「白内障は病気ではあるが、加齢現象の一つ。あまり心配する必要はない」と語る新潟大大学院の福地健郎教授=新潟市中央区

 10月10日は、目の健康を考える「目の愛護デー」。白内障は年齢を重ねれば、誰でもかかる病気だが、低下した視力は、手術で取り戻すことができる。一方、身近な病気だけに、簡単な手術で、思った通りに見えるといった誤解も多い。新潟大大学院医歯学総合研究科の福地健郎教授は「長生きすることを考えれば、手術は目の能力を使い続けられるチャンス」としながらも「適切な時期に行うことが必要だ」と強調する。

 白内障は、主に加齢により、目の中にある水晶体というレンズが濁っている状態だ。50代では半分、80代では全ての人がかかっているとされる。かすみがかったように見えたり、夜間のライトをまぶしく感じたりするなどの症状がある=図参照=。

 治療には薬物療法と手術があり、症状が強く出た後は手術でしか改善しない。手術は全国で年間120万~150万件行われている。活動的な高齢者が多くなり、昔であれば手術を断念するような年齢の人でも、手術を希望するようになってきたという。最も多い外科手術の一つだが、誤解も多い。

 例えば、短時間で簡単にできると思われがちだが、「高度な機械の開発と、医師が手術件数をこなしたことで安全に実施できる。熟練の技が必要であり、決して簡単な手術ではない」(福地教授)。手術をした95%程度が満足するという統計はあるが、誰でも必ずよくなるとも限らない。白内障以外の持病があれば、思った通りに回復しない可能性がある。人工のレンズに違和感が出ることもある。

 症状が進めば不便だが、若いうちに軽症で手術をすると、結果に満足できないことも多い。逆に80代後半になると、体力的な問題だけでなく、医師との意思疎通が難しくなるケースもある。

 「知り合いに勧められたから」「手術をしたら、よく見えるようになったという話を聞いたから」と他人の体験をうのみにして受診する人もいる。福地教授は「見え方や感じ方には個人差がある」と指摘。手術の時期は、自分の症状や、改善の見込みなどを考慮して判断すべきだという。

 新型コロナウイルスの感染拡大で、眼科でも受診控えが見られる。見え方が悪くなると、脳への刺激が減り、認知機能の低下につながる懸念もある。

 福地教授は「白内障自体で手遅れということはあまりないが、違う病気の場合もある。不調があれば受診してほしい」と呼び掛けている。

◆「白内障になったら」
10月3日にウェブ講演会

 「目の愛護デー」に合わせて、県眼科医会は10月3日、ウェブ講演会を開く。

 午前10時から「もっと知ろう目の健康 白内障になったら」と題し、新潟大大学院医歯学総合研究科の福地健郎教授が講演する。

 無料。オンライン会議システム「Zoom」を使う。午前9時半からアクセス可能。事前登録は不要。問い合わせは県眼科医会事務局、025(227)2294。