プレナスなでしこリーグ 開幕特集
頂点へ駆ける

 サッカー女子のプレナスなでしこリーグ1部が3月26日、開幕した。1部11年目のシーズンを迎えるアルビレックス新潟レディース(新潟L)は同日、新潟市陸上競技場で伊賀との開幕戦に臨んだ。辛島体制1年目の昨季、リーグは5位と苦戦したものの、皇后杯は2年連続の決勝進出で準優勝と健闘した。確かな手応えを得て、飛躍を期す今季。豊かな経験を誇るベテラン、能力の高い中堅、伸びしろ十分の若手がそろい、リーグ3強、タイトル獲得に挑む。

手応えの連係、精度磨く 指揮2季目 辛島啓珠監督

 今季、上積みを目指すポイントは明確だ。「1本のパス、動き出し、シュート精度を高める」。昨季築き上げた連係に磨きをかけ、攻撃力アップを図る。
 就任1年目の昨季は、練習の大半を攻撃に割いた。4月に3連敗を喫するなど序盤は結果が出なかった。それでも「いかに自分たちがやろうとすることに手応えがあって、積み上げられるか」とぶれなかった結果、リーグは3連勝で締め、皇后杯は準優勝した。
 今季も「やろうとすることは変えたくない」ときっぱり。攻撃はパスを主体にチーム全体で持ち上がり、ゴール前に人数をかける。シンプルだからこそ連係と精度がものをいう。選手には昨季をベースに、より高いレベルを求めていく。
 しかし、いくら攻撃を重視しても軸はぶれない。「男子と同じようにアルビらしく、泥くさく、ハードワークするところは続けていきたい」と、脈々と受け継がれてきた守備意識を生かし、堅守の継続を誓う。
 若手の多いチームは選手層が決して厚いとはいえない。けがをさせず、チーム力の底上げを図りながら、いかに3強入りを狙うかが腕の見せ所だ。

<からしま・けいじゅ> 1971年6月24日生まれ。京都府出身。2009年10月~12年、JAPANサッカーカレッジ監督。昨季から新潟L監督。
安定の堅守 チーム鼓舞 代表戦デビュー 主将・DF中村

 けがを乗り越え、公式戦全試合に出場した昨季は、サッカー人生の「ターニングポイント」となった。
 2014年1月に右足首を負傷し、手術。リハビリに費やした同年だけでなく、15年も状態は上がりきらず、不満の残るシーズンを過ごしてきた。
 昨季はそのうっぷんを晴らすかのような活躍だった。的確なカバリングと1対1の強さを誇るセンターバックは、安定感のあるパフォーマンスで相手エースを封じた。世代交代を図る中で主将も任され、「後ろから支えたい」と声出しを意識してチームを統率。特に堅守が光った皇后杯では優勝こそ逃したが、2年連続の準優勝を手にした。
 「自信になった。いい年になった」。昨季の好調を象徴したのが今季の日本代表復帰だ。3月のアルガルベ・カップでは代表戦に初出場。計3試合にフル出場した。「スピード、フィジカルの強さはレベルが違う」と世界トップレベルのプレーを肌で感じ、日本女子代表の高倉監督の指導にも刺激を受けた。「いい経験になった。チームにも生かしたい」と力を込める。
 小さいころから憧れていた代表への思いは強いが「やるべきことをやっていれば、チャンスはもらえる」と、チーム優先の意識は変わらない。板についてきた主将は今季も継続する。「タイトルを取りたい。そこを目指してしっかりやっていく」と決意を固める25歳は、初の栄冠を手にするその時まで、まい進する。

勝利へのこだわり一層 チーム内プロ第1号 FW上尾野辺

 加入12年目のシーズンはプロとして迎える。「選手である以上、サッカーで暮らしていけるというのに憧れはあった」。夢の一つをかなえた背番号10は今季もエースの重責を担い、左足を振り抜く。
 クラブ契約社員だったこれまでも「プロに近いものにしてもらっていた」生活を送っていただけに、日常は大きく変わっていない。
 ただ、プロになって結果へのこだわりは強くなった。それは「自分をきっかけに、いろいろな選手が続いてほしい」と願うから。チームにプロが多くなれば、憧れて加入する選手が増え、高いレベルの競争が生まれ、強化につながる-。その好循環を生むためにも「結果がついてこないと、プロにしてもらった意味はない」と語気を強め、FWとして2桁得点を目標に掲げる。
 FW川崎ら若手の台頭も「経験が増しているベテランと、若い力が融合すればチームは強くなる。競争しつつ、お互いが高め合っていければいい」と歓迎する。「開幕から、チーム全員でタイトルを目指して戦っていきたい」。次にかなえる夢は、優勝杯をその手で掲げることだ。

積極性が成長 得点へ執念 3季目 FW川崎

 昨季は高卒2年目ながら、リーグ戦11試合に出場してブレークの兆しを見せた。「試合に出たことで自信はついた」と言い、ステップアップを図る3年目は「どんどん自分の意見を主張して、がむしゃらだけではなく、いろいろなことを考えて吸収したい」と自らアクションを起こしていく。
 世代交代を徐々に進める辛島監督の下、昨季はMF八坂とともに出場チャンスをつかんだ。「周りに言われることしかできなかった」1年目から変化したのは積極性。FWとして点を取るためにパスの質、タイミングを要求するようになった。
 成長を遂げた一方で「出た試合は点を取りたい」と言うだけに、1得点には納得していない。出場機会をさらに増やすには結果はもちろん、チームをけん引する上尾野辺、大石のベテラン2トップと争うことになる。
 「2人はうまい。頑張るだけでは勝てない」。だからこそスピードを生かした「前への推進力」に磨きをかけている。「誰よりも強いと自信が持てるくらいの強みにしたい」。主力についていく時期は終わった。ここからは自らの足で、道を切り開く。

新人5人しのぎ削る

運動量だけでなく、正確な技術も兼ね備えるMF唐橋。スタメン起用も濃厚だ=聖籠町
 ルーキー5人はいずれも粒ぞろい。日本女子代表選手を擁するチーム内の競争に勝ち、ピッチでの活躍を期している。
 新潟中央高2年ながら、新潟LU-18から昇格したMF唐橋は豊富な運動量が自慢のボランチ。昨季、U-17(17歳以下)女子ワールドカップで日本の準優勝に貢献した17歳は「周りの信頼を得られるようになりたい」とMF川村らから多くを吸収する毎日だ。
 左利きのドリブラー、MF園田はサイドを主戦場とする。ブラジル男子代表のネイマールを理想の選手に挙げ、個人での局面打開を狙う。「リーグは激しく、レベルが高い。そこに合わせられるようにして、自分のプレーを発揮したい」と意気込む。
 「女子は足元の技術が低いと見られている。それを変えたい」。そう力を込めるのはGK高橋。積極的に攻撃の組み立てに絡み、守護神・福村の牙城に挑む。MF山谷は展開力に自信を持つ。FW経験もあり「いざという時はゴールに向かい、点を取りたい」ときっぱり。生え抜きのMF千野も若さを前面に「勢いのあるプレーをしたい」と、サイドの突破とクロスに磨きをかけている。
 昨季5位からの巻き返しを図るチームには、主力を脅かす若手の台頭は欠かせない。
■1ステージ制続く
 今季のプレナスなでしこリーグ1部は、昨季同様に2回戦総当たりの1ステージ制で行う。10チームがホームとアウェーで対戦。勝ち点で順位を決める。また、1部10位は2部1位と自動入れ替え、1部9位は2部2位と入れ替え戦を行う。
 カップ戦も昨季に引き続いて開催。4月に開幕し、1部は5チームずつ2組に分かれ、2回戦総当たりの予選リーグを戦う。各組上位2チームが決勝トーナメントに進出してタイトルを争う。

アルビレックス新潟