「NIE」(エヌ・アイ・イー)とは、英語のNewspaper In Education=ニューズペーパー イン エデュケーション=の略。「教育に新聞を」と訳され、新聞を生きた教材として役立てようという取り組みのことです。


地域と一体文化築く  (02/02/25)
 創意工夫のある教育をはぐくもうと設けられた「特色ある教育実践校・園」(新潟日報社、県教育公務員弘済会主催)第1回コンクールで、織物の町、五泉市にある五泉中が最優秀賞の栄冠に輝いた。同中では、1991年まで開かれ、市民の夏祭りとして親しまれてきた「きなせや祭」を学校活動を通じて復活させた。フリーマーケットや伝統民謡「五泉甚句」をモチーフにした創作舞踊、地域の芸術家と生徒合同の作品展…。一昨年にスタートした五泉中版≠フ「きなせや祭」を通じ、学校と地域が一緒になって新たな文化を築き始め、ニットや織物など地場産業の不況にあえぐ同市を活気づけている。(優秀校の北魚広神中と燕東小は次回のNIE紙面で紹介します)

大盛況「きなせや祭」

 昨年10月27、28の両日、五泉市南本町2の五泉中で開かれた2回目の「きなせや祭」。27日には、合唱祭や、生徒、地域の人たちの絵画などを集めた作品展を実施。28日にはフリーマーケットや創作舞踊「G≠奄獅メiジンク)」などをそろえたステージ発表が行われた。

作品展、フリーマーケット…   生徒と大人200人 対等に協力、準備


写真=生徒、保護者はじめ五泉市内の商店や農家などからも出店があったフリー  準備は昨年7月に動き始めた。この指止まれ&式で集まった実行委員会が企画・運営の中心。全校約500人の同中生徒のうち約90人が名乗り出て、保護者や地域の人と合わせて約200人が実行委に名を連ねた。

 実行委たちは、フリーマーケットやステージなど、各パートに分かれて作業を進めた。委員長の大役を担った3年生の岩村俊一郎君は市内の小学校などを回って同祭のPRに励んだ。岩村君は「市内全部に伝えるのはやっぱり大変だった。でも、地域の人たちと交流できて面白かった」と振り返る。

 フリーマーケット担当の3年生佐久間明穂さんは、校外に出て出店者を募った。「最初はなかなか集まらなかった。商店街を回って直接口説いたり、ポスターをはらせてもらったりしているうちに口コミで話が広まり、70の出店者を集められた」と胸を張る。

 子どもに負けじと保護者たちも作業に熱が入った。前回に続いて実行委を務めた木伏二子さん(46)=同市本町一=は「1回目は手探りの部分が大きかった。今年は経験を生かし、もっとたくさんの人に来てもらえるよう、より楽しいイベントにするよう心掛けた」と話す。

 ステージ発表の準備を取りまとめた同市今泉の梅田照代さん(47)は「卒業生の保護者も手伝ってくれた。たくさんの人の協力が大きかった」と振り返る。
 祭り初日の27日は好天に恵まれたものの、28日は昼ごろから雨が降るあいにくの天候。それでも保護者や孫が同中に通うお年寄りらが続々と詰めかけた。

 フリーマーケットで販売の手伝いをした3年生の神田枝里子さんと山田友香子さんは「お客さんの値引きパワーに圧倒されそうだった。でも、そのやり取りが楽しかった」と笑顔を見せる。

 ステージ発表の司会を務めた寺岡真美さんと佐藤友果さん(ともに3年生)は「緊張したけれど、出演者の演奏などが本当にすてきだった。素直な気持ちで感想を言葉にできた」と話す。

 祭りの入り込みは両日合わせて延べ約3000人に達した。前回より1000人ほど増えた。達成感にあふれた子どもたち。表情はどれも輝きに満ちていた。

 最優秀賞を受賞したことについて石川志郎校長(60)は「『地域全体が教室』という発想のもと、学校づくりを進め、学校の方から地域に出て教育活動を実践してきたところが評価されたのでは」と話す。そして「祭りづくりで子どもたちは、大人と対等の立場で話し合い、実行する力がつきました」と笑顔を見せていた。
写真=地域の芸術家と生徒の作品が会わせて展示された作品展<

 昨年の「きなせや祭」の目玉となった「G≠奄獅メv。盆踊りなどで五泉市民に親しまれている「五泉甚句」をもとに、五泉中で創作した舞踊だ。生徒たちは、市内の業者が無償で提供してくれたニット製の法被をまとって踊り、同祭を彩った。


祭りの華 G(nc 
五泉甚句もとに創作  
     ニット法被で産地PRも

 「『きなせや祭』をもっと盛り上げるために、『よさこいソーラン』みたいなものができないか」―。「G≠奄獅メvが生まれたのは、石川校長が投げかけたこんな一言がきっかけだった。昨年3月のことだ。

 「よさこいソーラン」は、鳴子を鳴らしながらロック調のソーラン節に合わせて踊るもの。北海道が発祥地だ。石川校長の言葉を受け、体育科の渡辺直樹教諭(32)は早速、この踊りを総合学習に取り入れている北海道・有珠中学校へ視察に出向いた。

 有珠中の子どもたちが踊る姿をビデオで見た渡辺教諭は「生徒たちが前向きに自己表現している」と、まず選択授業の体育に取り入れることを決意。そして「『よさこい―』のまねではだめ。地元に伝わる伝統文化を生かそう」と、「五泉甚句」をモチーフに選んだ。
 振り付けは同科の教師たちで練り上げ、編曲は音楽科教師の知り合いのサウンドエンジニアに任せた。
 さらに、強力な支援が得られた。同市赤海一でニット業を営む白井和男さん(47)が法被の無償提供を買って出た。2人の息子が同中に通う白井さん。「学校や地域のために少しでも役立てば」と思いを話す。
 衣装、音楽、振り付けが整い、昨年6月から選択体育の生徒37人で練習をスタート。当初は恥ずかしがっていた子どもたちも、次第に踊りの魅力に引き込まれ、練習の熱は高まった。
 9月に開かれた体育祭で、校内でのお披露目をすると、選択体育以外の生徒からも「やりたい」と声が上がった。新たにメンバーを加え、「G≠奄獅メvの一団は56人に膨らんだ。部活後の時間も練習に当て、「きなせや祭」に備えた。
 自信を持って迎えた本番。会場の体育館は地域の人たちであふれかえった。色とりどりのニットの法被に身を包んだ生徒たち。アップテンポの曲に合わせて鍛えた技を披露すると、会場からは大きな拍手が起こった。

 リーダー役の3年生浅井浩太君君は「直前にけがをしてきつかったけれど、見に来た人が喜んでくれたのでよかった」と胸を張る。同城丸愛美さんは「衣装づくりなどでたくさんの人が自分たちのために協力してくれた。だからがんばれた」と話す。

 さらに、昨年11月には新潟市万代シテイで行われた「よさこいフェスタin万代」に出演するなど、活動の場を広げた。浅井君と城丸さんは「特産のニットの法被を着て踊ることができ、五泉の魅力をPRすることにもつながったと思う。『G≠奄獅メxが多くの人に親しまれ、新しい五泉の伝統となれば」と力強く話していた。

写真=五泉特産のニット製の法被を着て「G≠奄獅メvを踊る生徒たち


審査委員長  高田 喜久司・上越教育大教授
ダイナミックな活動展開
 4月から新しい教育がスタートする。子どもに「生きる力」をはぐくむことを目指し、「自ら学び自ら考える力」の育成を図るとともに、「基礎的・基本的な内容」の確実な定着を図り、「個性を生かす教育」の充実に努めることが求められるのである。

 そのため、各学校では、創意工夫を生かした「特色ある教育活動」を展開していくことが急務となっている。こうした学校改革の真っただ中、新しい時代を切り開いていく幼児・児童生徒の育成に取り組む「特色ある教育実践校・園」から研究論文を公募し、審査・表彰する制度が創設されたことはタイムリーであり、画期的な企画といえる。

 本年度は29校・園が応募。いずれの校・園の論文も、学校を取り巻く地域の特性を生かし、家庭や地域と連携して創意工夫を図った特色ある教育活動を展開している点で共通しており、21世紀型の新しい学校像の構築や教育モデルを提言した力作と高く評価される。

 今回の審査の観点を次の諸点においた。(1)21世紀に生きる子どもたちに必要な資質や能力を育成するために、教育の今日的課題に正対し、新しい教育の方向を十分に踏まえ、創意工夫に満ちた特色ある実践内容であること(2)地域、学校、および子どもの実態を正確に把握し、教育活動の推進においては開かれた学校のもとに家庭や地域との連携を深め、実践における参加母体の広がりが見られること(3)実践の内容に継続性があり、さらに発展的にとらえることができること。

 最優秀校の五泉中学校は「地城に出ていく学校」を視点として、学校の存在を問い直したダイナミックな教育活動の展開が特色である。消滅した地域の伝統的な「きなせや祭」の企画・運営・実施に象徴されるように、地域が衰退し学校も従来の役割を果たすまでに至っていない現状を再生するために、「中学生の若さ」を存分に発揮させ、「地域文化の創造」に貢献した意義は大きい。

 次回に紹介予定の優秀校の広神中学校は、学力向上を基盤に据えて、授業改善の実践と生徒会活動に視点を当て、中学校再生へチャレンジした貴重な教育活動が特色である。具体的には、地域ぐるみの「いじめゼロ宣言」等が詳細に語られ、着実に学力向上が図られつつある実情を数値的に実証している点が評価される。

 同じく優秀校の燕東小学校は、「学校と地域の連携」を超えた「学校と地域の結合」こそが学校再生の近道であるという観点から、結合のなかで自分の可能性にチャレンジする子どもの姿を生き生きと描きだした点が特色である。学校週五日制を目前にした今、中学生も参加した子どもファーラムの開催や学習ボランティアの導入などから学ぶ意義は無視し得ない。


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