新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大で医療体制がさらに逼迫(ひっぱく)し、「救える命」を救えない深刻な事態が起きている。

 医療は危機に直面している。あらゆる手を尽くし、感染者を含むさまざまな人の命を救うために全力を挙げたい。

 千葉県柏市で中等症相当で自宅療養をしていた妊娠29週の女性が、受け入れ先の病院が見つからぬまま自宅で早産し、生まれた赤ちゃんが亡くなった。

 女性と赤ちゃんは出産から45分以上たって病院に搬送され、赤ちゃんは死亡が確認された。自宅で生まれたばかりの時は呼吸をしていたという。

 早産に対処できる環境で産むことができれば状況は違ったはずだ。女性の心境と生まれてすぐに世を去った小さな命を思うとあまりに痛ましい。

 流行「第5波」では若い世代が感染の中心になり、妊婦の患者も増えた。感染状況は第5波の前と明らかに異なっている。

 妊婦用に確保した病床も感染拡大の影響で窮迫した。柏市の女性は出産する2日前から入院先を調整したが、少なくとも9カ所に受け入れられなかった。

 妊婦をはじめリスクが高い人が異常を訴えた場合は、すぐに対応できないと取り返しのつかない事態に陥る。確実に対応できる病床を急いで整えたい。

 医療体制整備を考える上で気掛かりなのは、感染拡大のピークが見えず、自宅療養者が増え続けていることだ。

 厚生労働省の18日時点の集計では自宅療養者は全国で9万6千人に上っている。県内では531人で、22人だった1カ月前より激増した。

 軽症だった人が自宅療養中に急激に悪化し、死亡する例もある。厚労省によると1月から今月16日までに全国で91人が自宅療養中に亡くなっている。

 東京都では今月、自宅療養をしていた家族3人のうち基礎疾患があった40代の母親が、感染が判明して2日後に自宅で倒れ亡くなっていた。

 1人で自宅療養している人は急な体調悪化に対応できるか不安な思いでいるだろう。自宅療養者の容体急変を把握する仕組みづくりが急務だ。

 イベント会場や体育館などを利用し、大人数の患者に目配りできる臨時の医療施設の整備も検討してもらいたい。

 本県では開業医が自宅療養者への電話診療に当たっている。急変の兆候を見逃さず、入院など迅速な治療につなげようと24時間体制で患者の体調不安に寄り添っている。

 しかし医療資源には限りがあり、体制にも限界がある。これ以上感染者が増えれば、一般診療や地域医療にも影響する。

 県は20日、新潟市に対する独自の「特別警報」を2週間延長し、長岡、小千谷両市にも拡大すると決めた。緊急事態宣言に準じた措置が可能になる「まん延防止等重点措置」の適用要請を見据えた議論を始めた。

 ここが正念場だと気を引き締め、一人一人が改めて感染防止対策を徹底したい。