長岡藩家老・河井継之助の銅像の隣で抱負を語る中田仁司さん=1日、長岡市長町1の河井継之助記念館
長岡藩家老・河井継之助の銅像の隣で抱負を語る中田仁司さん=1日、長岡市長町1の河井継之助記念館

 河井継之助記念館(新潟県長岡市長町1)の新館長に、長岡市の元教員中田仁司さん(61)が1日、就任した。教育者として地域の歴史に目を向けてきた経験を生かし、「河井の人物像を多角的に伝えたい」と抱負を語る。運営する市は新館長の就任を機に、外部の団体を入れた企画運営委員会を設立する意向で、教育や経済発展といった視点を新たに織り交ぜ、全国に発信したい考えだ。

 中田さんは千手小学校の校長や阪之上小の教頭などを務めた。専門は社会科で、赴任する先々で学校や地域の歴史を掘り下げ、授業に取り入れてきた。郷土史を紹介する校内施設や北越戊辰戦争伝承館(大黒町)の開設にも力を入れた。

 前任の稲川明雄さん(2019年に死去)と違い、歴史家ではなく教育者だと自認する。「子どもたちが大人になった時、自分たちの子や孫に河井を語り継いでもらいたい」と願う。河井が取り組んだ藩の財政改革や外交、やんちゃと言われる人柄、戊辰戦争での敗戦など多角的な面を紹介し、「来館者自らが河井の人物像を考える」施設を目指す。

 志があっても、周囲にうまく受け入れられない時もあった河井。「挫折しても粘り強く学び、人のために生きた。その姿勢は今の人の生き方にも参考になるはずだ」と強調する。河井が師事した山田方谷や、河井の薫陶を受けた実業家の外山脩造らとのネットワークなど、長岡の礎が築かれた大きな流れを展示に盛り込みたいと考えている。

 稲川さんの死去以来、1年8カ月空席だった館長がようやく決まった。河井の生涯を描いた映画「峠」の公開も22年に控え、市は長岡商工会議所や市教育委員会などで構成する企画運営委員会を年内に設立し、外部の意見を取り入れる協議の場をつくる。産業や教育といった新しい視点を企画に加える方針だ。

 市観光企画課は「館長が決まり、ようやく新しい柱が立った。前館長が築いたものを継承し、新しい目線でより魅力のある施設づくりを進めてほしい」と期待している。