日本アニメ界の金字塔「機動戦士ガンダム」が衝撃的だったのは、主人公アムロが内向的で未熟な少年だったことだ。リーダーに叱られるとふてくされるし、殴られると「おやじにもぶたれたことないのに!」と逆切れしてすねる

▼使命感を抱いて敵と戦う従来の強く正しいヒーローとは違った。だからなのだろう。番組のエンディング曲は、アムロに言い聞かせるように「男は涙を見せぬもの」と歌う。当時の少年の心にはしみたものだ

▼それからおよそ40年。男は涙を見せてはならぬという考え方は否定的に捉えられるようになった。同様にアニメ「アタックNo.1」の主題歌にある「だけど涙が出ちゃう 女の子だもん」も今の時代にはそぐわないだろう

▼ステレオタイプな「男らしさ」「女らしさ」の決め付けは性差別につながる-。先日開かれた中学生の主張大会で、複数の生徒が問題にしていた。自分の性別に違和感を抱いているという生徒もおり、性的少数者を受け入れる社会の実現を訴えた

▼性別や性的指向だけでなく、人種、宗教、障害の有無など、一人一人の違いを尊重する社会。東京五輪もこの多様性の大切さを理念に掲げた。実際、性的少数者であることを公表したり、黒人差別反対を意思表示したりする選手も多くいた

▼五輪に続き、障害者スポーツの祭典であるパラリンピックが間もなく開幕する。東京大会を機に、マイノリティーも生き生きと暮らせる世の中に変わっていった-。そんなレガシーが残せるといい。