商店街に設けられたコースを自転車で駆け抜ける選手たち=19日、南魚沼市六日町
商店街に設けられたコースを自転車で駆け抜ける選手たち=19日、南魚沼市六日町
緑に囲まれた高低差の激しいコースをプロ選手たちが疾走した南魚沼ロードレース=20日、三国川ダム周回コース

 自転車を生かしたまちづくりに取り組む新潟県南魚沼市で19、20の両日、全国から実業団選手らが集う自転車レースの大会が開かれた。一流選手の走りを見ようと多くの観客でにぎわった。南魚沼市は8月、魚沼市、湯沢町と連携してサイクリングルートを策定。スポーツと観光の両面から幅広く自転車の魅力を伝えようと力を入れる。一方で、ルート整備には快適性や安全性確保の課題もあり、市は案内看板設置など受け入れに向けた環境づくりを続ける考えだ。

 19日は南魚沼市六日町から坂戸の市街地や橋を自転車で疾走する「南魚沼クリテリウム」が、20日には三国川ダム周回コースで競う「第6回南魚沼ロードレース」がそれぞれ開かれた。

 いずれも、一般社団法人全日本実業団自転車競技連盟(JBCF)と南魚沼サイクルフェスタ実行委員会が主催。五輪代表や実業団選手、アマチュアと幅広いレベルが参加し、両日で400人以上が出走した。

■    ■   

 県内初開催となったクリテリウムは、ロードレースの中でも距離が短いコースを周回し、順位を競うレースだ。街中の道路を封鎖して行うため、観客は間近で選手の走りを楽しめる。

 直角コーナーでスリル満点の走行を披露する選手の姿に、観戦した美佐島の自営業男性(63)は「テレビで見るのとは迫力が全く違った」と驚いた様子だった。

 20日のレースはうって変わり、200メートルもの標高差とカーブの多いテクニカルなコースが特徴。プロと同じコースを走れる魅力から、高校生ら若手も多数出場した。女子の部で初出場した妙高市の新井中3年の生徒(15)は「憧れの選手たちと一緒に走れるのを楽しみにしていた」と目を輝かせた。

 タイプの異なるコースで、一流選手が競える環境は南魚沼の強みだ。市は「間近で選手の走りを見られるのは、スポーツや趣味としての自転車の認知度を広げる良い機会だ」と捉える。

■    ■   

 自転車をスポーツ面だけでなく、観光振興にも役立てようと、市は今年3月末に魚沼市、湯沢町と連携して「自転車活用推進協議会」を設立。8月下旬には、3市町をまたいで安全にサイクリングができる全長185キロのモデルルート「雪国魚沼ゴールデンサイクルルート」を策定した。

 今後、一定の基準を満たすことで国が指定する「ナショナルサイクルルート」の認定を目指す。認定されれば、世界に向けたルートのPRで国の支援を受けられる利点がある。

 一方、認定のハードルは高い。一定間隔ごとの案内看板の設置や、道の駅、鉄道駅での着替えスペース、レンタサイクルの整備、自転車故障時の対応など、安全に走行できる環境づくりが求められる。

 市生涯スポーツ課の担当者は「ハード、ソフト面の両方でクリアすべき要件は多く、国の指定自体も3~5年おきのため狭き門だ」と話す。

 それでも新型コロナウイルス収束後を見据え、密になりにくい自転車を生かしたまちづくりへの期待は大きい。林茂男市長は「冬以外の3シーズンに、多くの人が訪れる場所にしたい。この地域は降雪が多く道幅が広いため、自転車にとっても将来性が期待できる」と話している。