きょう20日は「敬老の日」。高齢者を敬い、長寿を祝う日だ。ウイルス禍にあっても家族や地域との絆を保ち、誰もが安心して年を重ねることができる社会を築きたい。

 孫に会いたいし、お茶のみ友達と話がしたいのに、新型コロナウイルスの感染拡大でかなわず、寂しい思いで暮らしている高齢者も多いだろう。

 こうした中で、離れて暮らす子どもたちから「ビデオ通話で顔を見てやりとりができるから」とスマホを渡されたものの、使いこなせずに戸惑っているお年寄りもいるはずだ。

 そうした悩みに答え、若者たちがネットを通した交流の場を提供している例がある。

 長岡市でほぼ毎週1回、シニア向けスマホ教室を開いている非営利団体「こまいぬ」だ。長岡高専の学生10人がメンバーで昨年6月に発足した。

 高齢者がウイルス禍で困っていることの多くがスマホの使い方だと知ったのがきっかけだ。

 教室では、参加者が覚えるまで何度でも粘り強く教える。質問が飛び交うビルの一室は、世代間交流の場でもある。

 18日は10人ほどの高齢者が訪れ、5年生の細木真歩さんらから無料通信アプリLINE(ライン)の使い方を学んだ。

 何度も参加しているという1人暮らしの70代女性は、子どもや孫たちとラインでやりとりができるようになった。

 感染拡大前はコミュニティーセンターのイベントに参加していたが、今は中止となっている。「教室では親切に教えてもらえるので、来るのが楽しい」と笑顔を見せる。

 女性が住む町内では最近、回覧板をラインでも見ることができるようになったという。暮らしのさまざまな場面でデジタル化が進んでいる。

 学生たちは、レベルを上げた参加者が指導役となり、基本的な使い方を教える市民活動に広げることを目指している。

 若者が中心のユニークな試みが大きく成長するのを期待したい。専門学校や大学のある他の地域でもこうした取り組みが広がるといい。

 スマホやパソコン教室は、自治体や民間企業なども開催している。高齢者に寄り添ったサポートに一層力を入れてほしい。

 国は今月、デジタル庁を発足させた。地方と都市、高齢者と若い世代との情報格差の解消が課題となっている。

 誰もが安心してネットを始められるよう、さまざまな活動への支援策を講じてもらいたい。

 大切なのは、デジタル化の波に取り残される人が出ないようにすることだ。スマホを持っていることが前提になり、情報が届かなくなるようなことがあってはならない。

 人口減少に感染禍が追い打ちをかけ、多くの地域で住民同士のつながりが細ってきている。

 ネットの利便性を享受しつつ、人のぬくもりが感じられる交流も取り戻したい。

 感染収束後を見据えた絆の再生が求められている。