菅義偉首相は新型コロナウイルスの感染拡大抑止へ有効な対策を打ち出せず、国民の間に首相や政権に対する不満や不信が鬱積(うっせき)している。

 そうした情勢の中で行われる自民党総裁選であり、新総裁に誰を選ぶかは国民生活に大きく影響する。政権を担う最大与党の在り方が厳しく問われる選挙と言っていいだろう。

 自民党は、菅首相の自民党総裁任期満了に伴う総裁選の日程について「9月17日告示、29日投開票」と決めた。

 今回は、国会議員票と「地方票」と呼ばれる党員・党友票が同じ383票ずつだ。簡易型だった昨年より地方票のウエートが増す。

 首相は既に立候補の意向を示しており、岸田文雄前政調会長も出馬を表明した。ほかにも立候補に意欲を見せている国会議員はいるが、両氏を軸とした選挙戦となるのは確実だろう。

 岸田氏は出馬表明の記者会見で、菅政権の現状について「政治の根幹である国民の信頼が崩れている」と強調した。

 感染対策に関しては国民の納得感が不可欠とし「たぶん良くなるだろうでは打ち勝つことはできない。最悪の事態を頭に置く必要がある」と述べた。

 岸田氏のこうした訴えは、そのまま総裁選の重要な論点と位置付けられる。

 首相は就任以来、感染禍の収束を掲げてきたものの、その対策は後手、小出しで、目に見える成果を生んでいない。このところはワクチン頼みの根拠なき楽観論ばかりが目立つ。

 現状は感染「第5波」が広がり、医療体制整備の遅れがあらわになっている。

 首相の認識と不安を強める国民との乖離(かいり)は大きいと言わざるを得ない。7月の東京都議選での自民党の不振や先の横浜市長選での与党側の敗北は、それを物語るものだ。

 現状を打開し、感染抑止に向かわせるにはどうすべきか。政権の問題点は何か。

 総裁選で、国会議員や党員以外の国民にも見える形でしっかりと論戦を展開してほしい。

 岸田氏が挙げた「政治とカネ」も重要な論点になる。

 それらの論議を基に、誰が総裁に適任か見極めるべきだ。

 昨年の総裁選は3氏による選挙戦となったが、主導権確保を狙った主要派閥が早々に菅氏支持へと雪崩を打ち、告示前には流れが決していた。

 今回も既に二階俊博幹事長ら有力者が菅氏支持を打ち出している。またも内輪の論理が優先されれば国民との溝が広がるだけだろう。

 現在の状況を生んだ責任は総裁選で菅氏に票を投じた国会議員や地方組織にもあるはずだ。

 それだけに、本県関係の票の出方にも目を凝らしたい。

 昨年の総裁選で、本県関係議員は岸田派の1人を除く全員が菅氏に投票した。新潟県連は割り振られた3票全てを菅氏に投じた。今回はどうなるか。

 衆院選が迫る中で、動向を注視しなければならない。