女子100メートル背泳ぎ(運動機能障害S2)の決勝レースを終え、会心の泳ぎに笑顔の山田美幸=25日、東京アクアティクスセンター(写真映像部・立川悠平撮影)
女子100メートル背泳ぎ(運動機能障害S2)の決勝レースを終え、会心の泳ぎに笑顔の山田美幸=25日、東京アクアティクスセンター(写真映像部・立川悠平撮影)

 あこがれ続けてきた舞台で存分に躍動した。25日の東京パラリンピック競泳女子100メートル背泳ぎ(運動機能障害S2)で、山田美幸(14)=WS新潟・新潟県阿賀野市=が銀メダルの快挙。日本代表史上最年少のメダリストとなった新鋭は「母もコーチも楽しめと言ってくれた。めっちゃ楽しめましたと伝えたい」と、いつもの“美幸スマイル”をはじけさせた。

 幼少期に水泳を始めた山田が、パラリンピックを意識したのは、2016年リオデジャネイロ大会をテレビで見た9歳の時だった。

 「泳ぎ終わった後のインタビューで選手がみんな笑っていた。一生懸命競い合うってこんなに楽しいことなんだ」。自分もその場に立ちたいと心から思った。

 それからの5年で急成長を遂げた。幼少期から指導する野田文江コーチ(79)は「美幸は水の申し子。身体能力がすごいし、練習でも音を上げない」と話す。

 山田の座右の銘は、渋沢栄一の言葉「無欲は怠惰の基である」。学校の授業で出合った。夢に向かって正直に、本気で取り組む大切さを胸に刻み、競技に取り組んで来た。

 水泳を楽しみ、より速い記録を目指すのは自分のためだという。「他の人のために頑張っているのではなく、自分のために頑張っている。結果としてそれでたくさんの人が笑ってくれたらうれしい」と打ち明ける。

 「ここまで来られるとは思っていなかった」。テレビで見たリオ大会の選手のように、インタビューで答えた。マスク越しでも満面の笑みがこぼれた。
(報道部・河野雄也)


 ◎「思ったことを貫いた」 関係者ら快挙たたえる

 東京パラリンピックの競泳で銀メダルを獲得した山田美幸選手の地元、阿賀野市などからは25日、快挙をたたえる声が上がった。

 山田選手が通う京ケ瀬中の三膳章校長(59)は、教務室のテレビで観戦した。「美幸さんの目標のメダル獲得と、楽しく泳いでもらいたいという思いで見守った。本当におめでとう」と喜びを語った。

 校内で部活動をしていた生徒たちに銀メダルの快挙を伝えると、拍手と歓声が起こったという。

 新潟水泳協会の石川志郎会長(79)=新潟市西区=は「キックの力強さが後半も衰えなかった。彼女には自分が思ったことを貫こうとする気持ちの強さがある」と話した。

 100メートルの前半が好タイムだったことから、9月2日に行われる50メートル背泳ぎへの期待も膨らむ。石川会長は「気持ちを冷静にコントロールし、レースを進めてほしい」と語った。

 阿賀野市の田中清善市長は「阿賀野市出身のパラリンピック選手の銀メダル獲得は、史上初の快挙。市民に大きな感動と、夢や希望を与えてくれた」とコメントした。