佐渡汽船のカーフェリー「おけさ丸」。調整金の改定以降、実質的に運賃が値上がりしている=佐渡市の両津港
佐渡汽船のカーフェリー「おけさ丸」。調整金の改定以降、実質的に運賃が値上がりしている=佐渡市の両津港

 「佐渡汽船の運賃が島民割引を使っても以前より高い気がする」。新潟日報社の「もっとあなたに特別報道班(モア特)」に読者からこんな声が届いた。ウイルス禍の打撃で昨年から債務超過に陥る佐渡汽船は、1月に運賃に加算する燃料油価格変動調整金を改定した。実質的な運賃値上げに新潟県佐渡市民の負担感は増している。複雑な運賃の仕組みと、利用者が値上がりを実感する背景を探った。(佐渡総局・伊藤和睦)

 佐渡市など離島の旅客運賃を巡っては、国が2017年から、本土と結ぶ航路をJR運賃並みに引き下げるように関係自治体に交付金を支給している。佐渡汽船はこれを活用し、同年に島民割引制度を設置。佐渡市民は27年まで、通常運賃のほぼ半額で旅客船を利用できる。

 市のホームページでも島民割引制度を紹介しているが、記載を見た読者からは「実際にはJR運賃並みになっていないのではないか」と疑問が寄せられた。

 佐渡汽船によると、両津-新潟航路(約67キロ)をJR運賃換算とした場合、カーフェリー2等片道の運賃は大人1170円になる。島民割引導入直後は1330円で利用できたが、現在は1680円と徐々に値上がりしているのが実態だ。

 この要因について同社の江口工輸送部長は、原油価格高騰分の負担を旅客に転嫁する燃料油価格変動調整金を挙げ「近年は事業者だけで負担しきれないほどに原油価格が高騰している」と説明する。

 調整金は全国の船会社などが国土交通省のガイドラインに基づき、年間の輸送人員数や車両輸送台数などから設定金額を算出している。

 佐渡汽船は06年に調整金制度を導入。昨年までは05年の輸送実績の人員約204万人、車約18万台を基に算出していたが、1月の改定では19年の人員約146万人、車約14万台で設定金額を再計算した。その結果、今年に入り利用者1人当たりの燃料費負担が顕著に増加している=グラフ参照=。

 7月に発表した調整金を基にすると、10~12月の島民割引運賃はカーフェリー2等片道で大人1890円(うち調整金650円)。島民割引導入時の1330円(同130円)から4割ほどの値上げとなる予定だ。

 同社は一連の値上げの背景に、国際基準に基づいて19年に導入した燃料油の価格が従来よりも高額なことや、島民の人口減、観光需要の低迷などを挙げる。

 三富丈堂(たけあき)総務部長は「調整金は長年据え置いてきたが、経営改善のために苦渋の決断をした。航路維持のために協力してほしい」と理解を求めている。