みらいへいっぽ、を応援したい。

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地域の宝を掘り起こす、新たなチャレンジを応援したいー。

新潟日報社は創業140年、創刊75周年を機として、新潟の素材を商品化し、新潟から全国や世界に広がるきっかけづくりができるよう、事業主や読者へチャレンジを呼びかける紙面特集を掲載します。

一見埋もれた価値を見いだし、地域に根差したさまざまなヒット商品を世に送り出す高知市在住のデザイナー、梅原真さんにインタビュー。ローカルの価値とは何かをテーマに、お話しを聞きました。 また、新潟県内で事業化、商品化に向けて取り組む阿賀野市の2人の事業主のチャレンジを紹介します。

足元見据え価値を創造ローカルに根差したモノづくり

デザイナー 梅原真さん

うめばらまことさん

―ローカルの魅力や可能性について、どう考えますか。

 郊外のバイパスや空港、チェーン店など「人の営み」を均一化した結果、全国の町並みはみな同じになってしまった。どこでも一緒なら旅行に行く必要はない。

 でも、地方だからできることがある。例えば高知県にはカツオの文化がある。経営が悪化した水産会社から相談を受けた際、効率は悪いが、おいしいわら焼きという価値を見直せると空想した。8年目で年商20億円となった。

栗の山再生

 一番新しい取り組みは「しまんと地栗(じぐり)」。15年間、放棄されていた栗山をデザインの力で事業化した。かつて農薬や化学肥料が使われていた栗山に「ケミカルフリー(無化学肥料、無農薬)」という価値を見いだした。

―「地栗」というネーミングは面白いですね。

 もともとは「四万十栗」だったが、これでは面白くない。ここにデザインが入った。

しまんと地栗をふんだんに使った「ジグリキントン」。栗本来の甘さを味わえる

地域の物差し

―新たな価値の創造が注目されています。

 かつて高知と言えば坂本龍馬だったが、観光客はわら焼きカツオの塩たたきを食べに来る。これは価値の変換。商品開発には、足元にある価値を見いだす必要がある。豊かさや幸せは、相手と比較する「相対価値」になりがち。でも、「自分にとって何が豊かで幸せなのか」を知った上での「絶対価値」こそ大切だ。

―絶対価値の指標となる「地域の物差し」とは何でしょうか。

 一言で言えば「小さなことの良さ」。策定に携わった高知県旧十和村の振興計画はこの点を考え「十和ものさし」と名付けた。物差しは地域ごとに異なる。

十和ものさし

―地域の魅力を理解していない自治体もあります。

 (砂浜を美術館に見立てTシャツを飾る)「砂浜美術館」は、「4㌔の砂浜しかない」というところから始まった。

2016年にケニアで行われた「砂浜美術館」。インド洋をバックにTシャツがひらひら舞う

 島根県海士(あま)町では、「LOVE ISLAND 海士町」というキャッチコピーが使われていた。これを「ないものはない」に変えた。「全部ある」「本当にない」という二つの意味がある。ローカルは自分たちの良さを分かっておらず、勘違いしている。ここを修正すれば、新しい価値が生まれる。

海士町のキャッチフレーズ

 

 要は砂浜や栗など「ここには、これしかない」ものを利用したらいい。カツオなら、効率の悪い一本釣りとわら焼きというマイナスとマイナスを掛け合わせるとプラスになる。

 

カツオの一本釣り
伝統のカツオ一本釣りを前面に押し出した「一本釣り 藁焼きたたき」。
時代を先取りした商品は長く愛され続けている

デザインの力

―商品を消費者に伝えるデザインの役割とは。

 A(商品)とB(消費者)をつなぐのが、コミュニケーションデザイン。これが間違っていたら商品は売れない。例えば、機能を簡略化した高齢者向けの「シルバーホン」は全く売れなかった。「自分は年寄りではない」と消費者が反発した。これを「らくらくホン」に変えたら、売り上げは数百億円になった。

―売れるための良いデザインとは。

 良いデザインは、良いコミュニケーションを生む。商品の本質を表し相手に伝えることができれば、売れる。良いデザインができると、A(商品)とB(消費者)との間のパイプが太くなり、情報量は増える。

伝統守る挑戦

―新潟県内でも、地域の素材を生かし、新たな商品開発に取り組む挑戦者がいます。アドバイスをお願いします。

 まずは、自分でたたき台を作り、考えることが大事。「どうしたらいいのでしょうか」では駄目だ。

 ようかんで知られる老舗の「とらや」は、東京にカフェを作った。新しいジャンルを切り開き、その先を攻めないと根っこ(伝統)は守れない。技術を残すためには、新しいものを生み出さなければいけない。

うめばら・まこと

1950年、高知市生まれ。80年、梅原デザイン事務所を設立。カツオの一本釣り再生を目指す「土佐一本釣り・藁焼きたたき」や、砂浜をTシャツで埋め尽くす「砂浜美術館」、栗や紅茶といった地域に根差した食材を見直し、商品を開発する「四万十ドラマ」などをプロデュースする。「四万十川流域で販売する商品を新聞で包もう」との理念から生まれた「しまんと新聞バッグ」は、国内外で高い評価を受ける。「一次産業×デザイン=ニッポンの風景」をコンセプトに活動を続けている。