検証・日本海横断航路問題

調査委員長会見 主なやりとり

 日本海横断航路計画の船購入問題に関する調査報告書をまとめた早川吉尚特別調査委員長の3日の記者会見では、「ガバナンス(内部統制)の欠如」を招いた責任が誰にあるかについて質疑が集中した。主なやりとりは次の通り。

-報告書によると、泉田裕彦前知事への契約の報告が遅れている。知事には重要な局面の出来事が知らされていなかったのか。

 「一連の経緯の中で、改装費が高くなったということが分かった事実と、その前日に契約が結ばれたという事実が1カ月間、報告がなかったというだけ。しかしそれまでの過程で知事にはいろいろな形で報告がされている。全く知らなかったということはあり得ない。ここだけを知らなかったからといって、知事の計画全体についての責任が免れることはもちろんない」

 「一番の問題はガバナンスの欠如。ガバナンスについて責任を持つのは当然ながらガバナー、つまり知事であり、またこの事業を直接けん引した(森邦雄)副知事だ」

-前知事は契約直前の2015年8月24日のレク(説明)で出資を了承したとある。前知事は3億円の出資金が船の購入に使われるという認識があったのか。

 「それは当然そうだ。このスキーム自体が最初からそう。(第三セクターの)新潟国際海運はお金を持っていない。出資金しか船を買うお金はない」

-前知事は在任中にそのような説明をしていなかった。

 「物事を形式的に説明するか、実質的に説明するかの違いだ。形式的に説明するなら出資金は出資金であり、出資されたお金をどのように使うかは出資された会社がやるものだと。その説明自体にうそはない。ただ実質は、その出資金を使って船を買うプロジェクト。その時の立場で、説明の仕方をうまくやろうと思われたのだろう」

-ガバナンスの最高責任者である前知事に最も重い責任があるという判断か。

 「そう。ただ事業自体を現実にけん引したのは副知事だ。知事には副知事の監督も含めて責任があるし、副知事にも責任がある」

 「県職員は命令されたことに真剣に取り組んでいた。まじめに取り組むほど、方向を間違えるとどんどん違う山を登っていく。そういうことが起きていた。下で頑張っている人が個人として責めを負わされるというのは、耐え難い」

-知事、副知事の処分についてはどう考えるか。

 「監督者だから、必ず責任は伴う。ただ処分は法律上はできない。個人賠償責任を追及するようなものはない。責任を持って辞めてもらうというのが通常だが、もう辞めているので、それ以上はできない」

-この問題を巡る一連の報道についてはどうみているか。

 「報道が連日なされたことは確かだが、報道自体が何かの意図を持ってなされたということではない。(知事選の)選挙戦に利用されたということ。選挙戦は総力戦だから、いろんなものがいろんな形で使われる。報道に対して県が抗議したり、またそれに(報道側が)反論したりということもあって、通常よりもヒートアップした状態があった。政治的に利用しやすい状態にあったのではないか」

 「地元紙が食い下がることがなければ今回、こういう形で検証をしっかりしようという話にはならなかった。この事件はいろんな陰謀説が流れている。それがあったかなかったかを、一つ一つ証拠に基づいて事実認定するのもわれわれの仕事だ。証拠としてそういうものを見つけることはできなかった」

<中古船購入問題> 2015年8月に県の三セク「新潟国際海運」がパナマにある子会社名義でフェリー購入契約を韓国企業と結んだが、速度不足などを理由に船の引き取りを拒否し紛争に。海事仲裁判断で本県側に約1億6千万円の支払いが命じられたが履行されなかったため、韓国企業が損害賠償を求めて三セクを提訴した。16年10月に就任した米山隆一知事が解決を図り、12月に三セクが約1億1500万円を支払って和解した。県が船購入のため三セクに出資した3億円のほぼ全額が一連の紛争対応などで失われた。