アルビレックス新潟

2017 J1開幕 三浦アルビ発進

 ふがいないシーズンを忘れることなく、逆襲に燃える選手たちがいる。新潟の魂を胸に、かつての主将やエースも舞い戻ってきた。チームの核に期待される注目選手を紹介する。

<DF> 大野和成

責任感を胸に成長誓う

 「アイシテルニイガタ」。チームの応援歌であり、今季のスローガンと重なる、9文字にこもった思いは、決断を導く「道しるべ」になった。「越後の壁」は地元愛を前面に、今季も新潟のために戦う。

 27歳。選手として脂が乗る年齢だ。さらなる成長へ、環境の変化は必要に思えた。だが考えるほどに膨れたのは、育ててもらったクラブへの愛着と「もっと強くしたい」という責任感。「新潟じゃなかったら、こんな気持ちはきっと湧かない」

 昨季は開幕戦からフル出場を続けた。序盤はミスが目立ったが、起用され続け、守備の勘所をつかんだ。8月のホーム神戸戦はその象徴という。同期入団の盟友舞行龍(マイケル)を欠くも、カバーの意識、寄せのタイミングと指示を完璧にこなせた。無失点勝利。「誰と組んでもやれる」自信が加わった。

 その直後の右膝負傷。休養が必要な状況にも、早期復帰のための練習を続けた。残留の懸かる試合に出られるなら「右膝をあげる」とまで口にした。

 責任感は年々増してきた。主将の指名にも即答で了承した。「役職があろうとなかろうと、ことしは中心でやっていかないと、という気持ちはあった」とうなずく。

 DFリーダーとして、主将として、負担は小さくない。でも「一選手として、そういう重圧を乗り越えたら、もっと成長できる」と思う。前向きな主将を信じ、みんなで支えたい。

<FW> 鈴木武蔵

覚醒へ 2桁ゴール照準

 昨季、紙一重でゴールを逃し続けた若きFWは、覚醒へ変化をいとわない。エゴと献身を両立させ、目の前の壁を打ち破る。

 リオデジャネイロ五輪の舞台でゴールを決めても、J1残留を果たしても、充実感を得るには程遠かった。日本代表はグループステージで敗退。J1残留は本来の目標ではなかった。

 そして、個人としてリーグ戦無得点。急転直下のメンバー入りとなった五輪を終え、新潟で出場機会を増やした。決定機で足を振っても、ネットは揺れない。足りないのは最後の思い切りか、それとも技術なのか。「正解が見つけられなかった1年」に葛藤した。

 自分の体と深く向き合い、けがしがちな体を変えようと、昨夏からオフはピラティスに打ち込む。前線からの献身的な守備に加え「エリア内でもっとエゴを出していいのかも」と意識し始めた。背番号は「49」に思い切って変えた。

 「2桁ゴール」に照準を絞る。「シーズンを通じて、けがなく出られたら不可能な数字じゃない」と言い切る。大所帯による競争激化も大歓迎だ。「敵、味方、誰に対しても負けたくない」と眼光鋭く力を込めた。

<DF> 矢野貴章

新たな姿で新潟に献身

 迷いを振り切り、三度(みたび)新潟でプレーする道を選んだ。相手の突破を阻んではサイドを駆け上がる、新たな姿を新潟サポーターの目に刻む。

 名古屋と契約が残り、残留が既定路線だった中に舞い込んだ古巣のオファー。降格の責任を感じながらも移籍を決めたのは、熱意に心動かされたからだ。

 そしてサポーターにとって新鮮に映るのはDF登録だろう。3年前、運動量と対人の強さを買われ、手薄だったサイドバックにコンバート。小中高とほぼ経験のないポジションにも、試合を重ねて適応した。

 新潟でも「求められた場所で求められた仕事をやるだけ」。DFとして「まずは失点しないこと」を胸に留める。187センチの長身は、空中戦時の貴重なピース。1対1で対峙(たいじ)すれば「負けない自信はある」と力強い。

 FW出身者として、的確な攻撃参加も頼りにしたいところ。後方からゴール、アシストに何度も絡むため、代名詞である運動量を高い水準で発揮したい。

 名古屋での4年間は中位が続き、最後は降格を喫したが「歴史あるチームでのプレー全てが身になった」と振り返る。経験を新潟に注入し、順位表を大きなストライドで駆け上がる力に変える。

<DF> 小泉 慶

U23経験 尽きぬ向上心

 背中に輝くのは「8」。元々、愛着があった番号ではない。新潟でプレーして3年。その価値を見いだした。理由は、昨季までの盟友レオ・シルバ(現鹿島)が背負っていたから。「責任と覚悟を背負わなければいけない。付けた以上は分かっている」

 長く隣でプレーし、ボランチは球際で負けてはならないことを学んだ。右サイドバック起用が多かった昨季、中盤で汗をかくレオに「ボールを奪え、献身的に走るボランチがいるだけで、後ろの負担はめちゃくちゃ減る」と教わった。

 「自分の良さを一番出せるのはボランチ」と思う。レオと同じプレーができるわけではない。だが「力を出し切れば間違いない」という自信も過去3年で積み上げた。

 昨季はU-23(23歳以下)日本代表を経験した。フル代表が目標になった。オフはスペインサッカーを現地で観戦。一流のスピードを目の当たりにし、刺激を得た。

 21歳は今、向上心の塊だ。「目に見える数字を出せれば、間違いなく選手として上のレベルに行ける」。ゴール、アシストにこだわる1年にする。3年間のリーグ戦で得点は2。今季は5得点以上に照準を定める。

 仲が良かった小林(現名古屋)が主将を務めた昨季は、その役割の難しさを近くで感じた。「主将が抱え込まないように。若手らしく引っ張っていきたい」。副主将がおとこ気を見せる。

<MF> 本間 勲

「泥くさい」プレー再び

 泥くさくボールを奪い、そのままの勢いでゴールを目指す-。「ビッグスワンが一番盛り上がるシーン」と脳裏に焼き付く。2年半ぶりに新潟で「15」を背負い、背中で新潟の魂を伝える。

 34人の大所帯。かつての主将の帰還はチームのまとめ役としての意味も当然あるだろう。ただ、本間の目には個々の成長がまぶしく映る。チームを一番に考えるDF大野、自信を備えたMF小泉のプレーは特に頼もしさを感じている。

 自身は栃木で2015年にJ3降格を経験。昨季はJ2昇格を寸前で逃した。目標に届かない2年半だったが、常に昇格、降格の緊張感にさらされた経験は「自分のプラスになった」と振り返る。

 復帰に迷いはなかった。だが「戻れたことに満足していたら意味がない。プレーする姿を見せることが恩返しになる」と熱っぽい。

 新潟で最も充実感を覚えたのは8位だった09年。4-3-3システムで個々の特長が発揮され、日本人とブラジル人の力も融合した。「新鮮で楽しかった。みんなが自信を持ってやれていた」。チームに自信を取り戻すため、35歳は献身する。

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