稲刈りも終盤に入り、収穫の秋を喜びたいところだが、多くの農家は曇り顔ではないか。

 2021年産一般コシヒカリのJA仮渡し金(60キロ当たり)が1万2200円で前年比1800円減と大きく下がり、7年ぶりの低水準となったからだ。

 新潟日報社の調べでは、主力銘柄の一般コシの減額は2年連続だ。岩船コシは1800円減、佐渡コシは1700円減で、ともに1万2600円となる。

 全国トップブランドの魚沼コシは1万6500円、17年に本格デビューした新之助は1万5200円で、いずれも20年産と同額に据え置かれた。

 全国的には主要銘柄で2~3割程度の大幅減額が相次ぐ。

 仮渡し金は、出荷時に農家に支払われる前金で、取引価格のベースになる。

 コメの価格下落は消費者が買いやすくなる半面、農家にとっては収入減につながる。

 収入減については国の補填(ほてん)策などがあるとはいえ、生産意欲をそぎ、離農を加速させるとの声も現場から出ている。

 県や市町村などは、地域農業への影響を注意深く見守り、必要な場合は柔軟に支援策を講じてもらいたい。

 減額の背景には、全国の民間在庫量が6月末時点で219万トンと前年同期から19万トン増加し、だぶついていることがある。人口減少やコメ離れに加え、ウイルス禍の外出自粛で業務用米の需要が減っている。

 国は、過剰生産による価格低下を回避するため、過去最大級の約3400億円もの補助金で主食用米から飼料用米などへの作付け転換を促した。

 本県は、独自の支援策を盛り込み、主食用米の作付面積は6月末時点で前年より5%超減少した。それでも県目標の10・5%減には届かない。

 県は、未達成の要因を検証する必要がある。現状のままなら22年産の需給見通しはさらに厳しくなるとみていい。

 こうした中で、目を向けたいのは消費の拡大策だ。

 本県が全国をリードしてきたコメの輸出や、巣ごもり需要で人気の米粉などの販路拡大に一層力を入れていきたい。

 県は、本年度内にも輸出拡大実行プランを策定する方針だ。日本食ブームの海外で新潟産米の消費を拡大するには、知名度アップが鍵になるという。販売戦略を練り上げてほしい。

 米粉は、麦アレルギー原因物質のグルテンを含まない食品として、麺類やパン、スイーツなどに幅広く使われている。

 日本の20年度の食料自給率(カロリーベース)は前年度から1ポイント低下し37%と、過去最低の水準だった。輸入に頼る小麦に代わる選択肢として、米粉の普及を加速させたい。

 花角英世知事は、「コメ頼みの一本足」から園芸作物への転換に軸足を置く。

 本県には枝豆やイチゴなど全国に誇れる農産物が多い。技術指導や機械購入の支援など、コメ農家が安心して取り組める環境をしっかり整えてほしい。