自民党総裁に岸田文雄氏が選ばれたことを受け、報道陣の取材に応じる横田早紀江さん=29日、川崎市
自民党総裁に岸田文雄氏が選ばれたことを受け、報道陣の取材に応じる横田早紀江さん=29日、川崎市

 自民党新総裁に岸田文雄前政調会長が29日に選出されたことを受け、北朝鮮による拉致被害者家族らからは、岸田氏に拉致問題解決に向けた具体的成果を求める声が相次いだ。

 「首脳同士が話をするのが大事。岸田さんも分かっていると思う」。新潟市で北朝鮮に拉致された横田めぐみさん=失踪当時(13)=の母早紀江さん(85)は川崎市で報道陣の取材に応じ、日朝首脳会談の実現を強く求めた。「何人総理が代わったか。私たちはあと1、2年生きられるか分からない状態」と被害者家族の高齢化に焦りを募らせ、「一番にやってもらわないといけない」と願った。

 2002年に被害者5人が帰国して以降、他の被害者の帰国は実現していない。拉致被害者家族会代表で田口八重子さん=同(22)=の兄飯塚繁雄さん(83)は、「これまで多くの総理が対応したが、何の成果もない。具体的な計画を示し、動いてほしい」と話した。

 岸田氏は17年までの約5年間、外相を務めた。新潟市西蒲区出身の特定失踪者、大沢孝司さん=同(27)=の兄昭一さん(85)は外交経験に注目し、「自分だったら拉致問題にこう対応する、という考えがあると思う」と新しい展開に期待した。

 「聞くことは信頼の原点」と語る岸田氏に対し、長岡市の特定失踪者、中村三奈子さん=同(18)=の母クニさん(78)は「話を聞いてくれるという印象はあるが、実践力は分からない」と話すにとどめた。