東京五輪の開会式で話題になったピクトグラムは「視覚言語」の一つとされる。絵文字と訳されることが多い。一目見ただけで情報が伝わり、分かりやすい

▼日本で考案された非常口のデザインは国際規格になっている。道路標識に駐車場、津波の避難場所を示すものも増えた。そうした記号に助けられるたび、視覚で直感的に理解できるありがたさを思う

▼五輪に触発されたのか、各地で続々と新作が生まれている。鹿児島市の第10管区海上保安本部では救難や警備の仕事を動画で紹介し、山形県はご当地の名物をツイッターで公開した。本県も新型ウイルス対策を図案に示して活用を促す

▼一説によると、源流は石器時代の洞窟壁画にさかのぼるという。20世紀に入って、人々の往来が盛んになった欧州で広がり、浸透した。時とともに進化を遂げ、文字や言葉を使わない情報伝達を可能にした

▼「時代に見合ったものに変えていかなければいけない」。1964年東京五輪で施設のピクトグラム作りに携わった村越愛策さんは先輩からこんな助言を受けた。進化の大切さを説く言葉だった。確かに、ダイヤル世代が考えた電話マークには違和感が拭えない

▼街中で見掛けるお手洗いの表示はどうだろうか。男性は青か黒のズボン姿、女性は赤いスカートをはく。世界では多様な性に配慮したトイレの設置が進む。今に見合ったものを考える時が来ているのかもしれぬ。歌は世につれというけれど、おなじみのピクトグラムもしかりである。