県暴力団排除条例のポスター

 暴力団への利益供与の禁止などを明記した「新潟県暴力団排除条例」が施行され、8月で10年となった。住民らの暴排意識の高まりを受け、県内の暴力団勢力は2020年末時点で600人を割り込み、条例施行時から半減した。しかし、暴力団の根絶には至らず、県警は「暴力団の排除は道半ば。社会全体で活動を続けていくことが重要だ」としている。

 県暴排条例は11年8月に施行した。全国でも同様の条例が制定され、暴力団の排除を県や県民の責務とし、暴力団関係者の公共工事入札などへの参加を制限。企業には、みかじめ料や用心棒代の支払い禁止を規定した。違反者には勧告や公表処分があり、JR新潟駅や長岡駅周辺の「特別強化区域」での違反者には刑罰も科される。

 県警組織犯罪対策2課によると、条例施行後、暴力団構成員や準構成員らを含む勢力は減少の一途をたどっている=グラフ参照=。20年末に県警が把握した勢力数は590人で、11年末の1150人から半減。全国でも減少傾向が続いている。

 暴力団の資金源が細ったことが減少の要因とみられる。企業は条例を盾に、みかじめ料の支払いを拒めるようになったほか、「暴力団と判明した場合には契約を解除する」といった内容を盛り込んだ暴排条項を策定したり、取引先が暴力団関係者でないか確認を徹底したりする動きも広がった。

 一方、県暴力追放運動推進センター(新潟市中央区)の志賀康則専務理事は「組織が存在しているということは、まだ資金が流れている証拠」と指摘する。

 県警は今年に入り、長岡駅周辺のキャバクラなどからみかじめ料を受け取ったとして、県内の暴力団幹部らを相次ぎ逮捕。新潟駅周辺でも19年、同様の事件が発生した。県警は条例違反が後を絶たないことから「把握し切れていない潜在的な事案もある」とみる。

 県警は暴排意識の定着や実態把握のため、今後も企業などへの呼び掛けを続ける。組織犯罪対策2課の幹部は「警察と企業が両輪で取り組んできた成果が表れている。この流れを止めずに、暴力団排除を推し進めていく」と話した。

◆台頭する「半グレ」警戒強める

 暴力団勢力が減少する一方、「半グレ」と呼ばれる不良集団の関与が疑われる事件が県内でも発生している。暴力団に対する規制の網を逃れて犯行を繰り返しており、県警は「暴力団と同等の対策が必要な存在」と位置付け、警戒を強めている。

 半グレは暴力団と一般人の中間を指す造語で、警察庁は「準暴力団等」と定義している。暴走族OBや不良グループ、元暴力団員らで構成するとされるが、暴力団のような明確な組織性がないのが特徴だ。

 詐欺や恐喝など幅広い犯罪行為で違法に資金を得ているとみられ、近年では、新型コロナウイルス対策の国の持続化給付金を巡る詐欺事件などにも関わっているとの見方がある。

 県内でも今年、持続化給付金をだまし取ったとして、県警が詐欺容疑で県内の男ら複数人を逮捕した。グループが詐取した給付金は計数千万円に上るとされ、県警は捜査を継続するとともに、グループの実態把握を急ぐ。

 県警は、半グレの数や勢力などについて明らかにしていないが、組織犯罪対策2課は「悪質なグループの背後には暴力団が関与している恐れがあり、あらゆる可能性を視野に調べを進めていく」としている。