

中越地震から2年9カ月、中越地方を再び襲い、まだ生々しい被災の恐怖を呼び覚ました中越沖地震から16日で2カ月が過ぎた。中越と中越沖。2つの地震は、それぞれの被災地に同じような被害をもたらし、異なる状況も生み出している。時期も場所も極めて近い2つの地震はなぜ起きたのか。似ているようで似ていない2つの被災をたどる。
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「まさか、こんな地震がまた来るとは思わなかった-」。中越沖地震の被災地で多くの住民が口にした。政府の地震調査委員会のトップ、阿部勝征・東大名誉教授ですら「震源の距離が40キロと近いところで3年も経ずに起きたことは意外だった」と率直に語る。
だが、日本地質学会調査団で新潟大理学部の小林健太講師(構造地質学)は「中越の2つの地震は偶然起きたわけではない。起こるべきゾーンで起きた」と言い切る。その理由として挙げるのが、中越沖地震後に注目を集めた「ひずみ集中帯」と地震「空白域」だ。
ひずみ集中帯は、東西から押された地層が圧縮し、周囲よりも応力(圧力)を蓄積しているエリア。中越の2つの地震、新潟地震(1964年)、長野・善光寺地震(1847年)などが発生している。県土はほぼすっぽりエリアに入る。
さらに中越の2つの地震は、ひずみ集中帯に沿って見た場合、過去に大地震が起きていない「空白域」で発生した。小林講師は「中越、中越沖のような規模の地震では空白域は解消されない。周辺でしばらく地震がないと考えるのは全くナンセンス」と断言する。
1999年、日本地震学会で初めてひずみ集中帯が報告された後、小林講師は公開講座のテーマに取り上げるなどした。だが「一般には全く定着しなかった」という。
国内の地震研究は、大きな人的被害が予想される太平洋側の海溝型地震が中心。内陸地震の阪神大震災後も活断層調査が主流で、ひずみの集中は特異な現象としての指摘にとどまっていた。
これらの研究は国も関与している。中越地域で相次いだ地震を受け、ようやくひずみ集中帯の調査に乗り出すことを決めたが、調査主体となる政府の地震調査研究推進本部は「従来の各種計画にひずみ集中帯の文言を使っているものはない。今になって脚光を浴びたが広く認知されておらず、政府として調査する雰囲気ではなかった」と認める。
ただ、産業技術総合研究所(つくば市)の遠田晋次地震テクトニクス研究チーム長は「ひずみ集中帯だから地震が起こったという単純な議論ではない」と語る。
遠田チーム長は、大地震が周囲の新たな地震を誘発するメカニズムを研究しており、中越地震に続く中越沖地震は、懸念が現実になった格好だ。今後は、2つの震源地に挟まれる長岡平野西縁断層帯への影響を懸念、「微小地震の活動が変化するようだと注意が必要だ」と警戒する。
さらに中越地震震源域から中越沖地震の震源域、そして佐渡の西端側までを結ぶ帯状のエリアでは、最近10年、周囲より明らかに地震活動が活発だったという。同じひずみ集中帯の上でも色むらがある。遠田チーム長は指摘する。「ひずみが集中するメカニズムさえまだ分かっていない。研究はまさにこれからだ」
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