アルビレックス新潟

2017 J1開幕 三浦アルビ発進

 三浦新監督がチームの指揮を執る。熱く、それでいて理路整然と語る指揮官の手腕に、誰もが注目している。そして、チームの命運を握るブラジル人は、3人全員が入れ替わった。日本人選手からは強い野心も見え隠れする。意欲十分の新たな顔触れを紹介する。

<監督> 三浦文丈

攻守に「新潟らしさ」追求

 必然の巡り合わせか。攻守にスピーディーで、一人たりともハードワークを惜しまない-。自身が志向し続けるスタイルは、クラブが取り戻そうとする「新潟らしさ」にぴたりと一致する。46歳でのJ1初采配に、胸の鼓動は高鳴っている。

 J3監督からのステップアップ。「J1で監督をやりたい人はたくさんいる。その中で巡ってきたチャンスを逃したくない」。好機への嗅覚は、現役時代の感覚そのままだ。

 キャンプでは事あるごとに「バランス」を口にした。一つは遅攻と速攻のバランス。全てをポゼッション(ボール保持)に頼っては、ゴールへ迫る勢いを失う。素早いカウンターばかりでも相手はいずれ慣れてくる。「理想は相手の状況を見て使い分けること」。そして、戦術にとらわれ過ぎても勝利に近づけない。「そうなったら、俺は『戦うこと』を要求するよ」ときっぱり言う。

 「ラインの高さはどうだ」「そのパスの意図は」。意識の溝をなくそうと、ピッチ内外で対話を重ねる姿が印象的だ。「戦うのは選手」だからこそ、一方通行の指示はしない。「兄貴分」のように耳を傾け、34選手の大所帯を束ねる。

 プレーヤーとして、プロ入り前から頂点に立った経験は数知れない。監督としてのやりがいも「もちろん、勝つこと」にある。「街自体が素晴らしい。いい思い出しかない」新潟での新たな挑戦。新潟がここ数年つかみ損ねていた白星を、愛する街のサポーターと共に取り戻しにいく。

<みうら・ふみたけ> 1970年8月12日生まれ、静岡県出身。清水商高、筑波大を経て、横浜M入り。その後、京都、磐田、F東京でMF、FWとして活躍した。2006年に引退後はF東京、横浜Mなどでコーチを担った。新潟では13年から2年間、コーチとして主に若手の育成に尽力した。16年はJ3長野で監督を務めた。

【スタッフ】

コーチ 真中幹夫
片渕浩一郎
能仲太司
フィジカルコーチ ヴァンデルレイ
GKコーチ 不老伸行
チーフドクター 渡辺聡
ヘッドトレーナー 山本和恒
トレーナー 佐藤朋之
山本良一
長谷川徹夫
通訳兼アシスタントコーチ 渡辺基治
通訳 李同鎬
主務 池亀修平
副務 鎌田秀平
エキップメントマネージャー 玉川皓太

<MF> チアゴ・ガリャルド

明るい10番 試合の軸に

 とにかく底抜けに明るい。表情豊かに覚えたての日本語を操る、根っからのムードメーカー。目の色が変わるピッチでは、ゲームメークの軸となる。

 背番号は10。「サッカーの神様」ペレやネイマールら母国の英雄を挙げ「10番はオーケストラの中心にいなければいけない」と責任感は十分だ。

 広い視野で攻撃の糸口を探り、虚を突くパスを次々と繰り出す。高精度のキックが持ち味で、FK、CKもお任せあれ。ゴールにも貪欲だ。新潟は昨季、2列目の得点が乏しかっただけに、得点力が発揮されれば大きな上積みになるだろう。

 来日前、コルテース、エジミウソンら歴代ブラジル人に新潟を取り巻く環境を聞いた。質の高い聖籠のピッチに、大勢が埋めるビッグスワン。そして、温かな応援。サポーターはフェイスブックなど会員制交流サイト(SNS)を通じ、歓迎のメッセージをくれた。初の国外移籍の不安はすぐに消えた。

 「トテモサムイ」と嘆く冬は、間もなく終わる。キャンプで負ったけがが気掛かりだが、成功に燃えるシーズンが幕を開ける。打ち立てた目標は、ゴールとアシストを足して「20ポイント以上」。信頼を勝ち取り、安心をもたらす1年を誓う。

<FW> ホニ

気迫前面にゴール狙う

 躍動感たっぷりのシュート。ボールを失えば、体を投げ出したタックルで奪い返しにいく。攻撃でも、守備でも、まるで「サッカー小僧」を見ているかのように、全身から「元気」がほとばしる。

 まだ21歳。国外でプレーする夢をかなえるため、さらなる成長をつかむためにやってきた。来日前までサイドが主戦場だったこともあり、キャンプではクロスからアシストを量産。2トップの一角に期待される新潟で、プレーの幅を広げることに挑戦する。

 母国では浦和へ移籍したFWラファエル・シルバと、ポジションを競った経験がある。日本でも「ラファと比較されるのは当たり前」と刺激にする。目標ゴール数は明言しないが「来たチャンスは全て決める気持ち」と頼もしい。「大親友(ラファ)」がピッチ内外で愛されたことは理解しており「自分なりに、サポーターに信頼と楽しさを与えたい」とほほ笑む。

 ブラジル人3選手が入れ替わった新潟の激変ぶりを「大きなリスクを取った」と捉え、モチベーションに変える。希望した背番号7は、ブラジル時代から親しみを持つナンバー。「神様から祝福を受けられる」という7番を背に「サッカー人生で最高の1年にする」と声を弾ませた。

<MF> ジャン・パトリック

レオに負けない攻撃性

 「レオ・ロス(喪失感)」は俺が吹き飛ばす。友人であるレオ・シルバ(現鹿島)の穴を埋め、やがては超えていけるように、背番号6は周囲と調和し、着実にプレーの質を高めていく。

 他のブラジル人2人に比べれば、落ち着いた雰囲気を持つ24歳。ただ、中盤の底では猟犬のような鋭い目つきでボールを追い、奪いきる。前線以上に守備時の連係が求められるボランチは適応への難度が高いが「日本人選手から習うことが、日々たくさんある」とモチベーションにしている。

 ブラジル人の実力者が集うJリーグ入りは幼いころからの夢。そこで目立つことができれば「欧州移籍も夢じゃない」と野心を隠さない。ブラジルのビッグクラブのオファーを断り、日本での挑戦に打って出た。

 2列目や右サイドバックでもプレーできる。ボール奪取などレオと似通った特徴を持ち合わせながら、攻撃性では「レオに負けない」と自信を持つ。ロングシュートなどを武器に、昨季はブラジル2部で7ゴールを記録した。日本では「7ゴール以上」を目標に置き、攻守両面で効いた存在を目指す。

 「新潟の新しい歴史をつくる」と熱っぽい。白星を積み上げ、ジャン・パトリックの名もJにとどろかせる。

<MF> 原 輝綺

走力武器 謙虚に前へ

 走って、走って、走りまくる。元マラソン選手の母譲りの走力をベースに、的確なカバリング、ボール保持者の手助けに駆けずり回る。攻守に"血液"を通わせる。

 大言壮語とは無縁だ。強豪校で先発を張っても、日本代表で活躍しても「自信はない」。仲間には「謙虚ぶるなよ」とからかわれた。だが、謙虚さは成長に必要だった。先は見ず、目の前のライバルを意識し、小さな目標の達成に注力できた。成長を実感し「何事も継続が大切」と思えるようになった。

 昨年5月、練習参加した新潟でMFレオ・シルバ(現鹿島)にくぎ付けになった。ボールを刈る鋭い動きをしたかと思えば、ゴール前にも顔を出す。ビッグスワンで見た川崎戦は、強豪を追い詰めた全員サッカーに引き付けられた。「ここなら成長できる」。腹は決まった。

 「原君、新潟へ来いよ!」。既に加入が決まっていた昨夏、試合で訪れた新潟で自分を待望する声を聞き、うれしくなった。その何倍もの声援が注がれるビッグスワンにいつ立てるか。「立ったら、どんな感覚になるんだろう」。憧れたレオはいないが、聖地で戦える日を夢見て、一歩一歩進んでいく。

<DF> 堀米悠斗

ピッチ疾走 声で鼓舞

 体幹がぶれぬ鋼の肉体には、向上心と野心もパンパンに詰まる。日本代表から、ゆくゆくは海外へ。理想のサッカー人生を歩むため、体も思考もフル回転させ戦い抜く。

 札幌では1年目から副主将を担った、異色の経歴の持ち主。ユース時代、トップチームの練習参加で年上に遠慮せず、大声で指示を出せる姿を当時の主将に見初められた。

 声で周囲を動かし、感情を表に出して鼓舞する。「サッカーをする上で、効率的に戦える」と理路整然と語る。そして、90分フルに戦える運動量も自慢。惜しみなく走り、攻撃も守備も手助けする。

 札幌から移籍していった先輩が複数おり、新潟の試合を見る機会が多かった。とりわけ7位に躍進した2013年が印象深い。「全員で堅く守り、全員で一気に攻める。ああいうサッカーはすごく好き」。加入前から、フィットできる予感を抱いていた。

 サイドバックの理想像は、日本代表DFの長友佑都、レアル・マドリード(スペイン)のDFマルセロをミックスした選手という。小柄でも疾走力があり、ボールの扱いがうまく、攻撃の起点になれる-。全ては新潟のために、いずれ世界で戦うために、「成長を加速させていく」。

新加入19人 競争熾烈

 その他の新戦力も素質が光る。期限付き移籍からの復帰を含めれば、19人が新加入。競争は熾烈(しれつ)を極める。

 DF富沢は対人に強く、力強いミドルシュートも健在。若手が多いチームにあって、統率力も期待される。新潟シンガポールから"逆輸入"のFW河田。昨季リーグMVPを引き寄せた決定力は日本でも火を噴くか。

 GKは浦和から大谷、柏から稲田を獲得。古巣で出場機会に恵まれなかった分、先発への思いはひとしおだ。

 MF森は関西学院大の右サイドを担い、天皇杯で新潟を苦しめた。新潟U-18から昇格のDF長谷川は左右のサイドバックをこなし、出番をうかがう。

 期限付き移籍からの復帰は6人。J2でもまれたDF川口は10歳年上の矢野と定位置を争う。水戸で連係を深めたFW平松、MFロメロ・フランク、DF宋株熏(ソン・ジュフン)は先発そろい踏みができるか。MF酒井宣、DF酒井高の兄弟は黙々と練習に没頭し、内なる闘志を燃やす。

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