暑さに強いコメの新品種「コシヒカリ新潟大学NU1号」の収穫作業=刈羽村刈羽(本社小型無人機から撮影)
暑さに強いコメの新品種「コシヒカリ新潟大学NU1号」の収穫作業=刈羽村刈羽(本社小型無人機から撮影)

 新潟県刈羽村は平野部に広大な水田地帯があり、出来秋には黄金色のじゅうたんが一面に広がる。この平野のある田んぼで、コメ王国新潟の未来を救うかもしれない実証実験が進んでいる。

 村役場近くにある試験ほ場(刈羽)で栽培するのは、新潟大学が開発した暑さに強い「コシヒカリ新潟大学NU1号」だ。

 村内の「新潟大学・刈羽村先端農業バイオ研究センター」を拠点に研究、開発を進め、約20年を経て、昨年3月に品種登録された。

 おいしいコメの代名詞ともいえる本県産コシヒカリは近年、猛暑による品質低下が課題となっている。

 「なぜ高温でコメが白く濁るかという学術的興味から研究に入り、農家の役に立つコメを開発すべきではないかという考えに至った」。NU1号の開発総括で、同センター長を務める新大農学部の三ツ井敏明教授(62)は語る。

 実際の水田で農家に栽培してもらう実証実験は昨年、村内で初めて行われた。

 県内で一般的に栽培されているコシヒカリBLとNU1号を、ほぼ同じ条件で作付けし、収穫後に高温被害の割合をそれぞれ調べた。BLの19%に対し、NU1号は5%と大幅に被害が軽減され、暑さへの強さが証明された。

 2年目の今年は刈羽村の20アールのほか、柏崎市、南魚沼市でも作付けし、県内で計約90アールを栽培。来年は試験ほ場を上越、下越にも広げる予定だ。一般の生産者に種もみを提供できる時期は、早くても再来年以降になる見通しという。

 16日は刈羽村で稲刈りが行われた。実証実験に協力する同村の農業安澤才一さん(72)は「NU1号はコシヒカリと味の違いが分からないほどおいしい。異常高温が頻繁に起こる中、暑さに強いのは大きな魅力だ」と語る。

 「刈羽生まれ」のNU1号に懸かる期待は大きい。

<新潟大学・刈羽村先端農業バイオ研究センター>大型複合施設「ぴあパークとうりんぼ」の一角にある研究施設。新大と刈羽村は2006年に包括連携協定を締結。村はバイオドームとバイオ実験棟を整備し、12年にオープンした。温度やCO2濃度を細かく正確に制御できる「高性能閉鎖温室」などを備える。
動画