「50年間で育ったアニメファンのおかげで展覧会が実現できた」と感謝する富野由悠季さん=新潟市秋葉区
「50年間で育ったアニメファンのおかげで展覧会が実現できた」と感謝する富野由悠季さん=新潟市秋葉区

 「機動戦士ガンダム」などを生み出したアニメ監督、富野由悠季さん(79)の半世紀超の業績を伝える企画展「富野由悠季の世界」(新潟日報社共催)が、17日に新潟市秋葉区の新津美術館で開幕する。展示監修で来県した富野さんは「アニメという媒体が育ててきた(多様な職種が関わる)『スタジオワーク』を見てほしい」とアピールした。

 同展は、富野さん直筆のアイデアスケッチや動画の設計図となる「絵コンテ」、共に仕事をしたクリエーターたちのメカやキャラクターの資料など、約2千点を展示。富野さんは作品を掘り下げる小説執筆や、井荻麟(いおぎりん)名義でアニメ主題歌の作詞も手掛けており、マルチな才能にも焦点を当てた。スペースの都合上、過去の巡回展より千点ほど減ったが、「一気に見られる感じで、全体像が分かりやすくなった」と評価する。

 宇宙に憧れた幼少期の絵画、映像作家を志した学生時代の実写作品も紹介。堀部安兵衛=新発田藩出身=の伝奇小説で描かれた斬り合いの挿絵に触発され、「中学生の時に何とか物にしたいと悪戦苦闘した」という模写も飾っている。

 代表作の「機動戦士ガンダム」(1979年放送)は、地球の人口爆発問題を宇宙への移住で解決しようとするが、地球住民と宇宙移民者との間で不平等が生じ、戦争となる設定。従来のロボットアニメとは一線を画し、勧善懲悪ではないシリアスな人間ドラマを描いた。「ガンダムを利用し、政治力学、経済力学までを踏まえた戦記物をやることができた」と振り返る。

 宇宙移民は円筒形の「スペースコロニー」に住んだが、現実世界の宇宙開発には懐疑的だ。「地球と月、火星の距離を考えれば、経済論でバランスの取れる輸送手段はない」と指摘し、「宇宙開発の投資分を難民支援に充ててほしい」と願う。地球環境の悪化を憂う姿は、作品の登場人物同様に熱い。

 企画展「富野由悠季の世界」は11月7日まで。月曜、9月21日休館(9月20、27日、10月18日、11月1日は開館)。一般1200円、大学・高校生千円、中学生以下無料。

◎富野由悠季(とみの・よしゆき)1941年神奈川県小田原市生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒。手塚治虫の虫プロダクションに入社し、「鉄腕アトム」で脚本・演出デビュー。「海のトリトン」で初監督。ガンダムシリーズや「伝説巨神イデオン」など作品多数。