左胸の全摘手術を受けた姿。「ゆっくり年老いていくのとは違い、劇的に変わっていく姿を残したい」
左胸の全摘手術を受けた姿。「ゆっくり年老いていくのとは違い、劇的に変わっていく姿を残したい」
手術直後の抗がん剤治療の頃。手術の影響で左腕が上がらない様子を写した

 ステージ4の乳がんを患う司会業の谷藤(やとう)幹枝さん(52)=新潟市東区=が、自らを被写体とした写真展を16日から新潟市で開く。手術前や左胸の全摘後の姿など、5年間の治療の軌跡を写真でたどる。谷藤さんは「乳がんを患った私たちは弱い存在ではない。たくましく、美しい姿であると罹患(りかん)者本人にも感じてほしい」と訴えている。

 谷藤さんは2016年10月に乳がんの告知を受け、17年1月に左胸の全摘手術を受けた。18年2月には骨への転移が発覚し、ステージ4と診断された。

 撮影は、知人の勧めで手術前に、胸を失う前の姿をきれいに撮ってもらったことがきっかけ。新潟大美術科卒の経歴もあり「アート作品として昇華させよう」と当初は胸を再建した後に写真展を開く計画をしていたが、転移が発覚。「死が目の前にぶら下がってくる」状態になった。仕事の依頼もなくなり、精神的に追い詰められたこともあったが、生存5年の節目として、企画した。

 写真展では、(1)告知直後(2)左胸の全摘後(3)がん転移の発覚後-の三つの時期を中心に約30点を展示する。撮影は古くからの知り合いだったフリーカメラマンの岩橋由希子さん(48)=同市中央区=が担当した。今回メインとなる3枚の写真はそれぞれの時期に、同じポーズで撮影。余計な装飾は着けず、横を向く谷藤さんの自然な表情を捉えた。

 作品の中には、ひつぎから出てくる様子もある。岩橋さんは「がん患者だけでなく、『生きるのがつらい』と感じている人の生きる意欲になればいい」とする。

 国立がん研究センターの2018年のデータによると、日本人女性の9人に1人が生涯に乳がんに罹患する。温泉など人前で胸を隠す患者は少なくない。谷藤さんは「患者を見る側は知らないからこそ抱く恐怖もある。お互いが生活しやすい社会につなげたい」と話している。

 写真展は21日まで。午前10時~午後8時(21日は午後3時まで)。会場は新潟市中央区東堀通6のG.Eビル7階。入場無料。17日午後1時~2時半に谷藤さんと岩橋さんらのトークイベントがある。先着20人、要予約。500円。

 予約、問い合わせは谷藤さん、025(201)9236またはメールアドレス、jov@jov.me