「私がいないと私を求め、私がいると私の前から逃げる」。ポーランドのなぞなぞだ。「私」とは何か? 答えは雨。各国の天候にまつわるなぞなぞには、人と気象との関わりがよく表れているらしい

▼雨を求めたり、逆に雨から逃げねばならなかったりの状況は、今後ますます顕著になりそうだ。地球温暖化の影響が懸念される。温暖化を予測する気候モデルの研究でノーベル物理学賞に決まった真鍋淑郎さんは、2012年のシンポジウムで警鐘を鳴らしていた

▼水が乏しい地域ではさらに不足し、豊富な地域ではあふれかえるようになる。極端な水不足となって作物が取れなくなる場所があるかと思えば、大雨や洪水の被害が増える地域も出てくるということだ

▼真鍋さんは1950年代から気象に関する研究に取り組み、やがて温暖化が主要なテーマになった。まだ温室効果などの仕組みが一般には知られていない時代である。当初は温暖化に懐疑的な研究者もいたという

▼それが今ではどうだろう。私たちは酷暑や大雨が格段に増えたと肌で実感するようになった。作物の不作や、水産物の不漁なども真っ先に気候変動の影響を疑う。時候のあいさつでさえ「このところ温暖化で…」などと言うようになった

▼地球規模の気候変動によって、ポーランドのなぞなぞのいう「私」の影響はますます大きくなった。求めつつ、かつ、のみ込まれることなく。この星が持続可能であるために、雨や水とのつきあい方がいっそう問われている。