人間の活動が地球温暖化に影響していることは疑う余地がない-。強い表現で断言した科学者の警告を国際社会は重く受け止め、「脱炭素」社会への歩みを加速させねばならない。

 手をこまねいていては、日本をはじめ世界各地で発生している豪雨や、熱波、干ばつなどの異常気象がさらに脅威を増す恐れがある。

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が、最新データを基に気候変動を評価した報告書を公表した。

 IPCCは気候変動に関する最新の科学的知見を評価する組織だ。報告書は、温暖化の国際枠組み「パリ協定」の実現に向けたよりどころとなる。

 注目すべきは、前回2013年の報告書との違いだ。

 前回は温暖化の主な要因として、「人間の影響である可能性が極めて高い」と指摘した。今回は「疑う余地がない」とさらに踏み込んだ。

 温暖化に人間の活動が深く関わっていることを明確に指摘したことで、より真剣にスピード感を持って対応するよう迫ったといえる。

 近年は世界中で研究が進み、異常気象と温暖化の関連性がより明白になってきた。

 報告書は、産業革命前と比べ世界の平均気温が11~20年で1・09度上昇したと指摘。温暖化が0・5度進行するたびに、異常気象の発生頻度は「はっきりと認識可能な増大をもたらす」と警鐘を鳴らしている。

 報告書は社会経済成長を五つに分けて予測し、全てのシナリオで21~40年に気温が1・5度上昇する可能性が高いとした。

 ただ、温室効果ガスの排出が非常に少ないシナリオでは、21~40年に最大1・7度上がるが、50年を過ぎると頭打ちの状態になり下降に転じる。

 このシナリオの実現に向けて速やかに対策を講じたい。

 鍵となるのがパリ協定だ。気温上昇を2度未満、できれば1・5度に抑えることを目指す。

 1・5度に抑えるには、温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)の排出を30年に10年比で約45%削減し、50年には実質ゼロにする必要がある。各国が連携し、着実に進めることが重要だ。

 今後の焦点となるのは、10月末から開かれる国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の交渉だ。報告書を踏まえた成果を期待したい。

 排出量の多い先進国が自国の削減に全力を挙げるのは当然だが、発展途上国の削減に向けた支援強化をしっかり打ち出すことも課題となる。

 菅政権は30年度に13年度比で46%削減し、50年には実質ゼロにする目標を掲げている。

 先月公表された「地球温暖化対策計画」の案では、この実現に向け、30年度の排出量を産業部門で37%、家庭部門で66%減らすことなどを柱に据えた。

 ただ、裏付けとなる施策は盛り込まれず、実現性に課題が残る。具体策を早急に構築し、国民の理解を得ながら、脱炭素を軌道に乗せたい。