東京電力福島第1原発事故を巡る新潟県独自の「三つの検証」の一つで、事故の健康への影響を議論する健康分科会(座長・鈴木宏新潟大名誉教授)が29日、県庁で開かれた。4年近くに及ぶ議論の成果の一部として、県民の被ばくに関するデータ確保の体制など、東電柏崎刈羽原発で事故が起きた場合への備えを求めた提言書を取りまとめた。事故の健康影響についてはさらに議論を続けることとし、早ければ来年4月にも分科会としての最終報告書提出を目指すことを決めた。

 提言書では東電、国、新潟県などが原発事故時に得られたデータを公表し、県民と共有することが重要だと強調。事故直後から県民の被ばくを測定するシステムの構築のほか、事故前から小児白血病の発生状況を把握しておくことなどを求めた=表参照=。3月の前回会合で示した提言書案の内容を踏襲した。

 一方、提言書では、検証の主題である健康影響についての取りまとめを見送り、「継続して検証を進める必要がある」と明記。29日の会合では、国連科学委員会が今年3月に公表した放射線の影響に関する報告書を精査するなどし、議論を続けることで一致した。鈴木座長は、最終報告書を提出する時期について「来年4月」とした。

 放射線衛生学が専門の木村真三委員(獨協医科大准教授)は「お互いの検証内容に密接な関係がある」として、三つの検証のうち、事故時の安全な避難方法を検証する「避難委員会」との合同会合を開くよう提案。鈴木座長も賛同した。

 終了後、鈴木座長は、最終報告書の提出時期について「来年4月は、あくまで一つの目安。そこまでで終わりにしたいということではなく、必要があれば議論を続ける」と説明した。