菅義偉首相の退陣意向表明を受け、北朝鮮による拉致被害者家族らからは戸惑いの声が相次いだ。新型コロナウイルスや東京五輪・パラリンピックへの対応に追われた一方、政権の最重要課題と位置付けた拉致問題は進展がなく、「行動が伴わなかった」と厳しい意見も上がった。

 新潟市で北朝鮮に拉致された横田めぐみさん=失踪当時(13)=の母早紀江さん(85)は「びっくりしている。とにかく残念」と受け止めた。その上で「私たちは拉致問題について答えを待っている。首相を続けてほしいが、菅さんの考えがあっての判断だと思う」と話した。

 菅氏は官房長官時代に拉致問題担当相を兼務し、2018年に新潟市で開かれた「忘れるな拉致 県民集会」に出席、解決へ意欲を示していた。

 拉致被害者家族会代表で田口八重子さん=同(22)=の兄飯塚繁雄さん(83)は「やると言っていたが、行動が伴わなかった。ウイルスや五輪で社会が混乱する中、拉致問題は蚊帳の外だった」と語った。

 新潟市西蒲区出身の特定失踪者、大沢孝司さん=同(27)=の兄昭一さん(85)は「ウイルス対策が終われば、拉致問題解決を進めてくれると期待していたが残念」と困惑。長岡市の特定失踪者、中村三奈子さん=同(18)=の母クニさん(78)は「なかなか成果が見えなかった」とし、「家族は歯がゆい思いをしている。進展を見せてほしい」と求めた。