この人ほど今の角界を憂い、一方で座布団が飛び交うような取組でファンを狂喜させる日がまた来ると信じていた人はほかにいなかっただろう。82歳で亡くなった初代若乃花、花田勝治さん
▼横綱になる前年の1957年の角界は、不祥事が続く現在と「改革待ったなし」で同じだった。公益法人なのに金もうけが過ぎると、国会で批判を浴び、協会理事長が自殺を図るほどの危機だった
▼若乃花は体重105キロの小兵ながら、強靱(きょうじん)な足腰と「仏壇返し」などの豪快な投げ技で巨漢力士を次々倒す。「栃若時代」の到来だ。60年3月場所には、栃錦と史上初の横綱の千秋楽全勝対決が実現する。テレビ普及とも重なり、「柏鵬」へ世代交代は円滑に進み、角界は全盛期をつなげた
▼「人生、辛抱だ」「土俵の怪我(けが)は土俵の砂で治せ」。力の源は、ただただ猛げいこ。4歳の長男が熱いちゃんこ鍋をかぶり、やけどで亡くなった。次の場所、土俵下で数珠をけさ懸けし、初日から12連勝する。鬼気迫る表情が多くの涙を誘い、「土俵の鬼」と呼ばれた
▼名伯楽の二子山親方として、2代目若乃花、隆の里の横綱を育て、両人を従え還暦土俵入りを果たす。弟の元大関貴ノ花、その次男で元横綱貴乃花の初優勝では、優勝旗、賜杯を自ら渡した。「鬼の目にも涙」である
▼きのうNHKがテレビ生中継の復活を決めた。「礼にはじまって礼に終わる…、強くたって人間のできんやつは、横綱は張れんのですわ」。角界再生に向け、心技体を凝縮した若乃花のような力士出現を期待したい。

新潟日報2010年9月3日

本紙データベース外部公開
日本が見えるニュースサイト 47news
全国の名産・特産とお取り寄せ 47club

TOPICS トピックス

新潟日報事業社Book Store
新刊の紹介コーナーや商品検索も充実!そのままネットでお買い物ができます。
メディアステーションbanana
bananaは新潟駅構内の多機能型待合室。号外発行の機能も備えます。
にいがた囲碁ネット
インターネットを使って世界中の囲碁ファンと対局。有料会員制の囲碁サロン。
相沢まき
新潟県出身で県観光特使の相沢まきさんが新潟県の魅力をコラムで楽しく紹介。
小野沢裕子の越後いいとこどり
忘れかけていた“新潟の情緒”。人と文化を伝える心温まるコラムです。
主要株価指数、海外主要為替、マーケットニュースなど。共同通信社提供。
県内9映画館の基本データと場内写真で紹介。公式サイトへのリンクも。
いまさら人に聞けない新聞やテレビでよく見る“ニュース用語”を詳しく解説。
情報技術(IT)時代の創造力に富んだ人材育成プロジェクト。