県内は感染「第5波」による新規感染者が減少し、医療も逼迫(ひっぱく)した状況を脱した。県民への行動規制が解除され、日常生活は徐々に戻ってくるはずだ。

 しかし感染はまだ収束したわけではない。秋の行楽シーズンが本格化するタイミングだが、気を緩めずに行動し、感染の再拡大を防ぎたい。

 県は16日、全県に発令していた新型コロナウイルスの独自の「特別警報」を解除し、対策を一つ下の警戒レベルとなる「警報」に切り替えた。

 特別警報は感染力の強いデルタ株の広がりに伴い8月5日に新潟市に発令され、20日には長岡、小千谷両市にも出された。

 しかし感染はさらに拡大し、25日には159人と過去最多の新規感染者を確認する事態となった。県は30日に特別警報を県全域へ拡大した。

 対策は従来の飲食店などへの営業時間短縮要請にとどまらず、学校の部活動休止や県立施設の休館などにも及んだ。

 全県を対象とした厳しい規制には戸惑いを感じた人もいただろう。感染急拡大のタイミングと夏休み明けが重なり、休校の判断をした小中学校もあった。

 こうした対策の効果は顕著で、今月13日には新規感染者は8人まで下がった。

 特別警報を全県拡大時に示した期限通りに解除できたのは、県民一人一人がしっかりと協力した成果だと捉えたい。

 それでも人口が多い新潟市で感染者の減少率が鈍いなど懸念される状況はなお残る。

 花角英世知事が「気を緩めるとリバウンドする恐れがある」として基本的な感染防止策の継続を呼び掛けたのは当然だ。

 感染者は全国で減少傾向にあるが下がりきってはいない。政府は緊急事態宣言を19都道府県で、まん延防止等重点措置を8県で30日まで延長している。

 来週は敬老の日や秋分の日といった祝日がある。帰省や旅行も増えるだろう。

 引き続き、大人数での会食といった感染リスクが高い行動を避けるなど注意を払いたい。

 県は特別警報解除に当たり、再発令に備えた暫定的な新基準を設定した。

 1週間当たりの新規感染者数が2週連続で前の週より急激に上昇した、あるいは人口10万人当たりの感染者が週25人を超え、感染経路不明者が30%以上となった-などが目安で、基準は事実上、緩和される。

 背景には、県民の半数以上が2回のワクチン接種を終えるなど接種が進んで患者の重症化率が大幅に減り、医療機関の体制が整ったことなどがある。

 とはいえ、ワクチンの効果を過大に評価してはいけないだろう。時間が経過すると予防効果が低くなる可能性が報告されており、政府は3回目の接種についても議論を始めている。

 「第5波」は収束に向かっているが、「第6波」は不可避とみている専門家も多い。

 油断をすれば感染は再拡大する恐れがある。緊張感を保ち、できる対策を徹底したい。