炎天をものともせず、流れに刺さった棒くいのごとく川の中に立つ。長いさおを操りアユを狙う釣り師である。週末ともなれば、県内の河川にも美しい魚体を追い求めて多くの人々が繰り出す

▼漢字で書くと鮎。魚へんに占を当てる。魚へんに弱の鰯(いわし)や平の鮃(ひらめ)は分かりやすいが、アユはなぜ占なのか。中国では鮎はナマズのことだという。占には粘りつくという意味があり、なるほどナマズは体表のぬめりが強い

▼日本書紀には、神功(じんぐう)皇后が戦況を占う目的で釣りをした際に釣れたのがアユだったと記されているそうだ。わが国では、その故事にちなんだという説がある。古くから日本人が親しんできた魚であるのは間違いない

▼占うとは、何かを手掛かりに将来を見定めたり、未来を予想したりすること。アユと同様に日本人に親しまれてきたサンマはここ数年、不漁が続く。これからの季節には欠かせない味覚だ。先の見通しを占いたくなる

▼水産庁は先ごろ、今年8~12月の来遊量の予想を発表した。日本近海にやって来るサンマは過去最低の漁獲量を記録した昨年は上回るものの、昨年に次いで少なかった一昨年を下回る見通しだ。ここ数年の極端な不漁傾向は、まだ続くということだろうか

▼一部地域では水揚げが始まったが、あまり芳しくないようだ。朝晩には秋の気配が漂うようになった。例年ならそろそろ食卓に上り、夏場の疲れを癒やしてくれるのだが。野性味あふれる脂が恋しい。この“占い”は、外れることを祈りたい。