デメリットが目立ち、多忙な学校現場の実情を考えれば廃止検討は遅すぎる感が否めない。

 教員の働き方改革を進め、活力ある職場を取り戻したい。抜本的に見直し、新たな資質向上策について知恵を絞るべきだ。

 文部科学省が教員免許更新制廃止の方向で検討している。

 教員の負担が大きいとして、萩生田光一文科相が今春、中央教育審議会に見直しを諮問していた。早ければ、来年の通常国会に教育職員免許法改正案の提出を目指す。

 更新制は、教員免許に10年間の有効期間を設ける制度だ。期限前の2年間のうちに30時間以上の講習を受けて修了する必要があり、教員として必要な最新の知識技能を身に付けることを目的としている。

 指導力不足の教員がいるとの批判の高まりを受け、「教育再生」を掲げた第1次安倍政権下の2007年に法改正が行われた。導入は09年だ。

 安倍政権肝いりの政策だったが、教員本来の業務以外の事務負担が増え、現場に対する信頼を欠いた制度だと当初から問題視されていた。

 更新のためには、大学などで講習を受ける必要がある。講習は主に夏休み期間中に実施され、国内外の教育施策やいじめ、不登校への対応、英語教育などについて学ぶ。

 しかし、更新に伴う業務量の増加は現場には不評で働き方改革の動きに逆行しているとの批判が高まっていた。さらに、数万円の受講料を支払う経済的負担への不満も大きかった。

 文科省が7月に公表した教員への調査では6割近くが講習に不満を抱き、廃止を求める意見が多い。内容についても「現実と懸け離れ、実践的ではない」との指摘が目立った。

 教員が更新を忘れ、失職する「うっかり失効」も後を絶たず子どもにも影響が出るだけに自治体側も頭を悩ませてきた。

 文科省の16年度の教員勤務実態調査では、小中学校教員の1日の平均勤務時間は11時間を超えている。

 「残業ありきの職場」「部活動指導で多忙に」と現場からは長時間労働に悲鳴が上がる。

 こうした現実を見ると、現場を知らない政治のごり押しが、教育現場に余計な負担を強いていたと言わざるを得ない。

 制度を廃止して終わりではなく、導入後の実態をきちんと検証しなければならない。混乱が繰り返されないよう政治の責任をきちんと問うことも必要だ。

 小学校の35人学級化や情報通信技術(ICT)活用も本格化し、優秀な人材確保が急務な中で、現場を疲弊させるだけの制度を漫然と続けていては、状況の改善は望めまい。

 ただし、教育を巡る課題が複雑化する中で、現実に即した教員の資質向上には粘り強く取り組む必要がある。

 文科省はICTを活用し学校にいたまま受けられる研修を増やして負担軽減も促すという。現場の声を踏まえ、無理のないやり方を考えてもらいたい。