民主党公開討論 対立の構図は分かったが

 互いの違いは明らかになったが、2時間を超す討論、質疑も言い放しといった感は否めなかった。
 民主党代表選候補の菅直人首相と小沢一郎前幹事長による公開討論会が行われた。次期首相を決めることになる代表選である。討論を注目した国民も多かったに違いない。
 菅氏は古い政治から脱却しクリーンでオープンな党運営を訴え、小沢氏は政治主導に徹し、マニフェスト(政権公約)の履行を強く主張した。
 この中で、菅氏は古い政治を「カネと数の力による政治」とし、小沢氏をその色が濃いと断じた。一方、小沢氏は2011年度予算の概算要求に触れ、自民党時代と同じ手法と厳しく批判し、政治主導の後退を指摘した。
 疑惑を招いた政治資金に関して小沢氏は、強制捜査でも犯罪の事実はないというのが検察の結論だとこれまでと同じ説明を繰り返したが、検察審査会が再度の「起訴相当」議決をした場合には「逃げない」と語気を強めた。
 菅氏は役人が役人のために仕事をしているような官僚政治を変える。政治主導かどうか最終的に予算編成が終わった時点で評価すべきだと応じた。
 一度廃止した政策調査会を菅氏が復活させたことに、「政調が機能しているとは聞いていない」と小沢氏が突っ込むと、菅氏は政調会長を閣内に入れて、党と政府の一体化を図ったとして不快感をあらわにした。
 普天間飛行場移設や財源問題などテーマは多岐に渡り、その度に攻守がめまぐるしく変わった。意見をぶつけ合う論争は大いに歓迎である。ただ、互いの主張はかみ合わず、一方通行となる場面が目立った。
 なぜ自分の方が首相にふさわしいのか。相手のどこが駄目なのか。国のリーダーを目指す二人にしては、突っ込みが不足していたように思う。追及の二の矢、三の矢がないため、相手をねじ伏せるような迫力ある「闘論」にならなかったのが残念だ。
 菅氏は選挙期間中も首相の職務に全力で当たるという。だが、代表選による2週間の政治空白は明らかだ。その間も円高の進行は止まらない。日本経済は待ったなしの状況下にある。
 菅、小沢両氏とも選挙後は「挙党態勢」を強調している。とはいえ、互いの陣営には大きなしこりが残ることは必至だろう。本当に民主党が一枚岩になれるのかいぶかしむ声もある。不毛な戦いで迷惑するのは国民だ。
 問題は代表選が「反小沢対親小沢」の様相になっていることである。身内の論理で首相が決まるようでは困る。今回の討論会が有権者である民主党国会議員やサポーターに、どんな判断材料を与えたのか気掛かりだ。

新潟日報2010年9月3日

記録的猛暑 被害の拡大防止に本腰を

 いつまでこの暑さが続くのか。9月に入っても一向に熱波が去る兆しはない。熱中症や農作物の管理に引き続き注意が必要だ。
 記録ずくめの夏だった。全国の6~8月の平均気温は平年を1・64度上回り、統計を開始した1898年以降、最も高かった。新潟市など各地で、熱帯夜や猛暑日の日数が過去最多を更新した。
 新潟地方気象台は、今夏の気温を平年並みだとする長期予報を出していた。結果的には外してしまった。気象庁は今夏の高温を30年に1度程度しか発生しないと定義される「異常気象」と位置付け、原因を調べるとしている。
 前例のない猛暑のメカニズムを徹底解明し、長期予報の精度を上げてほしい。分析結果をそのための判断材料に役立てねばならない。
 猛暑続きで熱中症患者が急増した。自治体などが連日、注意を呼びかけていたにもかかわらず、医療機関への救急搬送者は5月末以降、全国で4万6千人を超えた。死者は約160人だが、今後さらに増える可能性がある。
 患者の多くは高齢者だ。中には電気代が払えないためエアコンが使えない自宅で死亡したケースもあった。
 痛ましいという言葉で片付けるわけにはいかない。個々人が健康管理に留意するのは大切だが、限界もある。
 行政も暑さを甘くみていたのではないか。注意喚起が一人一人に届いていたかを検証すべきだ。暑さをしのげる公共の避難場所を確保する手だても必要だろう。
 身寄りのない高齢者らの体調に異常がないか、声を掛け合う地域の見守り態勢も強化したい。
 猛暑が農作物に与える影響が心配される。コメや果実が収穫期を迎えている。上越市の中山間地では稲が枯れ始めたところもある。
 新潟コシヒカリのブランドを低下させるような事態は避けたい。水管理の徹底などを心掛けてほしい。
 高温でスギやヒノキが例年以上に生育し、来春の花粉飛散量が大幅に増加するとの予測も出た。花粉症に苦しむ人には気掛かりだ。
 近年、ゲリラ豪雨が各地で相次いでいる。世界的にも高温小雨による干ばつや集中豪雨が多発している。異常気象が当たり前になっている。
 「30年に1度」の猛暑が今年だけとは限らない。地球温暖化による影響で今後、高温によるストレスが強まり死亡する危険度が少なくとも2~5倍高まるとの研究報告もある。
 異常気象を見越した抜本的な対策を急がねばならない。高温に強いコメの品種改良や、暑さを和らげる住宅や街づくりなど、打つべき手はたくさんある。危機感を持って取り組みたい。

新潟日報2010年9月3日

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