白血病サバイバーTシャツを作った野本昌宏さん。「患者仲間だけでなく、普通にファッションアイテムとして身に着けてほしい」と話す=長岡市
白血病サバイバーTシャツを作った野本昌宏さん。「患者仲間だけでなく、普通にファッションアイテムとして身に着けてほしい」と話す=長岡市

 3年前に白血病を発症した新潟県長岡市南陽1で包装資材の製造販売を手掛ける会社役員、野本昌宏さん(42)が同じ病気の患者に向けたメッセージ入りの長袖Tシャツを作った。「病気になったのは不運だけれど、不幸とは思いたくない」と前向きに治療を続け、職場復帰を目指す「白血病サバイバー」。絵を描くことやデザインが好きで製作を思い立ったTシャツを通し、「患者への励ましや、病気への理解につながるとうれしい」と願う。

 2018年6月、39歳の誕生日に長岡赤十字病院に緊急入院した。その前日、都内の出張先で携帯電話が鳴った。「健康診断で異常が見つかりました。すぐに受診を」-。急性骨髄性白血病と診断された。

 学生時代からスポーツを続け、体力には自信があった。倦怠(けんたい)感で日課のランニングができず、周囲から「顔色が悪い」と言われても、「仕事が忙しいからだろう」と考えていた。家業は包装資材を扱う会社で、役員になり、責任もやりがいも増していた頃だった。

 入院後、すぐに抗がん剤治療が始まった。その年の12月には、弟から提供を受けて骨髄移植。ドナーの血液細胞が自身の正常な臓器を攻撃する重い合併症で苦しんだ。「免疫抑制剤が効かず、ひどい下痢で食べられなかった。体重は10キロ以上減って40キロ台になった」と振り返る。

 病状は一進一退でも、持ち前の前向き思考は変わらなかった。「体力回復のためのリハビリも、運動習慣があったから苦じゃなかった。つらい治療も前向きに取り組んだ方が良くなると病院で聞いた」と笑う。自宅で服薬しながら日常生活を送るうち、「体調が戻った」と実感した。ことし6月、42歳の誕生日だった。

 「昔は治らない病気と言われたが、社会生活を送れるようになった。同じ病気の人たちにも元気になってほしい」。新型コロナウイルス禍で、病院を訪ねたり体験を語ったりする機会は限られる。好きな絵やデザイン、ファッションへの興味を生かせないか。「絵は入院中もずっと描いていた。デザインにも、アパレルにもずっと興味があった」と、Tシャツ製作の準備を始めた。

 黒の長袖にしたのは「病気の影響で患者は紫外線を浴びられない」ため。真夏でも長袖、帽子、サングラスが欠かせない自身の体験を生かした。

 前面には「偉大なサバイバーであれ」「病は気から」を意味する英文をあしらった。急性リンパ性白血病から回復したサッカーJ2アルビレックスの早川史哉選手や競泳の池江璃花子選手の姿は、多くの人たちを励ました。「自分もそうなりたい」と思った。入院から復調を実感するまでの日数を示す「1096」も添えた。

 Tシャツは今月から、ネットショップで販売している。売り上げの一部は骨髄バンクや日本赤十字社などに寄付する考えで、近く市内のセレクトショップ2店でも期間限定で取り扱う。

 1枚4800円。サイズはM、L、XLの3種類。ネットショップやインスタグラム(g.m.design_artworks)で紹介している。

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