映画「ミッドナイト・バス」がクランクアップ

 撮影のほとんどが県内で行われた映画「ミッドナイト・バス」(竹下昌男監督)が4月3日にクランクアップした。主演の原田泰造さんを中心に展開する物語を新潟の風物やエキストラの住民らが支えた。1カ月にわたったロケの様子を振り返る。

県内ロケ 天候にヒヤリ、ほっ

弥彦神社でのロケに臨む原田泰造さんと七瀬公さん=3月17日、弥彦村

 ミッドナイト・バスは3月1日、三条市の下田地区でクランクインした。残雪がまばゆい農地に囲まれた民家が、原田さん演じるバス運転手・高宮利一の自宅のロケセットとなった。東京から利一を訪ねて来る恋人・古井志穂役の小西真奈美さんは「こんなに雪があるなんて」と驚いた様子。五十嵐川のハクチョウ飛来地でも撮影が行われた。

 物語は、主人公の利一が運転する長距離バスに、元妻の加賀美雪(山本未來さん)が乗り込んで来ることで動き出す。利一が美雪に声を掛けるシーンの現場は、新潟市中央区の万代シテイバスセンターだ。

 バス乗り場での撮影は8日午後11時40分、最後の夜行バスの発車を待ってスタート。原田さんらの後ろで旅行者役のエキストラが名物「バスセンターのカレーライス」を食べているカットもあった。スパイスの香りに撮影スタッフからは「おいしそう...」のつぶやきが漏れた。

 新潟市中央区の本町通7番町では、実際に営業しているレストランの店内に、志穂が東京で切り盛りする創作フレンチの店「居古井(いこい)」が再現された。料理に使われる「やわ肌ねぎ」などの県産食材は「利一が新潟から持ってきている設定」(竹下監督)という。

 18日には万代シテイパークで劇中アイドルユニットのライブシーンが撮影された。一時は雨でロケ中止も心配されたが、天候が回復し、エキストラ約500人が会場を盛り上げた。その他、弥彦神社や佐渡でのロケを経て31日に県内の撮影は終了。竹下監督は「冬の新潟の空模様は変わりやすいが、撮影期間中は本当に救われた」と振り返った。

夜行バスに乗り込むシーンを撮影する山本未來さん=3月9日午前3時ごろ、新潟市中央区
夜行バスで主人公を訪ねる恋人を演じる小西真奈美さん=3月9日午前1時30分ごろ、新潟市中央区

原田さん関越道でバス運転

原田泰造さんの運転で関越道を走る「白鳥交通」の夜行バス=3月20日午後11時ごろ、関越トンネル

 物語を支える「陰の主人公」が深夜バスだ。重要なシーンの撮影が3月20日夜、関越道で行われた。関越トンネルを往復し、撮影は21日未明まで続いた。

 原田泰造さんは役を演じるためにバスの運転免許を取得し、この日も3時間以上ハンドルを握った。「緊張しました。自分がやるのが当たり前だと思ってたので(無事に終えて)本当によかった」。撮影を終えた原田さんは開放感をにじませた。

 主人公の元妻役、山本未來さんも登場。暗闇を疾走するバスが関越トンネルに入ると、「本番!」の合図で車内の雰囲気が一気に張り詰めた。

屋根の上もラッピング

 映画「ミッドナイト・バス」で主演の原田泰造さんが運転するのが、白い車体にハクチョウの姿が描かれたラッピングバスだ=写真=。新潟の架空のバス会社「白鳥(しらとり)交通」が運行している設定で、新潟交通で実際に運用されている高速バスを1台借りて仕立てられた。

 バスはボディーの側面のほか、地上からは見えない屋根の上にもハクチョウの羽ばたく姿が描かれている。新潟交通によると、「屋根までバスをラッピングしたのは初めて」。竹下昌男監督は「俯瞰(ふかん)で見たとき、ハクチョウが飛んでいるように見せたかった」と話した。

<ストーリー>主人公の高宮利一は長距離深夜バスの運転手。16年前に離婚し、成人した息子怜司と娘彩菜がいる。30代後半の古井志穂は利一の恋人で新潟-東京間の高速バスに乗務する合間に会うのを楽しみにしている。ある日、運転する夜行バスに別れた妻・加賀美雪が乗車してきた。父の介護のために東京と新潟を行き来していた美雪。久々の再会をきっかけに、それぞれが悩みを抱え一度はバラバラになっていた主人公らの家族が次第に絆を取り戻していく。

 原作は伊吹有喜さんの同名小説。映画は新潟日報社が創業140年記念事業としてストラーダフィルムズ(東京)と共同製作する。2018年初春に県内で先行上映後、全国公開の予定。

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