男子5000メートル(車いすT54)決勝 力走する樋口政幸=国立競技場(写真映像部・立川悠平撮影)
男子5000メートル(車いすT54)決勝 力走する樋口政幸=国立競技場(写真映像部・立川悠平撮影)

 メダルには及ばなかったが、42歳のベテランが鉄人ぶりを証明した。陸上男子5000メートル(車いすT54)決勝で、樋口政幸(プーマジャパン・新潟県十日町市出身)は10分31秒28で8位に入り、2大会連続で入賞。「メダルにはかすりもしない順位ですけど、結果にも内容にも満足しています」。大舞台での得意種目を終え、すがすがしい表情で語った。

 「瞬発力が求められるレースになる」と覚悟していた通り、立ち上がりからペースに緩急のある展開となった。序盤は後方で出方をうかがい、中盤に差し掛かると5、6番手の好位置をキープ。徐々に引き離されたが、翼を広げるかのように両腕を懸命に回し、最後まで粘り強さを見せた。

 2016年リオデジャネイロ大会の5000メートルで4位と健闘した後、燃え尽き気味になり引退も考えたが、「自分にはまだ伸びしろがある」と信じて競技を続けた。一方で、東京パラまでの5年間で世界の選手層は厚みを増した。「少し見えていた(世界のトップの)背中が遠のいた」

 新型コロナウイルスの影響により開催が危ぶまれた今大会。大会関係者や応援してくれる多くの人に、走りを通じて恩を返そうとレースに臨んだ。「少しでも恩は返せたと思う。それが一番うれしい」と晴れやかな表情を浮かべた。

 30日には1500メートル予選に出場する。「もう一度決勝の舞台に立てるように、全力を尽くしたい」と気合を入れ直した。

(報道部・森田雅之)