りめちゃくちゃになっていた。この先どうしたらいいのか不安でしようがない」と顔を曇らせた。キャッチボールに興じる元気な子どもたちがいる一方で、同市三竹一の小学六年生村田敏樹くん(12)は「生まれて初めての出来事で本当に怖かった。二日間避難所でじっとしてばかりなので、思い切り体を動かしたい」とこぼした。

 【見附市】今も数人が避難生活を続ける刈谷田川左岸の見附市月見台2の住民は、朝から自宅に戻り、被災した家屋の整理や清掃に汗を流していた。
 同所の女性(61)は悲惨な状況に「はじめは涙が出るだけだったけど、今は片付けるので精いっぱい。電気製品も駄目になったし風呂も駄目」と肩を落とす。避難所では「きちんと三食用意してもらった。心が縮んでいるときにみんなによくしてくれてた」と感謝した様子で話した。

◎仮堤防設置作業を継続−三条市

 三条市の災害対策本部は十五日午前、記者会見を開き、復旧作業に入った五十嵐川左岸堤防(同市諏訪新田)の状況について説明した。同川上流の大谷ダム(南蒲下田村)で水の供給能力が低下しているとして、節水を呼び掛けた。
 決壊部分では、同日朝をめどに仮堤防の設置が進められていたが、予想以上に川底がえぐれ重機類の足場も安定しないため、工法変更を余儀なくされた。県や自衛隊が、同日午前六時前から作業を再開、堤防より川側に土砂を敷き詰める作業を行っている。
 生活用水は、大谷ダムに泥が入って浄水できなくなり、供給能力が低下。通常二カ所の浄水場の一カ所だけを使用し、約三万七千トンの需要に、三万トンの供給となる。水圧も下がっており、高台の世帯へは車で運ぶなどして対応するとしている。

◎「7・13水害」被災地の中之島ルポ
◎町、濁流に跡形なく 「生活できぬ」住民ぼう然

 牙をむいた濁流が家をなぎ倒し、町をのみ込んだ。刈谷田川が決壊した南蒲中之島町中之島。水が引いた町には泥があふれ、家が、車が、墓石があるはずのないところに流されていた。「どうしたらいいのか分からない」―。変わり果てた町で立ちつくす住民たち。被害が深刻な中之島を歩いた。
 「流されてきた家をどけてほしいが、それを取ったら自宅が傾くんじゃないか」。同地区で鮮魚店を営む高橋建一さん(73)方には、流されてきた家が、ひさしの下に食い込んでいた。店の冷蔵庫も商売道具もみんな流されてしまった。
 同地区では刈谷田川が決壊した十三日、自宅二階で避難している最中に家ごと流され、ぶつかって止まった他の家の住民に救助されたおばあちゃんもいた。
 決壊個所に最も近い妙栄寺はもう跡形もなかった。周辺の民家も根こそぎ流され、寺の付近は空き地に。なぎ倒された墓石が数百メートル先まで流され、横倒しになっていた。泥の下に埋まった墓石もある。
 県道見附・中之島線は泥の川と化した。沿線の家は一階部分が激しく壊され、家の中に泥や立ち木が流れ込んだ。家の外側は材木が何本も突き刺さり、民家の屋根が道路をふさぐ。一階がほとんど壊れた家では、住民が「民間人の力ではどうにもならないよ」と力なくつぶやいた。
 建築会社の資材置き場には何台もの車が腹≠見せ、資材小屋にはヘッドライトがついたままのトラックが無残に倒れていた。  十四日午後にようやく自宅を見にきた農家の男性は「どうにもならない。これで田んぼもだめだったら、生活ができない」とがっくり肩を落とした。

●7月15日朝刊●

◎三条で400人孤立、夜通しで救出活動
◎死者6人、不明3人

 梅雨前線の停滞による、中、下越の集中豪雨は十四日、降雨が小康状態となり、救助活動が本格化した。三条市で新たに一人の死亡が確認され、死者は六人となった。行方不明者は中蒲中之島町で二人の生存を確認、同町の二人と津川町の一人の計三人となった。三条市では水没した住宅地に約四百人が取り残され、自衛隊が夜通しの救出活動を展開した。
 新潟地方気象台によると、十五日朝から夕方にかけて新たに中、下越地方で二十四時間雨量が多いところで一五〇ミリに達する激しい雨が降ると予想され、土砂崩れや河川のはんらんなどに厳重な警戒を呼びかけている。
 救出活動も本格化。水没で孤立し、住民約四百人がいるとみられる三条市嵐南地区で十四日、自衛隊が夜通しで救出活動。十五日は自衛隊ヘリを集中して飛ばし、被災者の確認作業を徹底させる。
 三条市や見附市、中之島町などで十三、十四の両日の救出活動で、自衛隊ヘリや緊急消防援助隊によるボートなどにより、二日間で計四千四百六十一人が救助された。  また井上喜一防災担当相、林省吾消防庁長官らが相次いで三条市に入り、被災地を視察した。
 県危機管理防災課によると、避難住民の食料品が不足した三条市の要請を受け、県が十四日夕食分のおにぎり二千個、ペットボトルの飲料水千二百本、十五日朝食分の牛乳七千本、パン七千個など救援物資を配布した。
 県警によると、十四日午前九時半ごろ、三条市条南町、無職菅原フミさん(76)が自宅階段付近で水死しているのを住民が発見、通報した。
 県警や県が十四日午後八時現在でまとめた被害状況によると、床上、床下浸水は被災状況が判明した三島三島町を含め、二万二千六百四十八棟に増加。全壊した住宅も同町の二棟を含め計五棟。避難所の住民は十四日夜、十市町村で前日より一万二千百五十五人少ない七千六百三十三人だった。
 避難勧告は九市町村、一万三千二百三十四世帯に出ているが、見附市の避難指示や、栃尾市、南蒲栄町、出雲崎町の避難勧告の一部を解除した。
 大雨の影響で始発から列車の運転を見合わせていたJR県内のJR各線は十四日夕方までに、上越線と越後線の一部で運転を再開した。しかし、米坂線の坂町―小国間、。只見線の小出―大白川間は運休、十五日の始発列車から運転再開する。

◎一級河川の決壊8カ所

 県河川管理課によると、十四日午後七時現在、県内の一級河川八カ所で決壊しているが、水位が下がったため越水している個所はない。クレーンなどを使って大型土のうを積む、仮締め切り作業が行われている。
 決壊したのは、三条市曲渕の五十嵐川左岸(百三十メートル)、見附市明晶町の刈谷田川右岸(三十メートル)、同市河野町の同川左岸(七十メートル)、南蒲中之島町中之島の同川左岸(六十メートル)、中蒲村松町下大蒲原の能代川左岸(二十メートル)、見附市池之島町の稚児清水川左岸(二百メートル)と同右岸(二百八十メートル)、長岡市富島町の猿橋川左岸(十四メートル)。
 このほか堤防の一部決壊が三十八カ所、水が堤防からあふれるなどしたのは五十五カ所にのぼった。

◎今夕まで大雨警戒

     十三日に記録的な豪雨に見舞われた県内は十四日、梅雨前線の停滞は続いたものの、雨は一旦小康状態となった。新潟地方気象台は、十五日も朝から夕方にかけ、中下越で再び大雨になる地域があるとして、河川のはんらん、土砂災害への警戒を呼びかけている。
 十四日夕から十五日夕までの二十四時間雨量が一五〇ミリに達する大雨の可能性があるのは、新潟、新発田、五泉、長岡、三条、小出の各地域。ピークは同日昼すぎで、一時間最大雨量が四五ミリに及ぶ激しい雨が予測される地域もある。雨はピーク後も降り続く見込み。
 同気象台では、十二日からの雨で地盤が緩んでいる地域もあり、少量の雨でも地滑り、土砂崩れの可能性があるとして注意を呼びかけている。

◎惨事 高齢者襲う

◎犠牲者全員70歳以上 2階は遠く 力尽き

 中、下越に被害をもたらした集中豪雨で、十四日までに六人の犠牲者が出た。いずれも七十歳以上のお年寄りだった。寝たきりや独り暮らしの人もいた。自宅や空き地、裏山で、濁流や土砂が容赦なく弱者を急襲した。水かさが上がる一階から必死で二階に上がろうとしたが、力尽きた人も。懸命な救助活動を続けた地元消防団員は、助けられなかった悔しさと悲しみにただ立ち尽くした。
 三条市で亡くなった三人は、いずれも水死。三条署の調べでは、うち女性二人はそれぞれ独り暮らしで、一人は自宅近くの空き地、一人は自宅の階段で見つかった。  五十嵐川左岸堤防(同市諏訪新田)が決壊して流れ込んだ濁流は、逃げる間もない速さで住宅地をのみ込んでいった。
 同市南新保六で亡くなった佐藤石太郎さん(78)は、足が不自由で寝たきりだった。一階ベッドで寝ていた石太郎さんを、妻(77)が二階に抱え上げようとしたが、間に合わなかった。
 十四日、遺体が発見された同市条南町の菅原フミさん(76)は二階に上がる階段にもたれ掛かっていた。刈谷田川の決壊現場の近くに住む南蒲中之島町の浅野キクエさん(72)は外に逃げ出したところ、濁流にのまれ、歩道の手すりで掛かった姿で見つかった。  「ほんの十五分ほど家を空けたら、一帯がすっかり水につかっていた」と驚く同市月岡二の会社員男性(42)。ある市議は「堤防決壊の情報が下流部に伝わるひまがなかった。まったく想定外だった」と振り返った。
 同市災害対策本部によると、堤防が決壊したのは十三日午後一時十分ごろ。平日の昼間で、消防団を支える若者は仕事中だった。「集まったのは半分くらいだった」。約百二十人で構成する本成寺分団の団員(42)は、悔しそうに語った。
 対策本部の置かれた同市役所には、家族らの安否確認に訪れる人が、十四日夜も後を絶たない。消防や県警は、独居老人に特に配慮し、各戸をボートで回って確認し続けた。

◎中之島と見附−避難所生活いつまで

 豪雨被害から二日目の避難所生活となった三条、見附市などの被災地では疲労もピークに達し、「避難所の生活がいつまで続くのか」と不安そうな住民が目立った。
 三条市は十四日、水が引かずに孤立していた四日町小、条南小の避難所にいた住民を、浸水被害のない厚生福祉会館などに移送した。同館には食料や毛布、紙おむつなどの救援物資を積んだトラックが次々と到着し、市職員らが手際よく住民に配布していた。
 避難生活に、住民の疲労の色は濃い。三条市南四日町二の無職堀越美和さん(64)は「きのうの避難所は近くで救援ヘリが盛んに飛び、爆音で眠られなかった。孫たちとバラバラになったのがさみしい」と元気なく語っていた。
 南蒲中之島町では、住民約八百人が四カ所の避難所で夜を迎えた。自宅の一階が浸水したり、泥や木材が流れ込んだりして帰る見込みのない町民が多かった。
 約五百人が避難している町民文化センターには自宅の片づけなどをしていた人が午後六時すぎに次々に戻り、食事を受け取っていた。毛布にくるまってじっと横になっているお年寄りの姿も。
 同町中之島の無職男性(57)は「家の中の泥を出さないと帰れないが、あまりに多くてどうすることもできない。せめて道路の泥だけでもなんとかしてほしい」と、見通しの立たない避難生活に疲れ切っていた。
 自宅の二階に取り残され、十四日朝にようやく脱出したという同町中之島の自営業高橋建一さん(73)は「昨日はほとんど寝られなかった。ここは安全だろうから、少し安心している。しばらくは帰れないと覚悟している」とぐったりした様子。
 一方、見附市では、市内六カ所で約百人が避難生活を余儀なくされている。約二十五人が避難している市の総合体育館では、いったん帰宅し、自宅や店舗の片づけを終えた一部の住民が夕方ごろから、泥だらけの服のまま、足を引きずるように戻ってきた。
 家族四人で避難している同市月見台二の無職男性(66)は「家の中を片づけるだけで一週間以上かかりそうだ。早く自宅で過ごしたい」とこぼしていた。

◎中之島−各地で孤立相次ぐ
 発令から12分後に決壊、町の対応疑問視

 刈谷田川が決壊した南蒲中之島町中之島では発生当日の十三日、多くの住民が逃げ遅れ、約百人が自宅二階で孤立した。十四日未明、消防隊により救助されたが、住民から「避難勧告が遅すぎた」と町の対応を疑問視する声が上がっている。
 決壊現場の同地区に避難勧告が出されたのは十三日午後零時四十分。それからわずか十二分後に刈谷田川は決壊した。
 同川右岸側の見附市は、決壊の危険性が高まったため午前十一時に対策本部を設置、同町より三十分以上も早い、午後零時七分には五千二百三十二世帯に避難勧告を出していた。
 逃げる途中に濁流にのみ込まれて、亡くなった同町中之島、無職浅野キクエさん(75)の自宅は決壊現場から百メートルの距離。氾らんした流れが自宅を直撃した。未明に救助された会社員の男性(42)は「避難を呼びかける広報車が回ってきたが何を言っているか分からず、五分後には泥水があふれて逃げられなくなった」と憤る。
 五十代の主婦は「広報車が来て『…切れました』と聞こえただけ。サイレンも鳴らず、すぐにバーッと水が上がった。すごい激流で家が流されるんじゃないか不安だった」と震える。
 同町は避難勧告を出す二時間前に、刈谷田川が警戒水位を超えたことを把握していたが、「巡視を強化していたし、これまでの経験から大丈夫」と判断したという。だが決壊でライフラインが寸断、役場も孤立。佐々木保男助役は「正直言って、あの場所が決壊するとは思わなかった」と予想を超えた猛威に肩を落とした。

◎見附−刈谷田川決壊堤防の復旧に着手
 三条でも堤防復旧始まる

 刈谷田川左岸が決壊した見附市今町地区では、県が十四日早朝から堤防の復旧作業に着手、今後は天候をにらみながら二十四時間態勢で作業を進めていく。
 県と県建設業協会長岡支部は災害時の協定書に基づき、民家の多い同地区の作業優先を確認。準備が整い次第、同市庄川町、太田町の決壊個所でも復旧に取りかかる。今町地区では、巨大なコンクリートを決壊個所に据えた後、土を盛って濁流の流入を食い止める仮堤防づくりを行った。県はコンクリートの回収、重機の確保し、復旧作業を急ぐ。
 平沢修爾・県長岡地域整備部長は「仮堤防完成後、たとえば堤防を高くするとか川幅を広げるとか、これからの対応策について検討する」と話している。
 一方、三条市で決壊した同市諏訪新田の五十嵐川左岸堤防の復旧作業が始まった。同所をはじめ一部地域には住民らが帰宅、復旧に向け、大水害の後に現れた「泥の海」との格闘がスタートした。
 同市や県三条土木事務所などは同日午前六時、堤防の決壊部分に仮堤防を設置する工事を開始。午後には同事務所職員や自衛隊員らが土のうの積み上げ作業に入った。同市災害対策本部は「十五日にも設置したい」としている。
 決壊現場の諏訪新田地区の被災住宅では、洪水のすさまじさを物語るように、地上二メートル付近まで水の跡が残り、屋内には十センチ以上の土砂が積もっていた。帰宅した住民らはわが家の惨状にショックを受ける暇もなく、かき出し作業に追われた。
 同日午前に避難所から帰宅した同所の農業男性(58)は「畳が浮き、農機具がひっくり返るなど屋内はめちゃくちゃだ。田んぼも泥で埋まってしまった」と話し、黙々と作業を続けた。

◎閣僚らが被災現地を視察

 中、下越の集中豪雨被害で十三日、井上喜一防災担当相を団長とする政府調査団が三条市を訪れ、五十嵐川の堤防決壊現場など被災地を視察した。井上防災相は会見で「災害拡大を防ぐため、堤防補修など応急措置が急務で、国も全力を挙げて支援したい」と述べた。
 井上防災相は「家庭への生活支援や被災した中小企業への支援も考えなくてはならない。被害状況のデータが整えば(災害救助法など)必要な法の適用は常識的な結論だろう」と語った。
 同市には同日、消防庁の林省吾長官も訪れ、同市役所の災害対策本部で、「犠牲者が増えることのないよう、地元の要請を聞いて対応したい」と語った。

◎集中豪雨、地場産業を直撃
 三条・栄の金属機械、繁忙期の見附ニット

 十三日の集中豪雨は県央や中越地区の地場産業、金属・機械加工業者、繊維メーカーを直撃した。自治体や業界の組合などによると、被災地域内の企業、工場には十四日はまだ近づくこともできず「被害の全容がつかめない」(三条市商工課)状態。生産設備への影響のほか、今後、納期の遅れなどから生じる損失など被害額は膨らむとみられる。
 【金属・機械加工など】県や三条市などの情報によると、決壊した五十嵐川左岸の嵐南地区では製造業六百十一社の大半が浸水し、機械などの設備に被害が出ているとみられている。
 同地区のコロナは床上一メートルの浸水で、工場一階にあるプレス機や溶接機などの工作機械が水につかった。同社では十五日から機械の洗浄や修理を始め、早ければ二十日から一部再開したい考えだが「破棄しなければならない機械もあるかもしれず、被害額は見当がつかない」(広報室)という。季節商品のエアコンは、被害を免れた見附市の物流センターにある在庫で当面、対応する。
 また、南蒲栄町に隣接する同市の金子新田工業団地では、九十五社のうち八十社が浸水したとみられる。
 【繊維】見附ニット工業協同組合によると、見附市のニット業者では四社が床上浸水、数社が床下浸水した。
 ニット原料や製品への被害はなかったが、編み機が一部水につかった。秋冬物ニット生産の繁忙期を迎えており「納期に間に合うか心配」(同組合)という。
 県産業振興課によると、見附市の染色業者で織物や染色用機械が水につかったという。
 栃尾織物工業協同組合によると、栃尾市の織物業者一社で工場内に泥が入ったほか、別の織物業者でも床上浸水で機械が故障した。

●7月13日夕刊−14日夕刊●

◎死者5人、1万9788人が避難所に

 梅雨前線の停滞で猛威をふるった中、下越の集中豪雨は、十四日朝までに栃尾市で四三〇ミリに達した。堤防の決壊などによる床上、床下浸水が合わせて二万二千二百八十六棟に上り、十四市町村で計一万九千七百八十八人の住民が避難所で一夜を明かした。死者は三条市と南蒲中之島町で新たに一人ずつ確認され、計五人となった。また中之島町災害対策本部によると、同町で行方不明者が四人いることが判明。津川町の一人を含め、計五人となった。
 県警、自衛隊ヘリは水没した家屋に取り残された住民の救出活動を展開。十三日に計百四十一人を救出、十四日は午前九時半までに三条、見附、中之島町で計五十四人を救出した。また県の派遣要請で消防庁の緊急消防援助隊が同日未明から三条市や見附市、中之島町に出動した。
 県危機管理防災課によると、避難住民が多かった三条市では十四日昼から夕方にかけて被災者用の食料品が不足する恐れがあるとして、民間在庫などから調達して対応する方針。
 県警によると、三条市で十四日午前五時半前、浸水した地域をパトロール中の消防署員が同市曲渕、無職堀内マツさん(75)の水死した遺体を発見。また同七時半前、中之島町役場付近で救助活動中の消防署員が同町中之島、無職浅野キクエさん(75)の遺体を発見した。
 県教委によると、帰宅できずに学校などで宿泊した児童生徒、職員は十三日午後十時現在、三条、見附、中之島町などで六小学校の児童四百五十人、職員百九人、十三中学校の生徒千五十一人、職員二百五十五人。長岡、栃尾、三条市の八高校で生徒二百四十五人、教職員百三十二人が校舎内で待機した。また十四日は、十三市町村の小学校五十四校、中学校二十三校が休校、見附高校など十九校が休校となった。
 県警や県が十四日午前十時現在でまとめた被害状況によると、三条市で床上、床下浸水が計一万四千七百六十七棟に達した。避難勧告も新たに白根市など十五市町村、二万千二百二十七世帯に及んだが、見附市の避難指示は約半数にあたる二千五百六十世帯が一部解除となった。
 県内のJR各線は十四日、大雨の影響で始発から各線で運転を見合わせた。正午現在、運転見合わせ区間と運休本数は次の通り。
 信越線(新津―宮内、五十一本)上越線(長岡―宮内、十九本)只見線(全線、八本)越後線(吉田―柏崎、十五本)弥彦線(吉田―東三条、十五本)磐越西線(馬下―喜多方、十五本)。

◎三島郡議会の延期相次ぐ

 三島与板町議会は十四日、六月定例会本会議を開いた。補正予算案や請願、陳情などを審議する予定だったが、町側が豪雨被害対策、調査にあたるため、審議を十五日に延期することを決め、すぐに閉会した。一般質問は予定通り十六日に行われる。同出雲崎町議会も十四日、交通安全対策などの補正予算案を審議する臨時会を開く予定だったが、豪雨被害で流会となった。

◎政府が現地調査団を派遣

 下・中越を襲った豪雨被害で、政府は十四日、井上喜一防災担当大臣を団長とする現地調査団を派遣することを決めた。同日午後に出発する予定。
 内閣府によると、調査団は、国土交通、厚生労働、農水の各省、警察庁などからなる約三十人。避難所や施設などを回り、現地の要望を聞き取る。その上で、今後の支援態勢を検討していく。
 細田博之官房長官は同日午前の記者会見で「大水害といえる。(関係各機関が)連携して、原状回復に対応しなければならない」と述べた。

◎高校野球2日順延

 県高校野球連盟は十四日、下越、中越地方を襲った集中豪雨のため、十五日に開幕する予定だった第86回全国高校野球選手権新潟大会を二日順延し、十七日に開会式(新発田市五十公野球場)を行うことを決めた。組み合わせなどに変更はなく、決勝は二十九日(当初予定は二十七日)となる。
 県高野連によると、三条高や県央工高などでは校舎内にも浸水。野球用具も水につかるなど被害が出ているという。

◎校舎で一夜明かした児童生徒帰宅

 周りを水で囲まれ、学校で一夜を明かした南蒲中之島町立中之島中央小と中之島中の生徒・児童計四百七十一人は、水が引き始めた十四日早朝から保護者に付き添われ帰宅を始めた。親の安否や自宅の状況も分からない子供たちもおり、表情には安どと疲労が入り交じっていた。
 両校はこの日朝、町教委の判断で、保護者がつくか、迎えに来た場合に子供たちを帰宅させることを決めた。
 二百七十五人の児童が泊まった中央小では、前日の授業参観で来校したまま泊まった保護者も五十六人いた。同町中之島の瀬野範子さん(32)は二年生の男児と帰宅。「一晩一緒にいられてよかった。携帯の充電機もなくみなさん連絡や安否確認で精いっぱいだった」と話した。
 朝起きて学校へ駆けつけた近くの会社員高橋晋さん(36)は「連絡が付いていたので安心していた」と話すが、六年生の新くん(11)、四年生の幸太くん(9才)兄弟は「家が壊れていないか心配だった」とほっとした表情。朝まで両親の無事が確認できなかった五年生の中村楓さん(10)は「すごく心配で眠れなかった」と話した。
 夕食は炊き出しのおにぎりを食べ、毛布も深夜までに全員の分が運ばれた。東樹哲夫校長は「けがもなく全員が無事に過ごせてよかった」とほっとした様子。
 百九十六人が泊まった中之島中の水野正昭校長は「歩いてでも帰るという生徒もいた。心配は強かったようだ。今日のうちに全員を親元に帰したい」と話した。
 栃尾市の県立栃尾高校では、長岡、見附両市などから通学する生徒約百十人が夜を明かし、十四日早朝から、迎えにきた保護者らの車に分乗して帰宅を始めた。
 同校には十三日午後十時すぎ、宿泊用の毛布が届けられ、生徒たちは同窓会館と柔道場に分かれて泊まった。見附市細越から通う小林和道さん(16)は「自宅は床上までは水がきていないと聞いてほっとした。疲れました」と話した。

◎一夜明けて不安消えず

 局地的豪雨による被害が出た、南蒲中之島町や見附市では、多くの住民が避難所で不安な一夜を過ごした。
 中之島町の町民文化センターでは約千人が避難したまま朝を迎えた。空が白んだ午前五時、多くの人が目を覚まし、テレビの災害情報に耳を傾けたり、自宅の様子を見に行ったり、あわただしく動き始めた。同六時にはお茶やジュース、おにぎりなど、朝食千食分のほか、着替えの下着も配布された。
 高校生の娘と避難していた同町中之島の会社員丸山稔さん(42)は「まだ二人の子供が学校に取り残されているが、先生と一緒だから大丈夫だろう」とやつれきった表情で話した。
 同九時すぎ、濁流のため校内に閉じこめられていた小、中学校の児童や生徒六十人がようやく同センターに到着し、家族と合流した。中之島中二年の五十嵐彩乃さん(13)は「心配だったけど、後になったら水が引くと思っていた。家族に会えて安心した」とほっとしていた。
 見附市では、同五時ごろ、周囲が冠水して取り残されていた織物染色会社の社員約八十人がようやく救助され、避難所の見附小に到着。救助された男性(64)は「会社は真っ暗。不安でいっぱいだった」とやつれた様子。社員の和田典男さん(56)は「一部は屋根づたいに避難した。けが人がなくて良かったが、約一万反が台無しになってしまった。いつから仕事ができるのか」と心配そうに語った。
 約六百人が避難した同市中央公民館では眠れぬ夜を過ごした多くの住民が早朝から外に出て、川と化した道路をぼうぜんと眺めていた。
 同市本町二の男性(75)は「早く帰りたい。もう泊まりたくない」と疲れ切った表情。同市南本町三、会社員坂上幸子さん(36)は「小学三年の息子がまだ学校に残っています。子供の顔を見るまで心配です」と不安そうだった。

◎長岡市で未明の救出劇

 道路の冠水で孤立していた長岡市福井町の住民約九十人が十四日午前三時すぎ、自衛隊のボートで全員無事救助され、疲れ切った表情で避難所へ向かった。
 同集落のある同市新組地区には十三日昼すぎに市の避難勧告が出た。多くの住民が避難する一方、夕方以降、道路にあふれ出した水が急激に増加し、お年寄りやいったん家に戻った住民が取り残された。このため、同市は自衛隊高田駐屯地に救助を要請。十四日午前一時すぎ、避難所となった地区コミュニティーセンターに隊員約九十人が到着し、同三時前から救助を始めた。
 センターと孤立地域を結ぶ道路は、深さ四十センチほどの濁流が勢いよく流れ、付近の水田とまったく区別が付かない。隊員は二艘の手こぎボートをこぎ、乳児を連れた妊婦さんや老夫婦、家族と離ればなれになった人を次々救助した。
 風呂敷包みの荷物を抱えてボートを下りた女性は「畳をあげたり、大変だった。夜になるに連れてとても不安だった」と未明の救出劇に安どの表情。ある男性は「朝方からまた雨が降ると言うし気が気でなかった」と話した。

◎1万3513世帯に避難勧告

 十二日夜から梅雨前線の影響で降り始めた強い雨は十三日、中、下越地方で猛威をふるい、栃尾市で同夜までに四〇〇ミリを超えるなど記録的豪雨になった。三条市や栃尾市、見附市などの信濃川本支流域、五泉市や東蒲の阿賀野川流域で堤防の決壊、増水で床上、床下浸水が県内で計七千五百三十九棟の被害が出た。土砂崩れなどで二人が死亡、一人が行方不明。避難勧告・指示は三条市や見附市など十二市町村で計一万三千五百十三世帯に及び、避難者は三条市で四千五百六十二人、南蒲中之島町で千二百二十二人に上った。交通網も寸断された。県の派遣要請に基づき、自衛隊が長岡、見附市など被災地に出動。また、県は同夜、消防庁に緊急消防援助隊の派遣を要請した。

◎小中学校高校で児童・生徒待機

 集中豪雨のため十三日午後九時半現在、県内では見附市、三条市、南蒲中之島町など五市町村の小・中学校十五校に、千百九十五人が帰宅できず学校にとどまっている。
 県教育委員会によると、小学校八校に五百二十七人、中学校七校に六百六十八人が待機。このうち十校では、学校が避難所であるため、保護者とともに宿泊をする。
 一方、長岡、栃尾、三条の三市の高校七校でも、午後六時四十五分現在で、生徒二百六十五人が学校での宿泊を決めた。

◎保育園児たちがヘリで避難

 南蒲中之島町では、周囲を水に囲まれ、孤立した小・中学校二校と町役場など計四カ所で児童・生徒、住民ら一千人近くが自宅に帰れないまま不安な一夜を明かしたほか、自宅二階に取り残された町民は約百人に上った。町役場では電気や電話が止まり、役所の機能が完全にマヒ。避難対応が混乱し、大きな影響が出た。見附市でも四千人近くが避難所で一夜を明かした。
 同町内で浸水で取り残されたのは、中之島中央小、中之島中、農村改善センター、町役場。中央小では授業参観に来ていた父兄も含めて三百八十五人が避難できず、夜遅くまで救援の布団が届くのを待った。中之島中でも生徒ら二百三十人が残され、教室や図書館に泊まった。
 町役場には職員約六十人と避難していた住民約四十人が孤立。役場内に対策本部を設置したものの電話も通じず、日没後は職員が暗闇の中で携帯電話で連絡を取った。夜になって職員数人が、約一キロ離れた町民文化センターに自力で移り、役所機能を一部移転。午後九時半前、出張していた樋山粂男町長がようやく同センターに到着し、指揮に当たった。
 中之島保育園では、園児ら七十七人が一時取り残され、自衛隊のヘリコプターが約四時間かけて救助。午後七時半には全員が助け出された。松井光子所長は「役場と避難の相談をしていたら突然水が来た。昼寝していた園児を起こして二階に逃げた。全員無事でよかった」と安心した様子。園児の山口夢唯ちゃん(3才)は「水が背よりも高いところにきて怖かった」と話していた。
 一方、見附市では市内二カ所で刈谷田川の堤防が決壊。五千二百三十二世帯に避難勧告が出され、午後十時を過ぎても二千八百人以上が避難所で夜を過ごした。同市内には自宅に取り残されている人が多数おり、深夜まで安否の確認と救助が続いた。

◎土砂崩れで女性死亡

 十三日午後一時半すぎ、三島出雲崎町中山、無職南波貞雄さん(75)方の住宅が裏山から崩れた土砂で全壊、妻久恵さん(72)が自宅で発見されたが、約四時間半後に脳挫傷で死亡した。〈与板署〉

◎さらに豪雨の恐れ
 県内は十二日夜から、中、下越地方を中心に局地的に記録的な集中豪雨となった。最も激しい降雨となった栃尾市の十三日午前零時―午後八時までの降水量は四一四ミリで、日降水量(零時―二十四時)で統計を取り始めた一九七九年以降、県内過去最高となった。十四日も昼すぎまで中、下越地方で激しい雨が予想され、新潟地方気象台は厳重な警戒を呼び掛けている。
 同気象台によると、日本海から県内に伸びた梅雨前線が停滞。南からの温かく湿った空気と大陸方面からの冷たい空気が県内上空に入り込み、大気の状態が不安定になって積乱雲が続発、局地的に持続して大雨を降らせた。  十四日も梅雨前線が日本海から県内に停滞、再び活発化するもよう。同日昼すぎまで、新潟市や五泉市、長岡市などを中心に一時間に三〇―五〇ミリの非常に激しい雨が降り、多いところでは降り始めからの総雨量が五〇〇ミリを超えるところもある見込み。
 中、下越地方、福島県会津地方では過去数年間で最も土砂災害の危険性が高まっているほか、河川の水位も上がっているため、同気象台は土砂崩れや河川のはんらんなどに警戒するよう注意を喚起している。

◎三条市の堤防決壊

 三条市内では十三日午後一時過ぎ、同市諏訪新田の五十嵐川左岸の堤防が七十メートルにわたり決壊、濁流が同川南部の嵐南地区に広がった。決壊現場に近い月岡小学校は水に囲まれて孤立、児童や避難住民ら約千人が足止めされ一泊することになった。
 家屋が水没した月岡、曲渕地区などでは自衛隊や消防、警察のボートが住民を救出。同市諏訪新田、会社員志賀富夫さん(57)は突然水が来て流され、妻を背負って近くの家の二階に逃げて救助されたという。妻と二人でボートを降り「とにかく命が無事でよかった」とほっとした表情を見せた。
 川の流れが強く、同日夕には決壊部分が広がるなど本格復旧作業に入れないため、決壊現場まで重機を入れるための工事などが夜も行われた。
 同市は午後四時半、同地区の全世帯一万五百五十五世帯に避難勧告を出した。また、災害対策本部を発足させた。

◎新潟気象台・警報の発令見送る

 新潟地方気象台は十三日に中、下越地方を襲った記録的豪雨について十二日夕方に気象情報として発表していたが、この段階では警報を発令していなかった。警報の発令遅れについて、同気象台は「警報発令の影響からして、予報の確実性を重視したため、警報発令を見送った」と釈明した。
 同気象台によると、十二日朝から県内では大雨が降りやすい気圧配置になっていた。このため、同日午前五時半すぎに初めて「大雨に関する気象情報」をインターネットのホームページで発表。十二時間後の同日午後五時すぎには、佐渡、下越地方で降り始めからの降水量を一六〇ミリとなるとの予報をしたが、予報の確実性を重視し、警報の発令を見送った。
 十三日午前五時ごろ、新たな観測データを基に再度分析したところ、降水量予測を逆に一二〇ミリに下方修正した。しかし、午前六時には、既に三条市では三八ミリと、警報級の降水量を記録していた。これを受け、同気象台は同日午前六時半、急きょ、三条市、五泉市、長岡市などに大雨、洪水警報を発令した。
 同気象台は「集中豪雨を予報するのは難しい。しかも、今回は降水量を下方修正した後に、急激に雨雲が発達した」と説明、「これからは細かい現象も予想できる技術を上げていきたい」としている。

◎避難所で不安な一夜

 三条市内では小中学校や高校など市が指定した避難場所や、住民が自主的に集まった企業などの自主避難先、合計五十カ所余りで約五千二百人が不安な一夜を過ごした。
 午後七時ころから市による炊き出しのおにぎりなどが住民に配られ始めた。同市元町の三条小学校体育館には百六十人余りが避難。着替えや食べ物など大きな荷物を持ち寄った人たちは横になったり、肩を寄せ合って話したりしていた。
 同市西四日町の女性会社員(49)は「自宅の一階は胸あたりまで水が入っていて入れない。両親と夫、中学生の子どもが二階に取り残されていて心配です。明日朝一番に自宅の様子を見に行きます」と疲れた表情で話していた。
 一方、南蒲中之島町中野中の地域福祉センターには約百人が避難。二階ホールでは、住民たちが落ち着かない様子で横になったり、顔見知りと話をしたりしていた。小根山順子さん(36)は「家の周りの田んぼがどんどん水かさを増した。突然のことでまだ信じられない。早く家に帰りたい」と話していた。
 見附市の今町小体育館は約一千人の住民で埋まった。同小校長が「避難勧告はまだ続いています」と状況を説明するたびに、落胆したため息が漏れた。同市三林の男性(61)は「もっと雨が降ったらどうしようか」と不安そうに話していた。
 長岡市浦瀬町の山本コミュニティーセンターには百数十人が避難。同地区では数世帯が孤立、救助を待っていることもあり、住民たちは疲れ切った表情で事態を見守っていた。

◎8.4水害上回る豪雨

 集中豪雨に見舞われ河川決壊など各地で被害が拡大している県内は、十三日、三条、見附、栃尾、白根、五泉市など計十一市町村、約一万三千世帯に避難勧告・指示が出された。小中学校や福祉センターなどの避難所では多く住民が不安な一夜をすごした。同日午後九時前、県は消防庁に緊急消防援助隊の出動を要請した。同日午後九時現在、長岡市の猿橋川流域の二百六十五世帯をはじめ床上浸水約三百三十世帯、床下浸水約八百四十世帯に上っている。磐越自動車道、国道49号など幹線道路やJRも寸断している。気象庁によると中、下越を中心とした二十四時間雨量は多い所で三〇〇ミリを超えており、一九九八年八月四日の「8・4水害」を上回る豪雨となる可能性があるとしている。新潟地方気象台によると十三日夜から十四日午前零時にかけては北魚小出町などで一時間に五〇ミリを超える激しい雨が局地的に降る恐れがあり、地域によっては降り始めから五〇〇ミリを超える所もある。同気象台では引き続き北陸地方に前線が停滞するとみて洪水、土砂災害などへの厳重な警戒を呼びかけている。

◎JRの影響

 【JR】同日午後八時十五分現在、信越線は新津―柏崎間で運転を見合わせ、上下線の特急列車十本と普通列車七十七本運休したほか、磐越西線や越後、上越、只見の各線で合わせて百二十六本が運休。夜行列車は上下線の寝台特急あけぼの号が経路を変更し運行した以外は、十四本すべてが運休した。

◎各地避難所の様子

 南蒲中之島町中野中の地域福祉センターには約百人が避難。二階ホールでは、住民たちが落ち着かない様子で横になったり、顔見知りと話をしたりしていた。午後六時ごろ、炊き出しのおにぎりが配られた。小根山順子さん(36)は「家の周りの田んぼがどんどん水かさを増した。突然のことでまだ信じられない。早く家に帰りたい」と話していた。
 約二百五十人が避難した三島与板町体育館では同町江西の主婦鈴木かの子さん(54)が「十年住んでいますが、こんな騒ぎは初めてです。避難所は人が多く、寝られるか心配」と話した。
 見附市の今町小体育館は約一千人の住民で埋まった。同小校長が「避難勧告はまだ続いています」と状況を説明するたびに、落胆したため息が漏れた。同市三林の男性(61)は「もっと雨が降ったらどうしようか」と不安そうに話していた。約三百人が避難した同市の見附小体育館は疲れ切った表情で言葉も少なく、携帯電話で知人の安否を確認したりラジオに耳を傾けたりした。
 長岡市浦瀬町の山本コミュニティーセンターには百数十人が避難。同地区では数世帯が孤立、救助を待っていることもあり、住民たちは疲れ切った表情で事態を見守っていた。山本中二年の竹内浩之君(14)は「仕事に行っている両親と早く会いたい。家がどうなっているか…」と心配そうに話していた。

◎地銀、信金が店舗の営業停止

 三条信用金庫は、一ノ木戸支店など三条市内五店舗の営業と、同店舗を含む八店舗の現金自動預払機(ATM)の営業を停止した。
 第四銀行は三条東支店、見附市の今町支店、北越銀行は三条市の一ノ木戸支店、見附市の今町支店、三島和島村の島崎支店の営業を停止した。

◎集中豪雨の被害拡大

 集中豪雨に見舞われ河川決壊など各地で被害が拡大している県内は、十三日、三条、見附、栃尾、白根、五泉市など計十一市町村、約一万三千世帯に避難勧告・指示が出された。小中学校や福祉センターなどの避難所では多くの住民が不安な一夜をすごした。十三日午後七時現在、三島和島村などで床上浸水約六十世帯、床下浸水約八百四十世帯に上っている。磐越自動車道、国道49号など幹線道路やJRも寸断している。気象庁によると中、下越を中心とした二十四時間雨量は多い所で三〇〇ミリを超えており、一九九八年八月四日の「8・4水害」を上回る豪雨となる可能性があるとしている。新潟地方気象台によると十三日夜から十四日午前零時にかけては北魚小出町などで一時間に五〇ミリを超える激しい雨が局地的に降る恐れがあり、地域によっては降り始めから五〇〇ミリを超える所もある。同気象台では引き続き北陸地方に前線が停滞するとみて洪水、土砂災害などへの厳重な警戒を呼びかけている。

◎豪雨で停電

 東北電力新潟支店によると、土砂崩れで電柱が折れたり、配電機器破損などで、朝から、栃尾市や三島出雲崎町など県内九市町村で、最大約一万五千九百世帯が停電。三条市では西三条変電所が冠水、送電できなくなり、午後二時半すぎから夜まで約一万千二百世帯で停電が続いた。

◎栃尾高校150人が夜明かし

 栃尾市の県立栃尾高校では、自宅に帰れない約百五十人が学校で一夜を明かした。同市は市外へ通じる幹線道路がすべて寸断され、陸の孤島¥態。路線バスも運休となったため、長岡市や見附市などから通学する生徒が足止めを食らい、二つの体育館と武道場で泊まった。
 見附市本所から通う早川竜太さん(16)は「見附も被害が出ていると聞き心配したが、電話したら大丈夫といわれて安心した。早く帰りたい」と話していた。

◎判明した死者・行方不明者

 死亡=栃尾市北荷頃、農業今井喜八郎さん(83)、出雲崎町中山、無職南波久恵さん(72)。
 行方不明=津川町栄山甲、無職清川きよのさん(72)。

◎コンビニも混乱

 商品の配送遅れや、まとめ買いの影響で品薄状況が続いた。ローソン新潟地区事務所(新潟市)によると、三条市などで配送遅れが出たほか、多くの店でおにぎりやサンドイッチ、水などの商品が品薄に。セブンイレブン・ジャパン広報室(東京)は「道路の寸断で配送トラックが行けない、孤立した店舗もある。県内の営業担当者が終日状況確認に追われている」と話した。

◎道路通行止め(13日午後7時現在)

 ◆高速道
 【磐越道】津川―会津坂下
 ◆国道
 【49号】津川町三郷―福島県西会津、三川村揚川―津川町大牧【252号】入広瀬村柿ノ木【289号】三条市麻布―篭場、下田村大谷【290号】栃尾市表町―吹谷【351号】長岡市新榎トンネル、栃尾市平成大橋、栃尾市大野町【352号】長岡市栖吉、出雲崎町米田―石井町、与板町阿弥陀瀬トンネル、柏崎市椎谷【402号】寺泊町郷本、同山田、同松沢町、巻町間瀬【460号】白根市臼井橋
 ◆県道
 【阿弥陀瀬上条線瀬】三島町逆谷【角島鹿瀬線】鹿瀬町鹿瀬【三条停車場線】三条市新大橋、同南新保【白根安田線】白根市小須戸橋【大面保内線】三条市上保内、同渡瀬橋【寺泊西山線】出雲崎町舟橋、和島村島崎【長岡栃尾巻線】栃尾市九川、同北荷頃【長岡見附三条市】長岡市富島町、三条市常磐橋、見附市本町、栄町高安寺【新潟五泉間瀬線】五泉市菅沢、白根市庄瀬橋【与板北野線】与板町本与板【麓野積線】寺泊野積―弥彦村麓【見附栃尾線】見附市太田町、同細越
※国道49号の情報は新潟国道事務所、025(244)2159。8号、116号は長岡国道事務所、0258(36)4551。

◎JR情報(13日午後6時現在)

 【信越本線】
 柏崎―新津駅間で上下の普通列車が運転見合わせ。このほか上り特急北越2号など10本が運休。普通列車55本が運休。
 【夜行列車の運休】(13日始発)
 上り 寝台特急日本海2号青森駅16時45分発大阪駅行き▽寝台特急日本海4号函館駅16時39分発大阪駅行き▽寝台特急北陸号金沢駅22時12分発上野駅行き▽急行能登号金沢駅22時15分発上野駅行き▽急行きたぐに号新潟駅22時54分発大阪駅行き▽快速ムーンライトえちご号新潟駅23時33分発新宿駅行き▽寝台特急トワイライトエクスプレス号札幌駅14時05分発大阪駅行き 五稜郭駅・大阪駅区間運休▽
 下り 寝台特急日本海1号大阪駅17時47分発函館駅行きり寝台特急日本海3号大阪駅20時17分発青森駅行き▽急行きたぐに号大阪駅23時27分発新潟駅行き▽寝台特急北陸号上野駅23時03分発金沢駅行き▽急行能登号上野駅23時33分発金沢駅行き▽快速ムーンライトえちご号新宿駅23時09分発新潟駅行き▽寝台特急トワイライトエクスプレス号大阪駅12時00分発札幌駅行き 直江津駅・札幌駅区間運休
 【磐越西線】馬下駅―喜多方駅間上下列車運転見合わせ。20本が運休。
 【越後線】柏崎駅―吉田駅間上下列車運転見合わせ。41本が運休。
 【只見線】小出駅―只見駅間上下列車運転見合わせ。4本が運休。
 【上越線】小出駅―長岡駅間上下列車運転見合わせ。22本が運休。
 【白新線】5本が運休。

◎陸自が災害派遣

 自衛隊は十三日、県の災害派遣要請に基づき、三条、見附両市と南蒲中之島町に部隊を派遣した。各部隊は、河川の堤防決壊を防ぐための土のう積みや、取り残された住民の救出などにあたった。
 陸上自衛隊新発田駐屯地は、三条市を中心に隊員九十一人を派遣。主として五十嵐川での土のう積みを担当した。同高田駐屯地は見附市に百十三人を派遣。ゴムボートなどを使って、住宅に取り残された住民の救出活動を実施した。
 航空自衛隊新潟救難隊からはヘリコプター二機が出動。石川県の小松救難隊の一機と合わせ、計三機(隊員十七人)が中之島保育園の園児・職員の救出活動を展開した。

◎出雲崎と栃尾で犠牲者

 一気に押し出した土砂と立ち木が一瞬のうちに命を奪い去った。三島出雲崎町中山で、自宅裏山から崩れた土砂に巻き込まれた南波久恵さん(72)が遺体で見つかったのは、発生から三時間以上たっていた。
 傾斜は緩いが、急な豪雨で崩れた土砂や木が南波さん方を一気に襲った。木造二階建ての家は傾き、原形をとどめないほど。材木や土砂が激しく散乱する中、消防署員ら約五十人が人力と重機で捜索したが、発見された南波さんは、脳挫傷で既に亡くなっていた。
 親せきの女性は「今まで山が崩れることはなかったのに、何でこんなことに…」とタオルで顔を覆っていた。
 一方、栃尾市では同市北荷頃の農業今井喜八郎さん(83)が、自宅の裏山から崩れた大量の土砂に埋まった。今井さんは昼ごろ、安否が心配で戻った市役所に勤める長男に発見された。地元消防団員らの懸命な救出作業で約一時半後に掘り出され、病院に運ばれたが、帰らぬ人となった。

◎中・下越に集中豪雨

 県内は発達した梅雨前線の影響で十二日夜から十三日にかけて中、下越を中心に局地豪雨に見舞われた。中蒲村松町の能代川、三条市の五十嵐川、南蒲中之島町の刈谷田川が決壊。十三日午後、栃尾市で土砂崩れのため男性一人が、三島出雲崎町で女性一人が死亡。東蒲津川町で女性一人が不明となっている。土砂崩れや冠水被害も拡大している。平山知事は同日午後零時半、自衛隊に災害派遣を要請、被害対策本部を設置した。
 同日午後一時ごろ栃尾市北荷頃、農業今井喜八郎さん(83)が、同二時半前、出雲崎町中山無職南波久恵さん(72)も自宅裏山から崩れた土砂に埋まり死亡。また、同日正午前、津川町栄山甲、無職清川きよのさん(72)が畑に出たまま不明となった。
 南蒲中之島町の保育園では園児六十六人と職員十九人が取り残され、航空自衛隊新潟救難隊がヘリ二機で救出した。同町は小、中学校計三校も孤立し、多くの児童生徒が取り残されている。
 長岡市や三条市なども対策本部を設置した。三条市では五十嵐川があふれ市街地が浸水。三条、見附、栃尾市に加え、中ノ口川決壊の恐れが出た白根市でも川沿いの約千世帯に避難勧告。避難勧告・指示は四市で計一万三千世帯に上っている。
 一時通行止めとなっていた北陸自動車道は同日午後五時すぎ解除。磐越自動車道は同日午前七時から津川インターを中心に上下線が通行止めとなっている。国道も49号を中心に各地で寸断。JRも同日午後六時現在、信越本線柏崎―新津間、越後線柏崎―吉田間、磐越西線馬下―喜多方間で上下の運転を見合わせている。
 東北電力によると電柱が折れるなどして同日午後五時現在、約一万三千世帯が停電している。

◎各地の避難場所

 【三条市】三条小学校、第二中学校、四日町小学校、条南小学校、保内小学校、大崎小学校、大崎中学校、月岡小学校、一の木戸小学校、長嶺集会所、三条商業高校、市民球場、月岡保育所、総合福祉センター、月岡養護学校、勤労青少年ホーム、西鱈田小学校、本成寺中学校、本成寺公民館、大島中学校、旭小学校、第一中学校、第三中学校、コロナ体育館、コロナ独身寮、コロナ社員クラブ、東新保集会所、下坂井集会所、中央公民館、三条駅構内跨線橋、三条高校、三条税務署、コロナ本社、三条信金月岡支店、同本成寺支店、同四日町支店、同条南支店、草野クリニック、市民プール
 【見附市】見附小、見附中、見附高、見附第二小、見附保育園、中央公民館、中央公民館分館、中央保育園、本所保育園、北谷公民館、庄川保育園、葛巻小、西中学、南中学、上下谷公民館、上北谷小、今町小、今町中、今町公民館、今町体育館、総合体育館、名木野保育園、新潟小、一谷公会堂、田井小、椿沢公民館
【三島町】交流センター、町体育館【与板町】槙原集落センター、町民体育館【和島村】島崎公会堂、隆泉寺、妙徳寺、北辰中学校、村役場・体育館、島田小学校、妙法寺、治暦寺、桐島小学校【出雲崎町】天領の里、海岸公民館、西越・八手地区農村環境改善センター、川西公会堂【寺泊町】上田町会館【下田村】大浦小学校、飯田小学校【栄町】北小学校、尾崎リージョンセンター

◎栃尾市が陸の孤島¥態

 十二日夜から十三日昼にかけて二八七ミリの記録的な豪雨となった栃尾市では、市外へ通じるすべての幹線道路が寸断され陸の孤島¥態となった。  国道290号は南蒲下田村への人面トンネル手前と、北魚入広瀬村に向かう赤谷付近で、それぞれ土砂崩れが発生し、通行止めとなった。長岡市への国道351号も新榎トンネルの長岡側入り口の土砂が崩れてストップし、見附市への県道もふさがれた。
 河川の氾らんや土砂崩れに備え、市中央公園の市総合体育館には約四百人が避難。消防団員に背負われて逃げ込むお年寄りの姿も見られた。妻と孫を連れて避難した同市金町の石黒存さん(76)は「孫を保育園に迎えに行って逃げてきました。大雨で避難したのは初めてです」と不安そうに話していた。

◎電話や携帯電話での安否確認サービス開始

 県内の集中豪雨による被災者の安否確認手段として、NTT東日本とNTTドコモの両新潟支店は十三日午後四時から、災害用の伝言サービスを始めた。
 NTT東日本の「災害用伝言ダイヤル」では、まず「171」をダイヤル。被災者がメッセージを録音する場合は、市外局番「025」から始まる自分の電話番号を入力して伝言を録音する。安否確認のためメッセージを聞く場合は、同様の手順で相手の電話番号を入力すれば伝言が再生される。
 NTTドコモの「iモード災害用伝言板サービス」は、携帯電話でiモードの「iMenu」に接続し、「災害用伝言板」を選択する。被災者は「登録」を選んでメッセージなどを入力する。
 安否確認の場合は「確認」を選び、安否確認したい相手の携帯電話番号を入力して「検索」を選択、メッセージを読むことができる。PHSやパソコンからはインターネットのホームページアドレス、http://dengon.docomo.ne.jp/top.cgiで確認できる。

◎災害対策本部を設置―県内JAグループ

 県農協中央会(県中、新潟市)など県内JAグループは十三日、「JA新潟県連災害対策本部」を県中内に設置した。
 見附市や南蒲中之島町などで、田畑など一万二千五百fに浸水・冠水被害が出ており、本部では住民や農作物の被害状況などを情報収集、復旧要員の派遣など対策を検討している。

◎大雨関連・土砂崩れで男性死亡

 十三日午後一時ごろ、栃尾市北荷頃、農業今井喜八郎さん(83)が裏山から崩れた土砂と自宅の間に埋まっているのを帰宅した長男が発見した。今井さんは約一時間半後に掘り出されたが、窒息で死亡した。(栃尾署)

◎三条市、驚く市民

 三条市では一ノ門一の五十嵐川の一新橋付近右岸で、川の水が堤防からあふれ、土手に上がる道を伝って本町商店街などの同市中心市街地に流れ出した。茶色の濁流は足を取られそうなほど流れが強く、あっという間に市街地の道路はひざ下ぐらいの高さまで冠水した。
 市内に洪水を知らせるサイレンが鳴り響く中、五十嵐川の堤防に上がって様子を見ていた近くの男性は「五十嵐川の奥にダムができてからは、こんなに水が流れることはなかった。とにかくびっくりしている」と青ざめた表情で話していた。

◎大雨関連・中越地方被害

 中越地方では、見附市で刈谷田川が決壊する恐れが出たため、十三日午前、流域五千世帯に避難勧告が出されたほか、同市本町三の諏訪神社が土砂崩れのため崩落した。
 栃尾市では西谷川が警戒水域を超え、金町、新町両地区の約百世帯に避難命令が出た。国道290号など市内十カ所以上が通行止めとなり、土ケ谷地区約三十戸が孤立状態になった。同市は同日午前、豪雨対策本部を設置した。
 三島三島町では脇野町地内の小木城川が氾濫を始め、住民の避難が始まった。同出雲崎、寺泊両町内でも床上床下浸水が出て、合わせて四世帯に避難勧告が出た。両町内の国道402号では三カ所で土砂崩れ、通行止めになった。
 長岡市富島町では猿橋川左岸が決壊。農地に濁流があふれ出し、住民が土のうを積んで堤防の復旧作業にあたった。市内各地の道路が冠水で通行止めになったほか、永田や新保地内で十二棟が床下浸水。柏崎市椎谷の国道352号でも土砂崩れが発生した。
 国道8号は、見附市今町と長岡市愛宕地内で一部冠水し、通行規制が行われている。

◎雨で休校

 県教育委員会によると、豪雨のため十三日、県央、東蒲方面の小中高校が休校などの措置を取った。臨時休校したのは、新津南、三条商、出雲崎、県央工、加茂農林の五高校と、東蒲上川村の全小中学校(六校)。ほか十校が始業延期や自宅待機、早退とした。





【写真】道路に大きな穴が開いた国道8号。夜通しの復旧作業が続いた=16日午後11時すぎ、柏崎市寿町



【写真】避難者ルポ=浸水した家の後片づけのため避難所から自宅に戻った住民。泥にまみれた家具や畳を見て何度もため息を漏らした=16日、三条市諏訪新田



【写真】避難者ルポ=避難所で行われている健康診断。保健師が血圧を測り、被災者の悩みや相談も聞いて回っている=17日朝、三条市の大崎中学校



【写真】避難者ルポ=待ちに待った食事が避難所に届き、おにぎりやペットボトルの水を受け取る被災者たち=15日夜、三条市の大崎中学校



【写真】大雨洪水警報が出され、強い雨が降り続く中、夜を徹して行われた刈谷田川左岸の堤防補修作業=16日午後7時30前、中之島町中之島



【写真】五十嵐川左岸の破堤部分では、時折雨が強く降る中、堤防の復旧作業が進められた=16日午後1時30分すぎ、三条市諏訪新田



【写真】粗大ごみとなった家財道具が積み上げられた道路を多くの人が行き交う。雨脚が強くなっても作業の手を休める人はいなかった=16日午後5時前、中之島町中之島



【写真】天気をにらみながら清掃が続く三条市内。路上のあちこちにごみとなった家財道具などが積み上げられた=16日正午前、三条市北四日町



【写真】避難所での長い時間をトランプ遊びをして過ごす子どもたち=16日午前10時すぎ、中之島町の町民文化センター



【写真】断水のため、市内各地に走り市民に水を供給する給水車=16日午前10時前、三条市如法寺



【写真】水が引き始めた市街地では後片付けも始まった。濁流に押しつぶされた家や流された車も目についた=15日正午すぎ、南蒲中之島町(本社チャーターヘリ)



【写真】避難所で熱心にテレビニュースに見入る被災住民=15日午後5時すぎ、三条市西裏館2の第三中学校



【写真】独り暮らしの老人宅の復旧作業を手伝うボランティア=15日午後1時ごろ、中之島町中之島



【図】三条市・五十嵐川の破堤地点



【写真】夜になっても水が引かず、避難する住民=14日午後8時半すぎ、三条市北新保



【写真】運び出された畳や家財道具が積み上げられた道路。ほとんどが泥流に沈んだため使い物にならない。ごみ収集車が次々に回収していった=15日午前10時すぎ、中之島町中之島



【写真】泥流にのまれ屋根を下にした自動車。住宅の一階部分は壁がはがれ、骨組みがあらわになるなど、一帯は泥やがれきに埋まり、濁流の激しさを伝えていた=14日午後1時半ごろ



【写真】屋根や壁の一部を残して倒壊した家屋。濁流にのまれ、この場所まで流されてきた。何軒もの家が流されたため、家が立ち並んでいた通りは一部が廃墟と化していた=14日午後1時前



【写真】決壊した刈谷田川左岸脇の妙栄寺の墓地は、洪水後、基礎部分が残るだけ。墓石の一つは数十メートル離れた家の玄関前で天を仰いでいた。奥には乗用車が泥とがれきに埋まっていた=14日午後4時すぎ



【写真】水害発生から丸1日以上たっても濁流が残る三条市内=14日午後2時ごろ、三条市(本社チャーターヘリ)



【写真】刈谷田川の堤防決壊で2日目の夜を迎えた被災者たち=14日午後7時20分ごろ、中之島町民文化センター



【写真】泥まみれになった店舗を後片付けする被災者=14日、中之島町中之島



【写真】堤防が壊れた五十嵐川で、復旧のため土のうを作る自衛隊員=14日午後5時半すぎ、三条市



【写真】集中豪雨から一夜明けた三条市内。同市東本成寺付近から見た市街地には今も濁流が残っている=14日午前8時すぎ、三条市(本社チャーターヘリから)



【写真】堤防が決壊した五十嵐側左岸地域では水没した家々に取り残された住民を救うため、消防団員らによるボートなどを使った懸命の救助が行われた=14日午前7時30分過ぎ、三条市北新保の新大橋付近



【写真】水が引き始め、自宅の復旧を始める住民たち。半袖、短パン姿で手や足を泥だらけにしながら、家にたまった土砂をバケツやちりとりでかき出した。家から流された泥だらけの荷物がどんどん積まれていった=14日午前7時すぎ、中之島町中之島



【写真】堤防が決壊し1階部分が冠水したため、屋根で助けを求める住民ら=13日午後6時18分、中之島町で共同通信ヘリ



【写真】堤防が決壊し泥水が流れ込んで孤立した中之島中学校(中央)=13日午後6時20分、中之島町で共同通信ヘリ



【写真】刈谷田川の堤防が決壊し冠水した住宅地=13日午後6時11分、中之島町で共同通信ヘリ



【写真】屋根の上で救出を待つ住民=13日午後3時30分、三条市諏訪新田



【写真】避難所で不安な夜を過ごす住民=13日午後10時過ぎ、白根市白根小学校体育館



【写真】孤立した保育園から自衛隊のヘリコプターで救出された園児=13日午後5時ごろ、中之島町中之島



【写真】水没して孤立した住宅から救出される住民=13日午後5時50分、中之島町中之島



【写真】冠水したコンビニとタクシー=13日午後3時ごろ、三条市諏訪新田



【写真】警察のボートで2階から救出される住民=13日午後3時30分ごろ、三条市諏訪新田



【写真】裏山が崩れ、行方不明になった南波久恵さんを捜す消防団員ら=13日午後5時前、出雲崎町中山



【写真】2階に取り残された住民をボートで救出=13日午後3時20分頃、三条市諏訪


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