男子1500メートル(車いすT54)予選 力を振り絞る樋口政幸=30日、国立競技場(写真映像部・立川悠平撮影)
男子1500メートル(車いすT54)予選 力を振り絞る樋口政幸=30日、国立競技場(写真映像部・立川悠平撮影)

 東京パラリンピック第7日(30日)県勢では、陸上男子1500メートル(車いすT54)の樋口政幸(プーマジャパン・十日町市出身)が予選に出場し、3分3秒60の1組4位で敗退。8位入賞した5000メートルに続く決勝進出はならなかった。

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◎力走 万感 「後悔はない」・樋口

  力は出し切った。陸上男子1500メートル(車いすT54)予選で、樋口政幸(プーマジャパン・十日町市出身)は3分3秒60で1組4位。3位までが進める決勝にあと一歩届かなかったが、「後悔はない」。万感の思いがこもっていた。

 序盤は後方を走り、最も内側のレーンで体力を温存。スローペースでレースが進む中、じりじりと5番手まで上がり、ラスト1周で追い抜き態勢に入った。

 ベテランらしいレース運びだったが、最後の直線で誤算が生じた。トップになると読んだ選手の真後ろについたが、その選手が伸びずに前をふさがれた。「思った展開にならず、自分の力も及ばなかった」と淡々と振り返った。

 かつての主戦場はマラソンだった。パラ初挑戦の2012年ロンドン大会は、マラソンと800メートルに出場。ともに入賞できなかったが、特にトラック競技は選手層が厚く、競争が激しかった。「ここで勝負しないと、日本の競技レベルが世界に後れをとる」。探求心の強い努力家は、あえて争いが熾烈(しれつ)なトラック競技に専念し、日本中距離界をリードした。

 16年リオデジャネイロ大会では、5000メートルと1500メートルで入賞し、T54クラスの日本人として過去最高成績を挙げた。それから5年がたち、「選手層はより厚くなり、年齢層もぐっと下がった」と実感する。42歳で迎えた今大会は両種目で最年長。「世代交代を感じましたね」としみじみ語ったが、表情は晴れやかだった。

(報道部・森田雅之)