立春を迎えた。日本気象協会によると、新潟市のソメイヨシノは4月11日に開花すると予想されている。まだ先だと思っていたら、中日新聞のコラム「中日春秋」が先日、どんな花便りよりも心温まるエールを新潟県民に送ってくれた
▼鈴木牧之(ぼくし)の「北越雪譜」から引用された一文、〈雪の為(ため)に力を尽(つく)し財を費(ついや)し千辛万苦(せんしんばんく)する〉は今の新潟そのものである。続く結びで「雪国の人々の上に『辛』や『苦』が、これ以上積もらぬようにと願うばかりだ」と励まされた。胸に染みた。遠方から寄り添う言葉、しっかり届きました
▼その土地の痛みや苦しみを、そこで暮らす人と同じ深さで理解するのは容易ではないだろう。しかし、想像することはできる。さて、この人の場合はどうだったのか
▼普天間飛行場を抱える沖縄県宜野湾市長選に向けて、沖縄防衛局長が選挙への介入と受け取られかねない「講話」をした。想像力が足りなさすぎないか
▼基地をどうするのか。市の将来をどうするのか。最も尊重されるべきは、一票一票に込められた自由な意思だろう。にもかかわらず、職員に向けて特定候補への支援をにじませる話をする。沖縄の苦悩を本当に考えているとは思えない
▼副産物もある。市長選に注目する人が増えた。結果次第で事態が変わるほど基地問題は単純ではないが、地元の考えを知り、共に考える手掛かりの一つにしたい。「中日春秋」の言葉を借りるなら、沖縄の人々の上に「辛」や「苦」が、これ以上積もらぬことを願うばかりだ。海を越え、届きますように。

新潟日報2012年2月4日

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