「台風」という単語に「台」という字を当てる背景には少しばかり経緯があるらしい。手元の辞書が紹介している説によれば、中国で英語のタイフーンなどを音訳して「颱(たい)風」という言葉が生まれたことが発端となった

▼もともと「颱」という字は存在しなかったが、台湾方面から吹き起こる風という意味で作られた。激しい風のことを「野分(のわき)」と呼んでいた日本でも颱風が用いられるようになり、当用漢字に置き換えて台風と書くようになったそうだ

▼きょうで8月も終わり。これからは本格的な台風シーズンだ。気象庁によると、2018、19年に本県を含む北陸地方に接近した台風は両年とも六つ。例年よりやや多かった。20年は一転してゼロだった。ことしはどうだろうか

▼〈人生の颱風圏に今入りし〉虚子。境涯に影が差し、暴風雨の兆しが現れたのだろうか。あの人の胸の内も、似たような感じかもしれない。9月末で自民党総裁の任期満了を迎える菅義偉首相である

▼新型ウイルスの感染拡大を抑えられず、総裁選前に衆院を解散する戦略は見直しを迫られた。支持率の低迷で浮足立つ所属議員もいて、総裁選は波乱含みだ。これを乗り切ったとしても、直後に控えるのは解散総選挙。ウイルス禍が改善しなければ、強烈な逆風に見舞われるかもしれない

▼もちろん、本物の台風の動向にも注意が必要だ。災害が起こることのないよう祈りたい。気象、ウイルス、そして政界…。気掛かりなことが多い9月の幕が間もなく上がる。