都市再生緊急整備地域指定に伴う規制緩和の活用第1号と見込まれる新潟駅南口の事業予定地=新潟市中央区

 新潟市は27日、同市中央区のJR新潟駅から古町地区までのエリアが、容積率などの規制を緩和できる国の制度「都市再生緊急整備地域」に指定されることが決まったと発表した。指定は9月1日付。県内での同地域指定は初となる。市は地区内にある老朽化したビルの建て替えを促し、拠点性向上につなげる考えだ。

 区域は新潟駅周辺-万代地区-古町地区を結ぶ中心市街地の約153ヘクタール=地図参照=。この区域をはじめ全国の中心市街地では、容積率に上限がある影響で老朽化したビルの建て替えが進まないという課題がある。緊急整備地域に指定されれば、その特例で上限が撤廃され、より大きなビルが建てられるようになる。

 このほか道路の上空利用の規制緩和や、事業面積が1ヘクタールを超える大規模再開発への税制支援など、民間投資の誘導につなげるための特例措置がある。

 現段階で、新潟駅南口エリアにマンションとオフィスビルを建設する民間開発事業が、この指定を活用した容積率緩和の第1号になると見込まれている。

 中原八一市長は27日の記者会見で「新潟駅周辺の整備が進み、民間の動きも活発化している。指定を活用し、民間の投資を後押ししていきたい」と述べた。

 市は、民間事業者から容積率緩和の要望が強かった点や、新潟駅周辺整備事業の進展などを踏まえて、中心市街地の再開発促進を図るため、2020年2月に緊急整備地域への指定を国に申し込んだ。

 内閣府によると、これまでに仙台都心地域など全国で延べ68地域が指定されていた。今回、新潟市を含む3地域が追加された。

◆容積率など緩和 民間投資を誘発

 新潟駅-万代-古町のエリアを新たな都心軸「にいがた2km(にきろ)」と名付けて活性化を進める新潟市。高度経済成長期に建設された老朽ビルの更新が課題に挙がる中で、27日に決まった都市再生緊急整備地域の指定により「民間投資の誘発につなげたい」と期待する。ただ指定は投資誘発策の一つ。先行する他都市に見劣りしないためには、事業者のニーズを踏まえた補助制度充実など、次の一手が求められる。

 指定を求めた背景の一つは老朽化した「既存不適格」のビルだ。都市計画で容積率が設定された1971年以前に建てられた物で、法令上問題はないが、現行制度の容積率は超える。市は「個人の財産のため、ビルの数は公表しない」とするものの、駅前には容積率(現制限600%)をオーバーしているビルが多数ある。

 既存不適格のビルを建て替える場合、現制限が適用されるため、ビルを小さくする必要が出てくる。テナントスペース減少につながり、建て替えに二の足を踏む理由の一つになる。市まちづくり推進課は「事業者から容積率の緩和を求める声が強かった」と明かす。

 規模が大きいビルを建てられれば、床面積が増えるため収入増につながる。大規模な街区での開発誘導につなげる狙いもある。

 市が指定活用の第1号として見込むのが、新潟駅南口エリアの開発だ。

 市の資料などによると、国際総合計画(新潟市中央区)と日生不動産販売(同)の共同企業体が施工者で、30階建てマンションと10階建てオフィスビル、駐車場棟を建設する計画。容積率はこのエリアの現制限の400%を超え、600%ほどになるという。

 容積率の緩和はビルを建てる事業者の提案に基づき、開発エリアごとに都市計画決定される。市内のデベロッパーは「民間の事業計画の中で、より大きな建物が欲しいとなった時に、建てられる環境が整ったことがメリットだ」と説明する。

 ただ都市間競争という面では、政令市の多くが既にこの制度の指定を受けている。先行した自治体では業務系ビルの建設に特化した補助事業創設など、さらに補助内容を充実する例がある。別の関係者は「スタートラインに立っただけ。事業者が他の地域と補助制度を比べた時に見劣りしていれば、新潟が選択肢に残るだろうか」と述べる。

 市は民間事業者による開発の誘引に向けた補助制度充実を急ぐ。中原八一市長は27日の会見で「オフィスビル(建設)に対し、新たな支援ができればと考えている。厳しい財政事情だが次の世代のためにも予算を捻出したい」とした。

 もっとも「入居テナントなどの需要がなければビルは建てられない」(建設業者)というのが大前提。開発を促すほどの需要が創出できるか。新潟のポテンシャルが問われる。