見附市で23日、住民がトキ1羽を見つけた。環境省は、撮影された写真からトキと断定。22日まで新潟市秋葉区にいた個体番号3番の雌の可能性が高い。同省は24日、現場周辺を調査する。9月の試験放鳥後、中越地域で確認されたのは初めて。
見つかったのは見附市の市街地に近い里山。餌を探すようなしぐさや、力強く飛び回る様子が見られた。羽に緑色の塗料が付いており、新潟市秋葉区にいたトキが約40キロ南下したとみられる。
目撃した見附市の自営業小畑淳さん(41)は「美しいピンクの羽で飛ぶ姿に感動した。周辺は昔から釣り池があり、餌のありそうな場所が分かったのでしょう」と話す。
3番のトキは佐渡市で9月25日に試験放鳥された後、海を越えて11月8日に関川村で確認された。12月4日には新潟市に移動しているのが判明した。
このトキを観察してきた県野鳥愛護会の白井康夫さん(64)は「22日朝まで新潟市秋葉区の農道で羽を休める姿が見られたが、その後見失った。強風に乗って一気に飛んでいったのかもしれない」と話していた。
写真=見附市街地に近い里山周辺を飛ぶトキ=23日午前8時30分すぎ、見附市
環境省は14日、佐渡市で試験放鳥されたトキ10羽のうち1羽が同市の加茂湖周辺の山中で死んでいるのが見つかったと発表した。死んでいたのは、9日のモニタリング(生態観察)で異常がみられた個体番号15番の1歳の雌。放鳥後、トキの死が確認されたのは初めて。
死がいは14日、市民ボランティアが、最後に確認された地点から500メートル北側で発見した。羽が散乱し、胸や翼の骨の一部が落ちていた。同省は一緒に見つかった個体識別用の足環や羽に付いていたアニマルマーカーの色から15番と判断した。
佐渡トキ保護センターの獣医師2人が立ち会って死がいを回収し、同市新穂正明寺の野生復帰ステーションに収容。今後、同センターと新潟大が死因を調べる。
現場を観察した同センターの金子良則獣医師は落ちていた羽の様子から「きのう、今日のものではなく何日か経過しているのでは」と推察、「複数のタヌキが襲った可能性もある」とみる。
同省佐渡自然保護官事務所の岩浅有記自然保護官は「残念ではあるが、自然界ではいかなる事象があることも考えている。(トキの死が)ないにこしたことはないが、原因を究明して次回の野生復帰の成功につなげたい」と話していた。
15番は同湖周辺で個体番号9番の雄と行動を共にしており、繁殖への期待が高まっていた。最後に確認された9日には約6時間うずくまったまま動かず、けがをした可能性が指摘されていた。
写真=見つかった羽と緑色の足環(円内)。足環は一部がかみ砕かれていた=14日、佐渡市加茂湖周辺の山中
佐渡島内で現在確認されているトキ8羽のうち1羽の行動に異常があることが9日、環境省のモニタリングで分かった。約6時間動かなかったことから、同省はけがの可能性もあるとみている。
異常がみられたのは、佐渡市の加茂湖周辺にいるペアのうちの1羽で、個体番号15番の雌。
専門チームの観察によると、同日午前11時から午後5時すぎまでの間、水田の中で卵を温めるような姿勢をしたまま動かなかった。異常に気づいたチームのメンバーが数メートルに近づくまで飛ばず、飛び立った後も、木に止まろうとして2回失敗する様子が観察されたという。
同日早朝には、元気に空を飛ぶ様子が確認されていた。「黒っぽい鳥に襲われたようだ」という市民の情報もある。佐渡自然保護官事務所の岩浅有記自然保護官は「10日は注意深く観察したい。必要があれば、獣医師に現地で観察してもらう」と話していた。
写真= 田んぼの中でうずくまり飛び立とうとしないトキ=9日、佐渡市加茂湖周辺(環境省提供)
環境省は8日、トキの試験放鳥後の対応を議論する「野生復帰専門家会合」を放鳥後初めて東京都内で開き、餌が少なくなる冬季に餌場に餌を補給するなど人為的支援は原則として行わないことを決めた。餌不足でトキの衰弱が激しい場合は専門家と相談した上で保護する方針。
関川村で発見され新潟市に移動したトキ1羽に対しても餌の補給や捕獲は行わない。緊急保護が必要な場合は県愛鳥センター(新発田市)に収容する。
9月に放鳥した10羽は現在、新潟市の1羽のほか佐渡で8羽が確認されている。同省はどのくらい餌が取れているかを把握するモニタリング調査を強化し、トキの衰弱度合いを見極める。
この日の議論は冬の餌対策が中心。近辻宏帰・元佐渡トキ保護センター長は「今ある餌場の状況を緊急調査し、あらかじめドジョウを補給してはどうか」と提案した。
これに対し、他の委員から「餌を補給すると、動物園のおりに入っているのと変わらず、野生復帰にならない」との意見が相次ぎ、人の手はできる限り加えずデータ収集を重視することとした。
一方、同省は来年予定されている第2回放鳥に向け、20羽程度で訓練を行う方針。会合では放鳥の時期や放す方法を今年の試験放鳥と変えて行うべきだとの意見も出た。
写真=冬の餌対策について意見を交わした「トキ野生復帰専門家会合」=8日、東京・霞が関
佐渡市で試験放鳥され、11月上旬から関川村にとどまっていたトキが4日、約60キロ離れた新潟市南東部で発見された。3日までに同市に移ったとみられ、環境省は「今後さらに移動する可能性がある」としている。
トキがいたのは平野部の田園地帯。巡回していた佐渡市のボランティア観察員が4日午前10時ごろ、見つけた。足環の色などから関川村にいた識別番号3番の雌と確認された。水田や用水路で餌を探すしぐさを見せ、午後4時すぎに東へ向かって飛び立った。
3日午後、付近の住民から「羽が青と緑に着色された鳥がいる」との目撃情報があり、同省が探していた。関川村で目撃されたのは2日午後4時ごろが最後だった。
同省は「関川村に定着し掛かっていたので驚いた。北上した海岸沿いのルートを逆行して南下した可能性がある」とみる。同省佐渡自然保護官事務所の岩浅有記自然保護官は「移動した理由は断定できないが、新たに餌場を探したり人に驚いて去ったりした可能性はある」としている。
写真=民家や電柱がある集落付近を飛ぶトキ=4日午後4時ごろ、新潟市南東部
トキの放鳥後初めての「トキ野生復帰専門家会合」(座長・山岸哲山階鳥類研究所長)が8日、東京都内で開かれる。佐渡市で試験放鳥された10羽のうち1羽が日本海を隔てた関川村で確認されるなど想定外の事態も発生。今後は降雪による餌不足も懸念される。会合では、学者ら鳥類の専門家が餌不足でトキが衰弱した場合の対応を議論。保護のタイミングなど、どの段階で人が介入すればいいのかを中心に話し合う。
放鳥されたトキは現在、8羽が佐渡市、1羽が関川村で確認され、残り1羽は放鳥以降、一度も確認されていない。環境省佐渡自然保護官事務所の岩浅有記自然保護官は「(佐渡の)8羽を中心にモニタリングはできており、おおむね順調」と総括する。
だが、県内もこれからが冬本番。心配されるのが、降雪によってドジョウやカエル、昆虫などトキの餌となる生物の不足と、餌不足によるトキの衰弱だ。
専門家会合ではこれまで、厳冬期で極端にやせるなど餌不足と判断される場合、利用頻度の高い餌場にドジョウを放流するなどの緊急的給餌を行う方針を確認している。しかし、トキが餌場を求めて飛び回ることも考えられ、給餌を行うタイミングや、どの程度衰弱したら捕獲するのかといった難しい判断に迫られる。
特に関川村の1羽については、佐渡市のトキ保護関係者らから「1羽では群れになれないし、繁殖も無理。早く佐渡に返した方がいいのでは」との声が上がっている。専門家会合委員の本間航介新潟大准教授は「事前に考えていた方針で関川村のトキに対応できるのかは未知数。専門家同士でも意見が分かれる可能性がある」と指摘する。
山岸所長は「個人的にはぎりぎりまで自然に任せたいが、違う考えもあるだろう。(どの時点で介入するかは)慎重な判断が必要だ」と話す。
8日の会合について、同省野生生物課の中村昌孝野生生物専門官は「給餌の前に、厳冬期の餌場を確保する取り組みが大切と考えている」とし、「どのタイミングで介入を図るべきか、専門家の意見を頂きたい」とする。
給餌など一連の対応は、トキの正確な状況把握が前提となる。そのため同省は2日までに、関川村の一羽のモニタリングについて、県内の愛鳥団体に委託し、来週にも開始することを決めた。
写真=ところどころに水たまりがある田んぼで、餌を探すトキ=2日午後2時すぎ、関川村西部
佐渡市で試験放鳥されたトキ1羽が発見された関川村で2日、住民に観察などをしてもらうための「トキ・モニター養成講座」が開かれ、環境省の担当者や佐渡市の職員がトキの生態などを説明した。
発見から1カ月近くが経過し、定着の兆しを見せていることから、住民に観察や見学者への対応で協力してもらおうと、同省が開催した。
講習会には住民4人が参加。環境省新潟事務所の遠藤裕一所長が「皆さんの協力で冬を越せるようにしたい」とあいさつ。続いて、金子広明自然保護官が「産卵期となる1月以降は体が灰色に変わる。サギと間違わないようにしてください」などと注意点を説明した。
講習を受けた同村高田の近達次さん(70)は「上空を旋回する美しい姿に感動した。村にとってもチャンスなので、冬を生き延びられるよう協力したい」と意気込みを語った。
その後、佐渡市トキ共生・環境課の木下良則課長らが同村西部を視察。水田で餌を探す様子を確認した。木下課長は「佐渡と環境が似ている。今後もトキを温かく見守っていけるよう関川村と情報交換を続けたい」と話していた。
写真=トキの状態を観察する佐渡市職員=2日正午すぎ、関川村西部
トキ10羽が佐渡市で放鳥されて25日で2カ月がたった。20日には県内全域で雪が降るなど冷え込みが強まり、トキが野生で冬を越せるかに関心が集まっている。農地が雪に覆われ餌が採りにくくなる上、餌を求める天敵と遭遇する危険性も高くなる冬。1羽が飛来した関川村では、急きょトキの見守り方を住民に周知。越冬対策にも頭を悩ませている。
トキの餌はドジョウやカエル、サワガニ、昆虫など。放鳥前の順化ケージでの訓練では、採餌時間はおおよそ2、3時間、冬場には雪の中にくちばしを入れて餌を探すこともあった。
しかし餌を用意できる順化ケージとは違い、野生では冬場、死んだり冬眠したりで餌の量が少なくなる。19日には加茂湖周辺にいた2羽の採餌時間が6時間半におよび、佐渡トキ保護センター職員は「餌が十分に採れていないのではないか」と心配した。
同センターの金子良則獣医師によると、トキが1日に必要とする餌は200−300グラム、ドジョウに換算して100匹ぐらい。「自然界で雪に阻まれると、この量を採るのは難しくなる」という。
また冬場には、雪の少ない餌場を求める天敵のタヌキやテンと遭遇する恐れも強まる。佐渡島内ではタヌキなどの数が増えているとの報告もあり、県猟友会佐渡支部の笠井照夫支部長は「餌を求めてか、既にかなりの数が人里に降りてきている」と指摘する。
金子獣医師は「1981年の一斉捕獲前には、餌が少なくなる冬場に成鳥がタヌキやテンに襲われることもあったとみられる。餌場で襲われることがないように見ていかないと」と話す。
餌不足を防ぐため、関係者はトキの定着を想定している小佐渡東部地域の山中を中心に、休耕田などを活用したビオトープ(人工ため池)を整備、冬季間でも餌になる生物が生きられるように対策した。トキが餌を求めて平野部に降りる場合に備えて、田んぼに水を張り生き物を育(はぐく)む冬季湛水(たんすい)を拡大した。
かつての野生トキはわき水で雪が溶けた場所で餌を採る姿が確認されている。環境省佐渡自然保護官事務所の岩浅有記自然保護官は「ビオトープや冬季湛水の田んぼが今後の餌場として有効になってくると思う」と期待する。
写真=雪が積もった田んぼで餌を探すトキ=20日、佐渡市赤泊地区(環境省提供)
関川村で20日、9月下旬に佐渡市で試験放鳥されたトキ1羽が確認された。以前に同村で見つかった雌で、19日からの降雪で真っ白になった田んぼをしっかりとした足取りで移動し、首を上下に動かしながら餌を探すようなしぐさを見せていた。
トキがいたのは同村西部で、かつて付近でドジョウを養殖していたことがある場所。環境省関東地方環境事務所野生生物課の見上敏一課長や同省佐渡自然保護官事務所の岩浅有記自然保護官らが同村を訪れ、目撃されたことがある場所を地元の人の案内で視察していたところ、偶然発見した。
双眼鏡で姿を確認した岩浅自然保護官は「元気そうだった。最初に情報が寄せられてから約20日が経過しているので、トキは関川村に定着する傾向にあると思う」と説明。「里山や田んぼがあるなど地形的には佐渡とよく似ており問題はない。雪が本格化する冬が心配だが、当分は様子を見守りたい」と話していた。
一行は同村役場も訪問。目撃情報の提供についての協力や、近づいたり驚かせたりしないなど「人とトキとの共生」に向けたルールづくりの検討なを要請した。
写真=雪が積もった水田で餌を探すトキ(20日正午ごろ、関川村西部)
長岡市がトキの分散飼育地に選ばれた際に備え、長岡農業高校の生徒が餌となるドジョウの養殖に取り組んでいる。分散飼育地は来月選定される見通しだが、生徒たちは「餌を市内で調達できる仕組みをつくって、分散飼育に役立ちたい」と張り切っている。
長岡市は2011年度からの分散飼育開始を目指している。地元でトキへの関心が高まっていることから、同農高作物コースの生徒がドジョウの養殖を発案。
同コースの2、3年生約30人が、4月に学校田で約20匹を捕まえ、飼い始めた。現在は学校敷地内に生徒が手作りした8平方メートルの養殖池や水槽で、約100匹を育てている。
飼育当初は、コイ用の餌を与えていたが、次第に池の中でドジョウが食べるプランクトンが発生するようになり、ほとんど餌を与えなくても生きていける環境ができたという。
これまでは捕まえることで増やしてきたが、今後は産卵させて増やすことを目指す。3年生の松本匠さん(18)は「ドジョウを増やす取り組みを、(自分たちの)卒業後も、後輩たちに引き継いでほしい」と期待する。
将来的には、廃棄された食品をドジョウの餌に加工する技術を開発することも視野に入れている。
3年生の杉沢和俊さん(18)は「環境に配慮したリサイクルにも取り組んでいきたい」と話した。
写真=養殖池のドジョウを手作りの器具ですくい上げ、観察する生徒(長岡市の長岡農業高校)
トキが試験放鳥された佐渡市で、トキの居場所を特定し、行動パターンや食性を明らかにするためのモニタリング(生態観察)が、放鳥以来1日も欠かさず続けられている。放鳥から60日近くがたって行動が定まり、観察しやすくなってきた。一方、一般の見学者がトキに近づき過ぎることもあり、観察ルールを再確認する必要性が出始めている。
モニタリングに当たるのは毎日10人弱。環境省の専門チームと、40人以上いる住民ボランティアの「トキモニター」から数人が参加する。午前6時前のトキがねぐらを出る前から、ねぐらに戻る日没、午後5時すぎまで続く。
県鳥獣保護員と環境省鳥獣保護区管理員を務める同市新穂青木、自営業土屋正起さん(58)は、トキモニターの一人。仕事の合間を縫ってほぼ毎日、モニタリングに参加している。
夜明け前の同市両津地区。土屋さんは林から数百メートル離れた場所に車を止め、「3本のスギがある、あの辺りにトキが来ますから」と指さした。その数十分後、旋回しながら1羽が飛んできた。
トキの行動を予測できるようになったのは最近のこと。餌場やねぐらが定まってきたためだ。土屋さんは佐渡島内で確認されている8羽のうち、最多で1日に6羽を見たこともある。観察できる時間も伸びた。
慎重に距離を計り、約150メートル、時には500メートル近く離れて観察。行動や様子をメモし、飛び去ると餌やふん、足跡などを調べる。こうして集まったデータが今後の放鳥の参考にされる。
現在の餌場は手刈りして稲の株が残り、耕作機で土を起こしていない田んぼが多い。中でも田んぼを掘り起こして作った江やあぜで餌を取る姿が見られている。餌場を移るときには、すぐ隣に動くのではなく、一度飛び立ち、上空から餌場を探す。
食欲は旺盛だ。同市佐和田地区で、1羽が長さ30メートルほどの江いっぱいにいたドジョウを数日間で食べ尽くすこともあった。「驚いた。あいつらよく食うんだよ」と土屋さん。
天敵とされるカラスには、威嚇されることもあるが、同じ木に止まって休むときがあることなども分かってきた。
一方、居場所が定まるにつれ、見学者に注意を促す機会も増えた。同市などは放鳥前、「優しく静かに見守りましょう」などとする共生ルールを定めたが、「いざ目の前にすると近づいてしまう人が多い」という。特にトキは車から降りて近づく人に警戒するといい、「人間などが近づき過ぎて一度餌場を飛び立つとそこに戻ってこないこともある」という。
放鳥後、トキは島内各地を飛んでいる。「いまは餌探しと安全な場所を探すのがすべてのようだ。生き残ることに必死なのだと思う」と土屋さん。「島内全域に観察時の注意を促す看板を立てる必要があるのではないか」と話している。
写真=(左)トキが飛び立った田んぼで足跡を探す土屋正起さん=13日、佐渡市 (右)稲の株が残る田んぼにたたずむトキ。朝日に照らされ、朱鷺(とき)色の羽が輝いていた=13日午前7時30分ごろ、佐渡市
トキの分散飼育地に立候補している長岡市の悠久山公園小動物園に13日、多摩動物公園(東京)から近似種のクロトキとムギワラトキが到着、飼育が始まった。6羽はケージ内を勢いよく飛び、元気な姿を見せた。
近似種の飼育はトキを分散飼育するための前提条件。同市では初めて飼育する。クロトキは顔が黒く、ムギワラトキは黒い羽と茶色い胸が特徴。両種ともトキよりやや小さい。
同市は来春、繁殖に挑戦する計画。飼育担当の五十嵐伸吾さん(47)は「一歩一歩、実践を重ねていきたい」と話した。
写真=長岡市に到着し、ケージに放されたクロトキ=13日午後3時すぎ
専門家による県の「トキ増殖技術現地検討会」(座長・菅谷博茨城県自然博物館館長)が12日、佐渡市で開かれた。佐渡トキ保護センターは、来年の第2次放鳥の選定に当たって順化ケージでの訓練結果や9月25日に行われた試験放鳥後の様子などから「順応性の観点で0歳のトキを主体に選ぶ」とする方針を示し、確認された。
第1次放鳥では1歳を主体に、0―2歳を放鳥候補として訓練したが、同センターの金子良則獣医師は「ゼロ歳の方が餌の取り方や人への慣れ、止まり木の位置取りなど環境への順応が早いものが多く、試験放鳥した2羽についても早々と定着する傾向が見られたため」と説明した。
2009年の繁殖計画は既存の16ペアのうち有精卵が生まれる確率が低い傾向にある1ペアを解消。遺伝系統や繁殖への適性などの観点で3ペアを加え、計18ペアで08年(11月10日現在)実績の28羽並みの27羽の増加を見込む計画を示した。
また、トキがぶつかってけがをするなどしたため改修を進めている順化ケージのネットについて、同センターは「従来のものに比べて柔らかい材質で、ゆるめに張るようにする」と説明。色についても「今までの黒っぽいネットがトキに見えにくかったと考えられるため、緑色のものに変える」とした。
環境省と県は8日、9月25日に佐渡市で試験放鳥されたトキ1羽を関川村で発見、確認したと発表した。本州で野生状態のトキが確認されたのは石川県で1970年に捕獲されて以来、38年ぶり。
県などによると、同日午前10時半ごろ、県愛鳥センターの元職員、宮越一俊さんが同村西部の休耕田で目撃し、写真撮影に成功した。
同省などが写真で確認したところ、足環の色がピンクと黄色という組み合わせで、識別番号3番の雌(2005年生まれ)と分かった。このトキは放鳥された10羽の中で行方が分からなかった2羽のうちの1羽。
同村ではこれまでにも住民がトキと思われる鳥を見つけ、写真に収めるなどしていた。環境省などによると、県内では7日までに新潟、胎内市などから29件の目撃情報が寄せられていた。
県環境企画課では「2羽を見たという目撃情報も多いことから、引き続き環境省などと連携し、市民からの情報収集に努めたい」としている。
環境省佐渡自然保護官事務所の岩浅有記自然保護官は「予想以上の飛翔(ひしょう)能力だ。1カ月以上たって見つかったことに正直ほっとしている」と話した。
写真=38年ぶりに本州で確認されたトキ=8日午前10時30分ごろ、関川村(宮越一俊さん撮影)
環境省関東地方環境事務所新潟事務所に寄せられた佐渡島外でのトキとみられる鳥の目撃情報は4日までに、計26件となった。10月31日以降、新たな情報が9件あった。
9件の内訳は新潟市西区、新発田市、関川村が各2件、村上市、燕市、田上町が各1件。また島外での目撃情報が初めて寄せられた同27日以降、2羽が一緒にいたという情報が5件あった。
同省関東地方環境事務所は「1羽が(本土側に)いるのは間違いないと思うが、2羽いるとは確認できていない。目撃情報は新潟市近辺、もしくは北側に分かれる傾向にある」と話している。
環境省は30日、来年に予定されるトキの2回目の放鳥に向け、野生復帰を目指すための順化訓練の準備として、多摩動物公園(東京)で分散飼育されているトキのうち8羽を、佐渡市の佐渡トキ保護センター野生復帰ステーションに移送すると発表した。
8羽は2008年生まれの雄2羽、雌6羽。11月3日深夜に専用の動物運搬車で多摩を出発、高速道とカーフェリーを使い4日午前9時ごろ、同ステーションに到着する予定。移送には同ステーションの金子良則獣医師が同行し、トキの体調管理に努める。
8羽の到着後は当面の間、ステーションの繁殖ケージに入れ、新しい環境に慣れさせる。野生復帰訓練が行われる順化ケージ施設では整備作業が行われており、作業終了後、環境に慣れたものから訓練を始める予定。
多摩動物公園では現在、8羽と親鳥4羽の計12羽が飼育されている。同公園の成島悦雄飼育展示課長は「佐渡に無事トキを返すことができそうでほっとしている。東京生まれのトキだが、佐渡でしっかりと羽ばたいてほしい」と話している。
トキとみられる鳥が目撃された胎内市富岡周辺の沿岸部で、環境省と県は31日早朝、職員ら計約50人で一斉調査を行う。これまでに集まった情報では9月に佐渡市で放鳥されたトキと断定できないため、大規模調査での確認を目指す。
調査範囲は、新発田市の加治川沿いから胎内市の荒川河口近くまでの十数キロ。林や湿地などトキが好みそうな場所を中心に参加者を配置し、午前6時から同8時まで定点観測する。
調査には同省や県職員のほか、胎内市の職員や新潟大の学生らが協力する。県環境企画課鳥獣保護係は「個体発見のほか、アニマルカラー(羽にある識別用の着色)の確認に努めたい」としている。
また、同省関東地方環境事務所には30日、新たに4件の佐渡島外での目撃情報が寄せられた。内訳は同日が2件、6日が1件、24日以前が1件で、場所は阿賀野市や新潟市江南区、同市西区などだった。
環境省は来年にも予定するトキの2回目放鳥に向けて、多摩動物公園(東京)で分散飼育しているトキのうち8羽を、11月初旬に佐渡市に移送することが29日、分かった。佐渡トキ保護センター野生復帰ステーションの順化ケージ改修工事が終了し次第、8羽を含めた計15羽程度に訓練を開始する予定。
多摩から移送する8羽は2008年生まれの雄2羽と雌6羽。この8羽のほか、保護センターとステーション内で繁殖した個体や、前回の訓練後に放鳥されなかったものを合わせた計15羽程度が、2回目放鳥の候補として検討されている。
順化ケージに入る前に、ステーション内の繁殖ケージで、職員や専門家が健康状態や飛翔能力などを確認する。順化ケージでは保護ネットの張り替えなどが予定されており、同省は「工事終了後、なるべく早く訓練を始めたい」としている。
同省は9月に行った試験放鳥のデータを基に順次放鳥を重ね、2015年ごろまでに60羽程度の定着を目指している。多摩動物公園には現在12羽が飼育されている。
写真=順化ケージで止まり木に並ぶトキ。間もなく2回目放鳥の準備が始まる=9月11日、佐渡市の佐渡トキ保護センター野生復帰ステーション
トキの分散飼育地に立候補している長岡市が同市の悠久山公園に建設を進めていた近似種飼育のケージが28日までにほぼ完成。近似種飼育は環境省の飼育地選定の要件で、同市は11月中に多摩動物公園(東京)からクロトキなど近似種を譲り受け、飼育を始める。
トキの分散飼育の誘致を目指しているのは、同市のほか石川県と島根県出雲市の三自治体。環境省が12月にも選定する。条件が整うと判断されれば、3カ所とも飼育地になることもあるとされる。
長岡市は寺泊地域で2011年度の分散飼育開始を目標としている。旧長岡市にある悠久山公園の小動物園に整備したのは広さ約200平方メートルのケージや育雛(いくすう)施設。建設費は約5000万円。
多摩動物公園からクロトキ、ムギワラトキの3つがい6羽程度が譲渡される予定。市職員2人が飼育に当たり、トキ分散飼育に備え、ノウハウを蓄積する。
市は6月から研修のため、職員を同動物公園へ派遣するなど準備を進めてきた。
悠久山公園での近似種飼育をめぐっては、環境省の専門家会合などで「実際の飼育地として計画している寺泊地域と離れすぎている」「夜間も小動物園へ人が出入りできるのはよくない」との指摘が出ていた。
対策として市では、小動物園に夜間の出入りができないようにフェンスを建設中。また、同市寺泊地域でもクロトキを飼うことも検討する。ただ寺泊での飼育施設整備については「環境省に分散飼育地として選ばれてから」(市環境政策課)としている。
写真=クロトキなど近似種の受け入れに備え、ほぼ完成したケージ=27日、長岡市の悠久山公園
胎内市でトキと思われる鳥が目撃されたことに関連し、環境省関東地方環境事務所(さいたま市)には29日までに、佐渡島外での目撃情報が新たに7件寄せられた。ただ個体の確認につながる情報はなく、同事務所は引き続き市民からの情報提供を求めている。
同事務所によると、目撃場所は胎内市が3件、新潟市が3件、聖籠町付近が1件。目撃日は10月中旬から28日まででばらつきがある。夕方や早朝に「トキのような鳥が飛んでいた」という内容が目立った。羽に施した特殊な塗料など、放鳥したトキと識別できる情報はなかった。
胎内市中条地区でトキと思われる鳥が目撃されたのは27日朝。そこから北東に約1・8キロ離れたたんぼで同日夕方に目撃したとの情報を寄せた同市職員の鈴木隆一さん(48)は、新潟日報社の取材に「70メートルほど離れてよく見えなかったが、サギより脚が短く体形がふっくらしていた。今思えばトキだったのでは」と話していた。
目撃情報の連絡先は同事務所新潟事務所、025(249)7575。
環境省は28日、トキと思われる鳥を27日に胎内市で目撃したとの情報が地域住民から寄せられたことを明らかにした。羽の色の特徴などから9月25日に佐渡市で試験放鳥されたトキ10羽のうち、所在が確認されていない2羽の1羽で識別番号10番(雄)の可能性がある。同省と県は現地調査を行う一方、目撃情報の提供を呼び掛けている。
同省によると胎内市内に勤務する住民が27日午前8時すぎ、同市富岡で車を運転中、道路脇の水たまりから鳥が飛び立つのを目撃し、県に通報した。羽の色がサギの白やグレーではなく淡いピンク色で、羽の内側に緑色の着色があった。
放鳥されたトキ10羽には識別のため足輪がはめられ、羽に着色が行われている。所在が確認されていない2羽はともに緑色の着色があるが、羽の内側は3番が青、10番は緑色が付けられている。
放鳥された佐渡市東部から胎内市までは直線距離で約60キロ。環境省は「数十年飛んでいない種なのでしばらく佐渡にいると思っていたが、飛翔能力を考えれば海を越える可能性はある」としている。
一方、同省は28日、放鳥から1カ月が経過したトキの状況を発表。放鳥した10羽のうち目視などで確認された8羽で採餌や力強い飛翔が観察され、うち4羽は行動範囲が落ち着く傾向があるとして「自然環境への順化が進みつつある」との見解を示した。今後もデータ収集を続け、12月に専門家会合でデータを検証し越冬対策を議論する。
同省によると24日までに、衛星利用測位システム(GPS)機能付きの発信機による追跡データや市民からの目撃情報を合わせ計430件の観察情報が集まった。
佐渡市でトキ10羽が試験放鳥されて25日で1カ月。当初は放鳥地の新穂地区を中心に移動するとみられていたが、広域に移動するものと、一定の狭い範囲に落ち着いてきたものに分かれてきた。しかし、ねぐらが定まらず、群れにもなっていないため、1日の生活パターンなどは十分に把握できていない。
これまでに目視や衛星利用測位システム(GPS)による発信機などで確認されたのは10羽中、8羽。関係者は当初、早く群れになることを期待していたが、複数での行動が確認されたのは、17日に加茂湖東側で2羽が同時に飛ぶ姿が見られた1回だけだ。
8羽のうち、加茂湖周辺で2羽、南部の赤泊―羽茂、放鳥地に近い畑野山中でそれぞれ1羽の計4羽が、比較的狭い範囲で行動。残る4羽はまだ決まった場所に落ち着いていない。
環境省佐渡自然保護官事務所の岩浅有記自然保護官は「想像以上に飛行能力があり、広域に動くことができるという印象。身を隠せる谷のような場所に現れる」と話す。
行動は午前6時から午後5時ごろに確認されることが多く、早朝に餌を食べている様子や、日中に木に止まって休んでいる姿が見られている。しかし「断片的な情報しかなく、1日をどう過ごしているかはよく分からない」(岩浅自然保護官)という。
餌は当初、田んぼのあぜや草地で昆虫などを多く食べていたが、最近は稲刈り後の水田に作った水たまりでドジョウを食べることも多い。
岩浅自然保護官は「今はすべてが『しつつある』という段階。効率的なモニタリング方法を模索していく」と話した。
写真=大きく羽を広げて力強くはばたくトキ=21日、佐渡市加茂湖周辺
環境省などは佐渡市で試験放鳥したトキの一斉調査2日目の22日、同市小佐渡東部地域を中心に40地点で定点観測を集中的に実施したが、放鳥後未確認の2羽は特定できなかった。
21日と同様、モニタリング(生態観察)専門チームなど約50人規模で調査した。
同省佐渡自然保護官事務所の岩浅有記自然保護官は「一斉調査は初の試みで効率的なモニタリングの第一歩。サンプル数としてはそれほど数が確認できなかった。人目に付かない環境にいるトキもおり、現時点では定点のみで個体のデータを把握するのは難しいという印象がある」と話した。
一斉調査は2日間で終了。今後は専門チーム10人態勢で毎日モニタリングを続けていく予定。
トキ試験放鳥から1カ月となるのを前に、環境省などによるトキ一斉調査が21日、佐渡市の小佐渡東部地域を中心に始まった。放鳥後最大の50人規模で調査したが、未確認の2羽は見つからなかった。
調査は放鳥した10羽すべての居場所の把握と効率的なモニタリング(生態観察)方法を探る目的。臨時で集められた同市職員らが、佐渡島北東部の浦川や真野湾に近い滝脇など、広範囲に及ぶ約40地点を調べた。
職員らは早朝から見晴らしのいい場所を探したり、双眼鏡をのぞき込んだりして観察。この日は既に確認されていた2羽があらためて、加茂湖周辺と畑野山中などで見られた。
同省佐渡自然保護官事務所の岩浅有記自然保護官は「かなり限定的な地域に定着し始めたトキもいる。(未確認の2羽は)餌の不足は考えにくく、森林に逃げ込んでいるのかも知れない」とみている。一斉調査は22日早朝も行う。
写真=野生観察用スコープでトキを捜す専門チームのメンバー=21日、佐渡市小倉
トキを試験放鳥して25日で1カ月となるのを前に、環境省などは十九日までに、トキの一斉調査を行うことを決めた。放鳥した10羽のうち、まだ確認されていない2羽を発見する目的。21、22の両日、モニタリング(生態観察)要員を通常の倍以上に増やし、集中的に調べる。
まだ見つかっていないのは、2005年生まれの雌と06年生まれの雄。
通常は10―20人が数班に分かれてモニタリングしているが、一斉調査では県と佐渡市の職員を中心とする40―50人が観察に当たる。
市民の情報を基に島内に40前後の定点を設け、21日の早朝と夕方、22日の早朝の3回観察する。カメラやビデオで撮影し、確実に識別できるようにする。
残る8羽は9月30日までに、目視や衛星利用測位システム(GPS)を利用した小型発信機の情報などにより居場所が確認されている。放鳥地付近のほかに、放鳥地から10キロ以上離れた佐和田地区、約30キロ離れた小木地区などでも、田んぼで餌を取る様子や空を飛ぶ姿が確認されている。
環境省は10日、佐渡市で試験放鳥されたトキが、放鳥地(同市新穂正明寺)から約30キロ離れた同市南部の小木地区にいるのを確認したと発表した。
2006年生まれの雄で、7日まで赤泊山中で確認されていた。9日に小木地区の住民から複数の情報が寄せられたためモニタリングを実施。小木半島の先端部にある刈り取り後の水田で餌を探しているのが見られた。
環境省佐渡自然保護官事務所の岩浅有記自然保護官は「この個体は現在、広域に飛んで餌を採っているようだ」と話している。
環境省は9日、佐渡市で試験放鳥されたトキが、放鳥地(同市新穂正明寺)から10キロ以上離れた同市佐和田地区の山中で確認されたと発表した。また、これまで確認情報がなかった同市南部の小木地区でも、市民からトキとみられる1羽を目撃したとの複数の情報が寄せられたことを明らかにした。
佐和田山中で特定されたのは、2007年生まれの雌で、餌を探している姿が見られた。3日には放鳥地に比較的近い久知川流域にいるのが確認されていた。
同省佐渡自然保護官事務所の岩浅有記自然保護官は「放鳥から1週間目では久知川流域などに落ち着きつつあると思われたが、最初の自然環境に慣れてからは、また広域に範囲を広げている」と話している。
佐渡市でのトキ10羽の試験放鳥から9日で2週間。近くに人間がいても長時間にわたって餌を食べるなど落ち着いた行動を取る個体がいる一方、決まった餌場を持たずに移動するトキもいる。環境省は「定着とはまだ言えない段階だ。今後は群れの形成に期待したい」と説明している。
放鳥から1週間たった2日ごろから、徐々に行動範囲が定まり、決まった場所で確認されるトキが増えている。
4日には、放鳥地(新穂正明寺)から約3キロ離れた両津地区の田んぼで、2時間ほど餌を探して食べるトキの姿が見られた。100メートルほど離れて農作業をする人もいたが、驚いて飛び立つことはなかったという。
同省佐渡自然保護官事務所の岩浅有記自然保護官は「状態が落ち着き、餌も十分に食べているようだ。(トキ観察の仕方などを説明した)共生ルールも守られている。滑り出しは上々だ」と評価する。
一方、半数近くの個体は移動を続け、前浜海岸部や畑野、真野地区などで姿が確認されている。行動範囲が定まってきたトキの中にも、再び移動を始める個体が出るなど行動の把握が難しい状況が続く。「野生に定着した」と評価するまでには時間がかかりそうだ。
同省は今後の行動のポイントとして「群れを形成するかどうか」を挙げる。トキはもともと、繁殖期以外は群れを成して暮らす生き物だ。冬になると、餌を求め平地に姿を現す可能性もあるが、その際、群れだと餌を取る効率が上がり、警戒もしやすくなるという。
これまでに確認されているトキは十羽のうち八羽だが、同省は「足輪などで『百%この個体だ』という確認ができていないだけで、それらしいトキは発見されている。2羽とも無事でいると考えている」としている。
環境省は4日、佐渡市で試験放鳥したトキの1羽が、約2時間にわたり水田で餌を探して食べている様子を観察したと発表した。同省の岩浅有記自然保護官は「かなり落ち着いてきており、非常にいい傾向だ」と評価した。
放鳥地から約3キロ離れた両津地区で観察された。トキから100メートルほどの距離に農作業をしている人もいたが、人の姿に驚いて飛び立つことはなかったという。岩浅自然保護官は「人がいる場所に長時間いて、人々の営みに慣れつつあるなと感じる」と述べた。
また新穂地区では別のトキがスギの木に止まって休む姿が見られた。止まり木はコナラやサクラなどの広葉樹を選ぶことが多く、スギに止まるのは珍しいという。
岩浅自然保護官は「樹木の種類で止まる木を決めていると思っていたが、止まりやすいかどうかで選んでいるのかもしれない」と話した。
農薬と化学肥料の使用量を従来の5割以下に減らした「朱鷺(とき)と暮らす郷(さと)づくり認証制度」の認証米コシヒカリの販売が3日、県内や首都圏のイトーヨーカ堂各店で始まった。トキが放鳥された直後とあって、新潟市内の店舗の特設売り場では買い物客が興味深そうに品定めをしていた。
県内では4店舗が販売を開始。そのうち同市中央区のイトーヨーカドー丸大新潟店のコメ売り場には、羽ばたくトキをモチーフにしたオレンジ色の認証マークが付いた5キロと2キロの120袋がずらりと並んだ。
県外の友人に送るため午前10時の開店と同時に買い求めた同区の主婦(52)は「新潟のアピールにもなるし、売り上げの一部が保護活動に使われるのもいいですね。今度は実際にトキが飛んでいるのを見に行きたい」とうれしそうに話していた。
同制度は佐渡市が本年度から導入。トキの餌場確保のために「江(え)」(深み)の設置や冬季たん水などを行う「生き物を育む農法」で栽培するなどの条件を満たしたコメを認証する。売り上げの一部は「同市トキ保護募金」に寄付され、トキの生息環境整備に利用される。
イトーヨーカ堂(東京)では先行して取り扱いを始めた東京都内の1店を除く首都圏と県内の123店で3日から販売を始めた。価格は5キロ2980円、2キロ1200円。
写真=トキが生息しやすいよう環境に配慮して栽培されたコシヒカリ。県内や首都圏で販売が始まった=3日、新潟市中央区本町通6番町のイトーヨーカドー丸大新潟店
試験放鳥によって佐渡の空にトキが舞い戻ってから2日で1週間。放鳥と同時に思い思いの方向へ飛び立った10羽のうち、1日までに確認された8羽は、主に放鳥地(佐渡市新穂正明寺)から半径3キロ以内の地域で発見された。一方、放鳥地から約10キロ離れた前浜地域や赤泊の山中にも姿を現すなど広範囲に飛んだ個体がいることが分かった。
餌を取る様子も観察されている。環境省佐渡自然保護官事務所の岩浅有記自然保護官は「かなり餌も食べているようだし、(野生定着に向けて)順調な滑り出し」と評価する。行動範囲が徐々に定まっている個体もおり、今後はねぐらや餌場の確保が課題となる。
放鳥されたトキの移動状況は、環境省のモニタリング(生態観察)専門チームとボランティアが、目視や衛星利用測位システム(GPS)を利用した小型発信機で把握を進めている。
移動状況は個体ごとに異なる。小佐渡の山を越え前浜地域の海岸部にまで達したり、北に向かったり、放鳥地周辺に腰を据えて一帯を動き回ったりとさまざまだ。
岩浅自然保護官は「トキの移動の範囲は、もう少し狭い範囲を考えていた。訓練の成果か、かなりの飛翔能力がある」と分析する。
9月28日に新穂山中で発見されたトキは、「状態が落ち着き、行動の広がり」(岩浅自然保護官)を示す採餌の様子が確認された。その後も、放鳥地から北東の久知川流域などで別のトキが採餌するところも観察されている。
一方、休息場所となるねぐらについては、徐々に定まりつつある個体と、毎日変えている個体があり、環境省は「定着したと言うにはもう少し時間が掛かる」とみる。
発信機を付けた1羽を含む2羽の行方がまだ分かっていないが、環境省は「条件によってはGPSのデータが入らないことも考えられる。まず全個体の把握に努めたい」としている。
写真=トキ1羽が小佐渡東部地域の久知川流域の田んぼでアオサギと一緒に飛び回る姿が見られた
環境省は30日、佐渡市で25日に放鳥したトキ10羽のうち、新たに2007年生まれの雌を特定できたと発表した。放鳥後に個体を特定できたトキは8羽目。
同日に特定されたトキは午前6時ごろ、放鳥地点から北側に約4キロ離れた川近くにある枯れ木に止まり、その後あぜに降り餌を探しているのが見られた。また、畑野地区の山中で07年生まれのもう1羽の雌とみられるトキが確認された。この個体8羽目を特定は放鳥翌日の26日に特定されている。
同省佐渡自然保護官事務所の岩浅有記自然保護官は「行動範囲などある程度の傾向はつかめてきているが、ねぐらはまだ毎日変えているようだ」と説明した。
30日の専門チームのモニタリング(生態観察)は前浜地区で重点的に行われたが、トキは見られなかった。
環境省は29日、佐渡市で放鳥されたトキ10羽のうち、新たに1羽を確認したと発表した。28日に放鳥地(同市新穂正明寺)から東へ約10キロ離れた前浜海岸部で発見され、写真から識別された。29日までに特定されたトキは7羽となった。
これまでに確認されたトキの中には徐々に行動範囲が定まってきた個体もおり、同省の岩浅有記自然保護官は「放鳥から5日たち、(トキが)少しずつ落ちついてきているのかなという気はしている」と説明した。
また同日までに、餌場として造成したビオトープでトキが餌を取る行動が確認されたことについて、岩浅自然保護官は「トキはよく見ているなというのが率直な感想で、『トキってすごいな』と思う。トキがどのような場所を好むのかはモニタリングの重要なポイントなので、解析をしてさらに環境整備の取り組みを進めたい」とした。
佐渡市で25日に試験放鳥されたトキについて、環境省は26日夜のモニタリング報告会で、10羽のうち2羽の個体を同市新穂正明寺の放鳥会場周辺などでほぼ確認できたと発表した。2006年生まれの雄と07年生まれの雌とみられる。
また、このほか個体の識別ができないトキを3回見つけた。同省佐渡自然保護官事務所の岩浅有記自然保護官は「多くのトキが確認でき、木に止まるところも初めて見られた」と話した。
同日に個体がほぼ特定できた2羽は、新穂正明寺周辺と放鳥会場から約1・5キロ離れた同市新穂瓜生屋の新穂ダム付近で羽根の着色を手掛かりに確認。個体識別ができなかったトキは同ダム周辺と、放鳥会場に近い新穂田野沢で目撃された。
個体が識別できた2羽のうち07年生まれの雌は午後2時ごろ、新穂ダム付近で確認。上空で数回旋回してから斜面にある枯れたアカマツの木に止まり、同4時ごろに再び飛び立って東方向へ向かった。
モニタリングは前日の放鳥時に飛び去った方向などから、8羽は放鳥会場から半径3キロ以内にいると推測。これに基づいて新穂ダム付近、佐渡トキ保護センター野生復帰ステーション(新穂正明寺)などに分かれて実施。早朝から午後6時半ごろまで行った。
放鳥した10羽のうち6羽に装着した衛星利用測位システム(GPS)を利用した小型発信機のうち、4羽分のデータは27日午後9時ごろに入る予定。地上からのモニタリングは、広範囲に見下ろせる場所などを中心に同日早朝から再開される。
写真=放鳥から1日がたち、佐渡市の新穂ダム周辺の尾根沿いに飛ぶトキ。何回か旋回してアカマツの木に止まった=26日午後2時22分、同市新穂地区
佐渡市で25日に試験放鳥されたトキ10羽は、たくましい羽ばたきを見せた。同日夜、同市内で会見した環境省佐渡自然保護官事務所の岩浅有記自然保護官は「放鳥は事故がなく安全にできた」と報告した。
同日午後5時時点で詳しい位置は確認できなかったが、10羽のうち8羽は飛んでいった方向などから総合して、放鳥地点から半径2−3キロ圏内にいたと推測される。
午前10時半すぎに放鳥されたトキは、放鳥地点の同市新穂正明寺周辺や新穂ダムなどの方向に散らばった。
放鳥後間もなく新穂正明寺の水田で確認されたつがいのうち一羽は、時折餌を探すように地面をつつく動きを見せた。2羽は昼ごろ、新穂青木や新穂潟上方面へそれぞれ飛んでいった。
同省などでつくる専門家チームが中心になり放鳥直後から追跡したが、トキは群れをなさずに複数の方向へ散らばったため、位置は特定できていない。岩浅自然保護官は「今後の生存にとってもバラバラになったのは残念」とした。
6羽には衛星利用測位システム(GPS)を利用した小型発信機が装着されているが、GPSからデータを回収するまでに1日から3日程度かかる。同省では目視などでモニタリングを続け、位置確認に全力を挙げる。
環境省は今後、2015年ごろに小佐渡東部地域にトキ60羽の定着を目指し、放鳥後のトキの行動や生態に関する調査などを踏まえた上で、順次放鳥を行う。
写真=日本の空に27年ぶりにトキが舞った。高く、力強く舞った。「空に咲く花」とたとえられる飛翔(ひしょう)だ=25日午前10時30分すぎ、佐渡市新穂正明寺
5羽の野生種が1981年に全鳥捕獲され、佐渡の空からトキが消えてから27年。鮮やかな朱鷺(とき)色の翼が25日、よみがえった。トキの保護や人工増殖に携わり、この日を待ち望んでいた関係者は、試験放鳥されて大空を自由に羽ばたく10羽のトキを熱いまなざしで見つめた。
「きょうの放鳥は、60年以上トキを見てきた中で一番うれしい」
戦後間もないころから、独自に保護・研究を続けてきた佐渡とき保護会顧問の佐藤春雄さん(89)=佐渡市=は、自らテープカットした放鳥箱から飛び立つトキを万感の思いで見守った。
両津高校の教諭だった時に偶然見かけたトキの姿に心を奪われた。以来、トキの研究を続け、かかわった歳月は60年を超えた。
全鳥捕獲(1981年)、日本最後のトキ・キンの死(2003年)。保護活動の中で幾度も悲しい出来事に出会った。全鳥捕獲の時には「一時的とはいえトキが島から絶えた」とさえ感じた。
トキへの強い愛情ゆえに、全鳥捕獲をめぐり専門家と意見を戦わせたこともある。夢見ていた放鳥の日が近づくにつれ、期待の半面、「今の環境の中でトキたちはうまく生きていけるのか」と不安も募っていた。
式典でもトキたちの行動が気になった。多くの人が見守る中で緊張したのか、「きょうは人間を意識していた。本来の飛び方ではなかった」と語り、「早く餌場とねぐらを見つけ、生活のリズムを取り戻し、10羽仲良く暮らしてほしい」と静かに祈る。
「トキが再び空を飛ぶ姿が見たい」。全鳥捕獲以来の願いはかなった。次の目標は野生定着だ。「トキたちがねぐらの中で一家だんらんする。その姿を見ることができるのを楽しみに待っています」。佐藤さんは保護活動への思いを新たにしている。
佐渡市でトキ10羽が25日午前、試験放鳥された。トキが佐渡の空を飛ぶのは1981年の一斉捕獲以来27年ぶり。トキは同市新穂正明寺の水田で木箱から放たれると、翼を羽ばたかせて舞い上がり、旋回したあと飛び去った。
放鳥された10羽は2005年から07年に生まれた雄、雌5羽ずつ。同所の佐渡トキ保護センター野生復帰ステーションでの飛行や採餌の訓練、健康状態を基準に選ばれた。
式典には秋篠宮ご夫妻が出席。午前10時半すぎ、秋篠宮ご夫妻が2羽のつがいを空に放たれた。続いて関係者が8羽を一斉に放鳥。会場に集まった観客は薄紅の翼を広げたトキに歓声を上げた。
放鳥に先立つ式典では、秋篠宮殿下が「これまでトキを守るため力を尽くした人々に感謝する。トキ色の羽を広げて佐渡の空を舞うのを楽しみにしている」と話された。国内で唯一トキを飼育した行谷小学校の5、6年生の児童28人も出席し、「トキの歌」を元気に歌った。
10羽のうち6羽は、衛星追跡システム(GPS)を利用した小型発信器を装着。環境省などでつくるモニタリング専門チームを中心に、採餌行動などを観察する。
佐渡では1967年にトキ保護センターが建設され、保護・人工増殖が進められた。国産トキは2003年にキンが死に絶滅したが、99年に中国から贈られたペアによる人工ふ化に成功後、国内に生息するトキは増え、現在122羽となった。
写真=薄紅色の羽を広げて箱の外へ飛び立った2羽のトキ。会場からは「飛んだ飛んだ」と喜ぶ声が沸いた=25日、新穂正明寺
国際保護鳥のトキが25日、佐渡市で試験放鳥される。人工増殖のため、国産トキが一斉捕獲されて27年。一度は日本の空から姿を消したトキが、再び大空を舞い、小佐渡の里山に降り立つ歴史的な日が訪れる。
放鳥されるトキは、佐渡トキ保護センター野生復帰ステーション(同市新穂正明寺)で野生復帰の訓練を受けた15羽のうち10羽前後。
19日に同センターの獣医師らが捕獲し、個体識別のための足環の付け替えや、小型発信器の取り付けなどをした。
放鳥する個体は25日早朝に健康状態を最終確認して決める。23日現在、放鳥候補の15羽に捕獲などによるストレスはみられず、食欲もあるという。
トキの人工増殖は1981年、佐渡に生息する5羽を全鳥捕獲して本格的に始まった。このうち唯一の雄ミドリが95年に死に、国産トキ繁殖の望みは絶たれたが、99年、中国から借り受けたペアで悲願の人工ふ化に成功。多くの挫折を重ねてきた繁殖はその後、着実な成果を挙げ、国内の個体数は122羽を数えるまでになった。
トキは25日午前10時半に放鳥。人間との共生を実現する新たな局面に入る。環境省は2015年ごろまでに60羽の定着を目指している。
写真=放鳥候補のトキ。羽の青緑色は個体識別用の塗料=佐渡市新穂正明寺の佐渡トキ保護センター野生復帰ステーション(22日撮影、環境省・同センター提供)
佐渡市でトキが25日に試験放鳥されるのを前に同市八幡のホテルで24日、歓迎レセプションが行われ、放鳥にも携わられる秋篠宮ご夫妻が出席された。また、佐渡トキ保護センター野生復帰ステーション(同市新穂正明寺)近くの放鳥会場では同日、県や同市などの関係者がリハーサルを行った。
歓迎レセプションは環境省、県、市の共催。同省の黒田大三郎自然環境局長や泉田裕彦知事、高野宏一郎佐渡市長ら約百人が出席。黒田自然環境局長は「今回の放鳥は野生復帰を目指す出発点。今後、定着に向けて取り組みを進めていきたい」とあいさつ。泉田知事は「トキは将来の地球環境をわれわれがつくっていく象徴となる。放鳥がかなうのは日中友好の証しでもあり、胸が躍る思いだ」と語った。
放鳥会場で行われたリハーサルでは、田んぼを前にした放鳥台に高さ50センチの放鳥箱を10個並べ、テープカットの手順などを確認した。参加した元佐渡トキ保護センター長の近辻宏帰さん(65)は放鳥箱を見つめながら「関係者のご苦労があって、やっとこの日が来ます」と感慨深げだった。
また、地元の行谷小学校の児童ら約30人が、昨年の5、6年生が作詞した「トキの歌」を大きな声で歌い、練習に励んだ。同ステーションでは、環境省の岩浅有記自然保護官が「現場の職員一同、試験放鳥が安全に実施できるよう全力で準備している」と話した。
佐渡の空にトキが飛ぶまであと一日。佐渡市新穂正明寺の佐渡トキ保護センター野生復帰ステーションでは23日までに、居場所を調べるための機器をトキに装着するなど、25日の放鳥に向けた準備が着々と進められている。
同ステーションでは放鳥後のモニタリングで個体を識別できるように、放鳥候補のトキ15羽すべてに、色と番号で区別できる足環を装着。動物用の特殊な塗料「アニマルカラー」も羽の表裏二カ所ずつに塗布した。
また居場所を特定するため、雄5羽と雌1羽の背中などに、衛星利用測位システム(GPS)を利用した小型発信器を取り付けた。発信器は縦10センチ、横3センチほど、30−40グラムで、バッテリーやソーラーパネルで動く。
15羽のうち、放鳥するのは10羽前後。順化ケージ内でひなを育てた1羽とネットにぶつかってけがをした1羽を除く13羽の中から選ばれる可能性が高いという。
放鳥前日の24日は、式典の段取りや同ステーションから約400メートル離れた放鳥場所までのトキの輸送方法などを確認する。
環境省佐渡自然保護官事務所の岩浅有記自然保護官は23日、同ステーションで会見し「野生生物ということもあり、(放鳥当日は)予測不可能なことが起きるかもしれない。全力を尽くして準備しているが緊張している」と心境を語った。
また放鳥後のモニタリングについて岩浅保護官は、「専門のモニタリングチームが調査する」とした上で「何より重要なのは市民の方たちの協力だ。どんなささいなことでも構わないので、窓口に情報を寄せてほしい」と話した。
窓口は同市トキ交流会館、0259(24)6040。
写真=繁殖ケージ内でのけが防止にテープで羽の一部を固定する作業。テープは試験放鳥前に外される=佐渡市新穂正明寺の佐渡トキ保護センター野生復帰ステーション(19日撮影、環境省・同センター提供)
25日のトキの試験放鳥に向け、環境省と県は19日、佐渡市新穂正明寺の佐渡トキ保護センター野生復帰ステーションで放鳥候補のトキの捕獲作業を行った。作業時に心配されたけがはなく、順化ケージ(幅50メートル、奥行き80メートル、高さ15メートル)内で訓練中だった全15羽を捕獲した。(関連記事3面に)
同センターの獣医師、飼育員ら16人が、捕獲用ネットで順化ケージ内のトキを追い込み、最後はタモ網を使い一羽ずつ捕まえた。作業は十八分で終了した。
捕獲されたトキは、健康診断や放鳥のため足環(あしわ)の付け替えなどが行われ、順化ケージ奥の二つの繁殖ケージに分けて入れられる。この中から飛行・採餌訓練の結果や健康状態などを踏まえ、実際に放鳥される10羽程度が放鳥直前に選ばれる。
同センターの戸貝純夫所長は「捕獲が順調に終わり胸をなで下ろしている。トキにとってストレスもあるだろうが、放鳥まで餌を食べて体力を付けてほしい」と話した。
写真=佐渡トキ保護センター野生復帰ステーションで行われた放鳥候補のトキの捕獲作業=19日、佐渡市新穂正明寺(環境省・同センター提供)
県は18日、秋篠宮ご夫妻が24、25の両日、佐渡市で行われるトキ放鳥記念式典に臨席するため、本県を訪問されると発表した。式典でトキを放鳥される。ご夫妻の来県は2002年2月の冬季国体以来。
ご夫妻は24日午後に本県入り。佐渡市の行谷小のビオトープや佐渡金山を訪問後、記念式典の歓迎レセプションに出席される。
25日は記念式典に出席。トキの野生復帰に向けた訓練などを行っている佐渡トキ保護センター野生復帰ステーションを視察し、帰京される。
25日のトキ放鳥を盛り上げようと、新潟市東区の新潟空港に18日、放鳥記念のPRコーナーがオープンした。大空を飛んでいたころの野生のトキの写真や、放鳥に関する資料が並べられ、県内外の観光客らが熱心に見入っていた。
このコーナーは同空港ターミナルビル2階に設置された。佐渡市の佐渡トキ保護センターで飼育中のトキがひなを育てている姿や、放鳥に向けて餌場を調査する同市の児童の様子などを写したパネル19枚のほか、トキ保護の歴史をまとめた年表が飾られた。
出迎えのため空港に来ていた同区の角田洋子さん(77)は「トキ色の羽を広げた姿がきれい。放鳥が成功し、自由に空を飛ぶ姿を早く見てみたい」と話していた。
コーナーの設置は10月13日まで。
写真=トキ保護の取り組みなどを紹介するPRコーナー=18日、新潟市東区の新潟空港ターミナルビル
イトーヨーカ堂(東京)は、佐渡市が2008年度から導入した「朱鷺(とき)と暮らす郷(さと)づくり認証制度」の認証米コシヒカリ約1500トンのうち、6割に当たる約900トンを26日から首都圏と県内で順次販売する。安心安全で自然環境にこだわった付加価値の高い商品をアピールする狙いだ。
同社は昨年、佐渡米をイトーヨーカドー17店で実験的に販売。好評だったため、今年は認証米で本格的に販売することを決めた。26日のイトーヨーカドーアリオ亀有店(東京)を皮切りに、10月3日からはイトーヨーカドー丸大新潟店(新潟市中央区)など県内の4店と首都圏109店で販売する。
17日からはインターネットで予約も受け付け、利益の一部は「佐渡市トキ保護募金」に寄付されるという。
同社は「環境保全などのプラスアルファが消費者の購買意欲につながる。佐渡米の食味の良さとともに、トキと共生できる農法をPRしたい」としている。価格は5キロ2980円、2キロ1200円。
佐渡市の認証米制度 トキ自然放鳥に合わせ導入。農薬、化学肥料を5割以上削減し、トキの餌場となる江(深み)の設置や冬季たん水など「生きものを育む農法」で栽培された米を認証。2008年度は約270軒の生産者が約430ヘクタールで栽培する。
写真=イトーヨーカ堂が発売する「朱鷺と暮らす郷づくり認証米 新潟県佐渡産こしひかり」のパッケージデザイン(同社提供)
来年発行されるトキをモチーフとした1000円記念硬貨の図柄の基になる写真について意見募集してきた県は12日、国に提出する写真を決定したと発表した。3候補のうち、1羽のトキが羽ばたいている構図への賛同意見が最も多く、これを基に造幣局が記念硬貨をデザインする。
選定に当たって県は選ばれた写真のほか、止まり木で休んでいるつがいの様子と、羽ばたいている姿を浮かび上がらせたものの3種類の写真を示し、県民に意見を募集してきた。159件の意見が寄せられ、半数以上の87件が提出する写真に賛同した。「放鳥をイメージさせる姿」「トキ色が鮮明」などとの意見があった。
つがいを推す意見は34件、もう1種類の羽ばたいている写真には38件の賛同があった。
背景については田んぼ、稲穂が11件、トキ色が引き立つ色が10件、佐渡島や佐渡の自然が10件あった。そのほか、ビッグスワン、万代橋などを求める声もあった。
県財政課では「鮮やかなトキ色が映える立派な硬貨になることを期待している」と話している。
写真= 記念硬貨デザイン原案に決まったトキの写真(県提供)
25日のトキ試験放鳥まで2週間となった11日、佐渡トキ保護センター野生復帰ステーション(佐渡市新穂正明寺)の順化ケージでは、放鳥候補のトキたちが大きく翼を広げて飛び回ったり、止まり木の上で休んだりする姿が見られた。
環境省によると、放鳥候補のトキ10羽前後は、行動を把握するための衛星利用測位システム(GPS)の装着や健康診断などの準備期間を設けるため、19日ごろ捕獲する予定。健康、採餌や飛行能力、繁殖経験の有無などを考慮して、同ケージ内の15羽から放鳥するトキを選ぶ詰めの作業が続いている。
捕獲は職員数人が追い込んでタモ網で約10羽を捕らえ、数羽ずつに分けて順化ケージ奥にある繁殖ケージに移す。
同省は「細心の注意を払って捕獲作業を行い、準備を進めて円滑に放鳥ができるようにしたい」としている。
写真=身を寄せ合うようにして木に止まるトキ=11日、佐渡市新穂正明寺の佐渡トキ保護センター野生復帰ステーション
トキの野生復帰に向けた環境整備を民間団体や行政、学識経験者らで考える「人・トキの共生の島づくり協議会」が28日、佐渡市新穂潟上のトキ交流会館で開かれた。9月25日に実施されるトキ試験放鳥後の観光客らへの注意をまとめた「トキとの共生ルール」を決めた。
ルールには(1)優しく静かに見守る(2)餌付けをしない(3)観察時に地域に迷惑を掛けないようにする−の三点を盛り込んだ。
今後、内容を詰め試験放鳥までにルールを書いたチラシを作製。ルールの徹底を図る方針だ。トキの森公園(佐渡市新穂長畝)やトキ交流会館などを中心に、島外からの観光客に向け配布する予定。
佐渡市民に向けては、放鳥後のトキ追跡調査への協力を求め、トキ交流会館を中心に情報を集めるよう広報していくことを確認した。
写真=「トキとの共生ルール」が決められた人・トキの共生の島づくり協議会=28日、佐渡市新穂潟上のトキ交流会館
9月25日のトキ試験放鳥を前に、新穂トキっ子保育園(新穂瓜生屋)の園児が作製した不法投棄禁止を呼び掛ける看板や手作りのかかしがこのほど、新穂北方の市道脇にお目見えした。園児は地元の不法投棄監視員らと設置作業に取り組み、トキが飛来できるごみのない地域となるよう願った。
田んぼを貫くように延びる同市道沿線は、ペットボトルや空き缶などの投げ捨てが後を絶たないという。特に田んぼに入った空き瓶は農機具によって粉々に砕けることもあり、農作業中のけがの危険性も指摘されている。
看板などの製作は、トキ放鳥に向け市民を挙げて環境問題に取り組むきっかけにしようと、新穂地区の市不法投棄監視員が企画。監視員らの依頼を受け、同園園児が「ゴミのポイすてダメダメ」などと書いた看板と、トキや女性などをイメージした約二メートルのかかし三体を手作りした。
設置作業には、トキのお面を頭に着けた同園年長組の28人が参加。監視員や市不法投棄撲滅リーダーと一緒に市作製の看板10枚を道端に立てたほか、自分たちが作った看板の周りにかかしが立てられるのを見守った。
作業後、監視員の葉梨輝夫さん(62)は園児に「ごみのない佐渡になってトキが暮らせるようになると思います。ごみを捨てている人を見たら、駄目だと教えてあげてください」と呼び掛けた。
同保育園の祝しおりちゃん(6つ)は「かかし作りは楽しかった。ごみを捨てないようにしたい」と話していた。
写真=ごみのぽい捨てゼロを目指し、新穂地区の市不法投棄監視員らによって看板や園児手作りのかかしが設置された=新穂北方の市道
第一回朱鷺(とき)と暮らす郷(さと)「佐渡米生産者大会」が23日、千種の金井コミュニティセンターで開かれた。9月25日のトキの試験放鳥を前に、環境に優しい稲作の普及と佐渡米の販売拡大に向け、出席者は思いを新たにした。
大会は、トキと共生する水田環境をつくることを目的に「朱鷺と暮らす郷づくり推進協議会」が六月に設立されたことを受け、JA佐渡とJA羽茂が主催。島内の農家ら約350人が出席した。
兵庫県豊岡市でコウノトリの野生復帰のため環境と調和した「コウノトリ育(はぐく)む農法」を実践している「コウノトリの郷営農組合」の畷悦喜・副組合長が講演。同農法で重視した点について「生態系や土作り、水管理の大切さ、抑草技術の習得、魚道の設置」を示し、「農薬や化学肥料の削減、生き物を増やす工夫をしている」と説明した。
畷副組合長は、同農法の米販売戦略で、消費者の理解を得るため努力しているほか、米以外の需要も掘り起こしていると紹介。普及拡大の課題としては、指導者の不足や完ぺきな抑草技術の確立などを挙げた。
県佐渡地域振興局農林水産振興部の唐沢保部長は「小麦の値上がりなど米栽培の追い風を一過性にしてほしくない」と強調。米作りでは、高品質で安全性や一定の食味を確保してほしい、と呼び掛けた。
高野宏一郎佐渡市長は「美しい環境は農業の『応援団』。全国にアピールするため、市は最大限努力したい」と述べた。
JA佐渡水稲部会(エコクラブ)の佐々木邦基さんが「環境保全型、生物多様性を実現する稲作は、農家と消費者、地域住民が豊かな自然環境という価値をしっかり共有し合いながら歩むことを目指すものであると思う」と決意表明した。
写真=約350人が出席した、第1回朱鷺と暮らす郷「佐渡米生産者大会」=23日、千種の金井コミュニティセンター
佐渡トキ保護センター野生復帰ステーション(佐渡市新穂正明寺)のトキが9月25日に試験放鳥されるまであと1カ月に迫った。環境省は9月早々にも放鳥する10羽前後を選ぶ方針。その「候補生」にあたる順化ケージのトキ17羽は、自力で餌を採り、広い空間を長時間飛び回るなど、たくましさを増している。現地では放鳥後のモニタリングの準備が住民も一緒になって進められている。
順化ケージには昨年7月と今年2月、合わせて15羽のトキが移送された。春には一つがいが2羽の子育てに成功。現在、計17羽がいる。
試験放鳥するトキは健康、採餌、飛行の3点を条件に選定。同省は雄と雌5羽ずつ程度、計10羽前後の試験放鳥を見込む。現段階では、子育てに成功したペアとその子の計4羽は、親子関係を観察するためにケージに置き、残る13羽から放鳥されるトキが決まる可能性が高い。
これまでには人が順化ケージに入る「共生訓練」で人を見て驚き、ネットにぶつかってけがをするトキも複数羽いた。
「人に対して敏感に反応する」「ペアとなって巣を作った」というそれぞれの個性を選定にどう反映させるかは専門家でも意見が分かれる。
同ステーションに詰める岩浅有記・同省自然保護官は「トキに個体差や個体間の優劣が生まれている。人に対して過剰に反応しない方が望ましいが、いろんな個体を放鳥し、科学的に検証することが重要だ」とする。
一方、放鳥されるトキのうち6羽には約40グラムの発信機を付け、衛星利用測位システム(GPS)で行動を把握する。同省の専門家チーム数人と住民ボランティア約40人を中心に観察し生態を調査。情報を市民と共有して環境を整備し、2015年には小佐渡東部に60羽の定着を目指す。
同省は「放鳥個体の決定はぎりぎりになる。放鳥後は冬の餌の状況などを観察し、人間がどの程度介入するか判断することも必要だ」としている。
写真= 写真は止まり木で休んでいるつがいの様子(上)と、ケージ内を単独で飛んでいるもの(中)、背景を黒にして羽ばたく1羽を浮き上がらせたもの(下)の3種類。
県は来年発行されるトキをモチーフとした1000円記念硬貨の図柄の基になる写真について意見を募集している。賛同する意見が一番多かった写真を造幣局に提出する。
写真は止まり木で休んでいるつがいの様子(上)と、ケージ内を単独で飛んでいるもの(中)、背景を黒にして羽ばたく1羽を浮き上がらせたもの(下)の3種類。
記念硬貨は地方自治法施行六十周年を記念し、2016年までに全都道府県の図柄で発行される。本県は来月放鳥されるトキを希望。県が提出した写真から造幣局がデザインする。
意見募集は9月八日まで。住所、氏名、電話番号を記載し、〒950−8570、県庁総務管理部財政課総務班か、ファクス025(280)5077、電子メールngt010040@pref.niigata.lg.jpへ送る。写真は県のホームページに掲載。意見も送信できる。
佐渡シルバー人材センターは、トキ野生復帰に向けた取り組みを支援する「はばたけトキ応援隊」事業を始めた。豊富な人材を生かし、ビオトープづくりや美化活動など幅広い役割を担う狙いだ。同センターでは「いろんな経験を持った人がおり、トキへの認識を深めながら、環境保全へ一役買いたい」と意気込んでいる。
「はばたけトキ応援隊」は、島内会員1130人が、それぞれの地域や役割ごとに参加。新穂地区でビオトープをつくるほか、各地域住民のビオトープ造成や維持管理もサポート。児童にトキにまつわる絵本の読み聞かせも行う。また島外ボランティアと地域との交流を、座談会や送迎、郷土料理などで支援する。
同センターの企画提案に、厚生労働省が補助する事業で、7年間の予定。全国1343あるセンターの中で、県内は佐渡市や新潟市、長岡市など5つが選ばれた。
同センターはこのほど、野浦で合宿していた武蔵工業大環境情報学部(横浜市)の学生約30人と「トキ応援隊トーク」を開催。会員は、学生とともにビオトープなどで生き物を調査し「これはトキの餌になる虫」などとアドバイス。佐渡の自然や芸能に関する座談会も行った。
「はばたけトキ応援隊」の問い合わせは同センター、(24)1212。
写真=「はばたけトキ応援隊」事業の一環で、武蔵工業大の学生と生き物調査をする佐渡シルバー人材センターの会員=野浦
佐渡市は14日までに、放鳥されたトキを餌場に誘導するため、トキのデコイ(実物大模型)を製作した。5体用意され、9月25日の試験放鳥に合わせ、放鳥地の同市新穂正明寺周辺の餌場などに置かれる。
デコイは高さ約50センチ、くちばしから尾羽までが65センチ。羽一枚一枚まで精巧に表現、足先はトキの成鳥と同じ大きさに仕上げられ、はく製のようだ。
同市が4月、日本バードカービング協会の内山春雄会長(58)=千葉県我孫子市=に製作を依頼。内山さんはトキの写真や山階鳥類研究所(同市)のはく製を参考に、木を削って、シリコンゴムで型を取り、硬質プラスチックで作り上げた。
かつて内山さんが製作し、伊豆諸島・鳥島(東京都)に置かれたアホウドリのデコイには、野生のアホウドリが恋をして“ペア”を組んだこともあるという。「トキが安心して暮らせるよう、保護活動に活躍してくれればありがたい」と願いを込める内山さん。「餌をついばむポーズの方が誘引効果があり、要望があれば作りたい」と意欲を見せた。
高野宏一郎佐渡市長は「今年、トキは自然界に慣れないうちに冬を迎える。トキが戸惑わず、餌場に安心して来られるよう、デコイに期待したい」と話している。
写真=試験放鳥されたトキを餌場に誘導しようと作られたデコイ=佐渡市千種の同市役所
国の特別天然記念物・コウノトリが6日までに、佐渡市に飛来した。9月25日に行われるトキの試験放鳥を前に同市では「トキ放鳥の励みになる」と野生復帰の“先輩”コウノトリの来訪を歓迎している。
住民らによるとコウノトリは4日に初めて確認。同市新穂長畝の佐渡トキ保護センター周辺の休耕田などに飛来し、6日には新穂地区西部の休耕田で3時間以上も地面をつつき、ドジョウやカエルを探していた。
国内の野生のコウノトリは1971年、兵庫県豊岡市で最後の1羽が捕獲され絶滅。2005年以降、同市で試験放鳥が行われているが、佐渡市で見つかったコウノトリは足輪がないため、海外から渡ってきたとみられる。佐渡では1970、73年に記録があり、35年ぶりの飛来になる。
日本野鳥の会佐渡支部の土屋正起副支部長(58)は「トキと同じ環境を好むコウノトリが来てくれてうれしい。トキ放鳥に弾みがつき、参考になる」と期待していた。
写真=佐渡市に訪れた野生のコウノトリ=6日、同市新穂地区
環境省は25日、今季のトキの繁殖結果を発表した。今季は初めて、佐渡トキ保護センター野生復帰ステーション(佐渡市新穂正明寺)や多摩動物公園(東京都日野市)でも繁殖に取り組み、全体では昨年より9組多い20ペアを形成。29羽が成育中で、国内のトキは123羽となった。
今季のペアの産卵数は121個。11羽が自然ふ化、20羽が人工ふ化し、ふ化後に2羽が死んだ。成育中の29羽の内訳は、佐渡トキ保護センターが16羽、同センター野生復帰ステーションが5羽、多摩動物公園が8羽。
自然環境に近い同ステーションの順化ケージ内でペアを自然形成した4組は、19個(うち有精卵8個)を産卵し、2羽がふ化した。ふ化率は25%で、この4組を除いた16組のペアのふ化率61・7%に比べ低かった。
今年3月の繁殖計画で見込んだ39羽より少なかったが、同省野生生物課では「試験放鳥に向けて、繁殖で着実に数が増えていることが重要。トキの自然界定着に向けた一つのプロセスであり、大きな問題のある数字ではない」と話している。
9月に試験放鳥が行われるトキ野生復帰にかかわる島内のポイントを巡るバスツアーが8月10日、行われる。主催する県佐渡地域振興局企画振興部では、25日まで参加者を募集している。
佐渡トキ保護センター野生復帰ステーションやトキ資料展示館を訪れるほか、ねぐらや営巣木保全の現場、ビオトープ整備地も見学する。同センターの近辻宏帰元センター長や、トキの野生復帰連絡協議会の高野毅会長が解説する予定。
定員60人。午前九時までに中原のアミューズメント佐渡に集合。正午終了の予定。参加無料だが、トキ資料展示館入館の際、環境保全協力費(大人200円、小中学生100円)は別途必要となる。
申し込みは往復はがきに住所、氏名、年齢、電話番号を記入し、〒952−1555、佐渡市相川二町目浜町20ノ1、県佐渡地域振興局企画振興部企画振興課に郵送する。問い合わせは同課、(74)3129。
県と佐渡市、環境省は11日、トキの試験放鳥を9月25日、佐渡市新穂正明寺の佐渡トキ保護センター野生復帰ステーション近くで行うと発表した。一斉捕獲により日本の空からトキが消えて27年。野生復帰に向けた取り組みが大きな一歩を踏み出す。
放鳥するトキは、野生復帰ステーションの順化ケージで訓練中の17羽の中から専門家の意見を聞き、10羽前後を選ぶ。当日は、県と環境省、同市が合同で式典を開催する。
試験放鳥に向け、県と佐渡市では、トキの餌場の確保のため、減農薬農業の拡大やビオトープの整備などを進めてきた。
泉田裕彦知事は「試験放鳥が実施できることは非常に喜ばしい。トキと共生できるよう、農地や社会のあり方を見直す機会にもしたい」と歓迎。
佐渡市の高野宏一郎市長も「これを契機に自然豊かな、エコアイランドとしての存在感を示していきたい」と期待を語った。
トキは乱獲や生息環境の悪化により個体数が激減。1981年に佐渡に残った5羽の野生のトキを一斉捕獲。人工繁殖を試みたが成功せず、国産トキは2003年のキンの死により絶滅した。
一方、1999年に中国から贈られたトキは順調に繁殖が進み、現在は122羽にまで増えた。現在は同センターで111羽、東京都日野市の多摩動物公園で11羽が飼育されている。
写真=佐渡トキ保護センター野生復帰ステーションで、放鳥に向けて訓練を受けるトキ=8日、佐渡市新穂正明寺(環境省提供)
環境省と県は27日、佐渡トキ保護センター野生復帰ステーション(佐渡市新穂正明寺)の「順化ケージ」で5月中旬に初めて自然ふ化したひな2羽が巣立ったと発表した。関係者は「秋の試験放鳥後の自然繁殖も期待できる」と話している。
ひなは順化ケージ内の2歳のペアから5月13、14日にふ化した。
今月に入ると巣から出て木の上を歩き、24、25日には相次いで巣から飛び立った。まだ親鳥から餌をもらっているが、池で水浴びをしたり、餌のドジョウを捕る練習をしたりしている。
ステーションでは巣立ったひなの行動を注意深く見守る。同センターの金子良則獣医師(50)は「筋力などが足りず飛ぶのは下手だが、巣の外に慣れるところから始めているようだ」と語る。
順化ケージ内のトキはひなを含めて17羽。今秋、この中から10羽前後が放鳥される予定だ。
写真=順化ケージで、田んぼ状の池をつつくトキのひな。まだ餌を捕る練習をしている段階だ=26日、佐渡トキ保護センター野生復帰ステーション(環境省・センター提供)
財務省は24日、今秋に自然放鳥されるトキをモチーフとした記念硬貨を、2009年度前半に発行すると発表した。額面1000円のプレミアム銀貨と、500円硬貨の2種類。色や絵柄は造幣局などが調整するが、銀貨について県はトキ色を希望している。本県に関する記念硬貨の発行は初めて。
地方自治法施行60周年を記念する事業で、2016年まで47都道府県ごとの図柄で発行する。第1弾はタンチョウをデザインした硬貨が発行される北海道。次いで京都府、島根県と続き、その次に本県と長野県の硬貨が発行される。
先行3道府県のプレミアム銀貨は純銀製31・1グラム、直径4センチ。1枚6000円で、発行数は10万枚。
トキの放鳥を記念するデザインを要望していた県財政課は「先行3道府県の銀貨のデザインは非常にきれい。美しいトキ色の銀貨となることを期待する」としている。
トキの野生復帰に備えて餌場の環境を整えようと、住民団体などで組織する「トキの野生復帰連絡協議会」は17、18の両日、餌場としてつくられた両津、新穂両地区のビオトープや水田の生き物調査を行った。
調査は、餌となるドジョウを増やすため、ドジョウが好むイトミミズとユスリカの生息状況を把握。各地の有機肥料の施肥時期や周辺環境を比較し、餌場の土壌の在り方を探るのが狙い。
17日は、生椿や久知河内などのビオトープを調査。18日は新穂潟上のトキ交流会館で、8地域計40地点の土を調べた。
講師を務めたのは、宮城県のNPO法人「田んぼ」の岩渕成紀理事長。同法人は、冬場に水田に水を引くための技術支援などを通じて、水鳥と農業の共存に取り組んでいる。調査手法の研修も兼ね、住民は岩渕さんの指導で、底を切ったペットボトルを使った定量調査に取り組んだ。
18日の調査には各地の代表者約十人が参加。持ち込んだ土を細かく分け、イトミミズやミジンコ、ヨコエビなどを数え、10アールあたりの生息数に換算した。
その後、調査結果を基に管理方法を議論した。乾田には生き物が確認されず、冬でも凍らない水田には豊富に生息していることが分かった。参加者からは「(米ぬかや鶏ふんなどの)有機肥料はまいた方がいいが、まきすぎは逆効果」「施肥は水温が上昇する春より、秋に代かきと合わせて行った方が良いのでは」「落ち葉の効果を調べた方がいい」などの意見が出ていた。
写真=各地域から持ち寄った土壌で生き物の数を調べる住民ら=18日、新穂潟上のトキ交流会館
トキの分散飼育地に立候補している長岡市は5日、同市の分散飼育の基本計画を場所や期間などの一部変更も含め、再検討することを決めた。環境省のトキ飼育繁殖専門家会合による前日の現地視察で厳しい指摘を受けたことによるもの。
視察で問題視されたのはクロトキなどの近似種の飼育地。基本計画では、分散飼育の候補地である海岸部の寺泊地域から約30キロ離れた内陸にある積雪地の悠久山小動物園でクロトキなどの近似種を飼育するとした。
分散飼育には、3年以上の近似種の飼育実績が必要だが、同会合委員の山本義弘兵庫医科大学教授は「気候など条件の違う場所で近似種を飼育しても、それが実績となるのか」と疑問を呈した。
長岡市は月内にも同小動物園内に飼育施設の建設を始め、10月から近似種飼育を開始する予定。同市の金山宏行環境部長は「計画にはないが小動物園で経験を積んだ上で、寺泊地域にも施設を造って飼育することもあり得る」と話した。基本計画で2011年度とされている分散飼育の開始時期についても「先延ばしになる可能性もある」としている。
トキの分散飼育地選定に向け、環境省のトキ飼育繁殖専門家会合は4日、飼育地に立候補している長岡市を視察した。同会合座長の菅谷博・茨城県自然博物館館長は「この視察で直ちに評価を下すわけではない。今後実績を積み上げ、飼育・繁殖技術を高めていってほしい」と話した。
分散飼育は鳥インフルエンザなどの感染症対策が目的。昨年12月から多摩動物公園(東京都日野市)で4羽の飼育を始めている。
同会合は2日から、誘致を表明している島根県出雲市、石川県を順次視察。最後の視察地となった長岡市では、専門家十人が、飼育候補地の夏戸(なつど)公民館(同市寺泊夏戸)のほか、約30キロ離れたクロトキなど近似種の飼育予定地、悠久山小動物園(同市御山町)を見学した。
視察後、委員からは「分散飼育地と近似種の飼育地が離れすぎている」などの意見が出された。同市の金山宏行・環境部長は「今回初めて気づいた点もあり勉強になった。指摘された問題点を十分に検討していきたい」と述べた。
同省は年内に分散飼育地を選定する予定で、「条件が整うと判断されれば(誘致を表明している)3カ所になることもある」としている。
佐渡トキ保護センター(佐渡市)は4日、飼育中のトキの幼鳥1羽が死んだと発表した。国内で飼育するトキは121羽となった。
死んだのは「優優(ユウユウ)」と「美美(メイメイ)」ペアの子どもで、4月20日に人工ふ化で誕生した。3日午前6時半すぎ、ケージ内の地面でうつぶせになって死んでいるのを、職員が見つけた。前日まで変わった様子はなかったという。
鳥インフルエンザ簡易検査は陰性で、目の付近にかすり傷があった。センターは県中央家畜保健衛生所(新潟市)に病理鑑定などを依頼し、死因を調べている。
秋に予定されるトキの試験放鳥に合わせて特別展を企画している両津郷土博物館(佐渡市秋津)は、野生のトキをとらえた写真や保護活動に関する資料を募集している。
同館は、旧両津市と旧新穂村の両教育委員会が所持していた1000点以上の写真データを保管しているが、試験放鳥を契機に「あらためて昔のトキの生態や住民活動を見直そう」と資料収集を開始。
さらに「まだ知られていないトキの様子を探し出したい。特に野生のトキの動画はとても少ない」(同館)ため、住民に協力を呼び掛けている。
当時のフィルムや資料は劣化している可能性があるため、同館はDVDなどのデジタルデータにし保存を図る。デジタルデータは資料の提供者にも送られる。
また、特別展はトキ野生復帰活動への理解を深めてもらう狙いで、試験放鳥に合わせて始める。
トキの生態写真50枚程度に、保護活動をパネルなどで説明する予定。展示内容は今後集まる資料を見て決める。
問い合わせは同館、0259(23)2100。
中国・四川大地震で被災した陝西省の政府から県に対する礼状が28日までにファクスで県に届き、同省のトキ保護センターに被害はないとの連絡があった。
同センターがある同省漢中市は四川省に隣接しているため、県は14日、トキ関連施設の職員らの安否を尋ねる見舞状を送っていた。礼状は見舞状への返礼で、日付は物資支援以前の5月15日付となっている。
礼状は、同省内で100人以上の死者が出たこと、漢中市は被害が最も大きい被災地の一つであることなどを報告し、その上で「センターでは死傷者はなく、すべて正常なので、ご安心ください」と記してあった。
県環境企画課の中野雅夫課長は「礼状で報告を受けて安心した」とほっとした様子だった。
トキの野生復帰をPRする「シンボル・デザインコンテスト」の表彰式が19日、佐渡市千種の同市役所で行われ、最優秀賞の「佐渡の自然のなかで、トキとの共生」をデザインした東京・国分寺市の大学助手、清水史(ふみ)さん(28)らに賞状が贈られた。清水さんの作品は早ければ6月から、初の公式マークとして使われる。
シンボルデザインは、県や佐渡市などが公募し、全国から108点の応募があった。東京で開かれた宮田亮平・東京芸術大学長=佐渡市沢根出身=を審査委員長とする審査会で先月、分かりやすいデザインであることなどをポイントに最優秀賞1点と優秀賞5点が選ばれた。
表彰式では、高野宏一郎市長から入賞者一人一人に賞状や副賞が贈られた。清水さんの作品について宮田学長は「(トキが)愛情豊かに抱きしめるコンセプトがあり、佐渡の自然環境や風土が集約されている」と講評。
約2週間を掛けて作品を仕上げたという清水さんは「共生をテーマに、トキが優しい鳥とのイメージで描いた。大きいプロジェクトにかかわれることをうれしく思う」と話した。
市は今後、のぼりや着ぐるみなどを作製して広報やキャンペーンで活用するほか、民間企業から商品パッケージなどで使ってもらう方針だ。
写真=最優秀賞を受賞した清水史さん(右)が出席した「トキ野生復帰シンボル・デザインコンテスト」の表彰式=19日、佐渡市千種の同市役所
佐渡市が本年度から取り組む「朱鷺(とき)と暮らす郷(さと)づくり認証制度」の推進協議会の準備会が15日、千種の市役所で開かれた。協議会の本年度事業計画案として、同制度加入者を対象とした生きもの調査の研修会開催や、小学生による生きもの調査隊の設立などが示された。協議会は6月22日に発足する。
同制度では、五割以上の減農薬減化学肥料栽培などに加え、江(水田の深み)の設置や冬季湛(たん)水といった「生きものを育(はぐく)む農法」で栽培された米を認証する。本年度はこれまでに、約270人が合わせて約450ヘクタールでの取り組みを申請している。
協議会は、同制度加入者のほか、行政とJA、トキの野生復帰に取り組む団体などで組織。同農法の推進、認証米の生産性や品質向上などを図ることを柱に、トキと共生する水田環境づくりを目指して活動する。
準備会には、関係機関などから約15人が出席。同農法の周知を図るため、NPO法人「田んぼ」(宮城県)の岩渕成紀理事長らを招いたフォーラムを6月22日に開催するといった本年度事業計画案が示された。
また、生きもの調査を全島に広げようと、認証制度加入者に対して6月と10月、来年3月に研修会を行うことなどを提案。島内の小学校4−6年生と保護者を対象とした生きもの調査も年2回程度計画する。
市は、島内各地で行われる生きもの調査の結果を踏まえた「佐渡生きものマップ」を作製、消費者への情報発信にも活用する方針だ。
また、準備会では、市から認証マークのデザイン案が示されたほか、コウノトリの放鳥で知られる兵庫県豊岡市との児童の交流などに向けて検討が進んでいることも明らかにされた。
市農業振興課は「生きものを育む農法を推進するための土台をつくり、全島の関心を高めたい。農家も一緒に協議会に参加してもらうことで取り組みへの思いを一つにしてほしい」としている。
環境省と県は13日、佐渡トキ保護センター野生復帰ステーションの「順化ケージ」で今秋の試験放鳥に向けて訓練しているトキのペアの卵から同日、自然ふ化でヒナが誕生したと発表した。順化ケージ内でヒナがかえるのは初めて。関係者は「人間の手をあまり介さずに、産卵からふ化まで達成したことは評価できる」としている。
ふ化したのは2歳のペアの卵。4月初旬ごろから巣作りし、4個の卵を産んだ。12日夕から卵の内側をつつく嘴(はし)打ちが始まり、13日午前4時半ごろ、誕生が確認された。ヒナは人工ふ化と変わらない大きさで、元気な様子で親鳥が与えた餌を食べたという。順調にいけば6月中旬ごろ巣立つ見込み。
順化ケージ内ではこのペアを含め4ペアが巣作り、産卵を行っている。環境省の岩浅有記自然保護官は「自然ふ化は当初の目標を大きく超えたうれしい誤算。今後も誕生が期待できそうだ」と話している。国内で飼育されるトキは成鳥と合わせて114羽となった。
写真=順化ケージ内で初めて自然ふ化したトキのヒナとヒナを抱く親鳥=13日、佐渡トキ保護センター野生復帰ステーション(佐渡トキ保護センター提供)
佐渡市の佐渡トキ保護センターは9日、飼育中の雌のトキ1羽が死んだと発表した。
死んだトキは2003年6月生まれ。06年8月に右足の関節にはれが見つかり、今年3月には立ち上がれない状態だった。出勤した職員が同日午前7時半前、モニターで異変に気付いた。
鳥インフルエンザの簡易検査は陰性で、外傷はなかった。センターは県中央家畜保健衛生所(新潟市)に依頼し、詳しい死因を調べる。
国内で飼育されているトキは111羽となった。
佐渡市は8日までに、佐渡の身近な自然や今秋に試験放鳥が予定されるトキ野生復帰への取り組みなどをまとめた環境教育副読本を作製した。小学校4年生以上向け、中学生向け、指導書の計3冊で構成。総合学習や理科などの授業で使うほか、指導書は「佐渡島環境大全」と題し、エコツアーガイドやトキモニターら環境に携わる指導者の自習書としても活用する方針だ。
副読本は、島内の環境教育を推進するため、2006年度からの2カ年事業として同市が新潟大に編集を委託。佐渡について研究している同大教員らのワーキンググループが執筆し、945万円をかけて製作した。今月末までに島内の小学校4年生と中学校1年生の計1141人にそれぞれ配布される。
いずれもA4判。トキについては、日本トキ絶滅の理由や保護の歴史、野生復帰の意義などを考察。ドジョウなど餌となる生物の生態や環境保全型農業などについても紹介している。このほか、小学生向けでは佐渡の地形の成り立ちや動植物などを多くの図や写真とともに解説。中学生向けでは加茂湖周辺の自然環境やごみ問題も掲載している。
執筆に当たった新潟大の本間航介准教授は「佐渡は環境が教育の中で重要なポジションを占めると思われる。指導書には今までの調査研究成果を具体的・体系的に入れた。子ども向けには分かりやすく直感的に理解させるように編集した」と特色を語った。
小中学生向けの副読本は各800冊、指導書は1000冊を製作。指導書は佐渡島内の図書館に置かれるほか、1冊1000円で販売される。問い合わせは同市トキ共生・環境課、0259(63)3113。
【北京4日共同】4日付の中国紙、人民日報によると、国家林業局は、陝西省で人工繁殖させて昨年5月に野生に戻した国際保護鳥トキが約1年を経て無事に生存していることを確認したと発表した。
同局は、トキが餌の少ない冬を越えた上、既に繁殖も成功しているとして「わが国のトキの野生化は大きな難関を突破した」と強調した。
佐渡市下新穂の佐渡養護学校の児童生徒が24日までに、約2万本のチューリップで縦1.8メートル、横5.4メートルの花絵パネルを完成させた。
「佐渡の顔」をテーマに、大空を羽ばたくトキと優雅に海中を泳ぐコブダイを色鮮やかに表現。パネルは同市両津湊の両津港佐渡汽船ターミナルの下船口に27日まで飾られ=写真=、観光客らを出迎える。
花絵の制作は、同市長木の飲食店経営、伊藤哲夫さん(54)が企画し、ことしで5回目。制作には同校の児童生徒約50人のほか、教職員やボランティアらも参加した。
写真=佐渡養護学校の児童生徒が花絵を製作。佐渡汽船ターミナルに飾られた=2008年4月24日、佐渡市両津湊の両津港佐渡汽船ターミナル
環境省と県は23日、昨年11月に中国から寄贈され、佐渡トキ保護センター(佐渡市)で飼育中のトキ「華陽(ホワヤン)」(4歳・雄)のペアから、22日に初のひな=写真(同センター提供)=が人工ふ化で誕生したと発表した。
華陽は今季「友友(ヨウヨウ)」「洋洋(ヤンヤン)」の子(4歳・雌)とつがいを形成、ペアはこれまでに3個を産卵した(うち一つは無精卵)。16日からふ卵器で保温を始め、22日午後5時すぎにひなが誕生。体重はやや重い65.8グラムで、健康状態は良いという。「華陽」と同時期に中国から贈られた「溢水(イーシュイ)」(4歳・雌)にも、日本のトキ安定増殖の期待が持たれているが、溢水と3歳の雄のペアには積極的な繁殖行動が見られず、まだ産卵していない。センターによると22日現在、国内では9羽がふ化し、飼育されるトキは成鳥を含め104羽。51個の卵にふ化の可能性がある。
今秋のトキ試験放鳥を前に、佐渡市や県などは22日、野生復帰をPRするシンボルマーク=写真=を決めた。初の公式マークで、全国からの応募108作品から選出した。ポスターやグッズなどに活用し、野生復帰への支援を広げていく。
選ばれたのは、東京・国分寺市の学校助手、清水史(ふみ)さん(27)の作品「佐渡の自然のなかで、トキとの共生」。佐渡の海や山、川を、トキが羽でふんわりと包み込んでいる。同日、都内で行われた審査会で決まった。
審査委員長を務めた宮田亮平・東京芸術大学長(佐渡市出身)は「環境というテーマを盛り込み、多くの人に愛されるデザイン」と評価。高野宏一郎・同市長は「ピュア佐渡のイメージ。シンボルマークで野生復帰をPRし、世界が注目するプロジェクトの成功に努める」と力を込めた。
写真=トキ公式シンボルマークに決まった東京・国分寺市の清水史さんの作品「佐渡の自然のなかで、トキとの共生」=2008年4月22日取り込み
多摩動物公園(東京都日野市)は22日、飼育しているトキが産んだ卵1個が同日ふ化したと発表した。佐渡トキ保護センター以外で、ひな誕生は初めてという。
ひなは約58グラムで元気。鳥インフルエンザなどの感染症予防対策として昨年12月、トキ2組のペアが保護センターから多摩動物公園に移され、今年3月から4月上旬に計6個を産卵した。今月下旬にかけてふ化が続くとみられる。
動物公園では飼育員が餌を与えて育てる。トキの保護を優先し、一般公開はしないという。
佐渡トキ保護センターの戸貝純夫所長は「(佐渡から送り出したので)違う環境に慣れてくれるか、職員一同、心配していた。ふ化したことで、完全に今の環境になじんでくれたと思い、喜んでいる。多摩動物公園とは技術協力を続けてきたが、ますますきずなが深まった」と歓迎した。
集落を挙げて芸能活動に取り組む野浦地区恒例の「春祭り演芸会」が20日、同所の前浜小学校で開かれた。地元住民の約半数に当たる54人が出演し、伝統芸能から創作ダンスまで幅広い演目を披露した。
同演芸会は野浦民謡研究会主催。1973(昭和48)年から始まり、現在は2年に1度開かれている。
ことしの演目は、文弥人形「義経千本桜」や春駒といった伝統芸能のほか、日本舞踊や演歌に合わせたオリジナル体操など多彩。観客は「いいぞ」「うまい」と声を掛け、笑い声も絶えなかった。
また地元の「双葉会」が創作ミュージカル「トキの舞」を初披露。同地区が積極的に進めるトキの餌場整備などを紹介しながら、トキ保護の歴史を“トキの気持ちになって表現。白い衣装をまとった大人たちが、チャイコフスキーの「白鳥の湖」に合わせてゆったりとした踊りを見せると、会場は大いに盛り上がった。
訪れた新穂大野の公務員女性(36)は「農作業の合間にこういった催しをしているのはすごい。芸に対する熱いパワーを感じる」と感心していた。
写真=地元住民の熱いパフォーマンスに盛り上がった「春祭り演芸会」=20日、野浦の前浜小学校
県佐渡農業普及指導センターはこのほど、島内の環境保全型農業への取り組みをまとめた冊子を作製した。同センターは「今秋予定されるトキの試験放鳥を前に、共生に向けた下地づくりをしたい。環境保全型農業をさらに進めるステップにしてほしい」としている。
冊子のタイトルは「トキと共生できる農業をめざして」で、A4判30ページ。2002年の「トキの野生復帰をめざす農業者の会」発足から07年度までの環境保全型農業普及の動きや成果などを写真とともに紹介している。
5割以上の減農薬減化学肥料(5割減減)栽培による水稲生産技術のほか、主要な園芸品目のおけさ柿とイチゴのエコファーマー技術について土づくりや除草剤の使い方などを具体的に示した。
田んぼに多様な生物を確保するための不耕起による無農薬無化学肥料栽培にも触れ、冬季湛水(たんすい)や抑草方法などを掲載。島内で環境保全型農業に取り組む11の農業者組織の活動事例などもまとめられている。550部作製。同センターなどで無料配布している。
同センターでは、水田を利用してトキの餌場を確保するために、トキの生態や餌場整備目標などを記したパンフレット(3000部)も製作した。
同センターは「初心者にも分かりやすくまとめた。島内の研修会などで役立ててもらいたい」としている。
問い合わせは同センター、(63)3185。
写真=境保全型農業の取り組みをまとめた「トキと共生できる農業を目指して」と「水田を利用したトキの餌場確保マニュアル」=2008年4月18日撮影
市はこのほど、トキの餌場となるビオトープをつくり、管理するためのマニュアルを作成した。「今秋に予定されるトキの試験放鳥に向け、ビオトープづくりに熱心な人が多い。マニュアルを見ることで他地域の取り組みなどが分かる」と活用をPRしている。
マニュアルは、ビオトープづくりに取り組む住民が年々増えていることを受け、新たに取り組む人への参考にしてもらおうと企画。実際に取り組んでいる両津、新穂地区からの聞き取りを基に完成させた。事業費は約500万円。
内容は、(1)ビオトープの候補地選び(2)想定される問題と対策(3)造成作業(4)維持管理方法−などを中心に、図解や写真付きでまとめた。
候補地選びでは、平場と中山間地での環境の違いや生息する生き物を解説。周辺耕作地への漏水のほか、夏場の渇水などの対策も載っている。また理想的な年間の維持管理スケジュールとして、月別に草刈り作業、代かき、冬季湛水(たんすい)などを紹介した。
市はマニュアルを島内の15団体に計75部配布する予定。問い合わせは市トキ共生・環境課トキ共生係、(63)3113。
写真=市が作成した「ビオトープ造成・維持管理マニュアル」
農家と行政などが一体となって安全・安心な米作りを進め、佐渡産米のブランド化を目指す「環境に優しい佐渡米づくり」決起集会(市など主催)がこのほど、千種の金井コミュニティセンターで開かれた。市から、2008年度スタートする「朱鷺(とき)と暮らす郷づくり認証制度」に全島で取り組むための協議会を設置する方針が示された。
同制度は、トキの餌場整備に向け環境に優しい農法で生産した米の認証制度として市が08年度新設する。今回提案された協議会は、行政や生産者で組織。研修会などを通じ、米の高品質化や水田の生きもの調査の技術を共有し、制度への取り組みを全島に広げることを目的に、今月中に発足する予定だ。
決起集会には、生産者や行政などの関係機関から約220人が出席。島内一丸で環境保全型農業を進め、他地域産との差別化を図り、消費者に喜ばれる「佐渡産ブランド米」を確立する決意を新たにした。
JA佐渡の板垣徹理事長は、消費者行動の変化や価格競争の現状を説明し「佐渡コシヒカリは消費者にあまり認知されていない」とした上で、「ブランド化はどこの産地も狙っているが、その中で佐渡は地名、イメージ、トキ野生復帰の取り組みなど有利な条件がある」と訴えた。
続いて、全農パールライス東日本(東京)の薗田良平営業二課課長が「環境を基点とした米作りを進める地域そのものをブランドとして売れば、うまくいくのではないか」と提案。「コウノトリブランドの米などがある『自然共生』の商品分野に、トキブランドの米を一緒に並べ、客の目に付くようPRしたい」と呼び掛けた。
写真=全島を挙げて環境に優しい米作りを進めようと開かれた決起集会=2008年3月29日、千種の金井コミュニティセンター
環境省と県は28日、佐渡トキ保護センター野生復帰ステーションで、今秋の試験放鳥に向けて訓練中のトキが産卵したと発表した。自然により近づけた「順化ケージ」内で、つがいをつくって自力で営巣し産卵したのは初めて。関係者は「野生復帰に向けた貴重な経験」と期待している。
産卵したのはともに2歳のペアで、昨年7月にセンターから移送された。これまではセンターがペアを選んで繁殖させたが、今回のペアはケージ内の15羽の中から自然につがいをつくった。
今月上旬、ケージ中央のコナラの木で巣作りを開始した。
環境省は24日までに、今秋、佐渡市で実施予定のトキの試験放鳥を、トキに訓練を行っている「野生復帰ステーション」周辺の小佐渡山地西麓(ろく)(旧両津市、旧新穂村)で行う方針を固めた。放鳥後の様子を見ながら、東麓、山岳部などほかの場所でも放鳥を行うかどうか検討する。2015年度には小佐渡東部全域で六十羽を野生に定着させることを目指す。
同省は当初、11年度までを「初期段階」とし、今秋の西麓での放鳥後、09年度に東麓、10年度には山岳部で放鳥する計画を検討していた。しかし、専門家会合などで「実際にトキがどのような動きをするのか確認する前に年次計画を定めるのはナンセンス」との指摘があり、当面は、最初の放鳥地だけを決めることにした。
西麓エリアはステーションに近く、周辺で農薬使用を抑えるなどの環境保全型農業が展開されていることから、最初の放鳥場所にふさわしいと判断した。今秋に10羽前後を放鳥。トキに取り付けた衛星利用測位システム(GPS)や地元ボランティアによる観測で生息状況を確認。順調に野生に定着できなかったり、自力で東麓や山岳部へ移ったりした場合は、西麓以外で放鳥を行わない可能性もある。
写真=トキの放鳥想定エリア
トキの野生復帰に向けた環境省の諮問機関「トキ飼育繁殖専門家会合」(座長・菅谷博茨城県自然博物館長)は24日、東京都内で会合を開き、分散飼育に意欲を示している長岡市など3カ所から飼育地を検討する同省の方針案を確認した。
分散飼育に立候補しているのは、同市と島根県出雲市、石川県の3カ所。同省はこれまで、各地の意思表明を「各地の自主的な取り組み」としてきたが、今後は「検討対象地」と位置付け、年内に飼育地を決める。5、6月には専門家会合の委員が3カ所を視察、今秋に分散飼育の規模などを固めた後、あらためて3カ所から申し出を受けることにしている。「飼育地は単数、複数の個所を含めて協議する」(同省)という。
委員からは「鳥インフルエンザを回避するという目的を考えると、全国の施設の整った動物園も対象にした方がいいのではないか」「分散飼育地にどの程度の態勢を求めるか、ガイドラインを示すべきだ」などの意見が出された。
環境省は25日、昨年11月に中国から寄贈されたトキの「華陽(ホワヤン)」(4歳・雄)のペアが今季初めて産卵したと発表した。
華陽は1月21日、佐渡トキ保護センター(佐渡市)で4歳の雌とペアリングを開始。今月17日から交尾行動が見られた。25日に飼育員が、抱卵しているトキの様子に気づき、記録映像から24日の産卵を確認した。
トキは通常、1回の産卵周期で1日おきに1個ずつ計3、4個を産む。このためセンターでは、最後の産卵から10日後をめどに採卵。有精卵か検査した後、ふ卵器に移し人工ふ化を行う予定。
またセンターによると25日現在の産卵総数は、多摩動物公園(東京都)を含め、6ペアの計15個。
東京都日野市の多摩動物公園は24日、昨年12月に佐渡トキ保護センター(佐渡市)から移送されたトキのペアが産卵したと発表した。環境省によると、国内での飼育繁殖による産卵は、同センター以外では初めてという。
同園によると、産卵が確認されたのは2001年生まれの雄と03年生まれの雌のペア。年明けから鳴き合いなど繁殖に向けた行動を始め、飼育担当者が今月22日に第1卵を、24日に第2卵を確認した。
第1卵は24日からふ卵器で保温を開始。第2卵は、ペアが落ち着いているため自然抱卵させているという。
同園へは、鳥インフルエンザへの緊急対策として2ペア、4羽が移送された。別のペアは現在まで、交尾が確認されていない。
佐渡市新穂長畝のトキ資料展示館が18日、リニューアルオープンした。佐渡トキ保護センター(同所)での人工繁殖やビオトープづくりといったトキ野生復帰の支援活動を紹介する新映像を加えるなど、最近の活動を来館者に分かりやすく伝えることに重点が置かれた。
同市が管理する同館は1994年に開館。今年2月末までに延べ約240万人が訪れた。開館以来、展示内容はほとんど変わっていなかったため、内装や隣接するトキ観察回廊の改修とともにリニューアルに着手、今月14日に完了した。延べ床面積は計約320平方メートルで、総事業費は約8400万円。
展示内容ではトキの生態や、ビオトープづくり、里山再生など野生復帰に取り組む様子のほか、99年に国内初の人工ふ化に成功した「優優(ユウユウ)」の成長記録やトキ絶滅と保護活動の映像にも新たな要素を加えた。また観察回廊から一年中、飼育ケージを観察できるようにした。
18日には開所式が同館で行われた。トキの野生復帰連絡協議会の高野毅会長は「訪れる多くの人が、トキを支える力になってくれると思う」と期待していた。
一般の入館は19日から。午前8時半から午後4時半まで。入館料は環境保全協力費として、高校生以上200円(小、中学生100円)。
写真=展示内容を新しくしてオープンしたトキ資料展示館=18日、佐渡市新穂長畝
佐渡トキ保護センター(佐渡市新穂長畝)は18日、トキの今季初めての産卵を確認した。産卵時期はこれまでのセンターでの繁殖の中で、最も早い。順調なら4月15日ごろにふ化する。
産卵したのはセンターで飼育中の、ともに2003年生まれのペアで、同日午前7時に卵1個を確認。現在は雌が卵を抱いている。昨年は早い時期の産卵はふ化する確率が低かったため、センターでは人工ふ化も視野に入れながら見守っている。
同ペアは20日までに2個目の産卵が予想される。また巣作りの状況から、別のペアの産卵も近いという。
今季は最多の16ペアで、39羽の繁殖を目標としている。
今秋に試験放鳥が予定されているトキのモニタリング(動態調査)方法を学ぶ「トキ・モニター養成講座」が15日、新穂潟上のトキ交流会館で開講した。参加した市民約50人が、放鳥したトキを追跡するための観察方法などを学んだ。
講座は環境省が主催。モニタリングは、大空に放たれたトキが「いつ、どこで、何をしているか」を観察し、整備された餌場の有効性や生息環境などを分析し、その後の放鳥計画に生かすのが狙い。
この日は兵庫県立コウノトリの郷公園の大迫義人主任研究員が、2005年に放鳥したコウノトリのモニタリング事例を解説。「コウノトリは保護から放すまで50年。そこから“野鳥”になるにはさらに50年かかるだろう。長い時間がかかり、モニタリングは野生復帰させるためには必ず必要になる」と呼び掛けた。
具体的には、コウノトリの足に五色のリングを付け個体を識別。それぞれの餌場、営巣場所、ねぐらを見つけ生息環境を探っている。衛星追跡で把握できない生態を、住民による地上からの目でカバーするという。
大迫さんはモニタリングすることによって、“一夫一妻”といわれるコウノトリが「メスが二羽のオスの間を行ったり来たりするなど、過程においては実はそうではない」といった新たな発見を紹介。また「個性がよく見えて愛着がわく」と話した。
同講座は4月19日までに計6回開かれ、修了者にはモニタリングのための登録制ボランティアへの参加が予定されている。
同省佐渡自然保護官事務所の岩浅有記自然保護官は「集められたデータをフィードバックして計画を見直していくことになる。放鳥を成功させるにはモニタリングは重要で、地域の協力が不可欠」と期待している。
佐渡市は17日、同市が所有するトキのはく製一体を1986年から姉妹都市の関係にある埼玉県入間市に貸し出した。両市関係者は「20年以上続く友好関係を、トキをきずなにしてもう一段深めたい」と、さらなる交流を誓い合っている。
昨年、入間市の職員が発見した小惑星を「Sado」と命名するなど、友好を深め合ってきた両市。はく製の県外への貸し出しは初めてとなる。
はく製は、幼鳥時代の67年6月に捕獲され、翌年死んだ雌の「ヒロ」。高さ46センチ、長さ50センチで、同市新穂歴史民俗資料館で保管され、今月6日、環境省から引き渡しを許可された。貸出期間は、2013年3月末までの約5年間。
佐渡市役所でこのほど開かれた貸与式には、高野宏一郎・佐渡市長や吉田一雄・入間市副市長ら13人が出席。トキに関する資料や写真パネルとともに同市に手渡された。
高野市長は「はく製をぜひかわいがってほしい。秋の試験放鳥にもおいでください」とあいさつ。吉田副市長は「貴重なはく製の貸与を契機に、入間市民にトキの保護活動に関心を持ってもらいたい。相当な反響があると思う」と感謝した。
はく製の展示は、入間市博物館で4月26日から始まる予定。
トキの野生復帰に向けた環境を住民と行政、学識経験者が考える「人・トキの共生の島づくり協議会」(坂田金正会長)が11日、佐渡市新穂潟上のトキ交流会館で開かれた。出席者からは、トキの餌場づくりや河川の改善、木の保全といった幅広い事業に「より一体となった整備を」との声が上がったほか、官民一体となって取り組む必要性を確認した。
会では、新潟大学の関島恒夫准教授が「農地の整備だけではトキの餌となる生き物は増えない。生き物の供給源からのルートが必要で、水路と農地が一体となった整備をしないといけない」と指摘した。
また同大学の本間航介准教授は「これまでは自分たちの手の付けられるところからやっていた『点』の取り組み。今後はビオトープと河川を意識的につなぐ作業などをやっていく必要がある」と餌場づくりに取り組む関係者の連携を求めた。
さらに長年トキの生態を研究している佐渡トキ保護会の佐藤春雄顧問は「餌場は営巣木、ねぐらとの関係が深い。トキは餌場の近くに巣を作る。ねぐらも一年中同じ場所ではない」とし、餌場を意識した樹木の保全を呼び掛けた。
協議会は佐渡市主催で、行政や住民団体などの関係者約50人が参加した。
秋に佐渡市で予定されているトキの試験放鳥で、数羽に発信機を付け、衛星利用測位システム(GPS)を利用して追跡する計画があることが5日、分かった。トキの細かい生態、習性の把握が目的。得られたデータを来年以降の本格放鳥に生かす。県が県議会厚生環境委員会で明らかにした。
放鳥されるトキは、過去に佐渡にいた野生のトキの子孫でないため、遺伝的なものがなく「どのような行動を取るのか分からない部分が多い」(県環境企画課)という。島外まで飛んでいく可能性は低いが、島内全域を飛ぶのか、狭い範囲にとどまるのかの予測は難しい。
このため、県は最初に試験放鳥される10羽前後のうち、数羽に発信機を付ける。首輪や足輪タイプの小型、軽量のもので、飛行への支障は小さいという。随時モニタリングし、餌場、ねぐら、繁殖地などがどこにあるのかを調べる。
発信機を付けないトキもカラー足輪を付けて個体を識別、群れをつくるかどうかなどを調査する。カラスやトンビなど他の鳥がトキを攻撃しないかも研究する。
トキと地域の自然再生について話し合う「佐渡島みんなトキ色談義」が1日、新穂潟上のトキ交流会館で開かれた。パネルディスカッションでは、関係省庁や大学の担当者から自然の多様性を生かす取り組みを紹介。約40人の参加者は、トキと人との共生の在り方や地域の自然をどうするべきかを考えた。
東京工業大や九州大などの研究者と学生らによる「トキの島再生研究プロジェクト」の「トキと社会」研究チームが主催。昨年5月から20回を数えた移動談義所の「集大成」として開かれた。
討論では、生物が生きることができる生物多様性の保全など、関係省庁の担当者がそれぞれ実施している自然再生事業を紹介。それら取り組みを受けて、「生椿の自然を守る会」の高野毅さんが「かつてトキがいた天王川周辺は、まだ生物がたくさんいる。昔にすべて戻すのではなく、一部分を手助けすることで回帰する力が生まれるのではないか」と投げ掛けた。
この日の討論の焦点となったのは「トキの冬の餌場対策」。佐渡自然保護官事務所の岩浅有記・自然保護官が、野生復帰ステーションの水場が凍り、トキが氷の上を歩いていたことを紹介し、流水の確保が必要になると指摘。その上で「もっと重要なのが湧(ゆう)水で、小佐渡から平場にかけての地域がポイント。湧水は温かいので生き物が集まる」と述べた。
また、一部でトキを害鳥とみていることについても意見を交わした。「トキは夜に田んぼを荒らすことや稲を食べることはない」とする一方、「トキの餌となるドジョウやオタマジャクシがいることでタヌキが田を荒らし、間接的な被害につながる可能性もある」との指摘もあった。
コーディネーター役の桑子敏雄・東工大教授は「(良いか駄目かの)二者択一ではなく、どう共生するかがポイントになる。自然の包括的な再生が問われている」と話していた。
写真=トキと地域の自然環境について考えた「トキ色談義」=1日、新穂潟上のトキ交流会館
トキの分散飼育に意欲を示している長岡市の森民夫市長は19日、東京・霞が関の環境省を訪れ、「長岡市トキ保護増殖事業基本計画」を提出した。同市は計画提出を飼育候補地としての正式な意思表明と位置付けており、今秋からトキ近似種飼育を始めるなど準備を加速させる。
森市長は、同省の桜井康好自然環境局長に基本計画を手渡し「長岡でトキを増やし、佐渡の応援をしたい」と熱意を強調。飼育予定地の寺泊地域と佐渡市の近さを地図で示しながら、計画を説明した。
面会後、森市長は「トキの飼育経験が豊富な県の支援を受けられることなどを、好意的に受け止めてもらえたと感じている」と手応えを語り、同市が分散飼育開始の目標としている2011年度に向けて飼育・繁殖技術の習得に努めるとした。
分散飼育は鳥インフルエンザなど感染病への対策が主目的。同市のほかに島根県出雲市と石川県が名乗りを上げており、今後、同省の諮問機関「トキ飼育繁殖専門家会合」で飼育地や飼育個所数を検討する。
写真=長岡市でのトキ分散飼育に向けた基本計画を提出した森民夫市長(左)=19日、東京・霞が関の環境省
環境省と佐渡トキ保護センターは12日、佐渡市新穂正明寺の野生復帰ステーションで、新たにトキ10羽をより自然に近い環境の「順化ケージ」に移した。同ケージ内のトキは15羽に増え、今秋に予定する10羽前後の試験放鳥に向けて一歩前進した。
10羽は2005年生まれが4羽、06年生まれが3羽、07年生まれが3羽。雄が4羽、雌が6羽。昨年12月、同ケージに放す準備としてセンターからステーションの繁殖ケージに移送されていた。
10羽は同日朝、センターの職員によって体調や体重を調べられた後、広さ約4000平方メートルの順化ケージ内に放たれた。昨年7月からすんでいる“先輩”の5羽と一緒に旋回を開始するなど、作業は順調に進められた。
放鳥後、センターの金子良則トキ保護専門員は「5羽が飛んでいたので(10羽は)ネットにぶつからずに済んだ。先生役を発揮してくれた。今後はまず飼育者に慣れてほしい」と語った。今後は採餌や飛行、天敵に対する訓練が行われる予定で、今回追加した10羽を合わせた15羽の中から、試験放鳥の10羽前後が選ばれることになっている。
写真=順化ケージに放たれたトキ=12日午前11時ごろ、佐渡市新穂正明寺の佐渡トキ保護センター野生復帰ステーション
環境省は5日、佐渡市新穂正明寺の佐渡トキ保護センター野生復帰ステーションの順化ケージに、新たにトキ10羽を12日に移すことを明らかにした。追加されるトキは2005年から07年生まれの雄4羽と雌6羽。合わせて15羽となり、この中から今秋に予定される試験放鳥の個体が選ばれる。
10羽の追加が発表された5日、昨年7月に順化ケージに放たれたトキ5羽が、小雪がちらつく中、力強い羽ばたきを見せ、野生復帰への順調な歩みを感じさせた。
5羽は雪の中で自力で餌を探し、人との距離感を養うなど新たな環境に適応しているという。「寒さで朝は縮こまっている」とセンター職員。それでも元気な旋回に「最初は2、3分で息を切らしていたのに、最近は5分以上難なく飛べる」と成長を実感していた。
現在、同センターと多摩動物公園(東京)で合わせて95羽のトキが飼育されている。
写真=順化ケージで訓練を受けているトキ。12日にはさらに10羽が移される=5日、佐渡市新穂正明寺の佐渡トキ保護センター野生復帰ステーション
今年秋に予定されているトキの試験放鳥に向けて、市議会の有志39人が「トキの放鳥を佐渡振興につなげる議員の会」(浜口鶴蔵会長)を結成、11日に千種の市役所を訪れ、高野宏一郎市長に支援強化を求める要望書を手渡した。
要望書では(1)トキは必要不可欠であることを島民に周知理解させること(2)事業を円滑に推進できるよう組織を強化すること−を市に求めた。
市議会は今年4月に改選期を迎えるため、会は当面、議員ごとの活動のみで、改選後に本格的な支援取り組みを行うとしている。
浜口会長は「トキの放鳥は、低迷している佐渡観光にとっても千載一遇のチャンス。成功するようバックアップしたい」と話している。
写真=高野宏一郎市長(右)に要望書を手渡す「トキの放鳥を佐渡振興につなげる議員の会」の浜口鶴蔵会長=11日、千種の市役所
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