長期優良住宅(200年住宅)ってナニ?

2009年6月4日、「長期優良住宅普及促進法」が施行されました。
長期優良住宅普及促進法の目的は何か。長期優良住宅の条件は何か。どのような認定基準があるか。優良長期住宅に認定されると、どのようなメリットがあるのか、を紹介します。

Q 「長期優良住宅普及促進法」の目的は?

日本の住宅はつくっては壊す「消費型」が一般的でした。それに対して長期にわたり、良好な状態で使用できる住宅(長期優良住宅)の普及を促進することで、良質な住宅をストックし、将来の世代に継承し、より豊かでやさしい生活への転換を図ることを目的に策定された法律です。
現在日本の住宅の平均築後年数は約30年。それに対してアメリカは約55年、イギリスは約77年です。住宅のストック状況を見てみても日本では1951年以前の住宅がわずかに4.9%であるのに対して、イギリスは44.9%。反対に1981年以降に建てられた住宅は日本が60.8%、イギリスが18.5%になっています。地形や地質、気象条件、災害、国民性などの違いから、単純に比較はできませんが、日本の住宅はヨーロッパに比べて寿命が短く、短期間で壊されていることが分かります。

Q 日本の住宅はなぜ長持ちしないの?

第一に日本人の新築志向があげられます。内閣府の世論調査によると、「家を購入するなら新築が良い」と考える人が8割以上もいます。その理由として「間取りやデザインが自由に選べるから」「新しくて気持ちがいいから」「中古は耐震性や断熱性など住宅の品質に不安がある」などの理由が挙げられています。また、給湯や空調、サッシなどの建具や建材の進化が目覚しく、耐震性や断熱性など住宅性能が著しく高くなってきたことも、その理由のひとつです。
右肩上がりの経済情勢も新築を後押ししてきました。成長経済の中では将来の収入の増加や地価の上昇が期待できたからです。しかしこれからは、人口や世帯数の減少が見込まれ、経済的にも成熟期を迎えて、「つくっては壊す」消費型から「長く使っていく」ストック型へと変換が迫られているのです。

Q 住宅を長持ちさせるメリットは?

1、住居費の負担が軽減できる。
長持ちさせる住宅をつくるには、建設費や維持管理費が高くつきますが、世代にも渡って住むことを計算に入れると住居費が軽減できると考えられます。
2、住宅が資産になる。
日本では住宅の資産価値が非常に低く、ローンを返し終えたときにはゼロになっていることが多いのです。本来住宅は、国民の大切な財産です。にもかかわらず、国富に占める住宅資産の割合は1割にも満たない状況です。アメリカと比較しても3分の1といわれています。今後長く住むようになれば、住宅が本来持っている価値を適切に評価されるようになり、資産としての価値も期待できるでしょう。
3、住み替えが容易になる。
アメリカなどでは、家族数やライフスタイルの変化に応じて、家を住み替えることが当たり前になっています。それは住み替え需要があり、優良な住宅が常にストックされ、市場に流通しているからです。日本では住宅のストックが少ないために、住宅をライフスタイルに合わせるために、元の住宅を壊して、建て替えることが多いのです。日本も多様な住宅がストックされ資産化されるようになれば、ライフスタイルに合った住宅の選択肢が広がり、住み替えも容易にできるようになるでしょう。
4、環境への負荷が軽減する。
実は住宅を長持ちさせるかどうかは、地球の環境問題にも大きく係わっています。建設業における住宅関係の産業廃棄物は、平成17年度では22.3%の1720万トンに及んでいます。まだ利用できる住宅を解体することで、産業廃棄物が大量に発生しているのです。

Q 長持ちさせるにはどんな住宅を建てたらよいか?

長期にわたって使用できる住宅をつくるには、長期的な視点に立って、良質な住宅を建てることが大切です。
1、構造躯体そのものを丈夫につくること。
2、耐震性、耐久性の条件を満たすこと
3、設計を工夫して、メンテナンスなど維持管理が容易にできること
4、リフォームがしやすいこと
5、省エネルギーやバリアフリーに配慮し、敷地の住環境にも、配慮すること

Q 住宅を長持ちさせるための要件とは?

1、計画的な維持管理
住宅を長持ちさせるためには、計画的に点検、補修を行います。建設時に設計図面と合わせて、どのように点検補修がなされてきたかを、記録として残しておくと良いでしょう。
2、住宅評価の仕組みづくり
現状では市場取引において、住宅性能や維持管理が適切に評価されているとは言えず、住宅を取得しても、長持ちさせようという意識が十分に根付いてはいません。住宅性能や維持管理が住宅の評価につながるような仕組みづくりが必要です。
3、既存住宅を流通させる
優良住宅が多くストックされるようになれば、建て替えるのではなく、住み替えたいと思う人も増えることでしょう。そうすれば既存住宅の流通市場も形成されてくるでしょう。

Q 長期優良住宅の認定基準は?

耐久性、耐震性、可変性、維持保全の優位性、バリアフリー性、省エネルギー性、住居環境、住戸面積、維持保全計画などの項目があり、概要が定められています。

長期優良住宅の認定基準(概要)

性能項目等 概要
劣化対策 数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できること。
・ 通常想定される維持管理条件下で、構造躯体の使用継続期間が少なくとも100年程度となる措置。
〔鉄筋コンクリート造〕
・ セメントに対する水の比率を低減するか、鉄筋に対するコンクリートのかぶりを厚くすること。
〔木造〕
・ 床下及び小屋裏の点検口を設置すること。・点検のため、床下空間の一定の高さを確保すること。
耐震性 極めて稀に発生する地震に対し、継続利用のための改修の容易化を図るため、損傷のレベルの低減を図ること。
・ 大規模地震力に対する変形を一定以下に抑制する措置を講じる。
〔層間変形角による場合〕
・ 大規模地震時の地上部分の各階の安全限界変形の当該階の高さに対する割合をそれぞれ1/100以下(建築基準法レベルの場合は1/75以下)とすること。
〔地震に対する耐力による場合〕
・ 建築基準法レベルの1.25倍の地震力に対して倒壊しないこと。
〔免震建築物による場合〕
・ 住宅品確法に定める免震建築物であること。
維持管理・更新の容易性 構造躯体に比べて耐用年数が短い内装・設備について、維持管理(清掃・点検・補修・更新)を容易に行うために必要な措置が講じられていること。
・ 構造躯体等に影響を与えることなく、配管の維持管理を行うことができること。
・ 更新時の工事が軽減される措置が講じられていること 等。
可変性 居住者のライフスタイルの変化等に応じて間取りの変更が可能な措置が講じられていること。
〔共同住宅〕
・ 将来の間取り変更に応じて、配管、配線のために必要な躯体天井高を確保すること。
バリアフリー性 将来のバリアフリー改修に対応できるよう共用廊下等に必要なスペースが確保されていること。
・ 共用廊下の幅員、共用階段の幅員・勾配等、エレベーターの開口幅等について必要なスペースを確保すること。
省エネルギー性 必要な断熱性能等の省エネルギー性能が確保されていること。
・ 省エネ法に規定する平成11年省エネルギー基準に適合すること。
居住環境 良好な景観の形成その他の地域における居住環境の維持及び向上に配慮されたものであること。
・ 地区計画、景観計画、条例によるまちなみ等の計画、建築協定、景観協定等の区域内にある場合には、これらの内容と調和が図れること。
住戸面積 良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること。
〔一戸建ての住宅〕
・ 75㎡以上(2人世帯の一般型誘導居住面積水準)
〔共同住宅等〕
・ 55㎡以上(2人世帯の都市居住型誘導居住面積水準)
※ 一戸建ての住宅、共同住宅等とも、少なくとも1階の床面積が40㎡以上(階段部分を除く面積)
※ 一戸建ての住宅、共同住宅等とも、地域の実情に応じて引上げ・引下げを可能とする。ただし、一戸建ての住宅55㎡、共同住宅40㎡(いずれも1人世帯の誘導居住面積水準)を下限とする。
維持保全計画 建築時から将来を見据えて、定期的な点検・補修等に関する計画が策定されていること。
・ 維持保全計画に記載すべき項目については、(1)構造耐力上主要な部分、(2)雨水の浸入を防止する部分及び(3)給水・排水の設備について、点検の時期・内容を定めること。
・ 少なくとも10年ごとに点検を実施すること。
※ 具体的な内容は、「長期使用構造等とするための措置及び維持保全の方法の基準(平成21年国土交通省告示第209号)」をご確認下さい。
□ お問い合わせ先
「認定」-国土交通省住宅局住宅生産課  TEL03-5253-8111
「税制」-国土交通省住宅局住宅総合整備課 TEL03-5253-8111
「融資」-(独)住宅金融支援機構お客様コールセンター TEL0570-0860-35
参考資料
「長持ち住宅の手引き」(財)ベターリビング発行

Q 認定されるとどんなメリットが?

1、ローン減税や不動産取得税の控除額アップなど、税の特例措置が設けられました。
2、これまではローンの償還期間の上限が、35年でしたが、長期優良住宅を購入する場合は、証券化支援事業の住宅ローンの場合は50年に延長することができます。また長期優良住宅にかかる融資率も、これまでの9割から10割に引き上げられます。
3、住宅金融支援機構の支援制度の金利優遇(0.3%の金利引き下げ)期間が当初10年間から20年間に延長されます。