ミッドナイト・バス 思いを乗せて 関係者に聞く

 夜行バスの運転手を主人公に家族の絆の再生を描く映画「ミッドナイト・バス」が4月、クランクアップした。スタッフや出演者、それぞれの思いを乗せて本県をカメラが駆け抜けた。来年初春には県内で先行上映予定。約1カ月の撮影を終えた竹下昌男監督と、原作者の伊吹有喜さんに思いを聞いた。

 

竹下昌男監督 新潟で撮りたかった

「撮影は天候に恵まれた。空模様の変わりやすい冬の新潟で、これは奇跡的でした」と竹下昌男監督

 新潟では、長岡空襲と長岡花火を描いた「この空の花-長岡花火物語」(2012年・大林宣彦監督)の撮影で、監督補佐としてお世話になった。そのころから新潟を舞台に映画を撮りたいと思っていた。

 それも「新潟でやったら面白い」程度のものじゃなく、もっと必然性があるもの。地元の人が「これは新潟でないと」と思うような企画をしたかった。

 そんなときに伊吹有喜さんの小説「ミッドナイト・バス」を読んだ。大人の夫婦の話というのはやってみたいテーマ。でも一緒にやろうとしていた東京の会社が、最初の打ち合わせで降りてしまって。悩んだ結果、やる気になって、自分で企画書を作って出版社に売り込んだ。

 

元夫婦役の2人に共感

 主人公・高宮利一役の原田泰造君と仕事するのは(04年の長編デビュー作「ジャンプ」以来)2本目。今回の登場人物の中で、年代的にぼくが一番共感できたのも泰造君と、元妻・加賀美雪役の山本未來さんだった。この元夫婦2人のシーンがすごくよかった。

 利一には恋人の古井志穂(小西真奈美)がいるけど、元夫婦という関係はちょっと特別。かつて生活を共有し、子どももいる。そんな2人が再会し、ものすごく近づいていく。この関係が見る人にどう受け止められるかが肝だと思う。

 原作は家族の再生と再出発の物語といわれているけど、実は一言で説明するのが難しい作品。再生といっても全てが元通りになるわけではない。地味な映画かもしれない。ただ、家族、親子、夫婦-その機微をどうすくうかを考えて作っています。

 新潟にはもう何度も来ているけど、今回初めてりゅーとぴあ(新潟市民芸術文化会館)と白山神社の間の桜が植わっている場所を歩いた。神社もりゅーとぴあも行ったことはあったけど、その間にあんないい場所があるとは知らなかった。まだまだ知らない場所がいっぱいあるなと思った。

 信濃川沿いの河川敷もきれい。新潟は生活するのにいい所。今もうちで食べるコメは長岡の米屋さんから買う佐渡米。飼い犬のために東京から移住しようかと半ば本気で思っている。

 今は撮影が終わり、編集の作業が始まっている。最後まで一つでも多くいいカットを拾って、つなげて、恥ずかしくない作品に仕上げる。新潟の人に盛り上がってもらえたらうれしい。

 

<たけした・まさお> 1960年、大分県生まれ。東陽一監督「ジェラシー・ゲーム」でフリーの助監督となる。長編デビュー作の「ジャンプ」(原田泰造主演)で2003年度新藤兼人賞銀賞、第8回みちのく国際ミステリー映画祭・新人監督奨励賞グランプリなど。大林宣彦監督の監督補佐として「この空の花-長岡花火物語」(2012年)の制作に参加した。

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