小型カメラが温度表示を読み取り、AIを通じてデータ化、スマホで見ることができるインテグライのシステム=長岡市
小型カメラが温度表示を読み取り、AIを通じてデータ化、スマホで見ることができるインテグライのシステム=長岡市

 新型コロナウイルスワクチンの接種事業に、新潟県長岡市の長岡高専発のベンチャー企業「インテグライ」(西片貝町)の技術が役立てられている。ワクチンを低温で管理する保管庫の温度表示をカメラで読み取りデータ化。担当者は離れた場所でもスマートフォンでデータを確認できるシステムだ。事業を担当する職員から「間違いの許されない事業で安心感につながっている」と評価する声が上がっている。

 インテグライは、長岡高専に在学していたモンゴル出身のオドンチメド・ソドタウィランさん(21)=現東大=、バヤルバト・ノムンバヤスガラントさん(21)=現電気通信大=と、教員の矢野昌平さん(48)が昨年7月に興した。小型カメラで計器などの数値を読み取り、人工知能(AI)が数値をデジタルデータ化し、別の端末から見ることができる技術を開発、起業した。

 工場での製品の品質管理を念頭に置いたが、厳格な温度管理が求められるワクチン保管の現場に応用できると考え、起業支援を受けた長岡市と相談し、県に協力を申し出た。JR長岡駅前にあるディアプラザ長岡内の大規模接種会場で8月初旬に試験導入され、精度の確認や調整を経て24日から本格運用されている。

 会場で扱う米モデルナ製のワクチンは、マイナス20度を基本に誤差5度以内で冷凍庫に保管。使用が近づくと2~8度に保つ冷蔵庫に移す。全国の自治体では管理のミスでワクチンを廃棄した例もあり、担当者のプレッシャーは大きく、毎日の目視確認が欠かせないという。

 インテグライのシステムは、保管庫の温度表示の前に小型カメラを設置。表示の画像をAIが常にチェック。画像はデジタルデータ化され、担当者がスマホなどで見ることができる。過去の温度の推移がグラフでも表示される。温度が設定の範囲を外れると、担当者に警報が伝わる仕組みだ。

 市によると、どこにいても温度が分かり、安心につながっている。8月中旬の荒天の夜も、職員は落雷による電気トラブルを懸念したが、自宅から正常であることを確認できた。

 矢野さんは「搭載したAIの追加学習によって誤認も修正されている。ワクチン接種に貢献できるのは誇らしい」と語る。

 システムは、新発田市の大規模接種会場でも使われている。