新潟日報カルチャースクール

きょうみの扉(メディアシップ教室講師紹介)

『らく楽 篆刻教室』

桑野玄洲さん

真剣に作業する受講生たちの手元を見詰め、アドバイスする桑野玄洲さん

篆刻に使う字典や印材、印刀

小さな印に刻んだ造形美

 「先生、どうでしょう」。受講生が、鮮やかな朱色が映える「華」の字の印影を机の上に広げる。家で彫ってきた印を紙に押したものだ。「ここは彫り方が浅いかな。もっと深く彫ればぶつぶつが写らなくなりますよ」。講師の桑野玄洲さん(67)が丁寧に答える。「字のバランスも大事。印の枠まで字をくっつける方がいいかもしれないね」
 石などを素材に、印刀と呼ばれる刃物で字を彫り、オリジナルの印を作る篆刻(てんこく)。絵や書をたしなむ人が、制作者であることを示す落款印として求めることが多い。
 講座では1回に一つのペースで制作に向き合う。彫る字を決め、字典から好みの書体を探し、下書きである「印稿」を考える。印稿ができたら、石などでできた印材に転写し、慎重に彫り進める。緊張感が漂う教室内を、桑野さんは受講生の手元を見詰めながら回り、アドバイスを送る。
 うまく仕上げるこつは、印稿作りに時間をかけ、十分に構想を練ることだという。桑野さんは「自分の彫りたい字を彫り、篆刻を楽しんでもらうようにしている。自分の名前でも、家族の名前でもいい」と話す。
 住職や表具屋を本業としながら、20年ほど前から篆刻を学んできた。「篆刻で扱う印材は小さく、わずかな面積に彫っていく。土俵が狭いからこそ奥が深い」。そう魅力を語る。

2015年9月24日新潟日報夕刊より

受講者の声

児玉三男平さん

水彩画をやっていて、描いた絵に押す印を作りたくて受講しました。彫る最中に石が欠け、初めからやり直すことの繰り返しです。でも難しい分、完成して押す瞬間が楽しみ。いつか味わいのある四文字熟語の篆刻に挑戦したいです。

諸橋昭三さん

篆刻の書体は普段使う書体ではないので、きれいに書くのが難しいです。でも世界に一つしかない印だから満足感があります。妻や孫の名前を彫ったので、機会をとらえてプレゼントしたい。来年の年賀状にも篆刻を生かしたいです。

バックナンバー