日米韓への挑発とみられる北朝鮮のミサイル発射の動きが相次いだ。

 日米韓は結束して警戒に当たらねばならない。相手の兵器技術の進歩に対応した警戒体制の整備も急ぐ必要がある。

 北朝鮮は11、12の両日、新型長距離巡航ミサイルの発射実験に成功したと発表した。

 さらに15日には、北朝鮮から日本海に向けて2発の弾道ミサイルが発射されたと韓国軍が発表した。

 米韓は8月、合同軍事演習を行った。日米韓は14日、東京で北朝鮮情勢を巡る高官協議を開いた。ミサイル発射はこれらに対抗する挑発、けん制だとみられている。中韓外相会談との関連を指摘する声もある。

 非核化への呼び掛けに応じることなく、身勝手な発想から周辺地域に脅威を誇示する北朝鮮の行為は言語道断であり、到底容認できない。

 巡航ミサイルは2時間余りにわたって1500キロ飛行し、目標に命中したという。事実だとすれば、日本列島の大半が射程に入る。

 心配なのは、日米韓はいずれも実験を事前に探知することができず、発射も察知できなかったとみられることだ。脅威に即応していく上で、その原因を探ることは不可欠だ。

 ミサイルは事前探知が困難な発射台付き車両(TEL)から打ち上げられたとされるが、そうした技術的な理由なのか。

 日韓は共に政権末期で、バイデン米政権もアフガニスタン対応に追われる中でのミサイル発射だった。それだけに監視や警戒に甘さがなかったかについても調査すべきだろう。

 15日に発射されたのは短距離弾道ミサイルとみられている。

 防衛省は、日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下したと推定している。

 弾道ミサイルには核弾頭などの大量破壊兵器を搭載できる。発射は国連の安全保障理事会決議違反であり、日本が北朝鮮に抗議したのは当然だ。

 今後も毅然(きぜん)と対処すべきだ。同時に、国民の安全確保へ情報収集と分析に力を入れたい。

 一連のミサイル発射を巡って気掛かりなのは、「敵基地攻撃能力」保有を求める声が勢いづくことだ。

 自民党総裁選への立候補を表明した議員にも必要性を訴える声があるが、保有となれば憲法9条に基づく専守防衛原則からの転換となる。日本の平和の土台に関わる問題だということを認識しなければならない。

 北朝鮮が挑発に出てきた中で、新潟市で起きた横田めぐみさん拉致など日本人拉致問題への影響も懸念される。

 進展がない状況で、拉致を「最重要課題」としてきた菅義偉首相も退陣を表明し、めぐみさんの母早紀江さんら家族や支援者の落胆は大きい。

 日米韓高官協議では日本側が拉致問題解決への協力を改めて要請し、米韓の理解を得た。何とか北朝鮮との対話の糸口を見いだし、前に進めてほしい。