論戦を通し、各候補の考え方や政策の違いがより鮮明になった。複数の女性候補が出馬したこともあり、テーマの幅が広がり、新鮮さも見えた。

 一方で、安倍、菅政権への評価や総括については表層的な答えが目立った。「負の側面」についての真摯(しんし)な受け止めは感じられず、肝心な部分が薄口に終わった印象が強い。

 日本記者クラブが主催する自民党総裁選立候補者の公開討論会が18日、行われた。河野太郎行政改革担当相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行の4氏が議論を戦わせた。

 新型コロナウイルス対策を巡ってはワクチン接種や治療薬の開発、普及などそれぞれが力点を置く政策を述べた。

 興味深かったのは、候補がこだわりを持つ政策での論戦だ。

 東京電力柏崎刈羽原発が立地する本県でも関心が高い原発政策。河野氏は持論である脱原発に触れ、再生可能エネルギーを増やすと強調、核燃料サイクル政策に懐疑的な見解を訴えた。

 他の候補から質問を受ける形式の討論での回答で、やりとりの中でエネルギー政策を巡る他候補との違いが分かりやすく伝わったのではないか。

 野田氏は「女性は永田町では弱者」とし、ジェンダーや多様性などの観点から質問。高市氏が自身の病気から発想した医療政策を語る場面もあった。

 こうした論戦から、政治をこれまでより身近に感じた人もいるはずだ。政治の場で、明快な主張や体験に基づく訴えが持つパワーを感じさせられた。

 今回の総裁選は、新型ウイルス対策を巡って国民の支持を落とした菅義偉首相の後継を選ぶものだ。

 信頼回復に向けては、現政権に対する自らの総括、評価を明確にし、そこからどんな教訓を導き出すのかを示すことが不可欠だろう。それだけに候補者の発言が注目された。

 菅政権でワクチン担当も務める河野氏は政権の何が悪かったかを問われ、ワクチンを巡っては順調に行ったことを強調した上で「欠けていたのは丁寧に説明すること」と答えた。

 この間言われ続けてきたことだが、河野氏のあっさりとした物言いは当事者意識が薄いように感じられた。

 安倍政権の継承を掲げ立候補した高市氏は、政権の「負の遺産」から何を学ぶかと質問を受けた。高市氏は森友学園問題で財務省職員が命を絶ったことを取り上げ、文書改ざんやパワハラ防止に力を入れるとした。

 岸田氏も、森友問題では歯切れが悪かった。

 見つめるべきは問題を招いた政権の体質だろう。河野氏は菅首相の支持を受け、高市氏と岸田氏は安倍氏の支持を当て込む。気兼ねがあるのではないか。リーダーを狙うなら、内輪より国民に目を向けてほしい。

 地方振興を巡る施策も依然目を引くものに乏しい。今後の論戦で各候補の具体的なイメージをしっかり見せてもらいたい。